先週末は、元スタッフ柴秋路くんのリノベーションを見せて頂きました。

すでに独自の建築観を持って活動している彼に、もはやリオタデザインの影を見ることはありませんが、これは真似されるよりもずっと嬉しいことだとしみじみ思います。

一方の図面を覗き見ると、これがまた実にえげつない!これが彼の仕事を支える礎となっていると思うと、感慨深いものがありました。




夏休み二人目のオープンデスクは、芝浦工大3年の中島桃さん。

行ったことはないけれど、北欧にすごく興味があるということで、「北欧、オープンデスク」のキーワードで検索したらリオタデザインがヒットしたのだとか。そんな検索でヒットすること自体がびっくりですが、こんな子もはじめて。

いつものように設計課題に向き合ってもらう一方で、ちょっとした建築見学も。夏休みはどこにも行けなかったそうなのでかなり嬉しかったようです。元オープンデスクの学生も合流して、束の間の楽しいひとときでした。

これはオープンデスクに思うことですが、学生に実務を教えることには意味はないと思いますが、実務の現場にしかない建築の真実というものはあるような気がします。この学生さんも、大学ではけして言われることのなかったことばかりを指摘されてずいぶん戸惑っていましたが、最後は生活感の見えるプランを描き上げてくれました。

建築を考える上で一番大切なことは、ハートで考えることです。それは本には書かれてはいないのです。ルールに従うのではなく、自分の気持ちに正直に従うことが、正しい決断と自身の幸せにつながる。私はそれをフィンランドで学んだのですが、たぶん最後に話したそんなことが彼女には一番深く響いたような気がします。




今日はスタッフを連れて、”大人の社会科見学”のため北本へ。創業115年を数え、県内の木材企業さんの中でも老舗企業のひとつでもある木村木材工業さんの加工工場を案内して頂きました。

これまでもプレカット工場など、実際に木を加工している工場には、スタッフを連れてたびたび見学にお邪魔してきました。我々は図面に描きさえすれば、それを現場や工場の人が忠実に作りあげてくれます。

ただこの習慣がついてしまうと、なんでもAIのように人が簡単に作ってくれるのだと勘違いしてしまうかもしれません。しかし何事も、ちゃんと”中のヒト”がいるんです。それを知って欲しいと思います。

ここ最近我々の事務所では、仕上げに使う羽目板などはカタログではなく、木材企業さんなどに直接お願いしてミリ単位で自分たちの好みの形状を作ってもらっています。今後もそのような取り組みを続けてゆくためにも、いったいどんな機械で加工しているのか見てみたいと思っていました。

木村木材工業さん、今回は我々のわがままを聞き入れてくださりありがとうございました!



木村木材工業さんと言えば、ベイツガ材のJAS認定工場として有名です。このJAS認定を取り、そしてそれを維持するってすごく大変なことなんですが、この話はまた別の機会に譲ります。

このベイツガ材は、我々の設計する住宅でも木枠や幅木材などにメインで使っているものなのですが、これを上の写真のような機械でノコを入れると、こんな感じのラフ挽き状態になります。あ、このラフな感じいいな!このまま仕上げに使ってみたい。こういう発見が出来るのも、工場見学の醍醐味です。


そしてこれがモルダーという機械です。
モルダー、モルダーってよく聞くのに見るのは初めてです。ほ~う、こいつがモルダーか。これは魔法の加工機で、この中に木を通すとその先から複雑に溝加工がされた材が出てくるのです。

ここにはいろんな刃物の組み合わせを取り付けられるので、これを応用すると枠のボードしゃくりから小段仕上げ、そして羽目板の面取り寸法からサネ寸法まで、自由自在に設定出来ます。これはすごい。(そして欲しい!)



下の写真はモルダーに取り付ける刃物の一部。こういうのが壁一面にずらーっと並んでいます。よく見ると、25Rとか一般的なアール加工寸法に混じって、25.5Rとか27.7Rなんていうのもあります。

まじめな木村木材工業さんは、たとえ二度と使わないような寸法の刃物でも、注文があれば刃物から作って対応するそうです。誰ですか、こんな微妙なアールを指定する設計者は!(良い子の皆さんは気をつけましょう)



こちらは超仕上げの加工機。超仕上げというのは、いわゆるカンナをかける機械ですね。熟練の大工さんのように、しゅるしゅるっと鰹節のようなきれいなカンナくずが下から出てきます。これには一同歓声!ただ木村さん曰く、もっともっと薄く削ることも出来るそう。

一旦モルダーで加工した材を、この超仕上げでコンマ数ミリの寸法調整をしてゆくのだそうです。気が遠くなる作業です。



一方ではサンダーがけをする機械もありました。サンダーとは要は紙やすりですね。サンダーも超仕上げ(プレーナー仕上げ)も、どちらも見た目はツルツルの仕上げになるので、私はその違いをよく理解していませんでした。

工場の方曰く、サンダー仕上げの方が表面がやや粗く、塗料の乗りが良いそうです。へぇ、良いことを聞きました。



ほかにも木を人工乾燥させるための乾燥機なども見せて頂きました。こちらも実際に見るのは初めてでした。50度ほどの温度で、5~6日ほど乾燥をかけるのだそうです。


工場では住宅の一部分に使われるような小ロットの部材でも、丁寧に思いのほかの工程を踏んで製作しているというのが印象的でした。モルダーに材を突っ込めば、しゅるしゅるっとあっという間に製品が出来るのかなと思っていたのですが、とんでもなかったです。(失礼しました!)

しかも広い工場内に作業している人は数人ほどで、それも拍子抜けしたことでした。また工場というと、すべて機械任せで加工しているような印象もありますが、実際には人間の目で見て、手で触り、職人のこだわりでひとつひとつの材が加工されているのだなと感じました。

これからは現場に入った枠材ひとつにも、思い入れが出来そうです。枠をムダにしちゃだめだぞ!

社屋の方では、木村司社長と昨今のウッドショックを巡っての木材談義に花が咲きました。世界の木材流通の仕組み、アメリカやヨーロッパの動向、そしてこの混乱のゆくえなど、ちょっとこれはお金払っても良いんじゃないかというくらい詳しく教えて頂きました。楽しかった!

スタッフにとっても目から鱗がいくつも落ちる体験になったことと思います。
木村社長、そして掛川さん、ご案内本当にありがとうございました!!


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sekimoto

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「壇の家」オープンハウスは、時間を区切って予約制の開催とさせて頂きました。天気も良く、気持ちの良い二日間となりました。あとは水曜日で一区切りです。

設計事務所がオープンハウスを開催する目的は、それまで積み上げようやく竣工に至った建物をお披露目することで、いわゆる「作品発表」の場とするということが大きいと思いますが、もうひとつは専用のモデルハウスを持ち得ない我々が、束の間、現在設計進行中の建て主さんと意図する空間や、仕上げのテクスチャなどを確認共有できるということも大きいと思います。また現在進行未満の、現在検討中の方にとっても、その事務所の作風や主宰者本人に会って話のできる貴重な機会とも言えるでしょう。

ただ私の中ではもうひとつの意味があります。それはスタッフの研鑽の場でもあるということです。



うちの事務所ではアテンドといって、自分の担当する案件の建て主さんが来場したら、その建て主さんにぴったりくっついてご案内するということをしています。

現在進行中の設計内容について、「○○さんのキッチンもこれと同じサイズですよ」とか「壁はこれと同じですが大丈夫ですか?」という具合に、ただ漫然と見てもわからないであろう建て主さんに解説をすることで、直接の感想や本音を引き出す貴重な機会にもなるからです。

打合せの席では、私が中心になって話をするので、スタッフが前に出て説明をするという機会は多くはありません。したとしても、私が隣にいては緊張して萎縮してしまうでしょう。

オープンハウスでは、私は全体を見渡していろんな方にお声がけをするので、ひと組の建て主さんをずっとアテンドするということが出来ません。なので結果的にスタッフ達は、私から離れてのびのびと?建て主さんとの会話を楽しんだり、自分の言葉で説明できる貴重な機会にもなるのです。

やはり設計は自分の言葉で語らないとものになりません。そんなスタッフ達の楽しそうに建て主さんへのご案内をしている様子を遠巻きに見ているという状況が、私は結構居心地が良かったりするのでした。なかなか頼もしいと思います。


最後にこちらは上記と関係ありませんが、あまりに可愛かったのでパチリ!
階段下のこの空間はきっと子供は好んで入り込むだろうと設計時から考えていました。そのため、無印良品の収納ボックスがぴったりと納まる棚を作って、遊んだ後におもちゃをここに仕舞ってもらうというストーリーを思い描いていましたが、この日もこのスペースは子供に大人気!子供はいつでも空間の最大の理解者です。



小泉誠さんのオンラインセミナーをスタッフみんなで視聴。ディテールに喰いつき、駄洒落にウケ、最後はう〜んと唸らされました。

仕事全体に流れる遊び心が半端ない。頭の柔軟体操をさせてもらいました!