17. 11 / 11
DECO打ち上げ
author
sekimoto
category
> 仕事
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48

今日は竣工写真撮影と兼ねて、9月に竣工したDECO(U邸)の打上げを開いて頂きました。
贈り物の価値というのは、金額や物そのものではなく、相手のことを思う時間だと誰かが言っていました。そういう意味では、我々の設計という作業はまさしく相手のことを想う時間そのものなのかもしれません。
今回建て主さんは、サプライズとして我々のために似顔絵入りのケーキをご用意下さいました。何を用意しようかとても悩んだのだそうです。あぁ、悩んで下さったんだなということがとても嬉しいですし、何よりの贈り物だと思うのです。

建て主のUさんは時計職人さんでもあります。
この日は「2/100ミリの調整」という意味や職人技術について、根掘り葉掘りお聞きしました。設計の打合せがはじまると、決めないといけないことがたくさんあるので、打合せの時間の中でお聞きできることは限られてきますが、こうして設計が終わった後のお話しというのは時間の制約がなく、とても楽しいものとなります。
私も少し職人気質のところがあるので、こういう話は聞いていてとても楽しいです。肉眼(老眼とも言いますが…)では判別のつかないくらいのネジやパーツを、特殊なレンズで覗き込んで作業する、時に顕微鏡を見ながらの作業と聞くと、指の上に乗る折り鶴を折ってしまう人の話を思い出してしまいます。

自分では体験し得ない、いろんな職業の方のお話を聞いたり、それぞれの仕事観・価値観などを聞けるというのが、この仕事をしていて一番役得だと思うことです。思えばNHKの「プロフェッショナル」とか、様々な職業人の仕事観を紹介する番組が私は一番好きだったりもします。
これは住宅設計の職業柄というより、そういうことが好きだから住宅設計をやっているのかもしれませんね。ともあれ、楽しい時間をありがとうございました。そしてごちそうさまでした!



毎年東京ビックサイトにて、JAPAN HOME&BUILDING SHOW という建材の見本市のようなイベントがあるのですが、その中の「建築知識・実務セミナー」にて今年も登壇させて頂くことになりました。
JHBS 建築知識・実務セミナー
【金属防水が可能にする 持続可能な木造の美しい外廻り】
11月15日(水) 15:30~16:30
http://www.jma.or.jp/homeshow/seminar/architecture.html
◇
昨年は「板金納まり」についてセミナーを担当させて頂きましたが、今年のテーマは「金属防水」になります。相変わらず地味なお話しばかりで恐縮です…。
金属防水と聞いてもピンとこないかもしれませんが、木造住宅で陸屋根(ろくやね・フラットルーフ)を作る場合、防水工法をどうするかという問題が起こります。
一般的には木造の場合FRP防水を使うことが多いと思いますが、FRP防水を下地を動かないように固める”剛の防水”とすると、下地の挙動を逃がす”柔の防水”が金属防水です(木造住宅で使える金属防水には、栄住産業さんの「スカイプロムナード防水」などがあります)。


陸屋根を防水に不安なく作れるようになると、デザインの幅が大きく広がります。本セミナーでは、過去の陸屋根住宅の実例を通して、どういった点に注意しながらデザインと防水とを両立させているかなどについて解説したいと思います。
◇
JHBS 建築知識・実務セミナー
会場:東京ビックサイト・東1ホール内
11月15日(水)15:30~16:30
【金属防水が可能にする 持続可能な木造の美しい外廻り】
講師:関本 竜太(リオタデザイン)
☆お申込はこちらより
http://www.jma.or.jp/homeshow/seminar/architecture.html
ご来場お待ちしております!


吉報を頂きました。
タニタハウジングウェアさん主催の「屋根のある建築作品コンテスト」の住宅部門におきまして、「緩斜面の家」が優秀賞を受賞致しました。
◇

審査結果と審査評はこちらより
http://www.tanita-hw.co.jp/about/tanitacontest2017/result1.html
応募総数はなんと321点ということで、その中の3点に選んで頂けたということは大変光栄なことです。上記リンクでは、審査委員の伊礼さんからも光栄なお言葉を頂きました。どうもありがとうございました。
◇
うちの住宅は、正直コンテストやメディア向けではないと思っています。コンテストに入賞する住宅やメディアに載りやすい住宅というのは、コンセプトが分かりやすく徹底されているものが選ばれやすい傾向があると思います。
でも一方でコンセプトを分かりやすく徹底してゆくと、その”正論”からこぼれ落ちてゆく、割り切れない建て主の思いや矛盾も出てきます。人間は理屈で割り切れるほどわかりやすい生き物ではありません。私の設計はそういうものを細かく拾いあげてゆく設計なのだとよく思います。だから焦点はぼやけるし、わかりにくくなる。
でもいろんな諸条件や建て主の思いと世間の評価とが、ロイヤルストレートフラッシュのようにピタリと嵌まる瞬間もあるのです。こんなことは長く仕事をしていてもそうは多くないし、それを求めてもいけないと思っていますが、この「緩斜面の家」はそんな私のキャリアの中でも、特にいろんなことが嵌まった私の代表作であることは間違いありません。
緩斜面の家
https://www.riotadesign.com/works/13_kanshamen/#wttl
今回のそもそものきっかけとなっている建て主Mさんとの出会いに感謝すると共に、選んでくださった審査員の伊礼さん、堀さん、そしてタニタハウジングウェアの関係者の皆さまにも心より感謝致します。

書籍の出版やトークイベントといったキラキラしたことばかりではなく、設計事務所を主宰するということは一方でとても重い責任を背負うことでもあります。
私は今年で独立して15年になりますが、それはある意味、独立して手がけてきた住宅が一斉に10年以上もの時間の洗礼を浴びてゆくことも意味します。最近では過去に手がけた住宅の改修や、ちょっとした”困った問題”についてのご相談を受けることも多くなってきました。
困った問題…。
ひとつはわかりやすく雨漏りですね。あってはならないこととはいえ、建築の仕事をしていたら避けては通れない問題です。経験のなさは、ある意味先鋭的な仕事を残す原動力にはなりますが、一方で…。
あの頃私は若かった、とばかりに言い訳をしていてもはじまりません。
雨漏り対応は本当に大変です。施工は一瞬ですが、そこにミスやボタンの掛け違いがあった場合、そのボタンをひとつひとつ掛け直してゆく作業は、途方もない手間と時間がかかります。我々も原因を究明するために、現場にも何度も何度も足を運ばなくてはなりません。
逆に言うと、この雨漏りを経験すると「もう絶対に嫌だ!」と思いますから、設計にも監理にもより一層注意を払うようになります。もちろん若い頃だって払っていましたよ。でもだめです。建築は圧倒的に経験がものを言うのです。
経験って何の経験だかわかりますか?ここでは失敗の経験のことを差します。
ちなみにこの案件、まだ原因特定に至っておりません。じわじわと犯人を追い詰めているのですが、「犯人は、、お前だ!」とやった後に冤罪が確定したりして、肩すかしが続いています。でも背中は見えているといったところでしょうか。
雨漏りだけではありません。今別件で対応しているのは床下の漏水です。ある日床下点検口を開けたら、床下が海のようになっていた…という恐ろしいケースです。
これはかれこれ半年がかりで対応を続けています。なかなか原因が掴めず、迷宮入りしかけていたのですが、ようやく糸口が掴めました。銅管です。
当時設備工事屋さんが給湯配管に銅管を使っていたようで、これが劣化してお湯を大量に漏らしていました。なぜ今までわからなかったかというと、配管が水に浸かっていて、漏れているかどうかが判別できなかったからです。
水をどう掻き出したかわかりますか?これはもう語りたくもないです。本当に、超~大変だったんですから!だからここでも誓いました。床下なめたらいかんと。皆さん、ちゃんと床下にも潜れる設計にしないとダメですよ!
現在この二つの難事件が、私の中では新規の設計や進行中の現場案件と同じくらいのウェイトで占められています。
この事件を難事件にしている要素がもうひとつあります。それは、当時施工した工務店にお願いできなくなっているという点です。一社はこの10年で倒産してしまいました。もう一社は、工務店の方が高齢化し、機動力のある動きをしてもらえなくなってしまったということがありました。
最初の工務店がやらかした不始末を、好んで対応する工務店などなかなかいるものではありません。実際、後者の住宅でも何社も対応を断られました。でもいるんですね、請けて下さるところが。
こういうのを神対応というのだと思います。ようやく素晴らしい後継の工務店と巡り会うことが出来て、事件は少しずつ解決に向かっています。H建設さん、D工務店さん、本当にありがとうございます!
だから今つくづく思うのです。
当時は予算が厳しくて、背に腹変えられず、相見積もりをして一番安い工務店にすがる思いでお願いしたりしていましたが、そういう現場はことごとくトラブルが頻発したりして、その後の対応も何度連絡しても来てくれないとか、そんなことが続いてクライアントを怒らせてしまった家もたくさんあります。
工務店は大事です。予算オーバーをすると、見積り調整の時はなかなかそんな気持ちになれませんが、少し高くても、良心的な信頼の置ける工務店にすべきです。なんといっても家は一生ものですから!
そしてもう一つはクライアントとの信頼関係ですね。工務店の対応が神なら、クライアントの対応も神です。本来なら「訴えてやる!」とばかりの叱責を受けそうですが、寛容にこちらにもお気遣いを下さいます。
そんなとき、10年という生活の時間と当時の設計プロセスは、一部にエラーはありましたが、あながち間違ったものではなかったのではないかと救いを感じる瞬間だったりするのです。
ともあれ、設計スキルが飛躍的に伸びるのは、書物からではなく、こうしたリアルな実地体験からだったりします。クライアントさんには申し訳ない思いですが、今もなお大変貴重な勉強をさせて頂いています。
私は今年で独立して15年になりますが、それはある意味、独立して手がけてきた住宅が一斉に10年以上もの時間の洗礼を浴びてゆくことも意味します。最近では過去に手がけた住宅の改修や、ちょっとした”困った問題”についてのご相談を受けることも多くなってきました。

困った問題…。
ひとつはわかりやすく雨漏りですね。あってはならないこととはいえ、建築の仕事をしていたら避けては通れない問題です。経験のなさは、ある意味先鋭的な仕事を残す原動力にはなりますが、一方で…。
あの頃私は若かった、とばかりに言い訳をしていてもはじまりません。
雨漏り対応は本当に大変です。施工は一瞬ですが、そこにミスやボタンの掛け違いがあった場合、そのボタンをひとつひとつ掛け直してゆく作業は、途方もない手間と時間がかかります。我々も原因を究明するために、現場にも何度も何度も足を運ばなくてはなりません。
逆に言うと、この雨漏りを経験すると「もう絶対に嫌だ!」と思いますから、設計にも監理にもより一層注意を払うようになります。もちろん若い頃だって払っていましたよ。でもだめです。建築は圧倒的に経験がものを言うのです。
経験って何の経験だかわかりますか?ここでは失敗の経験のことを差します。
ちなみにこの案件、まだ原因特定に至っておりません。じわじわと犯人を追い詰めているのですが、「犯人は、、お前だ!」とやった後に冤罪が確定したりして、肩すかしが続いています。でも背中は見えているといったところでしょうか。

雨漏りだけではありません。今別件で対応しているのは床下の漏水です。ある日床下点検口を開けたら、床下が海のようになっていた…という恐ろしいケースです。
これはかれこれ半年がかりで対応を続けています。なかなか原因が掴めず、迷宮入りしかけていたのですが、ようやく糸口が掴めました。銅管です。
当時設備工事屋さんが給湯配管に銅管を使っていたようで、これが劣化してお湯を大量に漏らしていました。なぜ今までわからなかったかというと、配管が水に浸かっていて、漏れているかどうかが判別できなかったからです。
水をどう掻き出したかわかりますか?これはもう語りたくもないです。本当に、超~大変だったんですから!だからここでも誓いました。床下なめたらいかんと。皆さん、ちゃんと床下にも潜れる設計にしないとダメですよ!

現在この二つの難事件が、私の中では新規の設計や進行中の現場案件と同じくらいのウェイトで占められています。
この事件を難事件にしている要素がもうひとつあります。それは、当時施工した工務店にお願いできなくなっているという点です。一社はこの10年で倒産してしまいました。もう一社は、工務店の方が高齢化し、機動力のある動きをしてもらえなくなってしまったということがありました。
最初の工務店がやらかした不始末を、好んで対応する工務店などなかなかいるものではありません。実際、後者の住宅でも何社も対応を断られました。でもいるんですね、請けて下さるところが。
こういうのを神対応というのだと思います。ようやく素晴らしい後継の工務店と巡り会うことが出来て、事件は少しずつ解決に向かっています。H建設さん、D工務店さん、本当にありがとうございます!
だから今つくづく思うのです。
当時は予算が厳しくて、背に腹変えられず、相見積もりをして一番安い工務店にすがる思いでお願いしたりしていましたが、そういう現場はことごとくトラブルが頻発したりして、その後の対応も何度連絡しても来てくれないとか、そんなことが続いてクライアントを怒らせてしまった家もたくさんあります。
工務店は大事です。予算オーバーをすると、見積り調整の時はなかなかそんな気持ちになれませんが、少し高くても、良心的な信頼の置ける工務店にすべきです。なんといっても家は一生ものですから!
そしてもう一つはクライアントとの信頼関係ですね。工務店の対応が神なら、クライアントの対応も神です。本来なら「訴えてやる!」とばかりの叱責を受けそうですが、寛容にこちらにもお気遣いを下さいます。
そんなとき、10年という生活の時間と当時の設計プロセスは、一部にエラーはありましたが、あながち間違ったものではなかったのではないかと救いを感じる瞬間だったりするのです。
ともあれ、設計スキルが飛躍的に伸びるのは、書物からではなく、こうしたリアルな実地体験からだったりします。クライアントさんには申し訳ない思いですが、今もなお大変貴重な勉強をさせて頂いています。
17. 10 / 13
街の灯火
author
sekimoto
category
> 仕事
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48

昨日は2015年に竣工した代々木八幡A-FLATへと足を運びました。
1階のフレンチレストランPathは今や予約の取れないお店になり、限定スイーツを売り出した日は100mくらい街中に行列が出来たのだとか。
ビルの谷間に建つ、一軒の小さなお米屋さんの建て替え計画でした。八百屋さんや魚屋さんが並び、活気ある個人商店の街は、いつの間にかどこにでもあるようなチェーン店やコンビニエンスストアへと替わっていったそうです。
建て替えにあたっては、街の灯火を消さないようにしよう、コンビニや大手チェーンだけは入れないようにしよう、と頑なに言い続けた計画でした。
この灯火を消さないよう。
街から愛される建物であり続けますよう。

