さて、以前よりこのブログで経過をご報告してきましたタニタプロジェクトも、いよいよ最終章に突入です。(タニタさんからも、ようやく”モザイク”解除の許可が下りましたので、このブログでもようやくその全貌が明らかとなりました!)
【これまでの経緯はこちら】
・タニタプロジェクト(会社訪問編)
https://www.riotadesign.com/blog/11398.html
・タニタプロジェクト(作戦会議編)
https://www.riotadesign.com/blog/141031.html
◇
そもそもこのプロジェクト、昨年竣工の「竹林の家」に取り付けた”くさり樋”がうまく機能せず、水をまき散らしてばかりいるといったクライアントからのご指摘から、タニタさんが当時試作をされておられた新型のくさり樋を、特別にモニタ使用させて頂くことになったという経緯で現在に至ります。
ここでもたびたびご紹介しているように、タニタ(正式にはタニタハウジングウェア)というのは雨樋のメーカーさんなのですが、社長以下社員は皆情熱の塊のような会社です。うちのような設計事務所のオープンハウスにも、毎回社長以下3~4名の社員が見学に来て下さいます。もちろん休日にですよ?そんなメーカーさん聞いたことがありません。(しかも社長は毎回自転車でやってくるというのもオドロキです)
それはさておき、ようやく試作品が上がってきました!
交換の前に、まずは現在のくさり樋の持つ問題点から。
はい、見ての通りです。
なかなかモダンなくさり樋なのですが、くさりを伝った水が、その勢いそのままに外側に飛び散ってしまい、なかなか真下に落ちてくれません。結果、床の上はこのようにビチャビチャになります。カタログだけでモノを選んでしまうとこういうことが起こります。これには我々も深く反省するところです・・。
次にタニタの試作品を取付けてみました。
え?これって水流れているんですか?
ハイ、流れていルンです!(川平慈英風に)
飛び散りゼロです。これにはびっくりです!
よく考えられた製品というのはこうも違うんですね。で、この写真からは伝わらないと思うんですが、これすごくいい音がするんです。サワサワサワ・・って。
あぁ雨の音ってこういう音なんだって思いました。そして雨粒が整理整頓されて、まっすぐ下に落ちていく様は本当に見ていて飽きません。雨粒がね、キラキラしてるんですよ。雨をタテ樋に隠してしまうなんて、なんてもったいない行為なんだろうとすら思います。
でですね、私が本当にイイなと思ったのはそれだけじゃないんですよ。
タニタの担当者である岡田さん、関口さんと打合せをしていた時に、他の試作品も見せて頂いたんですね。で、他にも凝った形状のくさり樋はあったんです。でも今回のサンプル品はその中でも一番シンプルなやつでいこうということになりました。正直、私は単体では別の凝った形状の方でも良いかなとも思っていたんです。
でもこっちで正解でした。
すごくしっくりはまるんです。もともと建物の一部であったかのように馴染んでいました。大きさもちょうどいい。主張を抑え建物に寄り添う、とても品の良いデザインです。これならどんな住宅にも合うのではないでしょうか。
とまあベタ褒めなわけですが、今回は本当に良いものを見せて頂きました。開発には直接関わったわけではありませんが、末席ながらその開発プロセスに関わらせて頂けたことを光栄に思っています。
本プロジェクトに気長にお付き合いして下さいましたクライアントのIさん、お時間かかってしまい申し訳ありませんでした。そして、快く協力を申し出て下さいましたタニタの谷田社長、そして担当の岡田さん、関口さん、その地道な努力と誠実な対応には頭の下がる思いでした。本当にありがとうございました!
◇
最後にですが・・
このくさり樋は現在製品化に向けて、実際に動いているそうです。発売予定の時期などはしかるべき時期にタニタさんより発表があることと思います。
ただタニタさんにご迷惑がかからないように申し上げておきますと、今回ご協力頂いたくさり樋はすべてサンプル品であり、まだ製品化されていませんので、このブログを見たからといって、タニタさんから同製品をお出しすることは現時点ではできないようです。
また写真に写っているモデルも試作品ですので、実際にこの通りのものになるかは私にもわかりません。どうかタニタさんからの製品リリース情報を首を長くしてお待ち下さいますよう。
ご協力:
株式会社タニタハウジングウェア
http://www.tanita-hw.co.jp/
本日FPの引渡しがありました。
しかーし!まだまだ終わりません。ここはこうしよう、ああしよう。クライアントとの”より良くする”ための議論に終わりはありません。
来週も相も変わらず現場に通うことになりそうです。
堀尾建設さん、巻きこんじゃってごめんね笑
ついこの間「西荻の家」を引渡したばかりですが、気が休まる暇はありません。昨日は川越の「FP(S邸)」の施主検査がありました。
私はこの住宅を建築ではなく”工芸品”と呼んでいるのですが、板金とシナベニヤだけでできている住宅ですが、神のような施工精度です。このことについては追々書きたいと思います。
今日の奥様の名言「わーオープンハウスみたい!」
オープンハウス見に行って、一番気に入った家に実際住めちゃうみたいな。なんだかほのぼのしました。
ダメをチェックするつもりが、次々と細かいディテールを発見して「これがいいよね」「これだけを肴に一杯いけるね」とデザイナーのクライアントとの話はいつまでも尽きないのでした。
スタッフの吉里くんが今月末(つまり今日)を最後に、事務所を離れることになりました。
といっても正確に言うとまだ退社ではなく、仕事のプラットフォームを自宅(分室)に移すというだけで、引続き7月竣工予定の「はねだしテラスの家」の完成までは、弊社監理スタッフとして働いてもらいます。
というわけで、私は来週も現場で彼と顔を合わせますし、正直実感はないのですが、彼のガランとしたデスクを見るとちょっと寂しくなってきますね。
彼はうちの事務所に来てもう3年になるでしょうか。うちに来たときから、すでに仕事のキャリアも実力も申し分なかったので、わざわざ苦労してうちで働かなくていいんじゃないの?という話をしたのを覚えています。
子供までいる彼は、毎朝子供と電車に乗り、途中下車して預けた自転車で託児所に送り、そこから再び出勤するという毎日を送っていました。そして誰よりも早く出勤し、誰よりも早く帰る。彼の描く図面は緻密かつ正確、そして手も早いので「もうできたの?」と驚かされることも多かったです。うちにとっても貴重な戦力でした。
この3年間で彼が担当した住宅は7件。先日竣工した「西荻の家」も彼の担当になります。特に西荻などは”緻密の極み”のような仕事でした。まさに彼には適任の仕事だったような気がします。
前述のように、まだまだ弊社スタッフとしての仕事は続くので、終わりではないのですが、まずは切りが良いところで「お疲れさまでした!」と送り出したいと思います。
うちを離れるスタッフは、他社への転職ではなく、ほとんどが独り立ちしてゆきます。修業時代の終着点としてうちを選んでくれたことは、いつも嬉しくありがたく思っています。彼にも彼なりに考える人生プランがあるようですが、他のOBスタッフ同様、これからも応援してゆきたいと思います。
本日、快晴の空のもと「コートテラスの家」が上棟しました。
躯体が見えるなり、思わず声を上げました。本当に美しい躯体です。
上棟した姿を見ると、我が子が誕生したようにいつも感じます。そしてこう思うのです。「やっぱ、うちの子がいちばん可愛いな!」と。ただの親ばかですね。
子どもは生まれたときに全て備わっているといいますが、住宅の上棟にもまたそう思います。上棟には全てが備わっている。これまでの軌跡も、そしてこれからの道程も、すべてここには折り込まれているのです。まだそれが目には見えないというだけで。
だから美しいのだと思います。何もないけれど、すべてがある。
子どもの成長を願いながらも、いつまでも子どもであって欲しいと願う矛盾した親の気持ちを、私はつい上棟した純粋な躯体に重ねてしまうのです。
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