会計事務所から決算報告書が上がってきました.
よく順調のように思われているうちの事務所ですが,実は全くそんなことはなく,万年の赤字体質(そんなことカミングアウトしていいんでしょうか).このところずっと赤字続きだったところ,年明けからのご依頼でようやく黒字化し,ほっと一息ついているところです.
つくづく我々の業界は特殊な業界で,安定経営とはほど遠く,税理士さんともたまに話がかみ合わなくなります.
「安定した経営のために,大手さんからのお仕事を定期的に受注されてはいかがですか?」や,「社長は営業や経営に専念されて,実働の部分はスタッフさんに任されてはいかがですか?」など,一般の中小・零細企業さんにしたらごもっともなことをいつも助言されるのですが,反論する気にもなれないくらい我々の理念とはほど遠いことがわかります.それはある意味,社会の一般常識との隔絶を意味しているのかもしれません.
象徴するのが今期の財務評価.うちのような業態の事務所は,販売業のように商品を在庫したり,商社のように物を右から左に流すような仕事ではなく,またもの作りといっても大工さんのように資材を買わなければ何も出来ないという仕事でもないので,経営上のリスクは本質的に少なく,ちょっと黒字化しただけで評価上は非常に好評価がつくことになります.
ではどこに投資しているかというとマンパワーで,自分の力とスタッフ力だけがすべての資本です.だから,当然のことながら少ない人数でたくさんの仕事をこなせば生産性は飛躍的に上がるのは目に見えています.ところがうちの生産性評価は「1」.
つまり平たく言うと「スタッフがこれだけいたら本来ならもっと仕事はこなせるし,もっと売り上げは上がらなくてはおかしい」ということです.そこで前述のような税理士さんの助言につながるわけですが,ごもっともとは思いつつもそれをやらないのは,「そんなことはしたくない」と思っているからです.
私はすべての仕事にスタッフと二人三脚で,最初から最後までがっつりと関わりたいと思っています.図面も描くし現場だって行きます.だから一度にたくさんの仕事はこなせず,それがお施主さんをお待たせしてしまっている大きな原因のひとつにもなっています.
そして自分が本意ではないことはやりたくないから,下請けの仕事はやりません.自分が本意ではないことには責任が持てないと思うからです.相手の顔が見えないのに,どうしてその人の生活を思い描くことができるでしょうか.
評価書の最後にはこうありました.「人員を削減して,生産性の向上に努めて下さい」
はいはい,ごもっともでございます.なんならこの先,万年ここの評価は「1」のままでいいかなと思っています.
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