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sekimoto

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> 建築・デザイン
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所沢方面に足を延ばした帰り道、ふと思い立って所沢聖地霊園へと立ち寄った。学生時代に見た池原義郎氏設計の礼拝堂がまだあるのか、あればその姿をもう一度見てみたいと思ったからだ。

礼拝堂は20年以上も昔の記憶のままそこにあった。管理事務所に見学したい旨を申し出ると、係の方が快く開けてくれた。

学生の頃訪れたとき、それをどう思ったかよく覚えていない。若すぎたのだと思う。少なくとも、今日見たこの感動を越えるものではなかったと思う。

礼拝堂は1973年に完成し、74年に建築学会賞を受賞した。時代性によるものか、北欧建築からの影響が色濃く見られた。誤解を恐れずに言えば、アスプルンドの森の葬場と、シレンの学生教会に通じるものがあった。

『建築が目に見えぬ心の発現たり得るためには、建築がつくられていく全課程の中で、建築にたずさわった者の気持ちの大きな傾注がなければならない。つくるものの気持ちをこめすぎてあまりあることはない』(池原義郎)

北欧に行っている場合ではない、と思った。国内にもこんなに素晴らしい建築があるのだ。最後にアプローチのシークエンスについて、動画を添付したので追体験して頂きたい。










アプローチからメインホールへ至るシークエンス(動画)


久しぶりに面白い小説を読みました。

『ノースライト』 横山秀夫 著(新潮社)
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主人公は一級建築士の青瀬。かつては著名建築家アトリエに所属していたものの、バブル崩壊と共に落ちぶれ、今は友人の設計事務所で飯の種としての設計をこなす日々。

そんなある日、とある施主から設計依頼を受ける。要望はひとつ「あなたの住みたい家を建ててください」。願ってもない依頼に青瀬は設計に全力を傾け、そして後にその家は彼の代表作となる。その特徴は、南側を閉ざし北側に大きく開かれた開口部(North Light)にあった。

しかしその家には、ついぞその施主が入居することはなかった。あんなに喜んでいたというのに…。施主はどこに消えたのか?そして住宅に残されたのは一脚の椅子。鍵を握るのは、巨匠建築家ブルーノタウト。その謎を追ううちに、青瀬は意外な事実を知ることになる-


はい、もう読みたくなったでしょう?笑

けしてネタバレではありません。これは物語のほんの序章に過ぎないのです。本題はここから始まってゆきます。

著者は「クライマーズハイ」「半落ち」などで知られる横山秀夫さんです。さすが圧倒的な筆力で引っ張ります。執筆のために相当関連書籍を読み込んだことでしょう。建築好きなら、ブルーノタウトのくだりもたまらないでしょうね。

ただ少しだけ辛口のコメントをするとすれば、建築関係者はちょっとだけストレスかも?微妙に違うんですよね、実情と。建築用語の使い方とか。あ~そういう言い方はしない!とか笑。例えて言うと、刑事ドラマを見ている刑事みたいな。

でも一般の人にはそんなマニアックな領域はどうでも良いでしょうから、普通にぐいぐい引き込まれてしまうことと思います。

作中で主人公の青瀬が、「なぜこれまでタウトを避けてきたのですか?」と訊かれるシーンがあるのですが、う~ん、タウトは私も避けてきたかも。ブルーノタウトのこともちょっとだけ詳しくなる本です。建築関係者も是非ご一読を!

19. 05 / 18

帰りたいのか

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sekimoto

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> 生活
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庭に迷いこんできた亀を飼い始めて10年。
最近外を眺めては溜め息ばかり。

そろそろ遣いが来る頃かもしれない。

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> 生活
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美術家の関根伸夫氏が亡くなった。今朝の新聞を見ていて、驚きのあまり声が出そうになった。

関根伸夫氏の代表作に「位相ー大地」という作品がある。地面から円筒型に地層をすっぽり抜き取ったような不思議な作品。学生の時に写真ではじめて見た時は衝撃的だった。

私が志木に自邸を建てたのは12年前のことだった。家の通りを挟んだ向かい側には、瓦屋根の昭和な古い家があった。そこのおばちゃんはとても気さくな人で、ごみ出しのルールを教えてくれたり、うちの子も懐いて家に遊びに行かせてもらったりもしていた。

ある日、そのおばちゃんが「私の弟が市内で個展をやるので、よかったら見に来て」とチラシをくれたことがあった。素人の個展かと思ったら、そこには関根伸夫の名前があった。ん、あの関根伸夫?まさか。

そのまさかだった。そういえば、おばちゃんちの表札は「関根」だった。調べたら、氏は息子と同じ小学校に通っていたことがわかった。我が家の向かいは氏の育った家だったのだ。

我々が関根氏に呼ばれていたかどうかはわからない。息子の名前は偶然にも「大地」ではあったけれど。しかし、ついぞ一度もその姿を近所で見かけたことはなかった。今朝の新聞で晩年はカルフォルニアに住んでいたことを知った。

心よりご冥福をお祈り致します。

19. 05 / 11

街にとけあう

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sekimoto

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> 仕事
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今日は昨年竣工したKOTI(I邸)の竣工撮影がありました。
葉の落ちた昨年暮れの姿とは打って変わって、新緑が眩しく輝いていました。また、ちょうど竣工と時期を同じくして生まれた赤ちゃんも、家と同じだけ歳を取って早5ヶ月とのこと。すくすくと育っていました。

KOTIは路地に面して庭を開き、ついでにベンチまで設けた住宅でした。敷地面積はわずか20坪ほどしかないのに、太っ腹にも自分の大切な庭を「どうぞご自由にお使いください」とばかりに街に差し出しているのです。


Iさんはこんな話をしてくれました。

3月頃から庭木に新芽がつき、花が咲き始めると街行く人からも「きれいなお花ね」と声をかけられるようになったそうです。お隣の方には「いつもお庭を楽しませてもらってますよ」と、交流のきっかけにもなったとのこと。

近所の子供たちは敷地境界に植えたヘビイチゴを興味深く覗き込み、路地からは「素敵な家だね」と声が聞こえてくることも。

それを聞いて、設計者として本当に満たされた気持ちになりました。涙が出そうなくらい。まさにそれこそが、我々がこの家に込めた想いそのものであり、住まいをひらくとはどういうことか、Iさんに当時一所懸命ご説明したことだったからです。

こうしてこの家は街の一角に根を下ろし、新緑の芽吹いたこのアオダモのように、その存在感を街に示しているようにも思えました。


家の内部も我々がかけたものと同じくらい、細部にまで愛情を込めて暮らしてくださっている様子が伝わってきました。まさにタイトルに込めたKOTI(フィンランド語で”おうち”)そのもの。丁寧に暮らして下さり、どうもありがとうございます。

この写真は私の撮影によるものですが、新澤一平さんによる渾身の写真も仕上がりをどうかお楽しみに!