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かつて2020年~2022年頃にかけて、建築業界を覆った流行語大賞に「ウッドショック」というのがあった。すでに懐かしい。はたして今は何ショックなのだろう?

「ウッドショック」というワードが流行ったときは、実際に木材調達に難があって上棟が数ヶ月遅れた案件もあった。また当時はウッドショックに端を発した物価高騰を受けて、建築業界もパニックになっていた。着工時の請負金額が、想定を越える資材高騰によって赤字になり悲鳴を上げている工務店もあった。

そのあたりから、工事を重ねる度にどんどん単価が右肩上がりで上がってゆくという現象が起こり、それは今もなお続いている。「ウッドショック」と呼ばれていた現象はとっくに沈静化し、むしろ木材の市場価格は少し下がったくらい。けれどもそれはなかなか工事金額の減少にはつながらず、ここに来てまた木材が値上がりをはじめたとの報道。

ウッドショックは去ったけれど、それ以外の設備機器や建材は今もなおじわじわと値上げが続いている。それに職人さんの労務費も上がっている。我々も毎回頭を抱えて見積調整をしながら、これまで通りの価格を工務店にお願いしているのだけれど、交渉も難しく、一方では元請け企業が下請けからの価格転嫁を認めないという問題が報じられたりして、我々がやっていることは一体正義なのか悪なのかわからなくなるときもある。


すでにコロナ前の2019年頃から比べると、この5年で工事費は3割は確実に上がったと思う。これは私の事務所だけの話ではなく業界全体の話。3,000万の家なら3,900万、、ちょっと尋常じゃない。飲食関係の方から聞いた話では、この半年だけで食材が2~3割も値上がりしたそう。どの業界も似たり寄ったりのようだ。

我々も建て主さんのご予算感に寄り沿い、がんばってローコストにやりたいと思いながらも、そもそもうちはいつも基本はローコスト住宅。先日着工した住宅はかなりがんばったコストで着工できたけど、毎回できるかと言われるとなかなか、、いろんな条件が噛み合わないと難しい。

このままいくと、この先の展開は以下の二通りしかないかもしれない。

・このまま値上がりが続いて誰も家を建てられなくなり、巡り巡って工務店もメーカーも(もちろん我々も)みんな干上がってしまうというパターン

・値上がりによって建て主さんの企業の業績が右肩上がりとなり、年収もそれに伴い爆上がりして、結果値上がり分を吸収できるようになるというパターン

どちらも荒唐無稽のように見えて、あながち間違ってもいないような気もする。でも後者のパターンに着地するには、まだ時間がかかりそう。そのまえに我々が干上がってしまわないことを祈るばかりだ。
■募集は終了しました。
ご応募下さった方、どうもありがとうございました!(240825)



うちの事務所には現在私以外に2名のスタッフがいますが、うち1名のベテランスタッフがこの9月以降より産休に入ることになりました。育休も合わせると約1年ちょっとの戦線離脱になります。正直(かなり)ピンチです!

しばらくは残ったスタッフと事務所を守っていこうと思っていますが、今後新規案件が続けば建て主さんにも迷惑をかけてしまうかもしれません。そこで、良い人がいればもう一人くらいスタッフを補充したいと考えています。


■募集対象

新卒、または中途採用

中途の場合は、建築(住宅)設計実務の経験がある方は優遇します。設計事務所からの転職ではなくとも、スキルや適性によって柔軟に検討します。現スタッフには、工務店からの転職者もいます。

ただし我々は言われたことだけをこなす人ではなく、自ら考え柔軟な発想と行動力で建築を考えられる人を求めています。詳細は後半部分にも記載がありますので、どうかこちらもお読みください!

■採用時期

折り合いの付くタイミングで随時入社頂きます。転職の場合は、現職との引継ぎ期間も考慮します。

■雇用条件(正社員)

○給与:
社内規定によります(休日手当・交通費支給あり)+賞与(年2回)
/お給料の目安として「なんとか一人暮らしができるくらい」と思ってください。スタッフにもアパートを借りている者や結婚している者もいます。大企業のお給料には及びませんが、実力に応じて昇給があります。

○保険等:
健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険
/この辺はちゃんとしてます。

○就業時間:
9:30~18:30
/定時に帰るスタッフはあまりいませんが、「なるべく21時前には帰ろう」が合言葉です。徹夜をすることはありません。ちゃんと時間内で計画的に仕事をするのが我々のスタイルです。

○休日:
土日祝・年末年始・夏季休暇ほか
/ただし住宅設計は土日に建て主との打合せが多く入ります。担当案件の場合は当該日は出勤になります。ただしその場合は休日出勤手当は付きます。

休日出勤の頻度は個人差がありますが、だいたい0~3日/月くらいです。

○試用期間:
最長3ヶ月間を試用期間とします(有給です)


【ぶっちゃけ、こういう人がほしい!】

まずは 「リオタデザインの住宅が好き」
その上で 「リオタデザインで働きたい!」

という方、これが大前提です。
それがリオタデザインの、ほかの事務所にはないチームワークにつながっているとも感じています。

ですので「設計事務所であればどこでも良い」人でしたら、もっと待遇の良いほかの事務所へのご応募を優先されたほうが良いと思います。

次に、「明るい人」

性格が明るければ、大概のことはなんとかなると思っています。人と話すのが好きな人、一緒にいて楽しくなる人、人を喜ばせるのが好きな人。そんな人を求めています。

設計とはひとえに人とのコミュニケーションです。住宅設計は一種の「サービス業」のようなものかもしれません。私や他のスタッフ、現場の人たちや建て主さんと日々コミュニケーションが取れる人。それを楽しいと思える人。そんな人は設計がうまくなります。なにより、事務所に欠かせない人材になります。

そして、「図面を描くのが好きな人」

当たり前ですが、設計事務所は図面を描くのが仕事です。その中でもリオタデザインはキッチリと図面を描く事務所です。

新卒の方なら実務図面の描きかたを知らないのは当たり前ですので、そこは一から教えますが、図面を描くのが好きでなければやっていけないと思います。
逆に我が事務所で作図を学んだ者はその後どこの事務所に行っても通用します。そのまま独立する者が多いのもリオタデザインの特徴のひとつです。若い頃に身につけた技術は一生の宝になると思います。

最近では【muni】と名付けたスツール販売などもはじめました。スタッフにも手伝ってもらっていますので、家具にも興味がある人ならなお楽しいかもしれませんね。


こちらは過去にスタッフの日常ネタ(#staff)を含んだブログです。事務所の日常を知る手がかりにしてみてください!
https://www.riotadesign.com/blog/sekimoto/staff

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■連絡・お問合せはメールでお願いします。皆さまからのご応募お待ちしています!
関本竜太|info@riotadesign.com まで

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昨日は、昨年群馬県桐生市に竣工した「織屋根の家」の1年点検がありました。

一年点検はお引渡し後おおむね1年後に工務店と共に訪問し、一年間生活してみての気づきや不具合をお聞きして、その対応を行うというもの。不具合を修繕する場合ももちろんありますが、生活の想定をこちらが色々考えて建て主さんのご意見を聞いて作った家でも、リアルの生活が始まってみないとわからないこともたくさんあります。

住宅の仕上げなどは、サン建設さんの優れた施工や我々なりに配慮したこともあって大きな不具合はありませんでしたが、スイッチや照明の取付位置など、実際に生活してみて感じたことなどフィードバックをもらうと、ナルホド!と思うことも多く、本当に勉強になります。

幸いにもこちらは軽微な内容で済み、ほっと一安心でした。


終了後は竣工1年のこのタイミングで、建て主さんがケータリングによるフレンチ料理を振る舞って下さいました。ご自宅にシェフをお呼びしての本格料理!


どれも本当に美味しくて、建て主Yさんのお心遣いに感激しました。スパークリングワインも美味しかった!!

また設計中はなかなかお話しできなかった設計以外のプライベートの話や、それぞれの仕事のことなども踏みこんでお話しできて、本当に楽しい時間でした。


最後に娘さんからお手紙も頂いてしまいました。私と担当スタッフの岩田に向けてのメッセージ。こういうサプライズは本当に嬉しいものです。

「おうちがひろいのとあかりがいっぱいあってすてーじみたいですてきです」

照明計画へのお褒めのお言葉ありがとうございます!

「あとでんきのすいっちがいっぱいあってどこがどこかわかりません」

こちらはわかりにくくてスミマセン!!
とってもかわいらしいクレームでした笑

Yさん、素敵な夜をありがとうございました。今後ともよろしくお願いします!

24. 07 / 24

停電とにわか雨

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あまりの猛暑に逆ギレしたような稲光と突然の激しいにわか雨。久しぶりに事務所も停電になりました。30分経っても復旧しないので、長いなあと思っていたらブレーカーが落ちていたようで、こちらを上げたら復活しました。

束の間の30分、ラジオの音もなく、パソコンの電源が落ちてしまったのでキーボードやマウスの音も聞こえない事務所は静寂に包まれました。悪くないです。携帯電話の灯りで仕事をするスタッフ。平行定規を使って手描きで図面を描いていた時代をふと思い出しました。



今日ははるばる奈良方面からいらしたKMEWご一行様をdropにご案内させて頂きました。

今回dropの外壁にはKMEWのLAP-WALLを、屋根にはグランネクストというスレート素材をはじめて採用させて頂きました。このdropでは、これまで板金外壁で蓄積したノウハウをスレート外壁にも投入して、スレート納まりの可能性を追求する、というのが裏テーマにもなっていました。

今日はそんな取り組みも、プロの皆さまにご覧頂いて感想なども頂くことができました。マニアックな意見交換、とても楽しかったです!



これは我々の内部造作にも共通するのですが、ひとつひとつは取るに足らない凡庸な納まりでも、それを徹底していくことで、全体を貫く緊張感や凜々しさのようなものは獲得できると日々思っています。

今回の外装では、具体的にはスレート端部とサッシュ廻りの納まりについて、特に注意深く納めています。



まず外壁コーナーは役物は使わず、突き付け納まりに。

スレート端部の切断角度は90度にはならないため、職人によっては極端に嫌がられる納まりだと聞いていましたが、現場で担当してくれた職人は「その方がきれいだから」と淡々と施工してくださいました。

板金もそうですが、出隅がノイズレスに納まると本当にきれいに見えます。「外壁はコーナーで決まる!」のは板金外壁ばかりではありません。




次に窓廻り。これも板金と同じで「意地でもコーキングは打たない!」が今回のテーマでした。

コーキングはいつかは切れます。板金外壁では「水は隙間から入るもの」という前提で、それを壁の裏側でどう逃がすかを考えます。逆に言えば、窓廻りの捨て板金を丁寧に施工をしてさえおけば漏水のリスクは限りなく低くなり、将来的にもコーキングに頼らない納まりが可能になるということです。

なんといってもきれい!窓廻りをここまでノイズレスに納めるためには、徹底した板金の技がこれを下支えしています。



屋根の端部もスレートは切りっぱなし。スレートは板金と異なり、端部に唐草がいりません。物性として小口から腐ることがないからです。

それなのに街中のスレート屋根には、端部にどうして板金がぐるぐる巻かれているのか私には理解出来ませんでした。スレート屋根端部から板金を剥ぎ取ると、潔くこの上なくシャープな屋根のラインがあらわれます。



今回の外装にあたっては、SOLIDOの開発に関わったKMEWの藤田新次さんや足立卓実さんといった、日本一スレートに詳しい方々から直接お話を伺うことで、スレートを巡る偏見や不安が払拭され、素材の可能性についても大いに学ばせて頂くことができました。本当にありがとうございました。

これからは板金外壁、吹付外壁とならんで、スレート外壁についても納まりやその素材表現について深掘りしていきたいと思っています。