17. 08 / 12

Helsinki_Day4

author
sekimoto

category
> 北欧
> 旅行



ヘルシンキ最終日はスオメンリンナへと渡りました。スオメンリンナは、18~20世紀にかけての軍事要塞で、ヘルシンキからフェリーで15分くらいの所にある孤島です。島全体が要塞化されており、スウェーデンからロシア統治時代を経て、最終的にフィンランド領となるまで幾多の戦争の舞台となってきました。

今ではユネスコ世界遺産にも指定されており、人気の観光スポットになっています。今回は息子を連れてきていることもあり、最後はこんな島に渡ってピクニック気分も良いかなと思ったのですが、この日はヘルシンキは快晴だったものの、なぜか島には濃い霧がかかっていました。



でもこの濃霧がかえって島の雰囲気を演出し、なんだか中世の町に迷い込んでしまったかのようです。随所に歴史の重みを感じます。

この島に来るのは私は二度目ですが、今回は扉のデザインが気になり、扉ばかりを撮ってしまいました。




再度ヘルシンキに戻ってきて、最後はわずかばかりの買い物タイム。

はじめて北欧にいらっしゃる方であれば、イッタラやマリメッコをハシゴするのでしょうが、我々が行くのはアンティークショップです。ヘルシンキのアンティーク(ビンテージ)巡りは本当に楽しいのです。




今回は残念ながら、あまり掘り出し物を見つけることはできませんでした。そして既に我々の体力も限界が近づいてきました。

今回もあっという間のフィンランド滞在でした。あと1日あれば!とは毎回最後に思うことですが、今回は私の仕事の都合や子供の予定、奥さんの予定なども調整しての、ここしかない!という5日間でもありました。

子供も大きくなり、家族もそれぞれに忙しくなってしまうと、家族揃って海外に行くなど、もうそうそうないような気がします。それだからこそ、無理に時間を作ってでも、また痛い出費を覚悟してでも、今回は家族と行くことにこだわりました。

さて次に行けるのはいつになるでしょうか。
さようならヘルシンキ!

17. 08 / 11

Villa Mairea_Day3

author
sekimoto

category
> 北欧
> 旅行



マイレア邸へと足を延ばしました。ヘルシンキからかれこれ片道4時間。マイレア邸はアールトにとって最高傑作と言われる住宅です。竣工は1939年ですから、すでに築80年近くが経過しています。アールト41歳の作品です。

この住宅に足を運ぶのは、もう5〜6回目くらいになるかもしれません。今回来たのは約15年ぶりになります。以前よりも制限が厳しくなり、内部の撮影ができなくなってしまいましたので、ここに載せるのも外観のみとなりますが、本当に素晴らしく何度訪れてもその感動が薄れることはありません。


今回内部ツアーに参加し、あらためて説明を聞きながらディテールを仔細に眺めると、本当に途方もないことをやっています。とても80年前の住宅とは思えません。

この住宅への思いも語りたいところですが、旅先のため時間がありません。以下に載せる写真から察してください。間違いなく、ここは住宅設計者にとっては聖地であり、死ぬまでに必ず訪れて欲しい場所です。今回も本当に来て良かったと思います。





17. 08 / 10

Helsinki_Day2

author
sekimoto

category
> 北欧
> 旅行



ヘルシンキの旅が続きます。

今回はある意味私の原点を辿る旅になっています。この日は私がフィンランドに行くきっかけともなったミュールマキ教会(設計:ユハ・レイヴィスカ)からはじまり、かつて何度となく通ったアールトの建築を見て歩きました。


レイヴィスカの空間には、やはり今回も言葉になりませんでした。私の建築への思いがすべてここに詰まっています。もうここに来るのは何度目でしょうか。

同じ建築に何度も足を運ぶというのは、名作の文学を何度も読み返すのと同じ効果があるように思います。初心に還るとはこういうことなんですね。

来て本当に良かった。そして当時これを見てフィンランドに渡ったのは間違いではなかったと、あらためて確信しました。




そしてアールト自邸。

ここも約15年ぶりの来訪です。あれから私は独立し、いくつもの住宅を作ってきました。そうした経験を経てこの住宅を見ると多くの発見があり、アールトの奥深さを感じ、また共感もありました。

この住宅を経て、アールトはモダニストからヒューマニストへと変貌してゆきます。このヘルシンキの自邸は、この数年後のマイレア邸へとつながる極めて重要な住宅です。

そしてこの頃のアールトに非常に重要な役割を果たしたのは、日本文化であると私は思っています。実際にそうしたアイコンがこの住宅にもいくつも見ることができました。この話はまたの機会に。



アールトスタジオ。アールトは先の自邸兼スタジオを建てた約20年後に、自宅の近くに独立した事務所を建てます。

この建物をどう評価して良いのか、昔はわかりませんでした。でもここは今回私の中で大きく評価が変わりました。

例えていうと、この建物はアールトの得意とする油絵の抽象画のようです。ひと目ではその正体を掴ませない。アールトって本当に何者なんだろう。今でも理解しきれていませんが、少しずつその理解が深まっていることはわかります。

また数年後に来てみたい。アールトは建築家の年齢と共に理解が深まってゆく建築なんですね。

この日はその後エスポー在住の遠藤悦郎さんとも合流。いろんなレア&コアなアールトスポットにも連れて行ってもらいました。悦郎さん、いつもながらにありがとうございます!


そしてこの日の最後には、ヘルシンキのアテネウム美術館で開催中のアルヴァー・アールト展へと足を延ばしました。

実は今回ヘルシンキ旅行を決めたのは、どうしてもこの展覧会が見たかったからなんです。

本当に素晴らしい展覧会でした。アールト財団、アルテック、そしてアテネウム美術館が本気を出すとこんなものが見られるのかと、心底感動しました。滞在中もう一度行ってもいいくらいです。


これまでアールトの建築展とか、家具だけというのは随分ありました。正直私はもうお腹いっぱいで、もういいやと思ってしまいます。

でも今回は違います。建築はアールトの一部に過ぎないのだということ。でもその一部である建築の見せ方もすごい。

ここにあるのは全て本物なんです。アールトの原図や直筆スケッチはもちろん、世の中に出回っている全てのコピーのオリジナルがここにあります。これは本当にすごいことなんです。

そしてあんな映像やこんな仕掛けまで。私は終始興奮が止まらず、ずっと鳥肌が立っていました。本当に来て良かったです。


さて明日はクライマックス。
聖地巡礼の旅は続きます。

17. 08 / 09

Helsinki_Day1

author
sekimoto

category
> 北欧
> 旅行



北欧は冬に限る、なんてたまにツウぶって言う人がいます。スミマセン私もたまに言いますが、そんなわけないじゃないですか。北欧に行くなら夏に限ります。夏に行けなかった時は前述の発言になりますが、それはいわゆる負け惜しみってやつです。

ヘルシンキにいます。少し夏休みを早めに頂いて、家族とフィンランドに来ています。私と奥さんにとってはかつて暮らしていたので、里帰りに近い感覚かもしれません。そのくらい、我々にとってフィンランドは特別な国で、ここに来ると「ただいま!」といつも心の中で思います。今では息子もフィンランドが大好きになりました。しめしめと思っています。

幸い去年にも訪れたのですが、まだ3月の寒さが残る時期でしたので、夏はまったく景色が違います。着いた途端、奥さんが「フィンランドの匂いだ」と言いました。私もそう思います。我々にとって思い出のいっぱい詰まったヘルシンキの匂いは、まさにこの季節のこの匂いなんです。


気温は20度。天気は晴れ。日頃の行いが良かったのだと思うことにします。世に言う、世界で一番快適な夏がここにあります。日本のみなさんごめんなさい。でも言わせてください。天国はここにあります。

夏はこちらは白夜ですから夜遅くまで明るい日々が続きます。旅行者にとってはとてもありがたい季節です。ただもう8月ですから、だいぶ日が短くなって、夜8時を過ぎると少し日が陰ってきます。

この日はホテルに着いて少し休んでから街に出ました。市内のARTEK(アルテック)には日本人のスタッフがいて、日下部さんというのですが、いつもとてもお世話になっています。この日もまずはお店に立ち寄りご挨拶。



思えばアルテックってすごいなと思うのですが、アルテックは建築家アルヴァーアールトらが設立したアールトのデザインした家具や照明器具などを中心に製造販売し、今もなお世界中にそのライフスタイルを発信している会社です。

すごく下世話に例えるなら、アールト財団がアールトの権利を守る芸能事務所なら、アルテックはアールト商品を販売する建築家直営ショップみたいなものです。

それが、そのアールトの死後40年近く経っているのに、いまだそのブランド力が衰えていないというのはすごいことです。

アールト財団やアルテックは、アールトのブランド力とイメージを守るために、今なお様々な活動を行っており、そう考えるとアールトってフィンランドの人たちに心底愛されている建築家なんだなあとしみじみ思います。


さてこの日は、去年はまだ工事中で入れなかったLoyly(ロウリュ)という公衆サウナへ行ってきました。Loylyを設計したのは留学時代の友人でVille Haraらの主宰するAvanto Architects。留学時代は一緒に動物園の物見の塔などを作ったりしました。

Loyly http://www.loylyhelsinki.fi



ここは今すごい人気スポットになっていて、今回友人のアドバイスもあって事前に予約していったのですが、当日来て入れなかった人を何人も見ましたので正解でした。もしいらっしゃる方は、是非事前の予約をお勧めします(サイト上でできます)

中には普通のサウナとスモークサウナの2種類があり、両方を楽しめます。Loylyのサウナは正統派かどうかというのは国内でも意見が分かれるようですが、伝統的サウナを巧みに現代的解釈の上で成立させていて、Villeらしい木を使った切れ味のあるデザインも特徴の一つになっています。

個人的に、息子にこのフィンランド式サウナを経験させてあげられたのはとても良かったです。スモークサウナはもちろん、サウナのあと海にドボン!というのも、こんなことフィンランドでなかったらできないですからね。

あと、息子なりに飛行機の中で客室乗務員に英語で受け答えをしたり、活きた英語を体験してくれています。やっぱり英語は「通じた」って思える瞬間が一番楽しいと思うのです。この夏に英語も好きになって欲しいな。


時差ぼけで目が覚めてしまい、朝からこんなブログを書いています。
今日は一日市内のアールト巡りです。

author
sekimoto

category
> staff
> 旅行



何年かに一度の社員旅行に出かけていました。行き先は福島のホテリ・アアルト、建築家の益子義弘先生が設計されたホテルです。

ホテリ・アアルトwww.hotelliaalto.com

今回の目的は、山口くんの卒業やスタッフとの親睦ももちろんあったのですが、一番の目的は、建築におけるホスピタリティとはなんだろう?という問題を、みんなと共有し、それぞれが考えてもらいたかったということがありました。


ホスピタリティとは、日本的にわかりやすく言えば「おもてなし」ということになるでしょうか。我々は日々住宅設計においてクライアントと向き合っていますが、クライアントにただヒアリングして、それを叶えればそれで良いかと言われれば、私はそうではないと思っています。

レストランで頼んだものが出てくれば誰も文句を言う人はいません。一夜を過ごすベッドさえあれば宿泊の目的は達せられるでしょう。ファミレスや、ユースホステルならそれで十分だと思います。

ところが我々の仕事はそれではだめなのです。クライアントが言葉にしない潜在的な欲求にこそ本質がある。それを掘り起こすのがホスピタリティであり、そこにこそ我々は応えなくてはならないのです。



若い頃はお金がなく、旅行はいつでも貧乏旅行です。うちのスタッフも例外ではないでしょう。しかし素泊まりに近い安いホテルしか知らない者が、どうして最高のホスピタリティある空間を作ることができるでしょうか。

今回益子先生のお取り計らいもあり、オーナーやホテルスタッフの皆様に宿泊以外の部屋や、まだ非公開のロッジなども見学させて頂くことができました。



巷の名の通った外資系ホテルなどでは最高のサービスを提供しています。ホテリ・アアルトのサービスももちろん申し分ありませんが、この両者の質には少し違いがあるような気がしました。

ホテリ・アアルトにある空気はどこまでもパーソナルで、住宅のような温かみがあるのです。至れり尽くせりなのに鬱陶しくない。困ったときにすっと現れて、またすっといなくなってしまうような、そんな絶妙な間や距離感があるのです。



そばに居るわけではないのに、ずっと自分に寄り添ってくれているような安心感。

「私はあなたのことを大切に想っていますよ」というメッセージのひとつひとつを受け取るたびに、宿泊者はとても満たされた気持ちになります。

宿泊者が、そんなメッセージのひとつひとつを宝探しのように探すような、そんな宿泊体験でした。



建築のホスピタリティとは、いわば親の愛情みたいなものなのかもしれません。

押しつければ拒まれる。目を離せば問題を起こす。自由な振る舞いを許しながらも、ずっと後ろからハラハラと見守り続けるというのは、本当に世話が焼けるのですが、それができるのは無償の愛がそこにあるからなのかもしれませんね。

ホテリ・アアルトはオーナーが益子先生に惚れ込んで設計をお願いされたそうです。そんな相思相愛の関係を空間の至る所に見ることができました。幸せな建築ですね。

スタッフの皆さん、おつかれさまでした。
また益子先生、今回の旅行へのご協力とお心遣いに心より感謝申し上げます。