
アンドウ・アトリエの安藤さん+田野さん夫妻は、私のご近所でもある東武東上線の和光市に事務所を構える建築家。今月の「住宅建築」で特集されており、今日はその関連講演会があり足を運ばせて頂いた。
アンドウ・アトリエの仕事の特徴は、雑誌の表紙にもあるように「建築と家具のあわい」、つまり家具のように建築を作り、建築のように家具を作るところにある。
私も住宅をひとつの家具のように捉え、細やかな作りに関してはひそかな自負もあるけれど、アンドウ・アトリエにはとてもかなわない。オープンハウスに足を運べば、もううなだれて帰るほかない。それは一言でいえば「おもてなしの建築」とでも言うべきものであり、その質においても、”匠の仕事”とはこういうものかといつも考えさせられるのだ。
アンドウ・アトリエさんとのお付き合いは、私がまだ駆け出しだった10年以上昔に遡る。フィンランドにアールトを見に行こうとされていた安藤さん+田野さん夫妻から話が聞きたいとある日メールを頂き、同じ沿線だったご縁もあり、和光市のアトリエにフィンランドの資料を持って訪ねたのが最初だった。
前職ではRC造が多く、木造や小住宅の設計にまだ不慣れだった当時、アンドウ・アトリエの作る木造住宅をいつも拝見させて頂いては、詳細にいたるまで勉強させてもらった。いや、正直かなり盗ませてもらった。今のリオタデザイン仕様は多くの私の尊敬する建築家たちのエッセンスが凝縮されているのだけれど、その少なからぬ影響は確実にアンドウさんからのものといえる。
もっとも私のそんな思いとは裏腹に、格の違いから、アンドウさんは私の仕事の中にご自身の仕事との類似点はあまり感じておられないかもしれないけれど…。
私の知る限り、アンドウ・アトリエのお二人がこういう講演会をされるのはかなり珍しいことのように思う。そんな貴重な講演会にお邪魔でき、また設計の考え方をあらためて聞くことができ満足だった。しかもトム・ヘネガンさんによるゲストクリティークまで付いて、これもまた面白かった。
私はいつも講演会があると最後に必ず手を挙げて質問をするのだけれど、この日は時間が押して会場からの質問時間はなくなってしまった。
もっとも、安藤さんとは講演会でなくてもオープンハウスのたびに気さくに話はできるのだけれど、こういう時にしかできない質問がこの日はいくつも浮かんだ。また次の作品を見せてもらう楽しみとともに、そんな機会も取っておきたいと思う。
