25. 05 / 28

旋律

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sekimoto

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> 仕事
> 思うこと



プランの初期スケッチをしている時って、きわめて音楽的だなと思う。心地よい旋律を考えているみたい。動線とか機能も大事だけど、良いプランができる時って、そんなこと考えないで自由に鉛筆を走らせている時が圧倒的に多いように思う。

まるでグラフィックデザインのように美しい形にプランがまとまると、結果として機能もバッチリだし、法的にも穴はないし、スケールを当てればすべてが辻褄が合う。そういう体験をするたび、プランニングは人には教えられないとつくづく思う。

人が描いたプランにコメントすることはできる。でもどうやったら描けますか?という質問には答えられない。だから音楽的。どうやったら曲が書けますか?と聞かれて答えられないのと同じように。

教えてできることは、AIに置き換えができることだと思う。人には教えられないことが、その人にしかできない仕事なのだと思う。

OBスタッフの柴秋路くんが昨年建てた自邸に、スタッフを連れてお邪魔させて頂きました。

柴くんはもうかれこれ15年くらい前に在籍してくれていたスタッフで、私にとっては初代の二宮くんに続いて、実質二人目のスタッフでもありました。現役スタッフにとってはレジェンドスタッフのような存在かもしれません。

akimichi design
https://akimichi-design.com/

設計事務所のスタッフが、将来自分の家を建てるって一番夢のある話だと思うんですよね。ずっと他人の家を建て続ける仕事なわけですから笑

柴くんは独立後は私とは異なる自分の建築の世界観を着々と作りあげてきました。彼とは楽しくそんな近況や昔ばなしをしながら、現役スタッフ達も興味深く彼の話に耳を澄ませていました。

ご夫婦の美意識に貫かれたとっても美しい住宅。がらんどうだった竣工時の内覧会よりもずっと魅力的に映りました!まだ手付かずという外構も今後の展開が楽しみです。

柴くん、今日はご対応ありがとうございました。また外構が整った頃にもお邪魔させて下さい!



少し前になるのですが、2月にSUUMOさんのYouTubeチャンネルで私の自邸「OPENFLAT」を取材したいという話があり撮影していただきました。

こちらが本日公開となりましたので以下お知らせします。

■SUUMO 住まいの買う売るちゃんねる
【ルームツアー】
建築家が設計した家族と繋がる自邸。日常に緑を取り入れた中庭のある暮らし

https://youtu.be/nO9Or-M45zk

ルームツアーでは、先行して公開されている相羽建設さんのルームツアー動画はご好評頂いているようで、すでに50万回以上再生頂いているようです。

今回はすべて自分で解説しないといけないので、ちょっと緊張している感じかもしれません、、苦笑。たださすがはSUUMOさん、当日の撮影チームのプロフェッショナルぶりはなかなか素晴らしかったです!

こちらもご興味ございましたら、是非ご覧ください。



飯田善彦×宮崎晃吉×菅原大輔「場の運営で変わる設計論」
トークセッションにお邪魔してきました。

これからの事務所のあり方についてことあるごとに考えます。建築家が侍であるならば、時代は明治維新に差しかかっているのでしょう。いつまでちょんまげ姿で歩くのか、我々はその決断を迫られているような気もしています。

そんな折刊行された菅原大輔さんによる『プロジェクト図解 地域の場を設計して、運営する』は、ここ数年考えていたことが分かりやすく実例を交えて紹介されているタイムリーな一冊でした。

セッションは管原さんの仕切りのもと、それぞれが設計事務所の傍らカフェなどを運営する飯田善彦さんや宮崎晃吉さんによる話は、実践者にしか言えない言葉ばかりでとても説得力がありました。

設計事務所を街にひらこうとする取り組みはもはや珍しくはないかもしれませんが、それを「採算なんて合わない」とする飯田さんと、そこに経営のリアリティを見出そうとする宮崎さんや管原さん。そこにも時代のフェーズの変節点を感じたりして、新しい時代の感触を感じました。

久しぶりに、これは行かなくては!と思わせるイベントで、実際足を運べて良かったです。ありがとうございました。

25. 05 / 08

その人の住まい

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sekimoto

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> 仕事
> 思うこと



今日は久喜の「双庭の家」の撮影があった。建主さんは60代の女性。自分なら60代から家づくりをできるだろうか?家づくりは、ある意味自分の人生をリセットするような出来事に近い。

でもこの女性にとってはリセットではなかった。より活き活きと生きるための通過点、そんな気もした。本当に若々しく10歳は若く見えるのに、おっしゃることはいつも人生経験に裏打ちされた含蓄ある言葉で説得力がある。

この日は五月晴れの絶好の撮影日和。この住宅は庭のあり方に住宅のコンセプトの大半を割いたような住まいだったのだけれど、それに応えるように庭は隅々まで手入れが行き届き、光に輝く新緑は本当にため息しか出なかった。

家の中だってちり一つ落ちていない。随所に観葉植物が置かれ、ちらっと覗いた納戸の中だって完璧に整っている。覗かれて困る部屋なんてひとつもない。

うちの建主さんは皆さんおしゃれ番長ばかりで、撮影といえばビシッと整えた住まいにしてくれる。この建主さんも例外ではなかったけれど、なんというか別格だった。

高価なデザイン家具が並んでいるわけではなく、むしろ無名の家具であったり民芸品のようなものが棚には飾られているだけなのだけれど、その方の生きてきた人生の深みや見識の高さ、人としての品格のようなものが滲み出ていて、唯一無二の空間を作り出していた。そのことに心から感動してしまった。

あぁ住まいって、その人そのものなんだ。

いつもそう思っているし、何度もそう語ってきたけれど、この日は心底そう思った。我々設計者が設計したことなんて、これっぽっちのことしかないのだ。それを我々の作品だなんて、どう逆立ちしたって言えるはずがない。

あるいはこうも言えるかもしれない。その方は、自分だけの住まいを手に入れたことで、ようやく自分本来の姿になれたのだと。そうであったら嬉しい。