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sekimoto

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建築情報サイトのプラナビさんに「プロが認めた匠の技」というコーナーがあります。

建築家がお世話になっているスゴ腕の”匠”を紹介し、編集部がその職人さんを取材するというなかなか良い企画なのですが、こちらの最新号に私もいつも植栽でお世話になっている耕水の湊さんが登場しています。

プラナビ|プロが認めた匠の技
耕水 湊眞人さん
https://www.pla-navi.com/clip/professional/takumi22_kousui.php

紹介者は佐藤・布施建築事務所さんですが、主宰者の一人である布施さんは私の大学時代からの親友でもあります。実のところ、湊さんを紹介してもらったのは、10数年前にこの布施さんからだったのでした。

先日オープンハウスを告知した行田の「さつきの家」でも、この湊さんに大いに腕を振るって頂いていますので、いらっしゃる方はどうか外構もよくご覧頂けたらと思います。


ところで、このプラナビさんには私も過去に板金職人の新井勇司さんをご紹介させて頂きました。

新井板金 新井勇司さん
https://www.pla-navi.com/clip/professional/takumi21_arai.php

新井さんには現在現場が進行中の住宅「TR」でも腕を振るって頂いているのですが、サイトの影響かどうかはわかりませんが、すっかり人気の職人になってしまったようで、なかなか現場に入れないなどの弊害も出始めました。

もっとも新井さんも人からの紹介だったわけですが。なんでも開けっぴろげに情報を公開する私ですが、最近は秘蔵の”虎の子”は少しずつ隠してゆこうかなと思っている今日このごろです。笑


ただこうして他の建築家も賞賛するような素晴らしい職人さんと日々お仕事ができるという喜びや幸せも、あらためて噛みしめるところです。こちらも本気でやっているのだから、現場にも本気の仕事で応えて欲しい!というのが私の偽らざる本音ですので。

我々が当たり前のような顔をしてご提供しているものは、世間的にはけして当たり前のことじゃないんですよ。

OZONEよりO-Cubeが届き、朝から益子先生のインタビューに強く引き込まれました。

後衛の役割ということや、住宅は生活の変化を包含するもの、といった言葉一つ一つに重みがあります。そして僭越ながら、自分の住まい観にも確信を与えてくれたような気がしました。あぁ、これでいいんだと。

中でも印象的だったのは「いったん細部までデザインした後、消しゴムで消すように緩める」という言葉でした。これこそが、益子建築を、そしてホテリアアルトの居心地を解き明かす言葉であるような気がしました。

私はまだまだ蒼いので、どうしても細部を詰め将棋のように詰め切ってしまうところがあります。それは私の住宅作法にとっては生命線でもあるのですが、ビルダーズの木藤さんにも、以前「詰め将棋の向こう側」の話をされたことをふと思い出しました。

ホテリアアルトは、鉛筆ではなく消しゴムで設計されている…。人が「もう一度、あの場に」と思えるかどうかが大切。そんな言葉のひとつひとつを噛みしめています。

思えば今年は、ビルダーズの巻頭特集でホテリアアルトの解説文を書かせて頂いたことからはじまり、来年2月の益子先生とのセミナーに至るまで、私の意志はそこにはありません。常に周りの方がそのように仕向けてくださり、私は素直にそれに乗っかっている(流されている)だけなのですが、何か不思議な力に導かれているような気がします。

無知な私にいろんな知恵を授けてくださろうとしているのでしょう。ありがたいことです。神様はいるのかもしれないなぁ、と思う年の瀬です。

17. 12 / 19

猫朝日

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今週発売の週刊朝日は全力で猫特集。猫も杓子も猫ばかり。天下の朝日も猫朝日。猫をやると当たるって、六本木にある出版社さんも言ってました。

招福猫のように、先のベストセラー猫知識のご利益は絶大のようで、あそこに載ってからは電話が鳴りっぱなし、という事実は全くありませんが、確実に猫仕事が増えていることは確かです。ありがたやありがたや。

来年2月は大阪で猫住宅セミナーやります。ありがたやありがたや。


17. 11 / 13

重版出来!!

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拙著『上質に暮らす おもてなし住宅のつくり方』の重版が出ました!!
重版出来。皆さまありがとうございます!

『上質に暮らす おもてなし住宅のつくり方』 関本竜太|著
http://amzn.asia/5RUKj5T

担当編集者さんより重版決定のお知らせを頂いたのは10月24日のこと。初版の発売が9月27日でしたので、発売よりわずか1ヶ月での重版ということになります。

編集を担当して下さったエクスナレッジの上野さんはもちろんですが、がんばって販売をかけて下さった販売部の皆さまにも、この場をお借りして深く御礼申し上げます。


重版というのは、初版の発行部数を上回り、さらに版を重ねて発行することを言います。ベストセラーになると、どんどん版が重ねられてゆきますが、出版不況と言われる中、一部の書籍を除いては版が重ねられることはそう多くはないようです。

本を出せるだけでも十分だと思っていましたが、その版を重ねられるということは、内容についても一定のご支持やご評価を頂けた証だと思います。本当に嬉しく、ありがたいことだと思っています。


さて重版とは同じ判型・装丁で刷り直しをかけることを言います。ですから、もちろん今回も同じ判型ですし、内容も基本は同じなのですが、いくつかの点で修正をさせて頂いたところがございます。

きっと初版をお持ちの方でしたら、「あ!」と気づくところがあるかもしれません。ほぼわからないようなところがほとんどですが、一部にはやや大胆に手を入れたところもあります。

内容については敢えてここでは伏せたいと思いますが、お時間とお金のある方は初版と二刷とを両方手に入れて、どうか秋の夜長にじっくりと探してみて下さい笑。(見つけたらきっとニヤッとすると思います^^)

また二刷は初版の在庫が底をつき次第、順次各書店に配本されるようです。それがいつになるのかは著者である私にもわかりませんが、ご購入の際はどうか書店で裏表紙をめくり、版をご確認頂ければと思います。

一方の初版本は、一転して貴重本になってしまいました。たぶん、しばらくはアマゾンをポチッとしたら初版本が届くと思うのですが、これもいつ切り替わるのかはわかりません。

残り少ない初版本と、バージョンアップした(かもしれない?)二刷本、共にどうかお楽しみ下さい!


『上質に暮らす おもてなし住宅のつくり方』 関本竜太|著
http://amzn.asia/5RUKj5T

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最近面白い本を読みました。小説ではありません。ノンフィクションですが、ドキュメントみたいなものとも違います。日記です。それもノルウェーの大工さんの。

『あるノルウェーの大工の日記』

オーレ・トシュテンセン著
http://amzn.asia/dESwFxE


ノルウェーの大工さんの日記と聞いたら、みなさんはどんなことが書かれていると想像しますか?私は、きっとあごひげ生やした屈強なバイキングみたいなオヤジさんが、強い酒あおりながらフォッフォッフォって。あ、それはサンタクロースか。でもそんなサンタさんみたいな大工さんが、ログハウス建ててご満悦みたいな、そんな日記かな~と勝手ながら想像していました。

それが、そんな先入観を全力でひっくり返す本だということは先にお伝えしておきます。私はまずはそこにカウンターパンチを喰らって、どんどん引き込まれてしまいました。

つまりこれ、日本の大工さん、いや優秀な現場監督の業務日誌だと思って読むと実に興味深いのです。私は去年行ったノルウェーのログハウスが強烈だったので、ついつい「ノルウェー=ちょっと粗野でダイナミック」みたいなイメージを持ってしまうのですが、どうしてどうして、この大工さん相当繊細で優秀な方のようです。

仕事を受注するための精密な積算や他社との駆け引き。建て主にいかに自分をアピールし信頼を勝ち取るかという努力や、工事をスムーズに遂行するための段取り。そして現場に姿を現さない”アカデミック”な建築家との付き合い方やボヤキなど、これそのまま日本の現場に置き換えてもそっくり成立しちゃうってところが最高に面白いんです。

遠く離れたノルウェーの現場事情や大工さんの考えていることが、日本と何ら変わることがないという不思議。ものづくりって万国共通なんだなあとしみじみ思ってしまいました。


この本のもう一つの魅力は、本文に出てくるこの大工さんによるしみじみと”深イイ”言葉の数々です。以下に、私の心にフックした言葉の数々を紹介したいと思います。

「この職業において、良質な仕事と悪質な仕事の差は、わずか1ミリしかない」
「物を不正確に造るより、正確に造る方が簡単だ」
「経験が教える最も役に立つことは、自分には何ができないか、を知ることである」
「腕の良い職人は、常に強い自信と不安とを同時に抱えている」
「測定、計算、それに精度というものは、メタファーとして人生にも当てはめられるかもしれない。必要以上に精度を追い求めるのはどうかと思うが、適当にやっつけた仕事が歪んでいるのはやはり問題だろう」

そうそう、そうだよね、と遠く離れたノルウェーの大工のつぶやきに一つ一つ相づちを打ちながら、自分の進行中の現場のことなどが一方でぐるぐると頭の中でまわるのでした。日本の住宅設計や施工に関わる人にも是非読んでもらいたい一冊です。