author
sekimoto

category
> 建築・デザイン
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



友人事務所・佐藤布施建築事務所のオープンハウスに行ってきました。たびたびブログにも書いていますが、主宰者のひとり布施木綿子さんは大学の同級生にして、私の大切な友人の一人でもあります。

竣工すれば必ずオープンハウスを行う私とは異なり、彼女達はある時期までほとんどその仕事を見せてはくれませんでした。

「たまには見せてよ」と請う私に、いつも「見せられるようなものではない」なんて謙遜しながら、しかしたまに気まぐれに見せてくれる住宅はどれも素晴らしい出来栄えで、これは私を効果的にヘコませるにはこの上ない手段となっていました。きっと作戦だったのでしょう。

そんな彼女から、珍しく意気込んだ内覧会のお知らせが届きました。

受けるかもしれない批評に保険をかけているのか、いつもは控えめな説明文に対して、今回はどうも自信があるのか、”いいものが出来た”という感触が案内文からも伝わってきます。

しかも・・
聞くところによると、このお施主さんは(なぜか)私のブログのファンで、いつもチェックして下さっているとのこと。これはしかと見届けなくては!と、こちらも意気込んで出かけていったのでした。

(と、これを読んでいるお施主さんはすでにドキドキしていることでしょう。さあ、辛口にいきますよ!?)


いきなりアプローチの洗礼。これはまごう事なき湊さんの仕事ですね。

これもうちのブログではネタの常連となっている造園家の湊さん(ストライカー)ですが、もとはといえば、佐藤布施事務所の造園があまりに素晴らしかったので、10年ほど前に紹介して頂いたという経緯があったのでした。

さすが猛獣使い、もとい湊使いの元締めだけあって、湊さんの使い方が実に上手い!湊さんはうまく手綱を握って予算を確保してあげると、惚れ惚れするような仕事をするのです。この分だと中の庭はさぞかし・・。そんな予感を感じさせるには十分なアプローチです。

早速中に入ってみましょう。


いやもう圧巻の一言でした。

彼女たちが意図した”はなれ”という構成、そして外部と内部を一体に結びつける精緻な外構。吹き抜ける爽やかな風と光にも唸らされました。丁寧な素材使いやディテールワークもまた、それらを魅力的に引き立てています。



庭を挟んで向こうに見えるのは、六角屋根を持つ音楽堂(はなれ)。

敷地に多少余裕があるとはいえ、40坪強の敷地に”はなれ”を計画する。その発想は私にはないかもしれません。しかも左官外壁の母屋に対して、はなれの外壁はレッドシダーのシングル葺き。しかも屋根は六角形!



何一つとして論理的には説明がつかないことばかりなんです。
でもココ、ココが重要なんです!(はいここテストに出まーす)

この大胆さに私はいつも脱帽してしまうのです。
どうしてあっちとこっちがくっついて、こっちとあっちが離れるのか、私にはまったく理解出来ないのですが、結果的に本当に素晴らしい空間になっているのです。これが布施マジックなんだなあ。私にはない異次元の才を感じます。


このキッチン前の仕上げはわかりますか?これはブラックミラーなんだそうです。
キッチンの前にミラー…これも凡人にはわかりませんね?

これは壁に向き合っていても後ろの家族の様子がわかる、そして同時に緑も視界に捉えるという、とっても合理的な理由に基づくものなのだそうです。お兄さん、ここでも一本取られました。(これはパクろう 参考にしよう!)


とまあ、茶化すのはこの辺にしておいて。

いや本当に素晴らしい住宅でした。
私は建築家には、大きく分けて二タイプあると思うんですね。ひとつは理念や概念的なものを規範に作る人(左脳的)、もう一つは五感や触覚的なものを規範に作る人(右脳的)。

私は佐藤布施さん達の仕事は、どちらかというと後者の作り方のように思えます。それがどういうものであるか、それを言葉に置き換えると、光や風、土や緑といったものになるのでしょうが、私には違和感が残ります。彼らの意図や設計は、そんな陳腐な言葉に単純に置き換えられるようなものではないからです。

言語化できない領域こそに、空間の本質は備わるのかもしれませんね。そのくらいこの空間は気持ちが良かった。写真ではその魅力の半分も伝わらないでしょう。そこがまたもどかしいところです。

今日はいいものを見せて頂きました。どうもありがとう!


「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ」
そんな言葉が頭から離れない今日このごろ。家に帰ってブログとしたしむ。

14. 12 / 21

ニアミス

author
sekimoto

category
> 建築・デザイン
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



今日は友人建築家,布施木綿子さんのオープンハウスへ.彼女は大学の同級生でもあります.

学生時代から彼女とは研究室も同じ,同時期にアトリエに就職し,同時期に退職し,同時期に海外に出て,同時期に独立しました.私の住宅に欠かせない造園の湊さんも彼女の紹介でした.彼女は私にとって最も大切な親友であり,同じ道を歩む同志でもあります.

今回の住宅は日野市豊田.そう,つい最近まで私がやっていた「トンガリの家」の現場の近くなのです.もちろんこちらの造園も同じく湊さん.そして今現場をやっている「西荻の家」のすぐ近くでも彼女の現場が進行中.しかも同じ工務店の同じ監督が見ているという・・。

過去には私のクライアントの,妹さんの家を彼女が設計したなんてこともありました.はたまた,クライアントが私以外に検討している建築家がたまたま彼女だったり.なんというニアミスぶり.私の領域(テリトリー)に入ってこないで!とは彼女の弁ですが,いやいやそっちこそ.

こうして彼女とは,この先も腐れ縁が続いてゆくのでしょう.

14. 11 / 25

加地邸一般公開

author
sekimoto

category
> 建築・デザイン
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



遠藤新設計、加地邸一般公開のため葉山へ。築86年という重み、素晴らしい設計、そして愛情を感じる保存状態に感激しました。

遠藤新さんというのはフランクロイド・ライトの高弟で、旧帝国ホテルなどでも現地スタッフとして活躍された方です。作品からもライトの思想を色濃く感じることができます。

少し前までは実際に生活が営まれていたそうです。現在も加地家によって維持管理がなされています。


数年前に築80年近い洋館の改修(池上の家)をやったので私にはよくわかります。歴史家はいろんなことを言いますが、学術的な価値じゃないんです。住まい手の愛着、そして愛情。これに勝る保存手法はないんです。

でも、きっとそろそろ手に余ってきている頃でしょうね。外野は無責任に保存を訴えますが、裏側のいろんな事情を想像し、同情しつつも、やっぱり保存の道を探ってもらいたいものです。

author
sekimoto

category
> 建築・デザイン
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48


自宅の倉庫に眠っていた大量のアールトチェアのビンテージパーツを,北欧家具TALOの山口太郎くんに差し入れとして持っていったらこの笑顔!実に嬉しそうです.

なぜうちにこんな大量のパーツがあるかという話をすると長くなるんですが,とにかく使いもせず,かといって捨てるわけにもいかなかったこのパーツを,こんな顔で喜んでくれるのは,日本でもこの人だけでしょう.いやあ,これを生かしてくれる人の手に無事に渡って良かったです!

しかしこの店内,いつ来てもわくわくします.
その昔,二人でヘルシンキのガレージセールを巡った日を思い出しますね.

ところでTALOではアールト家具を現在特別セール中!ご興味ある方は是非.(ちなみにリオタデザインのクライアントさんは私に直接言って下さい.いつでも特別価格です!)

北欧家具TALO
http://www.talo.tv/


ここはどこ?フィンランド?
いえ,八王子です.

企画委員を務めるSADI(北欧建築・デザイン協会)にて工学院大学八王子図書館の見学会を行いました.設計は武藤章氏.アールトの事務所に勤務し,帰国後は工学院大学教授として後進を育てた建築家です.

素晴らしい空間でした.アールトの空間をコピーしたものではなく,武藤流の建築流儀とスケールによって,居心地の良い空間を作っていました.そんな空間が現在取り壊しの憂き目に遭っています.そんな空間を一人でも多くの方に知ってもらいたいと思います.

以下のSADIブログにレポートを載せましたので,ご興味のある方は是非ご覧下さい.
http://sadiinfo.exblog.jp/23243729/


さて,今回のような保存問題については,私なりに思うところがあります.

最近でも国立競技場の建て替え問題で大騒ぎしています.現在の競技場は残して改修をすべき,いや建て替えるべき,建築界はケンケンガクガクです.

いや,実は手遅れで既定路線は既に建て替えで進んでいます.ザハ・ハディドという外国人建築家の案が採用され,東京オリンピックに間に合わせるべく,急ピッチで設計は進んでいるという実情があります.

その前には同潤会問題がありました.表参道の古い同潤会アパートは残すべき.しかし取り壊され,安藤忠雄さん設計の表参道ヒルズが建ちました.その時もケンケンガクガク.日本では古いものを残すというのは経済の論理の元ではほぼ無力です.学者や一部の建築家の声などかき消され,無きがごとしです.

ただ一方では,反対を叫ぶ建築家だって人のことは言えないのです.
なんといっても,古いものを壊さなければ,こと東京では仕事などできないのですから.あなたは古いものを壊したことはないのですか?

「いや,それとこれとは話が違うよ」
はたしてそうでしょうか?

「保存すべし」と叫んだ方が社会的にはかっこいいのです.「僕は保存すべきだと言ったんだけどね,結局取り壊されちゃったんだよ」そう言って遠い目をした方が正義なのです.そうではありませんか?

私は保存問題には,いつも少し醒めています.
そういうことを熱く言う人が居ればいるほど醒めてしまうのです.そしてそんな自分を少し後ろめたく思っています.

今回の図書館を見てどう思ったか.
私は「保存すべき」だと強く思いました.

空間が素晴らしかったことももちろんあります.けれどもそれ以上に,この空間は社会的にほとんど知られていなくて,報道ステーションでも朝日新聞でも取り上げてくれない問題だと思ったからです.そうしている間に,誰にも知られることなくその灯火が消されようとしている.それを思うと,その儚さに「守ってあげなくては」という思いを強くしました.

つまり保存の問題は実感の問題なのだと思います.
頭で考えるのではなく,心で考える問題だということです.

せめてこの空間を別用途に転用しようという意見もあるようです.けれども私はすこし反対です.この空間から本が抜き取られたら,それはもはや図書館ではない.この建築は,図書館であるからこそ生きる建築なのだと思うのです.

何が何でも保存,と突き走ることだけが良いことなのか私には分かりません.でも最後の最後まで粘って,結局敗れたときに,あっけなく壊されて消滅してしまうのではあまりに悲しいと思います.

せめて学生がこの空間に親しんだその生きた証のようなものが残せたらと思います.図書館が図書館として,最も輝いている姿を美しい写真などで残せないものでしょうか.せめてその刊行物を出版する動きを併行してできないものでしょうか.

空間の儚さ,建築の宿命,保存の問題・・・
昨日はいろいろ考えさせられた一日でした.