こちらのブログでも告知をしていましたが、一昨日はJIA住宅部会による中村拓志さんのオンラインセミナーがありました。事前登録では約380名ほどの登録者となり、当日参加者は290名ほどでしたが、盛況かつ大変内容の濃いセミナーになったと思います。

セミナー配信は建築家会館大ホールより、支部で購入した最新の配信機材を使った初のセミナーとなりました。住宅部会の中澤さんはじめ、多くのメンバーのノウハウを結集し、滞りなく終えることができたこと、この意味は大きいと思います。

また中村拓志さんのお話が素晴らしかった!スライドもため息をつくような美しさでした。その後のセッションでは、私がモデレータを務めましたが、日頃から聞いてみたかったあれこれを直接聞けて、また納得のゆく答えも頂くことができました。

このような企画のご提案を下さった、部会長の中村雅子さんにも心よりお礼申し上げます。ご参加下さった皆様、ありがとうございました。そして関係者の皆さま、お疲れさまでした!


21. 11 / 08

分相応

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sekimoto

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「分相応」という言葉を聞くたびに、いつも考えさせられる。

「分相応」の意味を引くと「その人の能力・地位にちょうどふさわしいこと」とある。しかし、その人の能力や地位にふさわしいものって一体何だろう?

家づくりの際にもこの言葉はよく使われる。たとえば収入の安定しない若い建て主さんにとっては、時に我々のような設計事務所に頼むことは、「分不相応(=贅沢)」であるとも考えられがちだ。

けれど、その人がこの先も出世することも所得も上がることもなく、現状維持のまま一生を終えるのであればその通りかもしれないけれど、多くの場合はそうではないだろう。(と信じたい)

人生は常に希望に向かって進むものだ。私はその人にとって今が「分相応」であるかよりも、この先その人がなりたい自分になったとき、それが自分と釣り合っているものであるかどうかのほうがもっと大事なことだと思う。もう少し言えば、その器を先に作ることで、その人はなりたい自分になってゆくのではないだろうか。

子育てにおいても、子供に贅沢をさせるべきではないという意見がある。それは正論だし、ある意味正しいとも思う。苦労もなく簡単に良いものが手に入ったとしたら、その子はそれを手に入れるための努力やプロセスの尊さを学ぶことができないからだ。

しかしこうも言える。それなりに値が張るものには、相応の機能やしっかりと手間をかけた工程があって、作り手の創意工夫やデザインがそこに込められていたりするものだ。

世の中には、そうした本物に触れることでしか得られない学びというものもあると思う。それを贅沢だからといって与えないよりも、時にはそこに下駄を履かせることも教育なのではないだろうか。

人生とは未来への投資そのものだ。身の丈に合った生き方と言えば聞こえは良いけれど、少し背伸びをして、指の先がぎりぎり触れることが出来る選択肢を選び続けることにもまた意味があるように思う。

「分相応」という言葉のもとに、きっと辿り着けたであろう未来を簡単に放棄して欲しくない。余計なお世話だろうけれど、この言葉を聞くたびにいつもそんなことが頭をよぎる。

21. 11 / 07

すべて正解

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sekimoto

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> 仕事
> 思うこと


少しまえに面談で言われたことがあって、一般のクライアントさんから見るとうちはとてもデザイン性の高い住宅を作る設計事務所で、性能(断熱など)のことはあまり聞いてはいけない印象があったという。

へぇそうなんだ。とても意外。

うちは断熱のこともちゃんと考えているし、そしてもちろん耐震のことも。進行中のクライアントさんなら皆さんお分かりのことでしょう。

もちろん、我々もデザイン性の高い美しい空間にしたいと思っているけれど、雑誌の表紙を飾るような突き抜けたデザインはあまりやらないので、自分の中ではうちはデザイン的には「ちょっと弱い」とすら思っていたりする。

外から見た印象はずいぶん違うのだとあらためて思った。

また私のブログをよく読み込んで、気に入ってご依頼くださる方も多い。もしかしたら、外から見たら自分はずいぶん「いい人」に見られているのだろうか…。

それを言われると、いつもとてもプレッシャーで、いつ自分の「素性」がバレるかとはらはらする。いつも近くにいるスタッフは、優しくない私をたくさん知っている。「いい人」だけではこの仕事はやっていけないのだ。

いい人だと思っている人には、あとでガッカリされるのが怖くて、わざと意地悪なこと言ってしまうことも。自然体でいようと心がけているけれど、どれが自分の素性なのか、正直自分でもよくわからない。

あなたから見えている私の印象、たぶんそれすべて正解です。

今年2月に竣工しました横浜市「壇の家」につき、先日ようやく竣工撮影を終えましたので写真をアップしました。以下よりご覧下さい。

[壇の家]
https://www.riotadesign.com/works/21_dan/
写真:新澤一平

今年は秋も梅雨のような長雨で、撮影日程も延び延びになってしまいました。そのうち木が落葉してしまうのではないかとハラハラしていましたが、ぎりぎりセーフでした。

、、と思いきや、撮影当日は快晴の予報のはずがまさかの雨!うそでしょ、と心が折れかけましたが、そこは新澤さんの撮影マジックでなんとかカバーして頂きました。シャープな光の差す写真というわけにはいきませんでしたが、こんな優しいソフトな光で包まれた空間もなかなか良いものです。

南側に隣家が建つため、建物を北向きに配置し、ハイサイドから北側奥のリビングまで光を取り込んだ住宅です。設計上はそのように言うのが一番わかりやすいので、対外的にはそのような説明をしていますが、この空間で最も大切にしたのは空間の奥行き感、空間のひだのようなようなものとでも言いましょうか。

あまりに抽象的で理解してもらえないと思うので、へぇそうなんだと流してもらって大丈夫です。


私が所属するJIA住宅部会にて、来月(11月)にオンラインセミナーを企画しています。

講師には、今年度日本建築学会賞(作品賞)を受賞した上勝町ゼロウェイストセンターの設計者でもある建築家・中村拓志氏をお招きし、氏の建築に対する思いやそのプロセスに迫るお話を頂く予定です。

後半には私が進行役となって、対話形式によりさらにその内容を深掘りしてゆきます


『祈りの庭と建築』
講師:中村拓志 氏 (建築家・NAP 建築設計事務所代表)

司会:中村雅子(JIA 住宅部会・部会長)
進行役:関本竜太(JIA 住宅部会・副部会長)

日時:2021年11月10日(水) 18:30~20:30(ZOOM 入室 18:15~)
会場:オンライン開催(ZOOM ウェビナー予定)
参加費:無料 (事前申込をお願いします)
対象:すべての方(JIA 会員/一般)
定員:500 名 (申込先着順)

★お申し込み/詳細は以下サイトより
https://www.jia-kanto.org/jutaku/news/2073/

ご興味ある方は、是非上記よりお申し込みの上ご参加下さい。
建築関係者でなくても、一般の方でも受講可能です!