[caption id="attachment_4506" align="alignnone" width="560" caption="ねぶたの家・ワラッセ"]
[/caption]
この連休は青森に行ってきました.青森には二つの行ってみたかった美術館があり,ひとつは十和田市現代美術館(設計:西沢立衛),もうひとつは青森県立美術館で,ちょうどこの県立美術館で「フィンランドのくらしとデザイン展」というフィンランドの展覧会が開催されていることもあり,これに引っかけて足を延ばすことにしました.
ただ旅行中は,青森はずっと雨.気温もぐっと下がってとにかく悪天候と寒さにやられました.それでも,最初に寄った十和田では,街にひらかれた豊かな美術館のあり方にも触れ,また県立美術館では,隣接する山内丸山遺跡との対応から決められた建物の配置や,小空間と大空間を散りばめたような構成など,その素材感も含めて好印象を持ちました.
また悪天候の中,弘前にも足を延ばしました.満開の桜を見るはずが実際には一足遅くてすでに葉桜.それでも品のある弘前城の佇まいや,周辺に点在する前川國男設計の市役所や博物館なども見れて充実した旅程でした.
目的だった建築とは別に,青森で見たねぶたの家・ワラッセで見たねぶたの文化や,実物のねぶたにも感動しました.また食べ物も何を食べてもおいしかったです.
青森の光景はのどかで空気は澄んでいました.郊外に出ると木の香りがして,どこかフィンランドや北欧の国を思わせるような風景でした.本場のねぶた祭りをはじめ,また来たくなる場所でした.
[caption id="attachment_4507" align="alignnone" width="560" caption="十和田市現代美術館"]
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[caption id="attachment_4520" align="alignnone" width="276" caption="青森県立美術館"]
毎年秋になると家族で旅行に出かける.一般的に旅のテーマといえば,海,山,グルメに温泉といろいろあるけれど,我が家の場合は必ずアートか建築が軸になる.素晴らしい作品や空間に触れると,おいしいものを食べた時と同じくらい心が満たされる.
もっとも,毎回それにつき合わされる子どもはどう思ってるかはわからないけれど.ただ物心ついた時からそういうところにばかり連れて行かれるし,最近では自分から美術館や博物館に行きたいと言い出すこともあるので,既に家族旅行とはそういうものだと思っているかもしれない.
今回は静岡の三島にあるクレマチスの丘まで足を延ばした.クレマチスの丘には,ヴァンジ彫刻庭園美術館やIZU PHOTO MUSEUMなどの美術館がクレマチスの咲く庭園と共に敷地内に点在している.
中でもイタリアの彫刻家,ジュリアーノ・ヴァンジの彫刻がならぶ庭園は美しく,また天気も良くて最高に気持ちが良かった.人も少なかったし,こうして屋外で彫刻を楽しめる場所というのは開放的で,やはり美術館の中よりずっと楽しめる.ヴァンジの表現力と,彫刻の表情が実に良くて,ついつい引き込まれてしまった.
ほかにも御殿場で立ち寄った,内藤廣さん設計による「とらやカフェ」や「とらや工房」も素晴らしかった.全体の構成は素っ気ないくらいシンプルに,でも寄って見ていくとため息が出るくらい細やかな配慮が行き届いていて,内藤さんらしい建築だった.
内藤さんの建築には一言でいえば品がある.人としての品性は建築ににじみ出るものだとあらためて感じた.
最近思うことは,建築単体ではなく,建築と環境がいかに引き立てあえる関係をつくれるかということ.特にとらや工房は,そういう意味において”反則”と思うくらいその佇まいや環境が素晴らしかった.逆に言うと,その環境づくりをするのが建築家の仕事なのかもしれない.内藤さんの仕事と,クレマチスの丘で見た建築群と庭園との関係にもそれを感じ取ることができた.
番外編では,とらや工房の敷地内に建つ旧岸邸(設計・吉田五十八)も見学できたり,退屈気味だった子どもとは東山湖で釣りをしたりと盛りだくさんの旅だった.ちなみに冒頭の写真はヴァンジ庭園で叱られ,ふてくされて佇む息子.その表情と手前の彫刻との対比がなかなかいい.
[caption id="attachment_2819" align="alignnone" width="418" caption="ヴァンジ彫刻庭園美術館|クレマチスの丘"]
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[caption id="attachment_2813" align="alignnone" width="418" caption="壁をよじ登る男|ジュリアーノ・ヴァンジ"]
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[caption id="attachment_2806" align="alignnone" width="418" caption="とらや工房|設計:内藤廣"]
[/caption]
[caption id="attachment_2814" align="alignnone" width="560" caption="IZU PHOTO MUSEUM|内装・庭:杉本博司"]
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[caption id="attachment_2815" align="alignnone" width="560" caption="旧岸信介別邸|設計:吉田五十八"]
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毎年,海の日に海へ行く.
昔は波を怖がっていた子どもも,今では海に行くのを楽しみにするようになった.
もっとも,泳ぐ方よりも岩場でカニや生き物を探す方が楽しみのようだけれど.
大人になってからしばらく海からは遠ざかっていた.
子どもの頃,学生の頃,夏と言えばやっぱり海だった.
海は夏の象徴だと思う.赤く焼けた肌をさすりながら.
連休後半の5/3~5は,金沢に旅行に行ってきました.
金沢にはプリツカー賞を受賞した妹島和世さんらSANAA設計による21世紀美術館があったり,フィンランド時代からの友人もいたりと,金沢はいつかは行ってみたい街でした.
友人によると金沢の街のスケールはヘルシンキの街に近いそうで,大きさも人口も同じくらいだとか.実際歩いてどこにでも行けるスケールは心地よく,住宅や建物にも美しい意匠があちこちに施され,気品のある街という印象を持ちました.特に茶屋街や武家屋敷街の景観やちょっとした塀などの凝った細工や仕事には,我々建築家など足下にも及ばない繊細で思慮深いディテールの数々を見つけることができました.
現地の友人はフィンランド留学後,イタリア滞在を経て,現在は金沢でご夫婦で改修設計を専門とする建築設計+造園事務所(橋本建築造園設計)を営んでらっしゃいます.実際にご夫婦揃ってお会いするのは本当にひさしぶりで,改修を手がけられた居酒屋でのお酒も美味しく,楽しい時間を過ごさせて頂きました.お休みのところ,ご案内ありがとうございました!
お目当ての21世紀美術館も期待以上に良かったです.正面をつくらない円形プランも行ってみると納得でしたし,順路を作らない自由な展示空間というのも,これまでどうしてなかったのだろうと思うくらい自然でアートを楽しむことができました.
まだまだここには書き切れませんが,このGWは近場は大渋滞だったようで,思い切って北陸まで飛んでしまったのは正解だったかもしれません.ただ昨日はかなり疲れ果てて帰ってきました.今日の仕事は少しスロー気味にいきたいと思います….

この連休は青森に行ってきました.青森には二つの行ってみたかった美術館があり,ひとつは十和田市現代美術館(設計:西沢立衛),もうひとつは青森県立美術館で,ちょうどこの県立美術館で「フィンランドのくらしとデザイン展」というフィンランドの展覧会が開催されていることもあり,これに引っかけて足を延ばすことにしました.
ただ旅行中は,青森はずっと雨.気温もぐっと下がってとにかく悪天候と寒さにやられました.それでも,最初に寄った十和田では,街にひらかれた豊かな美術館のあり方にも触れ,また県立美術館では,隣接する山内丸山遺跡との対応から決められた建物の配置や,小空間と大空間を散りばめたような構成など,その素材感も含めて好印象を持ちました.
また悪天候の中,弘前にも足を延ばしました.満開の桜を見るはずが実際には一足遅くてすでに葉桜.それでも品のある弘前城の佇まいや,周辺に点在する前川國男設計の市役所や博物館なども見れて充実した旅程でした.
目的だった建築とは別に,青森で見たねぶたの家・ワラッセで見たねぶたの文化や,実物のねぶたにも感動しました.また食べ物も何を食べてもおいしかったです.
青森の光景はのどかで空気は澄んでいました.郊外に出ると木の香りがして,どこかフィンランドや北欧の国を思わせるような風景でした.本場のねぶた祭りをはじめ,また来たくなる場所でした.
[caption id="attachment_4507" align="alignnone" width="560" caption="十和田市現代美術館"]



[caption id="attachment_4520" align="alignnone" width="276" caption="青森県立美術館"]

毎年秋になると家族で旅行に出かける.一般的に旅のテーマといえば,海,山,グルメに温泉といろいろあるけれど,我が家の場合は必ずアートか建築が軸になる.素晴らしい作品や空間に触れると,おいしいものを食べた時と同じくらい心が満たされる.
もっとも,毎回それにつき合わされる子どもはどう思ってるかはわからないけれど.ただ物心ついた時からそういうところにばかり連れて行かれるし,最近では自分から美術館や博物館に行きたいと言い出すこともあるので,既に家族旅行とはそういうものだと思っているかもしれない.
今回は静岡の三島にあるクレマチスの丘まで足を延ばした.クレマチスの丘には,ヴァンジ彫刻庭園美術館やIZU PHOTO MUSEUMなどの美術館がクレマチスの咲く庭園と共に敷地内に点在している.
中でもイタリアの彫刻家,ジュリアーノ・ヴァンジの彫刻がならぶ庭園は美しく,また天気も良くて最高に気持ちが良かった.人も少なかったし,こうして屋外で彫刻を楽しめる場所というのは開放的で,やはり美術館の中よりずっと楽しめる.ヴァンジの表現力と,彫刻の表情が実に良くて,ついつい引き込まれてしまった.
ほかにも御殿場で立ち寄った,内藤廣さん設計による「とらやカフェ」や「とらや工房」も素晴らしかった.全体の構成は素っ気ないくらいシンプルに,でも寄って見ていくとため息が出るくらい細やかな配慮が行き届いていて,内藤さんらしい建築だった.
内藤さんの建築には一言でいえば品がある.人としての品性は建築ににじみ出るものだとあらためて感じた.
最近思うことは,建築単体ではなく,建築と環境がいかに引き立てあえる関係をつくれるかということ.特にとらや工房は,そういう意味において”反則”と思うくらいその佇まいや環境が素晴らしかった.逆に言うと,その環境づくりをするのが建築家の仕事なのかもしれない.内藤さんの仕事と,クレマチスの丘で見た建築群と庭園との関係にもそれを感じ取ることができた.
番外編では,とらや工房の敷地内に建つ旧岸邸(設計・吉田五十八)も見学できたり,退屈気味だった子どもとは東山湖で釣りをしたりと盛りだくさんの旅だった.ちなみに冒頭の写真はヴァンジ庭園で叱られ,ふてくされて佇む息子.その表情と手前の彫刻との対比がなかなかいい.
[caption id="attachment_2819" align="alignnone" width="418" caption="ヴァンジ彫刻庭園美術館|クレマチスの丘"]

[caption id="attachment_2813" align="alignnone" width="418" caption="壁をよじ登る男|ジュリアーノ・ヴァンジ"]

[caption id="attachment_2806" align="alignnone" width="418" caption="とらや工房|設計:内藤廣"]

[caption id="attachment_2814" align="alignnone" width="560" caption="IZU PHOTO MUSEUM|内装・庭:杉本博司"]

[caption id="attachment_2815" align="alignnone" width="560" caption="旧岸信介別邸|設計:吉田五十八"]


毎年,海の日に海へ行く.
昔は波を怖がっていた子どもも,今では海に行くのを楽しみにするようになった.
もっとも,泳ぐ方よりも岩場でカニや生き物を探す方が楽しみのようだけれど.
大人になってからしばらく海からは遠ざかっていた.
子どもの頃,学生の頃,夏と言えばやっぱり海だった.
海は夏の象徴だと思う.赤く焼けた肌をさすりながら.


連休後半の5/3~5は,金沢に旅行に行ってきました.
金沢にはプリツカー賞を受賞した妹島和世さんらSANAA設計による21世紀美術館があったり,フィンランド時代からの友人もいたりと,金沢はいつかは行ってみたい街でした.
友人によると金沢の街のスケールはヘルシンキの街に近いそうで,大きさも人口も同じくらいだとか.実際歩いてどこにでも行けるスケールは心地よく,住宅や建物にも美しい意匠があちこちに施され,気品のある街という印象を持ちました.特に茶屋街や武家屋敷街の景観やちょっとした塀などの凝った細工や仕事には,我々建築家など足下にも及ばない繊細で思慮深いディテールの数々を見つけることができました.
現地の友人はフィンランド留学後,イタリア滞在を経て,現在は金沢でご夫婦で改修設計を専門とする建築設計+造園事務所(橋本建築造園設計)を営んでらっしゃいます.実際にご夫婦揃ってお会いするのは本当にひさしぶりで,改修を手がけられた居酒屋でのお酒も美味しく,楽しい時間を過ごさせて頂きました.お休みのところ,ご案内ありがとうございました!
お目当ての21世紀美術館も期待以上に良かったです.正面をつくらない円形プランも行ってみると納得でしたし,順路を作らない自由な展示空間というのも,これまでどうしてなかったのだろうと思うくらい自然でアートを楽しむことができました.
まだまだここには書き切れませんが,このGWは近場は大渋滞だったようで,思い切って北陸まで飛んでしまったのは正解だったかもしれません.ただ昨日はかなり疲れ果てて帰ってきました.今日の仕事は少しスロー気味にいきたいと思います….





