
我が事務所も昨日ようやく仕事納めをしました。
今年の後半は特に忙しかったのですが、12月初旬でピークを迎えてからは調整業務が多く、暮れは少し安らかに終えられるかなと思っていたのですが、やはりダメでした。仕事納め当日は結局掃除もできず、納会ギリギリまでスタッフと打合せという有様、、。
そんな中、毎年恒例の納会にはOBスタッフや、お世話になっている出版社エクスナレッジからも西山さん、上野さんも駆けつけて下さいました。OBスタッフらの活躍や近況を聞くのは、私にとって何よりの楽しみです。皆それなりに社会に揉まれて活躍を続けてくれているようです。
皆さま、お疲れさまでした!
地方出身のスタッフは今頃帰省の途についていることと思います。どうか郷里でゆっくりしてください。年明けからまたばりばり働きましょう。


志木市で現在計画進行中の住宅「deco」の敷地は文化財保護地区にかかっているため、工事にかかる前には市の教育委員会による試掘調査が義務づけられています。
よく遺跡が出てくると工事が止まってしまうなどという話を聞きますが、それはこういう試掘を怠った場合(あるいはたまたま出てきてしまった場合)であって、このように計画的に試掘を行えば工事工程への影響はありません。
現地に行くと教育委員会による試掘調査がはじまっていました。するとさっそくお宝が!もとい土器が発掘されていました。縄文式土器だそうです。



さすが教育委員会、質問をするとその場でなんでも答えてくれます。古代の住居形式までいろいろと教えてくださいました。
ご存じかと思いますが、縄文式土器は縄を使って土器の表面に”縄目”の模様を付けているところから由来しています。現場の土器片にもくっきりと縄目が見えますね。
また大陸文化が入り込み洗練された弥生式土器とは異なり、荒々しくプリミティブな縄文式土器の造形は、岡本太郎をはじめとした芸術家も魅了し、日本文化の源流であるとも言われています。


ところで土器は縄文式ですが、敷地は古墳時代の住居跡に位置しています。
古墳時代といえば縄文や弥生よりも新しい時代になるわけですが、どうして同じ敷地から異なる時代の遺構から出てくるのかというと、新しい時代になっても掘り起こされなかったり、掘り起こされてもそのまま放置されていたのではないかとのこと。
つまり、我々が新しい家を建てるとき、敷地から前の住宅の解体片(いわゆるガラ)が出てくることがありますが、要は同じようなことで、縄文式土器といえども当時の住人にとっては、庭先から茶碗の欠片が出てきたような感覚でしかなく、また出てきやがった「チッ!」とかやっていたのかもしれません。あくまで推測ですが。
ところで縄文時代といえば今から2300年前まで、そして古墳時代といえば今から1500年前までの時代を差します。敷地のある志木市の柳瀬川周辺は昔の海岸線に面しており、貝塚なども多くあることから、古代から人が住むのに適していた土地だったのでしょうね。
大昔は今のように電気があればどこでも住める時代とは違いますから、外敵や天災から逃れるため、土地探しには吟味を重ね、経験的に最も安全で利便性の高い場所に集落を築いたのでしょう。そして一度集落を形成すれば、そこは何百年と(この地の場合は何千年と)人が離れることはなかったと想像できます。

今回の敷地はもともと畑や駐車場だった場所を宅地開発されて売り出されました。クライアントから依頼を受け設計をはじめた頃はこんな感じでした。なかなかの大型分譲地ですね。
それが数ヶ月前からポツポツと工事が始まり、

今ではこんな感じです。
この風景の変化はあっという間で、わずか半年もないかもしれません。
1500年前の遺構の上に、わずか半年でできあがる街並み…。
なんだか考えさせられる光景です。我々の仕事もまたそんな営みの中にあるとすれば、この地に建てる建築は人類の歴史にも恥じないものにしなくてはならないという…なんだか大げさかもしれませんが、そんな思いにも囚われるこの年の瀬でした。

deco| 2017年8月末竣工予定
16. 12 / 17
路地の家・上棟!
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sekimoto
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> 仕事
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金曜日は都内で上棟がありました。4月に新卒で入ったスタッフにとって初めての担当案件。いきなりウルトラC級の住宅でしたが、先輩スタッフにも助けられて無事現場入りです。
今日の上棟もすごく楽しみにしていたようです。初めての上棟、返ってくる反応がいちいち初々しくて、こちらもほっこりしてしまいます。
自分の初めての現場はどんなだったかなあ?


16. 12 / 12
耐摩カラーSGL
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sekimoto
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> 仕事
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日鉄住金さんのガルバリウム鋼板「耐摩カラーSGL」の新しいカタログができ、設計者としてコメントを掲載して頂きました。建築家・横内敏人さんとの並び大変光栄に思っております。
ちなみに私の自邸写真の板金は、最高の板金職人・高田さん(今は引退)による仕事なのですが、横内さんの屋根は新井板金の新井勇司さんの仕事のようです。
引退してしまった高田さんに代わる職人は新井さんしかいないと思っているのですが、現在進んでいるある現場は新井さんに板金をお願いしています。その新井さんをして「日本一難しい」と言わしめている板金外壁は、3ヶ月経った今もまだ張り上がりません…。
10月に開催されたビックサイトでの板金セミナーの反響もちらほらあり、面白そうな展開につながるといいなと思っています。

ところで、クライアントとの打合せでは「関本さんは板金が好きなんですよね?」とよく訊かれるのですが、板金が好きというより、板金はとても難しくて奥の深い仕上げなので、もしやるとすれば頑張ってしまうというだけなんですね、、。
フィギュアに例えれば、4回転が飛べるのと4回転が好きなのとは違うというか、、。
板金仕上げにすると食事も喉を通らなくなる、なんてことはありませんが笑、最近板金の現場が多くなってきたので、ちょっと緊張感が続いている感じです。
16. 12 / 08
中庭をリフレッシュ計画(後編)
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sekimoto
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> 仕事
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以前、庭石のクリーニングのことを書きました。
中庭をリフレッシュ計画(前編) (2016.11.2)
https://www.riotadesign.com/blog/161102.html
今回ようやく全面施工をして頂くことになりました。
使用薬剤はミヤキさんの洗浄剤「アクロンAB」を使用。洗浄後は浸透性保護材「アリストン」をコーティングして頂きます。施工はUGカンパニーさん。聞けば社長の原田さんはミヤキを退職されたOBなのだそうです。ミヤキ薬剤のスペシャリストです。
まずは施工前の状況です。



あらためて見ると汚いですね、、汗
樹液の影響もありますが、少しでも手入れを怠ると汚れが多孔質の石材に浸透し、カビとなってこびりついてしまうようです。年に数回家庭用の高圧洗浄機を自分でかけているのですが、こうなると高圧洗浄機でもなかなか取れません。
ここに前述のミヤキ「アクロンAB」を使って汚れを浮かしてゆきます。植物への影響を心配されるかもしれませんが、水養生といって、事前にたっぷり周辺土壌に水を含ませておくことで薬剤を希釈化し、植物も薬剤を吸わなくなるのだそうです。

洗浄が終わるといよいよ最終工程です。ミヤキ「アリストン」にて撥水コーティングを施します。一度全面塗布して乾燥させ、またもう一度塗って頂きます。
撥水効果は数ヶ月で薄れるそうですが、浸透しているので汚れが染みこみにくくなり、防汚効果は3~5年は続くとのこと。乾けば完了です。
それでは、生まれ変わった中庭を見て頂きましょう!



上の写真と比べて頂ければ一目瞭然です。
実に気持ちが良いです!
我が家は築10年目で、これまでもちょこちょこと手を入れていますが、家のメンテナンスは今や私の”趣味”と化しつつあります。自分のエイジングももはや誤魔化せない年齢に差しかかっておりますが汗、どうせ老いるなら美しく老いていきたいものです。
そのためには日々のお手入れが大切!と書くとなんだかスキンケアの宣伝のようですが、こうして手を入れてゆくとますます家に愛着が湧くのがわかります。何事も”ちゃんと”やると気持ちが良いものです。
普段見て見ぬ振りをしているご自宅の不具合やくすんだ外壁なども、重い腰を上げてリフレッシュされてみてはいかがでしょうか?
