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> イベント
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リオタデザインも今年で10周年を迎えます.そこで以前より,過去のお施主さんや仕事仲間を集めて,一夜限りのイベントのようなことができたらとずっと考えていました.

イベントを決めてからというもの,この日を迎えるまで,仕事をしながらスタッフのみんなと入念に準備を進めてきました.昨日は会場を提供してくださいましたケースさんのご協力のもと無事そのイベントを終えることができ,私の両肩からはどっと重いものが下りてほっと一息をついているところです.

イベントは第一部と第二部に分け,最初の第一部ではトークイベントとして私がリオタデザインの10年の仕事やフィンランドの話,独立当時の話などをさせて頂きました.第二部はレセプションということで,こちらは主に準備はスタッフに任せ,当日に向けたオペレーションなどを詰めてゆきました.

お施主様や仕事仲間など,我々に近しい人たちを中心に招待状をお送りし,第一部のトークは30人も集まればいいかな,などとも思っていたのですが,蓋を開けてみると60名を越える参加のお返事を頂き,スタッフ一同嬉しい悲鳴を上げていました.

当日はおなじみの方や,しばらくぶりの懐かしい顔ぶれにもたくさんお会いすることができました.第一部では私も昔を思い出しながらついつい話し込んでしまい,気がついたら2時間半ノンストップの講演となってしまいましたが,皆さん一様に楽しかった,面白かった!とおっしゃって下さったのが救いでした.

第二部のレセプションでは,お施主さんなど我々と一対一でつながっている方がほとんどだったため,孤立しないよう積極的に声をかけようと思っていたのですが,始まってみると意外なことにこれまで交流することのなかった他の住宅のお施主さん同士や異業種の知人同士が,そこここで話に花を咲かせはじめていました.

我々としてはそれぞれが見たことのない不思議な組み合わせの対話風景でもあり,とても新鮮で興味深く観察させて頂きました.我々とつながっている関係者同志であらたに築かれた”横のつながり”というのも,今回のイベントの意外な効果だったと思います.

我々としては数年間も音沙汰なかったようなお施主さんとも再会を果たし,家の近況を知ることができたのも収穫でした.中には住宅が我々が想定していなかったような使い勝手になっていたりと,そんな情報もあらためて直接お伺いできたこともまた良かったように思います.

とにかく昨日のイベントに向けてずっと神経を尖らせていましたので,今は少し気が抜けているところですが,この秋にもまたすぐ次の仕事の波がやってきますので,スタッフ一同また週明けからは気を引き締め仕事に邁進したいと思います.そして次の10年では,この10年の歴史を大きく塗り替える仕事を残したいと,ひそかに闘志を燃やしているところです.

最後にこの10年,わがリオタデザインを支えて下さいましたお施主さま,ならびに仕事関係者や友人達にはこの場をお借りしてあらためて心より御礼申し上げます.昨日はご来場下さいまして,誠にありがとうございました!

■ 『リオタデザインの10年』 Talk&Reception
2012年10月6日(土)
場所:ケースギャラリー 渋谷区大山町18-23 1F
第一部トークイベント 16:30-19:00|第二部レセプション 19:00-21:00








スタッフならびに関係者のみなさま,お疲れさまでした!!
撮影:バウハウスネオ/後関勝也


【特別付録】 リオタデザイン年表(クリックしてください)

12. 10 / 01

記憶のまち

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> 生活
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[caption id="attachment_5908" align="alignnone" width="560" caption="ここは一体どこなのだろう?昔は一面の麦畑が広がっていた."][/caption]僕は中学校を卒業するまでは,埼玉の桶川市というところで過ごした.
桶川の中でも僕が育った川田谷というところは,文字通り川と田んぼと谷しかないような,そんな素朴な田舎町だった.今日はこれまで忙しくて行けなかった鴻巣の免許センターに免許の更新に行くことになり,その帰り道,ふと思いついてその帰路にある桶川を車で横切って帰ることにした.

川田谷まで足を延ばしたのは,もう何年ぶりだろう.最後に行ったのは少なくともまだ圏央道は開通していない時期だった.ずいぶん昔から計画道路指定はかかっていて,まさか実現するとは思っていなかったその道路が,自分が住んでいた地区のすぐ近くを貫くと聞いた時は,正直やっとあの辺も便利になるのだなと,好意的な印象すらも抱いていた.

ところが今日そんな街に久しぶりに立ち寄り,その光景に思わず愕然としてしまった.駅から圏央道方向へとつながる道はまっすぐときれいに舗装されているものの,自分が知っているあの通りではなかった.記憶をどう辿ってもなにも引っかからないのだ.

それもそのはずで,既存の道路とは関係なくまっすぐと引かれたその計画線は,もともと住んでいた人たちの住居や商店の上を不躾にも土足で横切り,立ち退きという代償のもとに計画されていたものだったからだ.

幼い頃買い物に連れて行ってもらったスーパーや,子供のたまり場だったゲームセンターもどこにもなかった.あの頃目印だった建物も見当たらない.その代わり新しいマクドナルドやきれいなスーパー,そして画一的なサイディングのハウスメーカーの住宅だけが何の脈絡もなく建ち並んでいた.

道路計画による立ち退きのためか,新しい道路の傍らに家はなく,草だけが茫々と生えていた.道路ができて賑やかになったのではなく,むしろ退化していた.まだ誰もこの地に住んでいなかった大昔の風景のように.

最もショックだったのは,自分が元住んでいた地区の辺りが本当に変わり果てた姿になっていたことだ.小学校に行くために,みんなで集合したあの公民館もすでになく,当時からあった大谷石の蔵だけがぽつんと取り残されたように建っていた.

そしてそこから続いていた通学路は,圏央道からつながる車道のため見事に分断され,もうどこがどう繋がっていたのか,街の文脈(コンテクスト)や脈絡すらも思い出すことができなかった.家の隣にあった醤油工場は廃墟になっていた.それを見ていたら,もう本当に切なくなってしまった.

都市計画というものは残酷なものだ.その街に根付いていた人のつながりだったり,記憶だったり,一見無意味のように見えてとても大切だった何かをずたずたにしてしまう.そこを通過していくだけの人にはそれは見えない.地方都市を貫く真新しい道はどこまでもまっすぐで快適だ.けれどもその代償として街のつながりはどこも決定的に損なわれているのだ.

この件では本当に考えさせられた.立ち退きを拒む人たちの気持ちも初めて理解できたような気もする.僕が友人と自転車を乗り回したり,寄り道をしながら帰ったあの道は,もう思い出の中にしか存在しないのだ.

[caption id="attachment_5909" align="alignnone" width="560" caption="蔵の脇には古い民家と茂み,その奥には煙突のある醤油工場があった.ここでは夏休みにラジオ体操もした.近所には子供がたくさんいた.今ではもう何もない."][/caption]

12. 09 / 28

スタッフ力

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> 仕事
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先日はちょっとしたトラブルに巻き込まれた.やりとりをしていた担当者が前触れもなく突然辞めてしまい,現場は大混乱.取り次いだ社員の方が皆「申し訳ありません!」と謝罪をされるのだけれど,実はその方は取り次いだ社員さん達の上司に当たる方.発つ鳥跡を濁さずというが,上司ともあろう方が部下に対応を押しつけ一方的に辞めてしまうなんてありえない,と思う.

部下の方には同情を禁じ得ないのだけれど,実はこの会社,上司が上司なら部下も部下なのである.過去には我々も,この方の部下達が担当された事案でもずいぶん悩まされてきた.しかし辛抱強くこの会社を使い続けてもきたのは,競合させるべき会社があまりなく,製品自体には問題がなかったからだ.そしてなんと言っても安かった.だから納品されるまでのプロセスにミスさえなければ,基本的には何も言うことはない会社なのである.

しかしミスというのも,想定しきれない事態ならともかくとして,ちょっと気をつけていれば,いや相当に気を抜いていなければ起こらないような単純ミスばかりで,毎回本当にあきれかえってしまうことばかり.その都度お説教をして,改善の兆しが見え始めたところで再びこの事態である.こんな無責任な人がいるのだということにもびっくりした.

そこであらためて考えた.
ダメな会社というのは,誰をつかまえてもダメなのだということ.ダメだなんて言って申し訳ないのだけれど,これはけして人格を否定しているのではなくて,仕事に向かう心構えだったり,熱意だったり,または会社の体質だったり,あるいはそのすべてだったり,ということを指している.でも実働で動いている部下を育てるというのは上司の重要な仕事であって,その積み重ねが会社という輪郭を作っている.だから上司がダメだと本当にその会社は目も当てられない,ということにもなってしまう.

…とまあ,こんなことを書いた後でなんですが,自分自身もなかなかそれを徹底するのは難しく,そもそも上司である私自身に欠陥が多くあるので,それをカバーしてくれている部下には私自身同情を禁じ得ない.

それでもうちの事務所の仕事が(表向き?)滞りなく流れている理由は,ひとえにスタッフ力.うちのスタッフの仕事ぶりには(もちろん歴代のスタッフも含めて)日々のことながら感心させられることが多い.ダントツなのは各自の持つプロ意識.うちは優秀なスタッフに支えてもらっているなといつも思う.

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> OPENHOUSE
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本日はお足元の悪いところ,「白岡の家」オープンハウスにお越しくださった皆様,誠にありがとうございました.

実のところ,前日まで突貫工事をしていたので,果たしてこの日を迎えられるのか不安でしたが,工務店さんの努力の甲斐あり,なんとかお披露目することができました.すべての養生がはがれた状態で空間を見るのは,設計者である私たちも今日が初めて.かなり不安もありましたが,ようやく現れた空間は素直に「美しい!」と思いました.

当日は進行中のお施主様,友人知人に近所の方まで見学に来て下さり,盛況のうちに終えることができました.そして明日から工事も総仕上げ,外構やアプローチも美しく整うことと思います.監理にもまだまだ気が抜けません.

Sさん,最後までお付き合いよろしくお願いします!今日はお疲れさまでした.








これは前日の現場の様子.とてもオープンハウスの前日とは思えません…汗.
担当のウッシー,お疲れさま!あと一息!!

12. 09 / 17

荻窪moiのことが

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> メディア
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先日竣工写真を撮って頂いたカメラマンさんに,「この間読んでいた本に,カフェmoiらしきお店のことが書かれていましたよ」と教えて頂いた.カフェmoiは2002年にオープンしたカフェで,私の独立後の初仕事でもある.

本というのはガンに侵されたとある編集者さんの闘病日記で,早速購入して読んでみると,近所にいいカフェ(荻窪時代のカフェmoiのことらしい)を見つけたという記述があった.以下抜粋すると,

『まあとにかく,寝転んでネット上をうろついていたら,なんと見つけたんですよ,荻窪にカフェを!この街自体の住み心地はそう悪くないと思うのだが,近所というか最寄り駅にカフェがないのが不満の一つだった.それが解消できる.早速,場所をチェックして行ってみることにした.(中略)青梅街道から少し入ったところにあるそのカフェは10席ほどの小さな店.フィンランド系のインテリアを使った,茶室をイメージした店だという.コーヒーとクロワッサンを注文.どちらも美味.客は近所の病院の看護婦と思しきニキビ面とブサイクの2人組.かかっている音楽やコーヒー,食器(カップ&ソーサーはアラビアの特注,冷タンはもちろんイッテラ製!)は文句ないのだが,イスが硬くてオレには長居できない感じ.白木のイスで見栄えはいいけれども,クッションが付いていないとキツいッス(別にダジャレじゃないけれど).隠れ家的に使いたいので店情報は秘密』
(本文P81より)

記述はちょいちょい間違っている(アラビアの特注→梅田弘樹さんのオリジナルデザイン,イッテラ→イッタラ)のですが,きっとこうして当時マイナーな存在だったカフェmoiを,ちょっぴりニヤリとしながら”発見”して下さった方はきっとたくさんいらっしゃるのだろう.当時闘病されていた著者の方の”隠れ家”にもなっていたようで,それはそれで嬉しく思った.

残念ながら著者の奥山貴宏さんは,闘病の甲斐なくすでにお亡くなりになっておられるらしい.ご冥福をお祈りすると共に,荻窪にあったカフェmoiを気に入って下さったことに,この場をお借りして御礼申し上げます.

『32歳ガン漂流エヴォリューション』 奥山貴宏(牧野出版)


[荻窪時代のカフェmoi] (写真:根津修平)