昨日はタニタガルバコンテストの授賞式があり、私は受賞者として、ではなくシンポジウムのモデレーター(司会)として呼んで頂きました。立ち位置は田原総一郎、もちろんこの役回りは初めてです。

テーマはずばり、建築と板金。どんだけコアなんだっていう。冷や汗かきながらも、なんとか乗り切りました。

受賞された山崎壮一さん、また成瀬・猪熊さん、おめでとうございます!どちらも素晴らしく、とても印象的な作品でした。

また、建築家の伊礼さんにもほぼ初めてお会いすることができました。もっとも、初めてという気はしませんでしたが笑

タニタさんらしい、アットホームで楽しい表彰式でした。今日はお呼びいただきありがとうございました!(来ていたOZONEスタッフさんからも司会業の打診を…。あまり知られてないかもしれませんが、私実は設計もやるんです)



友人の一人が新国立競技場のプロジェクトに関わっていた。私は一人の友人として、彼の仕事が無事成就し、オリンピックの開会式を誇らしい気持ちで眺めることを楽しみにしていた。

新国立競技場建設計画の白紙撤回は至極当然であろう。国民の一人として心からそう思う。人はこれまで費やしてきた時間や費用、熱量が大きければ大きいほど、それらとの決別は難しくなる。ギャンブルと同じだ。それを断ち切れたことは、たとえそれが安保絡みの国民の反感を逸らすためだったとしても、英断だと思うし評価に値すると思う。

しかし私は建築に生きる建築人だ。
このニュースに安堵したと同時に、この計画の実現に向けて関わってきた多くの建築設計関係者の努力と膨大な労力を思うと、いたたまれない気持ちになる。そして友人の顔が浮かぶ。

彼らは一様に、この苦しい局面を乗り越え、晴れがましいオリンピックの開会式をいつか家族とテレビで眺める瞬間を夢描いていたに違いない。「このスタジアムの屋根はね、お父さんが設計に関わったんだよ」と我が子に語りたかった人もたくさんいただろう。

オリンピックがアスリートにとっての祭典であるならば、そのメインスタジアムの建設は建築人にとってのオリンピックであろう。ザハではない、安藤さんでもない、そんな市井のこのプロジェクトに関わった設計者たちの顔が私には浮かんでしまう。

もっとも彼らとしても、出口の見えない遂行困難な仕事を前にしての中止の報は、もしかしたら感情が落胆よりも安堵の方向に働いたことも想像に難くないが…。

しかしここから私のもう一つの懸念がはじまる。

着工直前まで行っていた計画が白紙化されて、残る時間で設計をやり直さなくてはならない。設計といったって、ニュースで流れるようなパースの絵を作るようなことではない。

何百枚という実施図面をゼロから描き直すことを意味するし、行政との折衝、技術的な解決もまた一からやり直しである。これはもう途方もないことなのだ。フルマラソンを走り終えたら、ここは折り返し地点ですよと言われたようなものである。報道のコメンテーターが、いとも簡単に設計がやり直せるようなことを語るとき、私はなんとも言えない違和感を感じてしまう。

さらに詰まった工期で、施工会社は必ず完成させることを迫られるだろう。そこに思いを馳せた時、この計画の真に殺人的な側面を思い知る。友人が再びこの災禍に巻きこまれることのないことを祈る。

これからの流れを予測してみよう。

政府は半年以内に代案の選定を行うと言っている。代案、おそらくは建築家は外されるのではないかと思う。この火中の栗を拾える建築家などいない。また国民にも決定的な建築家不信の根が植え付けられてしまった。

政府は二度と同じ過ちを繰り返さないために、そして限られたスケジュールで確実に予算内で納めるために、おそらくは”置きに”行くだろう。つまりもう冒険は冒さないということだ。

政治的に考えるならば、今回のザハ案の実施設計を行った日本の大手組織設計事務所がJVでその設計に当たるのではないか。きっと彼らには今回の件で膨大な技術と情報の蓄積ができているだろうから、最適解をどこよりも早く提示できるはずだ。

しかし一方で、経緯からいって社会からこれほどまでにバッシングを受けたプロジェクトだけに、きっと彼らも”置きに”行く。日本人が最も得意とする設計手法「事なかれ主義的建築」になるのではないか。

そしてそれが発表される。するときっと世間はこう言うのだ。
「なんかさあ、つまんなくなっちゃったよね」
「折角のオリンピックなのに、華がないんだよなあ」

一方のゼネコンは、開会式が1年後に迫る段階になっても竣工が見えず、苛立った政治家からきっと証人喚問を受けることになるだろう。

あらたな国立競技場問題「終わらない工事、どうする?」

私はそんな政治に振り回される、ザハではない、安藤さんでもない、市井の建築人達の身の上を案じて止まないのだ。

author
sekimoto

category
> OPENHOUSE
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



狭小敷地に建ペイ率いっぱいに家を建て、余白に駐車場を設ける。
こうした典型的な都市住宅の建て方に対して、これまで使われることのなかった駐車場の上空についても目を向けて、その有効利用に踏み込んだ住宅です。

ダイニングから大きく道路側にはね出した2mのバルコニーは、この住宅唯一の庭であり、ダイニングの一部でもあります。内部は小空間を積み上げたようなスキップフロアによって構成されています。随所に設けられたニッチのようなスペースは、ジャングルジムのように子供たちの格好の遊び場になるでしょう。

ロフトを含め、延べわずか21坪の空間に、家族4人が暮らすのに十分なスペースを設えました。隅々まで使い切った最大気積の家です。


【はねだしテラスの家】オープンハウス(内覧会)
日時:2015年7月25日(土) 11:00~17:00 ごろまで

☆建築関係者のみならず、一般の方も自由にご見学頂けます。
☆お引渡し後の内覧会となります。小さいお子さんをお連れの方は、お渡しする手袋着用の上どうか手を離さずご見学下さい。
☆ご近所の方のご見学はご遠慮ください。

場所:埼玉県新座市
東武東上線『朝霞台駅』よりバスで約8分


見学ご希望の方にはご案内をお送り致します.関本までメール下さい.
riota@riotadesign.com

author
sekimoto

category
> STAFF
> 仕事


このたび、新スタッフを募集させて頂くこととなりました。

〇募集: スタッフ1名
〇入所時期: 2015年9月(予定)



【労働条件】

・給与:
面談時にお伝えします。ただアトリエで働くということがどういうことか、とりあえず理解して応募してください。ただしボーナスは(業績次第ですが)一応ありますし、スタッフには一人暮らしをしている者もいます。

・交通費: 全額支給

・手当て: 休日出勤手当あり

・勤務時間: 月~金 9:30~18:30まで

・休み: 土日祝日/お盆休み/お正月休み (+有給制度あり)
ただし担当する住宅の施主打合せなどが土日にかかわらず随時入りますので,その場合は基本的に仕事優先でお願いします.ただしその場合は手当が付きますし,打合せも半日程度で終わります.

・残業:
なかなか18:30きっかりには帰れないかもしれませんが,自分のやることが終わっていればそれも可能です.平均的には20~21時ごろまでやっているスタッフが多いです.(というか早く帰ってください)

・徹夜: ありません

<今回求めているのは以下のような方です>

ずばり【即戦力】

1.現在設計事務所等にお勤めの方(中途採用)
2.過去に設計業務に携わっていた方
3.実務経験はなくとも、上記に準ずる能力を持つと認められる方

こちらは即戦力を求めていますので、スキルを重視します。資格の有無は問いません。CADはもちろん、設計から現場監理まで一通りのことができる人であれば尚可です。過去に携わってきた業務経験にかかわらず、弊社の業務方針にて、図面の描き方から業務の遂行に至るまで一から指導します。


条件が合いそうな方とは面談させて頂き,本人の意欲と我々との相性,スキルなど鑑みて相応しいと判断した方を1名のみ採用致します.別に早い者勝ちなどはありませんが,希望者が一定数を超えましたら一旦締め切らせて頂きます.

将来の夢や目標を明確に持っている人,とにかく建築が好き!という方は是非門を叩いて下さい.

【ご応募のながれ】

まずはメールか電話にてご連絡ください.その後履歴書を郵送して頂き,基本的な条件に適った方とは追って面接日を設定してお会いさせて頂きます(平日or週末).条件にぴったり来る方がいれば仮採用させて頂き,研修期間を経て本採用と致します.

メール: riota@riotadesign.com
TEL: 048-471-0260  担当: 関本まで

今日はちょっとしたウェブ媒体の取材のためにトンガリの家へ。

降って湧いたトンガリ祭り。トンガリの家に通うのは、ここ1ヶ月でもう3回目くらいになるでしょうか。取材やら食事会やらが続いているせいですが、いつ行ってもYさんご夫婦は明るく迎えて下さいます。

さて、そんな竣工してからも通い詰めているトンガリの家ですが、いつも感心させられることがあります。それは家の”住みこなし力”について。


正直言って、Yさんのお宅は物が多いです。いつ行っても至る所に物が溢れています。でも、なんかセンスが良いんですよね。

Yさんの家に行くと、私はずっと棚ばかりを眺めてしまいます。そこにはいろんなものが飾ってあって、でもそのどれもがとっても愛情に溢れていて、家族の歴史がそこに刻まれているのです。


奥様はテキスタイルをやっておられたということで、どうも”織られたもの”がお好きなようです。家の至る所にはラタンや木で織られた籠が所狭しと置かれています。

ただこれも、家を建ててからお店でまとめて買ってきたという体ではなく、これまでにいろんな場所で、気に入った籠に出会うたびに一つ一つ買って増えてしまったという感じで、証拠にどれも形が不揃いでデザインも微妙に異なります。でもこれがまたいいのです。



ベッドのリネンも季節によって変えているようです。ソファのクッションも北欧のテキスタイルでまとめられていました。柄が同じで形が違うものもありました。

トンガリの家に来ると、幸せな生活というのは好きなものに囲まれて暮らすことなんだな、ということをあらためて感じます。先に書いたように、おしゃれな家を建てたからといって、慌ててセレクトショップで買い揃えたのではなく、これまでもYさんご夫婦は美しいものに囲まれて生活されてきたのでしょう。

しかしこれまで、その生活を納める器だけがなかった。それらが我々の設計した住宅の隅々に納められ、その居場所を得たように感じられたのは設計者冥利に尽きることです。


うちのクライアントの中には、本当に物を少なくして、竣工写真のままの状態でいつまでも暮らして下さっている方もいます。本当に頭が下がります。

それもまた家に対する愛情の表れだと思いますが、一方で家族の思い出や歴史のいっぱいに詰まったものが、部屋いっぱいに飾ってある家というものも良いものです。大切なのはぶれないことで、好みの統一がなされている空間というのは、物が多くても決して雑然とはしないものです。私はこういう生活感のある空間も大好きです。

最後に外部の植栽。竣工時にはまだまだ寂しかった道路際は、イイ感じに草花が育っているようでした。思い入れがあり移植した花梨の木も、今年も大きな黄色い実をつけてくれたそうです。