
7月に私が登壇する北欧建築のオンラインセミナーがありますので、以下共有させて頂きます。ご興味ある方は是非ご参加下さい!(すでに参加申込みが300名を超えました)
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昨年秋に開催し大きな反響を得ましたJIA住宅部会主催のオンラインセミナー「北欧 アルヴァ・アールトを巡る旅」の第二弾を、このたびSADI北欧建築・デザイン協会との共催にて開催致します。
前回の開催ではアールト自邸、マイレア邸、サウナッツァロ村役場といったアールトの名作を紹介させて頂きましたが、今回は前回紹介しきれなかったアールト建築に加え、近代~現代のフィンランドが誇る名建築についてもご紹介します。
また後半は、フィンランド在住の遠藤悦郎氏(SADI海外会員)ともつなげてリアルタイムによるリモート建築案内(セイナヨキ)も予定しています!
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オンラインセミナー
『北欧アルヴァ・アールトを巡る旅 Ⅱ
~アルヴァ・アールトとフィンランドの名建築を巡る旅』
ガイド役
関本 竜太 氏 (建築家・SADI理事/JIA住宅部会副部会長)
遠藤 悦郎 氏 (グラフィックデザイナー・SADI海外会員)
日時:2021年 7月7日(水)18:30~20:45 (ZOOM入室 18:15~)
会場:オンライン開催(ZOOMウェビナー使用)
参加費:無料
定員: 500名(事前申し込み制)
★詳細は以下より
https://sadiinfo.exblog.jp/30549990/

世田谷美術館での「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」展に、昨日ようやく足を運ぶことができました。
20代からずっと追い続けているアールト。一般的に知られていることはだいたい知っているというのに、何度見ても発見があります。アールトへの探求は、私のとってのライフワークとも言えそうです。
今回のアールト展のテーマは、アルヴァ・アールトとその妻アイノ・アールトとの協働による創作という点に軸足が置かれていました。これがとても良かったと思います。
一般にはあまり知られていないのかもしれませんが、アールトといえばアルヴァ・アールトのことを差す一方で、天性の美意識でアルヴァを導き、ARTEKの家具や、アールト作品のため息の出るようなインテリアデザインを実現出来たのは、もう一人の天才建築家にして妻アイノの功績なくしては語れません。
予約制だったため、むしろ混み合わずゆったりと鑑賞出来たのも良かったです。


アアルト展でのもう一つの収穫は、なんと言ってもフィンランドのファッションブランドMAKIAとアアルト財団とのコラボTシャツ!
これ日本では絶対手に入らないやつなんです。しれっとショップに並んでいたので、多分ただの展覧会グッズだと思った人もいたはず。

中でも隅っこの一番目立たないところに置いてあったのがこの水玉、じゃなかったヴィープリ図書館トップライトエディション!これは嬉しい。
展覧会などでよく売っている限定Tシャツは、日常では絶対着ないだろうなと思うのでまず買わないのですが、このTシャツには展覧会のロゴなども入らず、日常でも普通に着れそうです(ALVAR AALTO の文字がさりげなく入っているのも◎)。
世田谷美術館のアアルト展は来週末で終了なのですが、平日も含めて予約チケットはすべてソールドアウトだそう。つづく兵庫県立美術館での展示は、7月10日からはじまるようです。今日滑り込めて良かった!

その昔、ヘルシンキのビンテージショップに積み上げられたSTOOL60に、それを使っていた人の思い思いの布が張られていたのが印象的だった。みんな自分のスツールをカスタマイズして使っているんだ。
先日ARTEK-TOKYOのオープニングイベントで頂いた、アイノ・アールトの復刻ファブリック「KIRSIKANKUKKA (cherry blossom)」の風呂敷をどう使おうか悩んでいたときに、そのことをふと思い出して、自宅でほとんど使っていなかった4本脚のSTOOL60に張ってみることにした。
友人に頼んで加工してもらったところ、すごくいい感じ!今のところこのスツールは世界に一脚かな?記念すべき、アイノのKIRSIKANKUKKA-STOOL、大切に使います。ARTEKさん、ありがとう!


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留学時代、行きつけだったビンテージショップにて。


アルテックのお店がいよいよ明日(4/27)表参道にオープンします!
アルテックとは、すごくわかりやすく言うと、アールト自身を含む数名が設立したアールトの家具を製造販売する会社です。その設立主旨は実際にはそんな簡単なものではないのですが、面倒なのでここでは割愛します。
とにかく、アルテックショップといえば、長くヘルシンキの旗艦店を意味する言葉でしたが、それが身近な表参道にできたということだけでも、私の中では大事件です!

ということで、今日はオープン前の特別内覧会にお邪魔してきました。
店内では、セレクトショップやヘルシンキの旗艦店でなくては買えなかったアルテックの商品がずらり勢揃い!またこのお店でなくては買えないものも。この時点ですでに感動ものです。

出迎えてくれたのは、アルテックの林アンニさんとVitraの森正岳さん。
アンニさんとのお付き合いは、かれこれもう20年くらいになるかもしれません。当時からずっと日本でアルテックというブランドを守り続けてきた彼女の孤軍奮闘ぶりを知る者としては、このお店はアンニさんの夢が詰まったお店のように思えてしまいます。
また森さんは北欧ライターの森百合子さんの旦那さんで、百合子さんと同様にやはりかれこれ20年越しのお付き合いになります。つい最近Vitraに転職されたと聞いたときはびっくりでした!

また、しばらく産休中だった蘆原さんもアルテックに戻ってきました。おかえりなさい!!
昨年お会いしたアルテック社代表のマリアンヌさんともご挨拶できました。私の風変わりなシャツを見て、開口一番「そうそう覚えてる。クレージーシャツのあなたね!」クレージーシャツて、、。ただ、覚えていてくれて嬉しかったです。
ということで、この時点でもうホーム感満載です。
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さて、折角なのでそんなARTEK TOKYOの見どころをいくつかご紹介しましょう。


まずはこの生地。
これはアイノが日本人から贈られた桜の模様の入った着物(か何か)に感激し、そのパターンを写してテキスタイルデザインにしたものだそうです。KIRSIKANKUKKAというそうですが、このARTEK TOKYO のオープンに合わせて国内での製造販売にこぎ着けたものだとのこと。
長い歳月を経て、アールト夫妻の日本への憧憬がようやく凱旋したものとも言えるかもしれません。間違いなくこのお店の目玉商品でしょう。この生地は量り売りで購入することができます。

先ほどの引き出しに写り込んでいたこの引手。目ざといあなたはもうお気づきですね。あれ、これどこかで見たことあるゾ?

そう、アールトスタジオの食堂の引手によく似ています。こんなところにもアールトへの愛とオマージュが詰まっています。
ほかにも、先ほどの写真に写っていたお店のテラコッタの床は…

アールトのトレードマークと言える、目地なし突付けのテラコッタ床へのオマージュであることが分かります。
また地下に下りてゆくと…

この地下の床材はなんだかわかりますか?
これはリノリウムです。我々が建築の仕上げに使う模様の入ったリノリウムではなく、通称ファニチャーリノリウムと呼ばれるもので、デスクの天板などにも張られるものです。これもどこかで見たことがありませんか?
そうですスツール60の座面に使われているのが、このリノリウム材なんですね。この高価な材料を惜しげもなく床に使っているという時点で、私の心拍数がちょっと上がってしまいます…汗

さて、ここでアンニさんからクイズです。
これはアンニさんの名刺の裏側のデザインなのですが、これは何だかわかりますか?もちろん私はすぐ分かりましたよ。
正解はこちら。

#611チェアを特徴付けるウェビングテープのデザインですね。なかなか洒落ています。
レセプションに並んだこのクッキーも、これは何の形かアルテック通ならすぐわかりますよね?

そう、リーヒティエプラントポットの形です。
誰ですか?サヴォイベースだなんて言ったのは。

ほかにも、タピオヴァーラのドムスチェアも。
こちらに写っているのはビンテージ品ですが、本革を張ったフカフカの高級ドムスチェアのラインナップも。これはものすごく座り心地が良かったです!写真撮るの忘れました。すみません…

私のイチオシはこれですね。ゴールデンベル"SAVOYバージョン"。泣く子も黙るアールトの名作照明ですが、よく見て下さい。内面が白ではなく真ちゅうのままになっています。
これこそがゴールデンベルなんです。ヘルシンキのSAVOYレストランのためにデザインされました。表面はラッカー塗装もされていないので、素手で触ると手垢が付いて取れにくくになります。だから素手で絶対触ってはいけないという世にもオソロシイ大人仕様。
大丈夫です。そんな一般人のために、通常品は表面にラッカーが塗られ、内面はより明るくなるように白く塗装されています。ただツウを自認するならこれ(SAVOYバージョン)です。ヘルシンキのアルテックにもこれが下がっています。
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もう止まらなくなりそうなので、この辺でやめておきます。お店を巡りながら、連れにそんな知ったかぶったウンチクを話して、嫌がられると良いと思います。
古き良きアールトのエッセンスを取り入れながら、ただそれを懐かしむのではなく、現代の生活にリファインして取り入れてゆく。これこそがアルテック!と感じました。
このGWはARTEKへ!
ARTEK
東京都渋谷区神宮前5-9-20
OPEN 11:00-20:00 (2019.4.27 オープン)


昨晩は名古屋の木愛の会にて、『アアルトのディテール』というテーマにて講演をさせて頂きました。中でも学生さんの参加が多かったのが印象的で、時代は変わったなと思いました。
ディテールと聞くとマニアックな難しい話と思われそうですが、むしろその逆で、漠然としていてどう見れば良いかよくわからないアアルト建築の鑑賞ポイントをピンポイントで示すことで、実際に見ると「こういうことか」という発見が多くあると思うのです。アアルト建築は伏線が無数にある、長編のミステリー小説のようなものなので。
ここでは書けない際どい話も色々と。アアルトは都市伝説を含めて、オフレコな話が特に面白いのです。アアルトと日本の関係についてもお話ししましたが、こちらは3月に開かれるアアルトの国際シンポジウムでも和田さんがお話しするのと、展覧会の図録にも書かれているので是非読んでみてください。
アアルトはなにがどうすごいのか、どこをどう見れば良いのか。知りたい方は企画してください。いつでもお話しします。
名古屋の木愛の会の皆様、大史さん、呼んで下さりありがとうございました。イロナにも会えて嬉しかった!Kiitos.


