所沢方面に足を延ばした帰り道、ふと思い立って所沢聖地霊園へと立ち寄った。学生時代に見た池原義郎氏設計の礼拝堂がまだあるのか、あればその姿をもう一度見てみたいと思ったからだ。

礼拝堂は20年以上も昔の記憶のままそこにあった。管理事務所に見学したい旨を申し出ると、係の方が快く開けてくれた。

学生の頃訪れたとき、それをどう思ったかよく覚えていない。若すぎたのだと思う。少なくとも、今日見たこの感動を越えるものではなかったと思う。

礼拝堂は1973年に完成し、74年に建築学会賞を受賞した。時代性によるものか、北欧建築からの影響が色濃く見られた。誤解を恐れずに言えば、アスプルンドの森の葬場と、シレンの学生教会に通じるものがあった。

『建築が目に見えぬ心の発現たり得るためには、建築がつくられていく全課程の中で、建築にたずさわった者の気持ちの大きな傾注がなければならない。つくるものの気持ちをこめすぎてあまりあることはない』(池原義郎)

北欧に行っている場合ではない、と思った。国内にもこんなに素晴らしい建築があるのだ。最後にアプローチのシークエンスについて、動画を添付したので追体験して頂きたい。










アプローチからメインホールへ至るシークエンス(動画)