20. 07 / 20

壇の家上棟

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sekimoto

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> 仕事
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横浜市「壇の家」が上棟。

設計は分かりやすい形に収斂すると、空間はつまらなくなることがある。たとえばアールトの建築は何度見てもよく分からない。平面は不整合だらけだ。立面はお世辞にも洗練しているとは言い難い。しかしその空間は魔性のような奥行きを獲得している。

「壇の家」ではそんな空間を作りたいと願って設計した。設計した本人が、こういう空間だったのかとはじめて見る空間に驚いた。たぶんそれは写真では伝わらない。今から肉付けされてゆく空間が楽しみだ。



20. 07 / 16

レイパユースト

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sekimoto

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> 北欧
> 生活



フィンランドで美味しかった記憶のあるもの(とても少ない)の一つがレイパユースト(Leipäjuusto)。直訳するとブレッド・チーズで、ゴムみたいな食感の焼いたチーズ。これだけ聞くととても美味しいとは思えないかもしれないけど、噛むとミルクのような味がしてとても美味しい。

現地ではベリーのジャムを乗せたりするのだけれど、フィンランド人の友人から、これを小さく切ってコーヒーに入れると美味しいのだと聞いて実践したら、これもすごく美味しかった。

先日食品売り場でこれにビジュアルがとてもよく似たものを見つけた。これはっ!と思って期待感たっぷりで買って帰ったものの全然違った。美味しかったけど、むしろチーズ鱈に近い感じ。

レイパユースト、国内で手に入らないでしょうか?でも既に記憶の中の食べ物で、食べたら何の感動もないという可能性あり。
私はすでにコンビニには財布を持って行かなくなっている。腕に巻いたApple Watchさえあれば全て決済できるからだ。従ってお昼は手ぶらでコンビニに行き、レジでピッとやって帰ってくる。

ところがだ。ところがである。

レジにお弁当を持っていくと次にはこう聞かれる。「Tポイントカードはお持ちでしょうか?」

持ってるけど、今はない。だって私は手ぶらだし。このわずか数ポイント獲得のためにカードを持ち歩くということがすでに煩わしいわけで。

「いや、ないです」と答えると、次にレシートを差し出される。私はここでも「あ、結構です」と答えざるを得ない。だって手ぶらだし、ポケットに丸めたレシートを突っ込むのも忍びない。そもそも全てアプリに記録が残るわけだし。

すると今度は、店員さんはお弁当を温めている間、お箸やプラスチックフォークや、お手拭きなどを用意し始める。しかし私はいつも持ち帰るので、こうした類は一切いらない。

だから私はここでも「あ、いらないです」とお断りを入れることになる。たまに断るタイミングを逃すと気まずくなって「まあいいか」となり、結果として使わない無駄なプラスチックフォークは家にどんどん溜まる一方となる。

とこのように、コンビニには(少なくとも私には)必要のないものが溢れている。Tポイントカードの提示が求められ、レシートを渡され、お箸やフォークやお手拭きまでもが用意される。至れり尽くせりではあるが、毎回そうした申し出を断るというのも面倒くさいというか、正直ストレスだ。

ところがだ。ところがである。

たびたび書いているように、私は手ぶらである。だからTポイントカードも持っていないし、レシートも受け取らない。そんな私に唯一必要なものは何か?それは「レジ袋」なのである!

そのレジ袋を毎回3円で買わなくてはいけないという矛盾。手ぶらでコンビニに行きたいのに、毎回エコバックを握りしめて行かなくてはいけないという矛盾。

ちがう、それじゃない。フォークじゃない。お箸でもお手拭きでもないのである。

昨晩はフィンランド在住時代からの古い友人であり、書籍『世界からコーヒーがなくなるまえに』の翻訳者でもあるセルボ貴子さんのオンラインセミナーに参加させて頂きました。

コーヒー豆が適正価格で取引されたり(フェアトレード)そこに関わる業界や労働環境が改善されることで、生産者の生活も保障され、過剰生産を抑えることができる。それが環境負荷を抑え、結果としてずっと安定して良質なコーヒーを生産し続ける(サステイナブル)ことが出来るという、そんな骨子の訳書の内容に触れた良いお話でした。

ご興味ある方は二回目以降もありますので、是非こちらをチェックしてみて下さい。

オンラインTAUKO|フィンランドから環境問題を考えよう
https://sustainablefinland-hokuotravel.peatix.com/


コーヒーは私も好きで毎朝豆を挽いて呑んでいますが、こうしたコーヒーのみならず、建築では製材(林業)の問題なども同じようにあります。安い輸入材に押されて国産材が衰退し、という問題は語られてすでに久しい状況です。

私は必ずしも輸入材が良くないという立場は取っていませんが、なにごとも生産者の顔が見えたり、「フェアに」取引されることが重要なのだと思います。

これは材料の問題だけではなく職人さんの問題もありますよね。こちらも高齢化や継承者問題でどんどん職人さんの数が少なくなっています。それこそ何十年後かには我々の設計を施工できる職人さんはいなくなってしまうんじゃないかという、リアルに『世界から職人がいなくなるまえに』という問題も起こりつつあります。

一方で我々は建て主さんの”金庫番”でもあるので、全体のコストコントロールにも骨を砕く必要があり、なんともバランスが難しいところですが…。


ところで近年良く聞かれる「サステイナブル(持続可能性)」という言葉について、皆さんどういう理解をお持ちでしょうか。

この言葉はもう20年以上前から建築の世界でも言われ続けていますが、若かりし当時、私は何のことだかさっぱりわかりませんでした。環境問題でよく出てくる「サステイナブル=エコ」みたいに言われることが、頭の中でうまく結びつかなかったからだと思います。

今ではなんとなく肌感覚で分かります。要は「無理をすると続かないよ」ということなんでしょうね。仕事でもそうですよね。職場環境が自分のリズムや感覚に合っていないと、ストレスが溜まって長続きしません。人間関係もそうですよね。

お金がすべてではないとはいえ、お金があまりにカツカツではやはり長続きしません。長続きの秘訣は、私は「自然体であること」なのだろうと思っています。私が北欧で学んだことをひとことで言えば、そのことに尽きます。

何事にも自然体であり続けることって難しいし、努力がいることなんですが、自分自身が自然体であり続けること、無理をしなくても(させなくても)生活してゆける環境をつくることが、サステイナブルな社会を作ってゆく第一歩なのだろうと今では思っています。

昨晩は貴子さんのそんなお話に耳を傾けながら、そんなフィンランドでの日々にも思いを馳せたのでした。

20. 07 / 03

戸建ての郊外化

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sekimoto

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> 仕事
> 思うこと



敷地調査のため鎌倉へ。例えば道すがらのこの感じ、ザ・鎌倉という風情にテンションが上がります。

緊急事態宣言下のGWに、都内で土地探し中とのことでご相談を頂きましたが、最後に「ちなみに鎌倉とかもアリですかね」とこぼされたことが現実になりました。

この週末には、やはり緊急事態宣言明けに小田原に土地を決めた建主さんとの設計打合せがはじまります。

テレワークが定着しはじめ、都内にしがみつく理由はもはやなくなってしまいました。戸建ての郊外化は、今後もっと拍車がかかることでしょう。総予算の過半を土地に持っていかれる理不尽とも、もうおさらばです。

問題は、事務所から現場がどんどん遠ざかってゆくことです汗