15. 08 / 19

スケープゴート

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sekimoto

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> 思うこと


デザイナー佐野研二郎氏のエンブレム問題で、毎日のように新事実が発覚したり、これも盗用じゃないかとか、はたまた佐野氏の人脈図をあげつらってみたり、私は毎日こういうネタを見る度に心底うんざりする。

みんな、どうして一人のデザイナーの足を引っ張ることにそこまで執着するのだろう。どうして世の中の人は自分には関係ないことに、そこまで執心して騒ぎをどんどん大きくしようとするのだろう。

私にとって、そのデザインが盗用であるかどうかなんてどうでもいい。そのデザイナーが清廉潔白かどうかなんて自分には関係ないことだ。

それが本当に盗用なら、そこに悪意があったのなら、私はその人を軽蔑するだろう。そのデザインを自分の中で葬るだろう。ただそれだけのことだ。あるいは、私がお金を払って依頼した人に、そんなことをされたら私は本気で怒るだろうが、今回別に私の懐はちっとも痛まないし、不利益や実害もない。

今回騒いでいるのは、どうやら依頼主ではないようだ。じゃあ誰が騒いでいるのか?パクられたと言って怒っている人もいるが、多くは関係ない人たちである。もうちょっと言うと、オリンピックすらもどうでもいいと思っている人たちである。

私は佐野氏の五輪のエンブレムは好きだ。良いデザインだと思う。
会見を見る限り、私は彼は嘘を言っている人だとは思わない。

トートバックの件なんて、もっとどうでもいい。サントリー商品を買って、やっとお目当てのデザインを手に入れて、それが盗用だったことがわかったとする。私でもそればかりはがっかりするかもしれないけれど、「まじかよ」とかいって「佐野のやろう!」とかちょっと毒づいて、でもそれでおしまい。だってキャンペーン賞品だし。

もちろんキャンペーン賞品にだって、デザインのモラルはある。でもどうも論点がずれているようだ。詰まるところ、それはトートバッグが問題なんじゃなくて、エンブレム(=権力)にケチをつけたいがためのスケープゴートなのだ。

私が許せないのは、あたかもデザイナーのモラルとか良心とか言っておきながら、「賞賛の嵐!デザイナーが1時間で作ったオリンピックのロゴが話題」てどうよ?てこと。よくもまあ、同じデザイナーとかいう肩書きを謳っておきながら、こんな失礼なことをするもんだと思う。

挙げ句の果てには「佐野研二郎氏がデザインした東山動植物園のマークが、コスタリカの国立博物館のマークと似て」て、おい。どーでもいいわ!

人を勝手にクロと決めつけて、こてんぱんにやるというのが最近の風潮らしい。魔女裁判か。趣味が悪いとしか思えない。