18. 01 / 26

先生の学生時代

author
sekimoto

category
> 大学
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



今日は大学指導の最終日。カリキュラムの関係で1日余ったこの日は、1年生に各先生の学生時代の話をしてあげようということに。私を除く6名の講師の昔話はとっても面白く、講演会でも話さないであろう微笑ましいエピソードが盛りだくさんでした。

私は学生時代の課題のいくつかを見せました。私も1年生の時はなかなか先生に褒めてもらえず、悔しくて夏休みのパース着彩課題は自分なりに頑張りましたが、評価は結局Aマイナス1(つまり79点ということですね)。これだけ頑張ってもAすら取れない(努力は報われないこともある)という、そんな話をしたりしました。

最後に学生の感想レポートをコピーさせてもらい、読みながら帰ってきましたが、学生たちには相当刺激になったようですね。熱が学生に伝搬しているのがわかりました。先生方(私も含む)は昔話をするのを皆嫌がっていましたが、まずまず成功だったのではないでしょうか。






*

「さつきの家」のオープンハウスを昨日開催し、無事終了しました。遠方にもかかわらず、多くの方に足をお運び頂きました。ご来場下さった皆様に、この場をお借りして御礼申し上げます。

この住宅は建て主の育った家の建て替え計画で、ゆったりとした広い敷地全体を活用する配置計画からはじまり、予算計画、法的な整理に時間がかかりました。そしてなにより既存の環境と建て主やそのご両親の記憶や歴史をどのように留め、継承するかというテーマも大きなものでした。


道路からのファサードは、片流れ屋根を組み合わせたリオタデザイン鉄板のデザインアプローチでまとめています。

外装はガルバリウム鋼板の立はぜ葺き。サステイナブルに建物を次代へつなぐ性能を担保した上で、色も周囲の環境から浮き上がることなく馴染むよう、注意深く選びました。



先にブログでもご紹介した、製作による手作りカーポートと、地面から浮かせた軽やかな妻壁をくぐるようにして玄関にアプローチします。

建物は庭側から見ると「コの字」型の開放的な表情で、軒を深く出し雨から躯体を守った上で、庭に開放的にひらいた作りがその特徴です。



内部のリビングは、基準の床面より40cmほど下げています。これは庭との関係を考え、より直接的に空間と庭とをつなげたいと考えたことと、重心を低く、リビングに落ち着きを持たせたいと思ったことがありました。

一方のダイニングは天井を低く抑え、窓先からはシンボルであるサツキツツジを眺めることができます。


リビングから家具で仕切られた畳コーナー。子供たちがここで遊んだり、勉強したり、はたまた昼寝をしたりというシーンをいろいろ想像しながら作りました。仕切りとなる家具の高さにも工夫を凝らしています。

ここでどんな振る舞いをするかはもちろん家族に委ねられるものですが、ただ「自由にやってください」と突き放すのではなく、家族の居場所を丁寧に作ってゆくことが大切です。それが住宅を設計するということではないかと思いますので。


住宅を貫く15mの廊下。家族の営みを一本の串で串刺しにしたようなこの眺めが、この家を象徴しています。



玄関には既存住宅の欄間を再利用してはめ込んだハイサイド窓と、大きな地窓いっぱいに切り取ったサツキツツジが家族を出迎えます。夜になると、その欄間からの灯りも外にこぼれます。


こちらはトイレの引戸のガラス。ある年代以上の方には懐かしいと思える型ガラスですね。もう新しい住宅には使われませんので、お子さんにはとても珍しいガラスに映るかもしれません。

こういう演出にはデザイン的な意味はなく、理屈を越えて家族の心の”ひだ”と結びつく部分であると考えています。いわば遺伝子のようなものでしょうか。

我が子に自分のアイデンティティの欠片を見いだして愛おしく感じるように、この現代的な住宅が宇宙船のように突如として舞い降りたものではなく、自分たちの記憶や人生の延長線上に継承されたものであるということを、建て主に感じてもらいたいという思いがあります。こういうものの集積が、その家を世界に一つだけのその人だけの家にしてゆくのだと思います。


このお庭もそうです。既存の住宅のいくつかの樹を大切に移植して利用しています。切って新しいものを植えた方がよっぽど楽でしたが、造園家の湊さんにも意気に感じて頂き最大のご協力を下さいました。湊さん、ありがとうございました!


建て主さんは当初設計の相談にいらしたとき、自分たちが設計事務所(建築家)などに設計を頼むなどおこがましいのではないか、という控えめのご発言をされていたのを覚えています。現実的にも、もっと安く早く建てる方法はいくらでもあったはずですが、最後まで悩んで我々との家づくりを選んで下さいました。

時間も手間もかかりましたが、建て主さんの思いには正面から100%お応えできたのではないかと思います。最後に心から喜んで下さり、また何よりご両親がこの敷地が活かされたことに本当に喜んで下さったと聞いた時には、胸が熱くなりました。

社会に対して、住宅を作る以上の素晴らしい”何か”を成し遂げたのではないかと束の間でも思えることは、我々にとって忍耐強く仕事を遂行する上で大きなモチベーションとなります。”仕事以上の何か”をしていると感じることが、我々にとって「建築」という行為なのだとあらためて思います。





見学には過去のOBクライアントさんをはじめ、現在進行中の方、また同業の建築家や工務店、メーカーの方など、みなさんに熱心に見て頂きました。遠方だったこともあり、適度な参加者数で理想的な見学会でもありました。

ちなみに、この住宅の温熱性能はUA値で0.62(W/m2K)となっています。2020年の義務化基準である0.87よりもはるかに高性能な数字が出ていますが、ただ欲を言うともう少し工夫できた点もあり、我々としては今後更なる設計の改善を考えたいとも思っています。デザインと性能との両立は、リオタデザインの今年の大きな設計テーマの一つです。


最後に建て主のOさん。

最後まで家づくりを楽しまれている様子が伝わってきて、またその誠実なお人柄にいつも助けられていました。いろいろありましたが、楽しかったですね!最後までお気遣いを頂きありがとうございます。今後とも、末永いお付き合いをよろしくお願い致します。

author
sekimoto

category
> メディア
> 仕事



建築情報サイトのプラナビさんに「プロが認めた匠の技」というコーナーがあります。

建築家がお世話になっているスゴ腕の”匠”を紹介し、編集部がその職人さんを取材するというなかなか良い企画なのですが、こちらの最新号に私もいつも植栽でお世話になっている耕水の湊さんが登場しています。

プラナビ|プロが認めた匠の技
耕水 湊眞人さん
https://www.pla-navi.com/clip/professional/takumi22_kousui.php

紹介者は佐藤・布施建築事務所さんですが、主宰者の一人である布施さんは私の大学時代からの親友でもあります。実のところ、湊さんを紹介してもらったのは、10数年前にこの布施さんからだったのでした。

先日オープンハウスを告知した行田の「さつきの家」でも、この湊さんに大いに腕を振るって頂いていますので、いらっしゃる方はどうか外構もよくご覧頂けたらと思います。


ところで、このプラナビさんには私も過去に板金職人の新井勇司さんをご紹介させて頂きました。

新井板金 新井勇司さん
https://www.pla-navi.com/clip/professional/takumi21_arai.php

新井さんには現在現場が進行中の住宅「TR」でも腕を振るって頂いているのですが、サイトの影響かどうかはわかりませんが、すっかり人気の職人になってしまったようで、なかなか現場に入れないなどの弊害も出始めました。

もっとも新井さんも人からの紹介だったわけですが。なんでも開けっぴろげに情報を公開する私ですが、最近は秘蔵の”虎の子”は少しずつ隠してゆこうかなと思っている今日このごろです。笑


ただこうして他の建築家も賞賛するような素晴らしい職人さんと日々お仕事ができるという喜びや幸せも、あらためて噛みしめるところです。こちらも本気でやっているのだから、現場にも本気の仕事で応えて欲しい!というのが私の偽らざる本音ですので。

我々が当たり前のような顔をしてご提供しているものは、世間的にはけして当たり前のことじゃないんですよ。

author
sekimoto

category
> 北欧
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



昨日のセンター試験の地理Bで、北欧発アニメの舞台を答えさせるという問題が出題されたということで、昨晩はおもに北欧つながりの友人らのSNS等で話題がもちきりだったのですが、今朝になって新聞記事にもなっていて二度びっくり。

「ムーミン どこに住んでいる?」という見出し。
いや設問は舞台を答えさせるということで、住んでいる場所を答えさせる問題ではなかったはずですが。

これは左側に示されたアニメ「ムーミン」と「ビッケ」を、それぞれの舞台となっている国の言語A(ノルウェー語)とB(フィンランド語)とをそれぞれ結ばせるというもの。


Livedoor NEWSより

「ムーミン=フィンランド」というのは常識だから、むしろ右側の言語のどちらがフィンランド語か?という点においてやや難しかったかもしれないと思いましたが、最初にスウェーデン語が示されていることから、地理の基礎知識と洞察力があれば、スウェーデンと隣り合わせのノルウェーはスウェーデン語とよく似ているはず、という点から拾えたとは思います。(むしろサービス問題?)

ただフタを開けてみると、「ムーミンってノルウェーじゃないの?」という点で間違えた学生も多かったようで(そこ?)、ムーミン公式アカウントが「もっと知ってもらえるようがんばります」との異例の声明を出すというそんなオチがついた。


昨晩駆け巡った北欧在住者の意見(みんなスルドイ)でナルホドと思ったのは、

・スウェーデン語もフィンランドの公用語のひとつ
・ムーミン作者のトーベ・ヤンソンさんはむしろスウェーデン語系

とたんにカオスになりました笑
ちょっと無理ありましたかね。でも設問は、アニメの舞台はどこか?ということなので問題はないのでは?

・そもそもムーミンの舞台は、フィンランドじゃなくてムーミン谷

あらら…これはごもっとも!笑
確かにムーミンにはフィンランドには馴染みのない情景がたくさん出てきますものね。じゃあ私からもいいですか?

・ビッケにも触れてあげて


来月2月13日(火)になりますが、六本木アカデミーヒルズにおきまして伊礼智さんと野池政宏さんによるセミナーがあります。私はコーディネーター(進行役みたいなものです)という立ち位置で参加させて頂きます。

テーマは「性能の先の快適さを考える-住み心地のよさ-」ということですが、登壇者である建築家の伊礼智さんは住宅設計の世界ではトップランナーの一人で、すでにハウスメーカーと肩を並べるような高性能住宅を美しいデザインと両立させながら実践されておられます。

また一方の野池政宏さんは省エネ・エコ住宅において多くの著書を持ち、パッシブデザインによる家づくりを著書やセミナー等を通じて世に広めておられる第一人者になります。

こんな大御所の方々に挟まれて、私がコーディネーターなど務まるのかという不安もなくはないのですが汗、その役割を私に頂いたからには、私なりの視点や立ち位置が期待されているということでしょうから、私なりに”性能の先の快適さ”とは何だろうということを会場の皆さまと共に考え、講師の方々と共にテーマを深めてみたいと思います。


【伊礼智×野池政宏】コーディネーター 関本竜太
性能の先の快適さを考える-住み心地のよさ-

【開催日】2018年2月13日(火)
【開催時間】13:30~17:30(13:00開場)
【開催場所】六本木アカデミーヒルズ
【定員】150名/先着順
【会費】お一人様3,000円
【お振込期日】1月19日
【主催】日本ベルックス株式会社 オスモ&エーデル株式会社

【プログラム】
13:00 受付
13:30 開会
13:45 伊礼先生基調講演
14:45 野池先生基調講演
16:20 トークセッションまとめ
17:45 交流パーティー

☆お申込・詳細は以下のページをご参照下さい。
http://www.velux.co.jp/latest-topics/renewal-info/forum2018


実は来月3月にも、同様のセミナーを大阪でも開催予定です(3月13日@グランフロント大阪)。こちらもご興味ある方は、引続きベルックスさんのサイトの告知をご注目下さい。