我々の活動の原資となるモチベーションには、誰にでもわかる「わぁすごい」と、わかる人にはわかる「おぉすごい」とがあるような気がしています。

昨年11月に竣工した「越屋根の家」の向かいに改修設計をした納屋が完成したタイミングで、タニタハウジングウェアの皆様をご案内させて頂きました。様々な切り口のある建物ですが、その一つの切り口である「板金」という側面について、わかる人に見てもらいたかったからです。

谷田さんを通じて希望者を募って頂いたら、17名もの社員さんがお越し下さいました。「今日は休みなんですか?」と思わず聞いてしまったのですが、バリバリ営業中とのこと。お忙しい中会社をもぬけの殻にさせてしまい申し訳ありません!

しかし、自社製品とはいえ、こんなに嬉しそうに外装のZiGをご覧下さる様を見て、ご案内の機会が設けられて良かったと思いました。



メーカーさんは時に誰のために製品を作っているのか、見失う瞬間があるような気がするのです。届ける先はどこなのか?工務店なのか、設計事務所なのか。発注先や採用権者に届けるのなら工務店であり、設計事務所なのでしょうが、我々がそうであるように、本当に届けなくてはいけないのは依頼主である建主さんであるはずです。

そんな当たり前の事実と、実際の建物の佇まいがどうであったかを胸に刻むことは、きっとその後の製品開発にも活きてくることと思います。

この日の最後の懇親会ではそんな熱い会話が飛び交う場となりました。また初対面であった真壁智治さんにもお越し頂き批評を頂けたことも励みとなりました。取り仕切ってくださった代表の谷田泰さんにも感謝です!こちらもありがとうございました。

24. 04 / 28

北海道の敷地へ

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sekimoto

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> 仕事
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だいぶ前より「進行中の案件」のページに北海道北斗市の案件予定を載せていたのですが、いつも細かくチェックして下さるうちの建て主さんなどから、会うたびに「北海道の仕事があるんですか!?」と聞かれていました。北海道の仕事、なんだかわくわくする響きですよね!

はい、北海道の敷地での計画のご相談を一年以上前から受けていました。

ただ敷地は既にあるのですが、じゃあ明日見に行ってきますね!というわけにもいかず、また諸般の事情もありずっと水面下で半凍結のようになっていたのでした。ようやく雪も解け、晴れて現地調査に出かけることになりました。(実は先月行く予定だったのですが、予定日にまさかの雪予報となって延期になったのでした)


場所は北斗市というところで、函館に隣接する街です。じつはこの街には新函館北斗駅という北海道新幹線の駅があり、私の所からは大宮駅から新幹線をつかって一本で行けてしまうのです!

新幹線で行く北海道、、これまたシュールでインパクトのある響きですよね。プラットフォームの案内板にも、新函館北斗の文字が。

実はその気になれば日帰りすら出来てしまうのですが、この日ははじめての現地入りで役所調べもしたかったので、前日の夕方からスタッフを伴って現地入りをしました。




初の新函館北斗駅は、おもいのほかの立派な駅!やや殺風景な北の大地に、ここだけものすごく近代化しているような印象でした(失礼)。

駅にはなぜか北斗の拳のケンシロウ像が!?同じ「北斗」つながりということのようですが、駅の名前の由来ではないようです。


駅前や駅の売店、また市役所などにはこの謎キャラであふれていました。

名前は「ずーしーほっきー」というらしいです。要は「ほっき寿司」のキャラクターのようで、その見た目のインパクトから一度見たら忘れられません。正直キモい…夢にも出てきそうです。

それもそのはず。こちら「一目みたら忘れられない☆ご当地キャラクターランキング」で栄えある第一位も獲得したみたいです。姿はキモいですが、市のアピール効果は絶大ですね!
https://www.seikatsu-guide.com/rank_minna/result/9/?fbclid=IwAR2F9Uql5rJD6lBD_eP8eZ6uCmyjn_KwSaDuo6FdXuPgWdiSmNaqP8lqEdQ


そしてようやく夢にまで見た幻の?敷地にもご対面!

ひ、広い…。

といいつつ、ここでも諸般の事情があり、建てられるエリアはかなり絞られそう。制約とは無縁のように見える敷地には実は無数の制約がかかっていて、その網の目をかいくぐるように計画を進めることになりそうです。

また長いプロジェクトがはじまりそうです。この遠距離を楽しみながら進めたいと思います!

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sekimoto

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> 仕事
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金曜日は、昨年11月に竣工した川越の「越屋根の家」にお招き頂き、約3年にも及んだ大プロジェクトが、二期工事の納屋改修工事も含めて完了したことを祝って打上げをさせて頂きました。

越屋根の家は、川越の芋掘り農家さんの母屋の建替え計画として2021年に始まりました。敷地も広く、同じ敷地内に複数の建物が建つことから申請もこれらを含めて整理して進める必要がありました。また建て替えのため、建て主さんもいったん脇に建つ事務棟に住まいを移して仮住まいにしたり、歴史ある母屋の解体にあたってもその整理など、建て主さんにとっても大変な作業があったことと思います。

ひとつひとつ整理しながら進めた計画は、気づけば二度の芋掘りシーズンをまたぎ、途中弊社の担当者も三回も変わり、三度目の芋掘りシーズンにようやく母屋が完成しました。その完成のオープンハウスのことは昨年のブログに書いたとおりです。


建物が竣工してしばらくしてからこのようにお招き頂くと、実際の空間がどのように使われているのか、どのような使用感であるかがよくわかってとても勉強になります。

我々はコンセントの配置ひとつとっても、所内で生活のシミュレーションを尽くして設置しているのですが、すべてのコンセントが欲しいところにあるのに驚いたといったコメントや、各所の寸法が緻密な計算と想定によって決められているのですが、それを実感することが日々あってまだまだ発見がありそうとのこと。

家にいらっしゃる方や、通りすがりの方、近所の方にとにかく家を褒められまくるということで、これも毎回とても嬉しいのだそうです。そんなお話をお聞きし、設計者としてもこの上なく嬉しく幸せな気分になりました。


食事後に場所を移してラウンジでくつろぐも、こちらもなかなか立てなくなる快適さ!特注で作ったローテーブルもイイ感じのサイズで、空間にフィットしていました。猫もご機嫌で歩き回っています。

いろんな場所に居場所があるというのは、やっぱりとても良いものですね!意識して設計をしていましたが、やはり検証してみると実感に落ちていきます。



中庭のライトアップも最高でどこかの高級旅館に来ているみたいでした。お風呂上がりにくつろいでみたい!またこのデッキテーブルでも、夜お酒が呑みたくなりました。次はビアガーデンか!?

大工造作で作りましたが、ベンチの造りも含めて良くできています。自画自賛です。また同様にバスガーデン付きの浴室も最高でした!


夜道を歩いていたら、こんな家があらわれたら二度見しちゃいますよね。夜はなんだかとっても不思議で、幻想的な佇まいになる家です。

スタッフ共々、夜遅くまで根っこが生えて居座ってしまいました。建て主のAさま、このような機会を設けて下さり本当にありがとうございました!本当に幸せな時間でした。

そんな越屋根の家も、来月には竣工撮影の予定です。また違った表情を納めたいと思います。こちらも楽しみです!!

24. 04 / 08

矢嶋くんの仕事

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sekimoto

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> STAFF
> 仕事



元スタッフの矢嶋くんによるマンションリノベーションを見せて頂いた。

ひとつ前の戸建てリノベーションでは、独立間もなかったこともあってリオタデザイン色を強く感じたけれど、熊澤さんとの仕事も彼にとって良いアク抜きになったようだ。素材の丁寧な使い方や外部との繋げ方に彼らしさを感じた。それがとても良かった。

どんなに上手く納まっていても、オリジナリティのない空間には価値がない。その人でなくてはできない空間をやらなかったら独立した意味がないと思う。彼のこれからが楽しみだ。

矢嶋宏紀|ヒロヤジマ・デザイン
https://hiroyajima-design.com/

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> 仕事
> 思うこと



先だって某所でセミナーを行ったときのこと、とある工務店さんから納まりについての質問を受けた。うちでは一般の工務店さんがやらないような素材の納め方をすることも多いので興味を持って下さったようだ。

しかしうちの納まりは手が込んでいるようでいて、実はほとんど図面指示はしておらず、現場で職人さんと筆談のようにスケッチを交わしたり、過去の写真を見せながらイメージ共有をしていることが多い。だからどうやって納めたのかと訊ねられても、その施工の詳細については正確に答えられないことがほとんどだ。

だからより良いものをつくるためには、現場で職人さんのハートに火を付けるような言葉をかけながら作るんだという話をすると、「うちではそういうことはできないんです」という答えが返ってきた。効率重視の設計施工型ビルダーでは、理不尽に手間がかかるような納め方は職人さんに露骨に嫌がられてしまうのだそうだ。

確かに素地として、決まりきった素材や納まりで手早く作ることを良しとしてきた職人さんにとって、思いつきでいきなり時間のかかる面倒くさいことを言われたら拒みたくなるのも人情だろうと思う。そんな場面に触れると、我々が日頃向き合っている建築のつくりかたは、いかに純粋にもの作りと向き合った取り組みであるかがよく分かる。

そんな風に向き合ってくれる工務店や職人は時代と共に減る一方だけれど、我々とチームを組んで下さる工務店さんはどこもそんな気概に溢れ、それを思うといかに我々は恵まれた環境で仕事をしていることかと感じる。




我々のような設計事務所は施工部隊を持たない。純粋に設計と現場監理だけを行い、施工は工務店に請け負ってもらうことになる。

一般的に言われる設計専業事務所のメリットは、設計と施工を分離させることで建築主の立場や利益をまもり、第三者の視点で適切な現場監理が行えることなどが挙げられる。しかし、どうもそれだけじゃなさそうだ。

我々が施工を行わない専業の設計者であるということは、現場においても一定のアドバンテージを持つことになる。それは立場だけではなく、その言葉が現場でもとても強い影響力を持つのだ。

設計者の意志ある言葉やこだわりは、時に「わがまま」とも受け止められることもあるかもしれないけれど、それが心に届けば現場の職人を発奮させる起爆剤にもなる。実際現場に行くと、私がそうしてくれと頼んだわけではないのに、先回りしてより繊細な納まりにしてくれていることも多々ある。

そんな部分に気づいて職人さんに声をかけると「関本さんの現場なので」という言葉が返ってくる。私がどんな反応を示すか思い浮かべながら作っているとも。自分ではそんなに難しいことを言っているつもりはないのだけれど、どうも現場の受け止め方は違うようだ。


我々の現場の神施工の職人さんたちは、大変そうだけどいつも楽しそうだ。自分の持てる技術を惜しげもなく使い、それを超える納まりを模索し、乗り越えてまたひとつスキルアップする。これこそが仕事の醍醐味であり、ものづくりの本懐ではないかと思う。

これはもしかしたら私が設計専業でずっとやってきていることとも無縁ではないのかもしれない。施工部隊を持たないことが施工に対する自由度を生み、施工者にとっても自社案件にはない飛躍の機会と捉えてくれるとしたら、ものづくりにとって、また設計者施工者双方にとって、この上ない幸せのかたちではないだろうか。

それはもちろん設計施工型のつくりかたを否定するものではない。コスト高や設計施工型ビルダーの勢いに押されている我々設計事務所にとって、これは大きな希望になる生き残りの道ではないかと思えるのだ。