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> 仕事
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台風一過の今日、一本の電話が鳴る。過去のクライアントからだ。
胸がざわつく。雨漏りかもしれない・・。大雨の後にクライアントから電話がかかってこないことを祈る、という習慣がついたのはいつの頃からだろう。もはや職業病のようなものである。

ところが違った。我々がスペックした照明器具にリネストラランプというランプがあるのだけれど、これが切れてしまい、ネットで探したのだけれど既に生産中止になっているようだ、というご相談だった。

私の表情が明るくなる。実は、リネストラランプの生産中止の報は既に受けていて、過去に使用したクライアントに迷惑をかけることのないよう、事務所で数本買い置きをしていたのだ。

あれが活きる!逆にちょっと嬉しくなってしまって、夕方に直接お届けに伺う旨をお伝えした。空いていれば車で30分の距離である。そして先ほど無事お渡しして、クライアントにも感謝され、なんだか今日は良いことをした気分で帰社した。

事務所に戻ると電気は消えていた。そんなに遅い時間じゃないのに、みんな帰るのが早いな。今日は何の日か知ってる?といっても男だけの事務所でそんなことを期待する方が野暮というもの。

女性スタッフがいた頃は、こんな日はケーキが出てきたものだと、
ふと遠い目をするのだった。

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> OPENHOUSE
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昨日をもちましてA-FLATは無事竣工し、午後にオープンハウスを開催させて頂きました。本当にたくさんの人にご来場頂きました。足をお運び下さった皆様、誠にありがとうございました。

オープンハウスのご案内文にも書きましたが、ここには以前より古いお米屋さんがあり、不思議なご縁もあって、今回我々が計画に携わらせて頂くことになりました。まさに一期一会です。

ただ、このご夫婦にお会いしたときから私の中では他人事ではないシンパシーのようなものがあり、時に自分がその家族の一員であるような、自分の両親のために家を建てているような、そんな気持ちにすらさせられました。



企画にはデザイナーズ賃貸で有名なタカギプランニングの名前が連ねられていますが、これは私からお願いして、費用もお支払いして企画に入って頂いたものです。

もちろん私も建築家ですから、賃貸の仕様を決めたり、デザインすることはいくらでも可能なのですが、賃貸住戸は建築家の作品ではありません。いかに市場の感覚とズレのない器を作るか、そのためには第三者にプロデュースしてもらう必要があると考えました。

今回のタカギプランニングさんのお仕事は、それは素晴らしいもので、業界をリードするプロフェッショナルの仕事というものを垣間見させて頂いたような気がします。


また山田憲明構造設計事務所、設備設計のYMOといった、有数の実力事務所と協働できたことも、今回の仕事が刺激的なものになった要因でした。

今回はいつもより規模が大きく、我々設計者の裁量も大きかったことから、外注する構造・設備事務所は妥協しないで実力のある方にお願いしたいと思っていました。

それは結果的に我々にとっても大変勉強になりましたし、蓄積にもなりました。我々が今後も大きく成長してゆくためには、協働する事務所の存在はとても大きな存在なのです。




そして何より、施工を担当して下さった辰の技術力の高さ、トータルの仕事力には本当に感心させられました。

業界の人なら肌感覚としてわかると思いますが、昨今の建設費高騰と職人不足には、肌がヒリヒリするくらいの苦労をさせられますが、そんなマネージメントも含めて、今回辰さんがいなかったら間違いなく建たなかっただろうと、現場に足を運びながら何度となく思わされました。

辰の現場事務所に行くと、壁に『日本一の建築屋になる』と標語が掲げられています。この”建築屋”というのがとても辰を体現している言葉のように思えてなりません。ツベコベ言わず、もの作りにかける真摯な意気込みのようなものを、最後までヒシヒシと感じさせてくれました。




今回は全体を通して、そんな”人”に恵まれたプロジェクトでした。こういう仕事は本当に幸せな気分にさせてくれます。

正直、まだいろいろ残工事も残っているのですが汗、早くスッキリさせて、クライアントには一日も早く落ち着いた生活を送って頂きたいと願うばかりです。私にとっては第二の実家ができたような、そんなプロジェクトでした。

1階のテナントも素敵なお店が入ると聞いています。
こちらも今からとても楽しみです!

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> 仕事
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私が大学を卒業して飛び込んだ事務所は、建築家・棚橋廣夫先生の率いるエーディネットワークという設計事務所だった。入ってすぐに集合住宅の担当になり、立て続けに次もワンルームマンションを担当させてもらった。

今でもよく思うのは、大学を出て最初のキャリアというのはとても重要な意味を持っていて、その時選んだ選択肢というのはその人のその後のキャリアにも大きな影響を及ぼすように思う。

私で言えば、言うまでもなくエーディネットワークで学んだことが全てなわけで、血気盛んな頃は、それでも他の事務所の仕事を見てみたいと思ったこともあったけれど、結果的にエーディでの仕事しか知らなかったことで、筋の通ったキャリアをその後も歩めているような気がする。

棚橋先生はとにかくディテールに一家言ある人で、派手さはなくともちゃんと基礎を押さえるということを、それこそ千本ノックのように繰り返し学んだ。今リオタデザインが”ディテールのちゃんとした事務所”というポジションを築けているのは、ひとえにエーディネットワークでの修業時代があってこそだと思っている。

それはさておき、私にとって集合住宅やRC監理のイロハを学んだのがエーディだったこともあり、私の初集合住宅はどうしても棚橋先生に見てもらいたかった。そこで5日のオープンハウスに先がけて、まだ絶賛工事中の現場を今日はご案内させて頂いた。

エーディで学び、そのノウハウを独自に進化させてきたという自負のもと、棚橋先生がそれについて何とコメントするか。もうね、緊張ものですよ。

私「見て下さい。これはエーディで教わったやつですよ!」
棚橋先生「もうね、そこにはあまりこだわってないんだよね」

ええ~っ!?
エーディでの6年間を返してくださいと思いましたが、かろうじて呑み込みましたよ。

現場は5日のお披露目に向けて着々と、仕上がって・・仕上がって・・いるのかなあ?とっても不安ですが、外構・植栽を担当して下さったいつもの”ストライカー”こと湊さんは絶好調で今回も仕上げて下さいました。

久しぶりにお元気そうな棚橋先生のお話しもいろいろ聞けて、今日は盛りだくさんな一日でした。

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> 思うこと
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とうとうエンブレムが白紙になってしまった。

この件を巡っては先にも書いたし、今もなお言いたいことはいろいろあるけれど、今はただ佐野氏からの声明を読み、同じ創作に関わる身として、またスタッフや家族を持つ身として、そして人として、私は佐野氏に心から同情する。

今朝の朝日新聞における加島卓氏(東海大准教授)のコメントに、すごくストンと落ちるものがあったのでご紹介したい。

「(前略)専門家によるデザインで満足するより、ゆるキャラのように、隙のあるデザインを応援しながら育てて楽しむのがネットの発達した今の市民参加型社会」

実は昨日もスタッフに話していた。こうなったら、もう「ゆるキャラ」しかないのではないかと。

加島氏の言うように、今の社会は確実に「市民参加型社会」になっていると思う。かつては、「デザインや建築のことは一般の人はわからないだろうから、専門家が決めてそれを発表すればいい」というのが通例だった。今回もそれを踏襲している。いわば「大本営発表型社会」である。

しかしどうだろうか。ここまで情報を同時に共有できる世の中になると、情報が得られない”ブラックボックス”である状態が、社会的不安や不快感を引き起こしてしまう。

安保法案だってそうだ。主権は国民にあるはずなのに、決定はブラックボックス(国会)の中にある。「というわけで決まりました」という大本営発表をそのまま受け入れられる時代ではないということを、政治家も気づいていない。

そして、それは建築やデザインだって同じなのだ。

お笑いのチャンピオンを決める番組で、会場の審査員とは別に”お茶の間審査員”と称して、視聴者が自由に面白かったと思える芸人に票を入れることができるシステムがある。地デジならではの双方向の情報共有化がなせる業であるが、いわばそれである。

会場の審査員は”専門家”であるので、一般の人ではわからない細かい技術的なことを審査すれば良い。もちろんそこには、審査員から見た「面白い/つまらない」という指標もあるだろうが、審査員が笑っていなくたって、お茶の間が笑っていればそこにはお笑いは成立しているのだ。

今回社会が言っているのはそういうことなんだと思う。

それが美しいかどうか、優れた案かどうか、使いたい!と思えるかどうか、そんなの使う人が決めれば良い。専門家から見て、少々デザイン的に詰めが甘かったり、展開性に欠けていたりしても、みんなで決めたものであればそれでいいんじゃないか。

それが「ゆるキャラの時代」なのだ。

この時代、くまモンやふなっしーを越える”エンブレム”はあるだろうか。お茶の間の誰からも愛され、テレビにも引っ張りだこのアイコン。展開性という意味では、今回のエンブレムを越える展開性である。なんてったって、足が生えて歩いているのだから!しかもふなっしーはしゃべるのだ。

あれがデザインだって?冗談じゃない!
まあまあ、そう怒らないで。

じゃあ、佐野氏の後にどんなエンブレムがイイと思う?ザハの後にどんな競技場があると思う?その案出した人、超バッシングされると思うけどわかってる?耐えられる?そんな勇気ある?

我々の住宅設計も同じなのだ。昔のように、寒くても暑くてもいいから安藤忠雄先生の家に住みたい!という時代ではない。

たとえ、そのことで多少デザインが丸くなることがあったとしても、設計のコンセプトが多少ぶれることがあったとしても、みんなで決めたことがこの時代には相応しいアイコンなのだ。

なにあの窓?笑、とか、この屋根おもしろーい笑、という具合に、末尾に「笑」が付くようなもの。「笑」は共感のサインである。優れた建築やデザインは今や総”ゆるキャラ化”していると言っても過言ではない。証拠に、佐野氏がブレイクした代表作にはauのLISMOもあるのだ。

で、ここからは私の提言。

新しいエンブレムは公募で選ぶらしい。であるならば、膨大に集まった応募案を1次選考でふるいにかけ、100作前後をネットに公開すべきである。

そこには自由に市民がコメントを書き込んだり「いいね!」したりして、人気を見える化したら良い。でもネット上では意見が偏るし、操作も入るからそれは審査には加点しない。ただ世論として共有すれば良い。

次の二次選考では専門の審査員が自分の意見と世論との間でバランスを取り、5作品程度を最終選考に残す。この時点では「2ちゃんねる審査員」が徹底して類似案がないかをググって検証する。

最後の5作品から1作品を選ぶ過程は、テレビで生中継である。もちろん会場の人や、お茶の間審査員も投票できる。実況は松岡修造だろう。デザイナーが思いの丈をプレゼンし、いよいよCMをはさんで発表!

発表は、そうだな、東京オリンピック開催を「TOKYO 2020」と書いた札で表現した、あの外国人が良いだろう。抱き合って喜ぶ滝川クリステル。

絵が浮かぶようだ。

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> 建築・デザイン
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今年2月に竣工した西荻の家(T邸)の写真を以下にアップしました。
是非ご覧下さい。今回の撮影は繁田諭さんです。

[西荻の家]
https://www.riotadesign.com/works/15_nishiogi/#wttl

当初撮影は6月くらいに考えていたのですが、それから梅雨にたたられ、延期を繰り返しているうちに8月になってしまいました。ですが季節は夏!クライアントが道路際に植えられた向日葵が、あっという間にルーバーの高さを超えてしまうというハプニング。

ルーバーは道路側からほとんど見えなくなってしまいましたが、逆にこの状況はいかにも夏らしくてイイですね。私はすっかり気に入ってしまいました。(一瞬、タイトルを「向日葵の家」に変えようかと思ったほど)

惜しむらくは、この撮影の2日後に向日葵も満開になったそうです。でも・・そうしたら完全に建物は向日葵に喰われてしまったかもしれません笑

この家の魅力は、なんといってもふんだんに使った自然素材の競演でしょうか。壁には全面的に漆喰を使い、天井にもレッドシダーが惜しげもなく使われています。

すべてはクライアントとの協働作業によるもので、その作業はラジオのチューナーを合わせるが如く、いかにクリアな音質でその空間性を響かせるかという点に最も労力を注いだ住宅でした。

繁田さんも、素晴らしい写真をありがとうございました!