18. 08 / 29

千本ノック



夏のオープンデスクは設計エスキース千本ノック。学生こそ1日で設計案をまとめるトレーニングが必要です。彼女はまだ2年生。こりゃ後期は伸びるな。

後ろからこっそり覗くと、手元には見慣れた本が。私の「おもてなし住宅のつくり方」それどうしたの?と聞くと、オープンデスクに来る前に買ってきましたことのこと。偉い!実務者向けの内容なので学生にはどうかと思いきや「寸法がたくさん書いてあるので勉強になります」とのこと。

拙著が学生にも役立っている場面をはじめて見ました。嬉しい!お礼にサインしてあげました。でももしかして、それはいらなかった?



毎年夏にオープンデスクの学生がやってきます。私が教える日大ではなく、なぜか最近では他大学、とくに地方大学の学生が多いのはなぜなんでしょう(去年は長岡造形大学から来ました)。今年は山形の東北芸術工科大学(略して芸工大)から2年生の子がやってきました。長利(おさり)咲代子さんといいます。

芸工大といえば、スタッフ砂庭さんの母校でもあります。しかも郷里も同じ青森という。

オープンデスクも今日が初日。挨拶代わりに、学校の課題などをいくつか見せてもらいましたが、とても優秀な学生のようで、とても2年生とは思えないレベルの作品に感心させられました。彼女の資質もあるのでしょうが、芸工大の教育は地に足が付いていて、私が留学したアールト大学の建築教育にもつながるものがあるような気がしています。


こちらは学内の即日設計コンペで、2~3年生の先輩を差し置いて1年生で最優秀賞を取った作品とのこと。


スタッフ砂庭の例もあり、もはや「芸工大=優秀」というフィルターが私の中で作られつつあります。がんばれ日大!そういえば「路地の家」の建て主さん(グラフィックデザイナー)も、芸工大出身のスタッフは圧倒的に優秀だとおっしゃっていましたっけ。

来週いっぱいまでうちで研修してもらいます。期間中の現場や打合せにも同伴/同席させて頂きますので、関係者の皆さま、どうかよろしくお願い致します。

今日スタッフと話していて、スタッフを雇うのは何のため?という話になった。設計事務所の主宰者の中には、スタッフは雇わず一人で仕事をしているという人も多い。私の身の回りでも半分くらいはそういう人ではないかと思う。

一般的には、人を動かすより自分一人でやったほうが判断が早いし、人件費もかからず気楽なのではないかという意見がある。これは確かにそうで、私もある意味同意するし、同じ理由で「だから人は雇わない」という方も多いのではないかと思う。


では逆について考えてみよう。実際リオタデザインではスタッフを常時2~3名ほど抱えている。それは何のためだろう?

ひとつは、言うまでもなくたくさんの仕事を同時にこなすためである。一人ではできないことも、複数人集まれば仕事を手分けすることができる。

しかし、私の中でスタッフを雇って仕事をする理由はそれだけではない。最初はそう思っていたけれど、それより大きな効果があることに気づいたのだ。それは「仕事のクオリティを上げたいから」である。

自分のキャパシティを越えない一定数のスタッフは、確実に仕事の質を高めてくれる。これはもう10年以上もスタッフと共に仕事をしてきて、つくづく思うことである。その効果を一言でいうならば、「自らの仕事を客観視できる」ことであろう。


例えば「自分はこう思う」ということをスタッフに投げたとする。優秀なスタッフはそれを忠実にトレースして返してくれる。しかし、その頃には自分の中で「それはちょっと違うな」という具合に変化していることも良くある。

スタッフとしては理不尽だろう。言われた通りにやったのに「違う」と言われてしまうのだから。私もスタッフ時代はいつもそう思っていた。でもそれは仕方がないのだ。所長はそう言いたいがためにスタッフを雇っているとも言えるのだから。

よく人の悩みにはアドバイスできるのに、自分がその渦中に嵌まると抜け出せなくなるということがある。部下の立場であれば、悩みは上司に相談すれば良いだろうが、さて上司は誰に相談すれば良いのだろう?

それを私はスタッフに自己投影し、スタッフを自分と同一化させた上で自分自身を批評するような、そういう状態を作って打破しているような気がする。


またこうも言える。作業が伴わない設計(俗に言う、口で設計するという状態)の場合、良く言えば常識や慣習にとらわれず、あらゆる角度から自由に発言することができる(悪く言えば、単なるわがままとも言える)。だから、図面で違和感を感じると「キッチンの位置おかしくない?」「こんな壁取っちゃえば!」「窓小さすぎじゃない?」など好き勝手に放言できる。

スタッフとしたらたまったものではないだろう。(それ言ったの自分じゃん!)ってきっと心の中で思っているだろうが、私は何も気づかない振りをして、ただひたすらに良い仕事に着地させることだけを考える。

きっと自分で図面を描いていたら、「これやり直すの大変だな」とか「面倒くさいな」という気持ちがどこかにもたげるような気がする。

また、自分で描いた図面の間違いは意外と自分では気がつかないものだ。それが他人の図面だと、間違いがハイライトで点滅しているかのごとくよく見える。これはどうしたことだろう?これによって、九死に一生を得るような危険回避をしたケースは過去枚挙にいとまがない。

こんなことを書くと、いかにも私は事務所内でいつもひどい振る舞いをしているかのようであるが(いわゆるパワハラ?)、私は否定も肯定もしないでおく。詳しくはスタッフに聞いて欲しい。しかしこれだけは言える。もはや私はスタッフなしでは仕事はできない。そのくらい、私は彼らを頼りにしているのだ。


今日は何組かの方々に軽井沢の住宅(蛍沢の家)をご案内しました。すでにご入居後の住宅のため、内覧会というよりごく親しい方数名にお声がけして見て頂き、ご意見を頂く機会とさせて頂きました。

お越しくださった皆様、遠いところをありがとうございました。またご協力くださいました建て主のHさんにも、心より御礼申し上げます。

中でもタニタハウジングウェアの谷田さんは、期待を裏切らず今日も自転車!さすがです。西川さん、佐藤+布施さん、ゆっくりお話しできて楽しかったです。

スタッフとは前日入りして、久しぶりの慰安旅行と兼ねさせてもらいました。ともあれ、絶好の天気で気持ちの良い一日でした!



この季節限定、中庭でスタッフとお昼ごはん。
コンビニのお弁当がこんなにも美味しいとは!

しばし仕事を忘れて、会話がはずみます。

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