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sekimoto

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世の中にはさまざまなアワードがあって、それに応募することで受賞が決まる。この秋などはアワードの結果発表の季節でもあって、毎年この時期になるとSNSなどでも受賞報告の投稿などが溢れることになる。

毎年それを見るとすごいなあと感心し、来年は自分も応募してみようかなと思ったりもする。でもやっぱり私は応募しない。いつもこうしたコンテストの募集要項を見ると尻込みしてしまうためだ。

こうしたコンテストやアワードは、普通ではない、突出したアイデアやコンセプトを募るものが多い。いやほとんどそうだ。普通のものでも何でもいいならアワードは成立しない。だって受賞作にはやっぱり社会的インパクトが必要だし、そうした一種トガったコンセプトが社会を未来に導くとも言えるだろうから。建築ってそういうものだ、と言われればたしかにそうかもしれない。

けれど、私は自分の仕事がけして退屈で凡庸なものだとは思っていないけれど、これの一体どこがすごいんですか?と聞かれるといつも答えに窮してしまう。

もちろん、敷地に内在する特性やポテンシャルを読み解き、それを丁寧に掬い上げているという自負はあるし、依頼者の生活像を深く想像し、細部に至るまで考えを巡らした設計にしているという自覚もある。でもそれって普通でしょ、と言われたらその通りだ。それでいいと自分では思っているけれど、でもそれってアワード向きの考えじゃない。

住宅の設計とは、注意深く観察していないと見過ごしてしまうようなデリケートな微差を、どれだけ見つけられるかが勝負だと思っている。そこには誰にでもすぐにわかるような大きな違いは見いだせないに違いない。

そんなことを思い始めると、途端に気持ちが萎えてしまって、結局出せずじまいで終わってしまう。

これからはもっと積極的に社会に出していこうかなあ。
と書いてはみるけど、やっぱり自分の仕事は突出したものがないことが売りなんだろうとも思う。

観葉植物は床に置くと邪魔になるし、何より部屋が狭くなってしまいます。必然とハンギングに行き着くのですが、後から石膏ボードの天井にフックをつけるのは、跡も残るし天井下地の野縁を狙う必要もあって、一般の人にはなかなかハードルがあります。

と思っていたらこんなのがありました。Jフックセミトライアングル。天井に取り付けられるボードフックです。壁のボードフックはありましたが、天井用は画期的!早速取り付けてみました。

耐荷重が2.7kgとのことですが、写真の大きなネフロレピスが約2kgくらいなので、これより小ぶりのものなら余裕で下げられそうです。

外しても跡がほとんど目立たないので、クロス天井なら賃貸の方でも使えそうです。我が家も今後は天井にも植物がどんどん侵蝕しそう、、!


この夏、二人目のオープンデスクは千葉工業大学3年の大河原雄友くん。大河原くんは実は建築学科ではなく、いわゆる土木系の学科に所属している学生さん。それでも建築の設計をやってみたいと、うちのオープンデスクに応募してくれました。

ただ実家が千葉の木更津とのことで、さすがに遠すぎるということで最初はお断りしたのですが、松戸の友人宅に泊まって通うので!との熱意に負けて受け容れさせてもらいました。

土木系学科でも、住宅の設計課題などは経験したそうですが、いわゆる図面の描きかたのような初歩的な指導のみだったようで。「建築をつくるとはどういうことか?」というところに踏みこんだ指導ではなかったようです。

いつものように住宅の設計課題を出したのですが、持参したエスキース帳も一般的なスケッチブックだったため、私が愛用するエスキース帳を一冊渡して「一週間でこれを使い切るくらい描くこと!」と伝えたら、最終日には使い切ることはありませんでしたが、2/3以上はびっしりとエスキースで埋めてくれました。


私は学生にもスタッフにも区別なく厳しいので、さながら1000本ノックのような日々だったかと思いますが、毎日指導を重ねるごとにどんどん線がクリアになっていき、最後には実際に建てられるレベルの素晴らしいプランになりました。高い集中力と吸収力で、日々ぐんぐん実力が伸びていってなかなか教え甲斐がありました。

建築学科で学んでいないことを気にしているようでしたが、雄友くんもこの経験はきっと自信になったことと思います!一週間お疲れさまでした。来週以降は、千葉の建築を見て回るという、もうひとつの”宿題”も是非がんばって下さいね。
近著「すごい建築士になる!」の中で、「仕事はある時にはあって、ないときにはない」と書きました。

これは本当にその通りで、うちの事務所の場合は去年から今年の前半辺りまでは、閑古鳥が鳴きまくりの状態。事務所のキャッシュもどんどんなくなるし、この時間があったらどんどんプレゼンをして仕事を取りたいのに、こういう時に限って誰も頼んでくれないんですよね。

そんな時は、この仕事は取りたい!と思ってアプローチしてもことごとくスベったり、建て主さんの土地もなかなか決まらなかったり。本当に仕事というのは思い通りにならないものです。

ところが何かの拍子にそんな周期が底を打つと、今度はお断りしなくてはならないほどの仕事の波がやってきたりします。うちの事務所の場合は、今がそんな時期と言えそうです。もちろん調子に乗ると一寸先は闇ですので、謙虚に謙虚にいかないといけませんが…。

ただこういうことを書くと風評被害も発生したりもします。過去にも何度か痛い経験があって、「リオタデザインは忙しいらしい」「○年待ちらしい」という噂が立ちはじめると、相談にも至らずにスルーされてしまうことも何度かありました。そういうときに限って事務所は閑古鳥が鳴いていたりするんですよね。皮肉なものです。

今現在の状況は、今ご依頼頂くとお引渡しが約2年後くらいになるイメージです。設計の着手までには少しお待ち頂くかもしれません。ただうちの場合、順調に進めても1年半くらいはかかるので、長く住む家ですし、もうちょっとだけでもお待ち頂けたら、、ともおこがましくも思っちゃうのですが。

ここのところご相談の方にも、ご予算のこと以上にこのスケジュール感を確認することが多くなってきているので、この場でもそんなことに触れてみました。

ただうちはどんなに忙しくても一軒あたりにかける設計の時間は変えませんし、図面密度も仕事の流れも変わりません。設計品質は我々の生命線だと思っているからです。(だからお待たせしちゃうのですが、、すみません)

そんな我々の状況にもお付き合い頂ける寛大な方は、どうか引続きご相談下さいませ!よろしくお願いします。

この夏もオープンデスクの学生さんがやってきました。この夏のトップバッターは中央工学校2年の山脇銀史郎くんです!

銀史郎くんの中央工学校では、夏休みのオープンデスクを推奨しているそうで、学校に提出する受入れ証を発行してもらうために、オープンデスク前にも一度挨拶にやってきました。大きな声でハキハキ話す子でとても好感を持ちました。

年齢も私の息子と同じ歳!とうとうオープンデスクも息子世代になってきました。感慨深いです。

いつものように設計課題を出して一週間設計エスキースに励んでもらいましたが、銀史郎くんはとても手が早くて、その日に考えたことをすぐに図面に表現することが出来るという能力を持っていました。

これって四年制大学に通う学生でも(いやプロの設計士でも?)なかなかできないこと。これはセンス以外のなにものでもないと思います。

図面の詳細に目を凝らせば、もちろんツッコミどころはいろいろあるのですが、それらを指摘するとすぐに理解し、翌日にはそれをリカバーする案を考えてきたりと、こちらも指導しながら楽しかったことです。


研修中は進行中の現場にも何度か連れて行きました。

学校の設計課題もそうですが、設計だけでは絵に描いた餅のようなものです。現場でどうやって作っているのか、またリアルな空間の骨格を体験できたことで、事務所に戻ってからの設計エスキースも、それらをフィードバックしてより筆が走るようになったようです。

最後には恒例のスタッフへのプレゼン!銀史郎くんは断面図に細かい家具なども描き込んで、より生活のリアリティを追求してくれました。これも住宅を設計する上で、とても大切なことですね。

短かった5日間の研修ですが、多くのことを吸収してくれたようで、そのあと熱い思いのこもったメッセージを送ってくれました。どうもありがとう!

見学に行った現場が竣工した際には、是非実際の空間を見に来てくださいね。