15. 06 / 10
Discover Japan 7月号
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sekimoto
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> メディア
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現在発売中の「Discover Japan」に「隅切りの家」が掲載されています。
[Discover Japan 7月号]
http://discoverjapan-web.com/new/201507
この雑誌はインテリア誌ではなく、世界に誇れる日本文化の魅力のようなものを発信する媒体のようですが、今回は「家づくりの新常識」という特集にて取り上げて頂きました。
取材では、ほんの1年前にお邪魔した際は生まれて間もなかった赤ちゃんが、もうすっかり”子ども”になっていてびっくりでした。いやはや、我々は相変わらず何も成長のない大人たちです・・。
満開の桜の風景も魅力的ですが、新緑の光景もまた緑のカーテンのようで気持ちが良さそうです。どうか書店でお手に取ってご覧下さい。
15. 06 / 09
レクサス
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sekimoto
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> 思うこと
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ある日、この方がとうとう満を持してうちに設計相談にいらした。私は歓迎した。大いに盛り上がった打合せの最後に、しかしクライアントはこう切り出したのだ。実は別の建築家にも声をかけている、と。要はコンペというわけだ。
そのコンペは、結論から言うと負けた。
そのクライアントはとてもウマの合いそうな方だったし、その人の態度はまるで私を本命視しているようでもあった。それを真に受けた私がウブだったのかもしれないが、まるで相思相愛と信じた相手に、確信を持って告白したらフラれたくらいのインパクトで、私は深く落ち込んだ。
その方のその時の断り方もまた、その後の私の心に長く尾を引くことになる。言い換えるならば「一番好きなのはあなただけれど、一緒にはなれない」的な。私ではなく誰に頼んだかは結局聞かなかった。
それから一年ほど経ったある日、ふとこのことを思い出した。
あの時決まっていれば、そろそろ竣工する頃だな。その日、どうしてそんな事を思ったかはわからない。私に未練がなかったといえば嘘になる。しかし思いが引き寄せたというには出来過ぎな話だが、その日私が久しぶりに自分の設計したカフェに行くと、扉を開けて出てきたのはそのクライアント本人だったのだ。
往年のトレンディドラマ「東京ラブストーリー」なら、あのBGMが流れるシーンであろう。衝撃的な再会。なぜ私のカフェに?あいつと幸せになったんじゃなかったのか!?これがドラマなら、まさに雨の中傘もささずに、という状況である。
「あっ関本さん…」
「あの、どうしてここに…」
「あ、あの…もうすぐ完成するんです。もしよかったら…あの、オープンハウス来てくれませんか?」
何を言っておるのだ。まさに別れた女性から「結婚式には来てね」と言われたようなものではないか。
「も、もちろんですとも!案内送って下さいね」
かくして私はノコノコとオープンハウスに出向いて行ったのだ。羨望と祝福の声が飛び交うその場所で、私は作り笑顔を浮かべていた。クライアントもいらした。「ご竣工おめでとうございます!素晴らしい空間ですね」(…幸せになれよ)
しかし私の心を真に乱したのは、実にその後のことであった。
その家は某著名建築家の設計により完成を迎え、数ヶ月後には建築専門誌にも掲載された。大胆かつ斬新な空間構成。大幅に誌面も割かれていた。そのどれもが、当時の私には持ち得なかったものだ。清々しいまでの完敗…。
しかし!
私は見逃さなかった。その写真に写っていたその生活風景を。そこには当時の私が好んで用いていた素材が散りばめられ、我が家と同じデザインの家電があり、私の好んだ北欧デザインや家具が並んでいた。購入元も私と繋がりがある場所からだった。この空間は…私の空間ではないか!
その時に悟ったのである。
「一番好きなのはあなただけれど、一緒にはなれない」という言い回しの真意を。私はその時、みすぼらしい男が、走り去るレクサスの後ろ姿を見送ったような心境であった。そしてこう心に刻んだのである。「今に見てろ、見返してやる!」と。
(「伝説の日本の社長」より)
15. 06 / 09
[FP]写真をアップしました
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sekimoto
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> 仕事
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今年3月に竣工した川越市 FP(S邸)の写真をアップしました。
https://www.riotadesign.com/works/15_fp/#wttl
小さな中庭とスキップフロアのある住宅ですが、とても丁寧に美しく住みこなして下さっていて、写真のひとつひとつからも、クライアントの空間への愛情のようなものが伝わってきます。撮影にも楽しくお付き合いくださいました。
写真家に撮影をお願いする楽しみは、設計者ですら気づいていない建物の魅力や側面を発見して下さる点にあるように思います。
今回の写真家は新澤一平さん。いつも美しい写真を撮って下さいますが、今回の写真にもはっとさせられました。この建物って、こんな空間だったんですね。私には見せない表情を、この日は特別に新澤さんには見せてくれたようです。
素晴らしい写真をありがとうございました!
15. 06 / 08
レクチャーの日
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sekimoto
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> 仕事
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昨日はたまたま2箇所から講演を頼まれ、午前午後とハシゴしながらお話しさせて頂きました。
午前は大学の同級生である玉木さんに頼まれ、彼女の勤めるリフォーム会社のセミナーに。同級生に設計を頼まれたことは何度かあるのですが、セミナーは初めて。リフォームの話をする機会は少ないので、自分の仕事を振り返る機会にもなりました。
午後は、松井郁夫さんの主宰される「き組」ゼミで今日はお話をさせて頂きました。
私などはほぼ独学で木造を学んだので、最初松井さんにお会いした時には「基本がなっていない!」とお説教されるかと思っていたのですが、実際の反応は真逆のもので、松井さんの懐の深さに感謝しています。
今日の話はてんこ盛りで、調子に乗って2時間半もお話してしまいましたが、全国各地から集まる「き組」の受講生からは、私のブログのファンだなんていう方もたくさんいらして、温かく迎えて頂きました。
松井親子の関係もまた、私にとっては憧れで、私も息子が成人したらこんな関係でありたいと強く思ったのでした。
講演後も松井さんがうつらうつらと舟を漕ぎ始めるまで、毒の入った、もとい刺激的な話がいつまでも続きました。今日は本当に楽しい時間をありがとうございました。ご参加の皆様にも感謝致します。
15. 06 / 06
国立競技場問題について
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sekimoto
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> 思うこと
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『世界的建築家・槙文彦氏「日本チームで作る」…新国立設計』
http://www.hochi.co.jp/topics/20150606-OHT1T50035.html
そもそもこの競技場問題の大きな論点は2つである。一つは巨大すぎることで周囲の景観を破壊するという点、そしてもう一つは建設費がかかりすぎるという点。
もう一つ加えるならば、設計を担当している建築家のザハ・ハディド女史は、業界でも有名な前衛建築家であり、彼女の案をコンペで選んだ審査プロセスやコンペプログラムも含めて、コンペ主催者側の責任も問われるべきだとする点、であろうか。
…スケールが大きすぎて、イマイチ何が起こっているかイメージできない方のために、これを我々の住宅設計に置き換えて説明したい。
◇
建築家は名だたるライバルを抑えて、住宅のコンペで当選を果たした。斬新だが費用がかかりそうなデザイン。しかしクライアントは他の提案とは一線を画すその案を選び、夢を託した。
予想通り設計は困難を極めた。しかし当初のままとはいかないまでも、なんとか近隣問題や技術的なことに可能な限りの折り合いをつけて、設計はなんとか完了した。ところが見積りを取ると、それでも大幅な予算超過となってしまった。
この顛末を聞きつけたのがライバル達である。そもそも予算は決められていたわけだし、景観も破壊しかねない外観だ。自分ならもっと良い案が作れるはずだし、建築家の案が面白いわけがない。
「やっぱりそうか!」
「いやね、私もあれはひどいと思っていたんですよ」
「このままじゃ、あのお施主さんがかわいそうだよ」
「そもそもでかすぎるんだよ。あんな屋根なんてやめちゃえばいいのに」
かくしてクライアントの元には、ライバル建築家達から頼んでもいない代替え提案が届く。少々強引な建築家と、予算超過に頭を悩ませていたクライアントは、彼らの思いやり(余計なお世話ともいう)にあふれた提案に心が揺らぐ。
「でも、先生にこんなこと言えないですよ…」
と弱腰なクライアントに彼らはそっとささやく。
「やめさせちゃえばいいんですよ。その後は我々が引き継ぎますから。予算も守るし、お施主さんの言うことも聞きます。いいんですか?このままで。取り返しのつかないことになりますよ?」
そして建築家の元には、ある日突然の契約解除通知が届く。
寝耳に水の話に驚いたのも束の間、それはライバル達が根回しをした結果だと知る。「あいつら…ゆるさん!」
しかも、クライアントが最も期待を寄せ、自分も最も心血を注いでいた曲面を描く大屋根のデザインは、予算的な理由から普通の切妻屋根になるという。予算超過でクビになっただけならまだしも、今回はライバル達が勝手に自分の図面に手を入れて改変してしまおうというのだ。しかも許しがたいデザインに…。
…
こんな屈辱ってあるだろうか?
そんなことをしてできたものは、建築でも何でもない。
もちろん予算超過した建築家が悪い、という正論はあるだろう。でも選んだのは素人ではなく専門家達なのだ(委員長は安藤忠雄氏)。その案がどのくらい大変な案かはわかっていたはずだし、もっと安全策も取れたはずだ。しかしザハを選んだ。
住宅と公共建築は違う、その費用は血税でまかなわれるのだと言われれば、それもその通りだろう。しかし私は同じ建築を生業とする建築家として、この仕打ちはあまりにひどいしフェアじゃないと思う。それを”世界的”建築家が主導しているというのが私には信じられないのだ。
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