私の所属するJIA住宅部会では、今年度は小山光さんを部会長に据え「住まいを社会にひらく」というテーマで活動しています。その目玉となる企画の第一弾として以下の家づくりトークを開催予定です。

いわゆる一方向のスライドレクチャーではなく、スライドは冒頭だけで、あとは登壇相手の小山さんとクロストークをしながら、設計のこぼれ話、建て主とのコミュニケーション、苦労したポイントや仕事術などについても掘ってみたいと思います。

市民向けのコンテンツということですが、これ地味に同業がいちばん聞きたいやつかもしれません。どなたでも参加出来ます。内容は動画編集して一般公開&シリーズ化も予定しています!

◇◇

建築家による家づくりトーク#01
【完成した家ではなく、家づくりのプロセスを語る】

詳しくはこちらより
https://www.jia-kanto.org/jutaku/news/3624/

日時: 2026年6月19⽇(⾦)19:00〜20:30
登壇者:
小山 光 /キー・オペレーション
関本⻯太 /リオタデザイン
参加費: 無料
対象: 家づくりを考えている方、建築家の仕事に興味のある方、学生、設計者・建築関係者
場所: JIA建築家クラブ 東京都渋谷区神宮前2-3-18 JIA館
Zoom配信もいたします(参加者に後ほどリンクをお知らせします)

申込方法:以下申込フォームURLもしくはQRコード
https://forms.gle/CdvbbGXEP3dYCCvB7

主催: 公益社団法人 日本建築家協会(JIA) 関東甲信越支部

26. 06 / 10

魔法の鏡

author
sekimoto

category
> 仕事
> 思うこと


会合などがあると、持ち回りで議事録係などの役が回ってくる。私はこの議事録作成という仕事が大嫌いで、嫌な仕事はとっととやっつける性格から会合後にはすぐにやっつけ仕事のように記録を起こして相手に送ってしまう。

実際私は会合で前回の議事録がまわってきてもほとんど目を通すことはないし(本当はいけないのだろうけど面倒くさい)、だから自分でも議事録を付けながらこんなの誰が読むんだろうって思ってしまう。

そこで最近はAI議事録というのを重宝して使っている。ご存じの方も多いかもしれないけれどPROUDというカードサイズの超小型レコーダーで、会議中起動させておけば会合後に自動的にかなり正確なAI要約を作ってくれる。

最近では私がこれを持っていることをみんな知っているので、会合前に「関本さん、いつものお願い」と頼まれる。会議中ボタンを押して、AI要約議事録を終了後に送れば一部を修正するだけで公式記録にできる。みんなの貴重な時間を浪費しなくて済む。つくづく便利な世の中になったと思う。

ところがこのAI議事録、書かれていることはほぼ事実ベースで、よくもあの長々とした会議をこんなに正確に要約するものだと感心するのだけれど、あとで読み返すとなぜか頭にあまり入ってこない。どこか他人事で、新聞記事を読んでいるような気分にもなる。

議事録なんて所詮こんな無味乾燥なもので十分だと思う一方で、これが住宅の設計打合せの記録だったりすると、どこがハイライトだったかがわからなくなるのだ。舞台で大根役者がセリフを棒読みしているのを見せられているみたいな。それなら自分自身でつけたミミズが這ったような文字の方がよほど頭に入る。不思議なものだ。

そこであらためて思うことは、我々は人に話を聞くときはある程度のバイアス(先入観や偏見)をかけて聞いているのだなということ。逆にそうやって聞かないと、人の言葉なんてお経を聞いているようなものにしかならないともいえる。


相手の話を聞くときに、我々は相手の言葉(日本語そのもの)というより、相手の声音だったり、表情だったり、前後の文脈を組み合わせてその人の言葉以上の意味をそこから読み取ろうとする。それによっては、日本語の意味として「肯定」でも、「否定的肯定」の文脈で語っているように聞こえることもある。

極論すれば、ある程度の「決めつけ」をしないと設計のストーリーは定まらないともいえるかもしれない。フラットに聞いているように見せかけて、実は一定の決めつけをしながら話を聞いている。それはまったくをもってバイアス以外のなにものでもない。

雑誌の取材などでも、きっと編集者さんやライターさんもそうやって相手の話を聞いているのだろう。良くできた記事(一読しただけでするするっと頭に入る記事)というのはストーリーが一種のバイアスのかかった筋で紡がれていて、そこに適切な強弱が足され、無駄なノイズや矛盾する要素は巧みに排除されているからだ。

あんなに余談ばかりで話もあちこちに寄り道したというのに、書き手が定めた本筋以外はばっさり切り捨てられて、書かれていないことはしゃべった本人も覚えていないという状態。そんなこと言ってないのに、もしかしたらそう言ったのかもしれない。そんな記事に出会うと、あぁこのライターさんは優秀だなと思う。

これがAIなら、すべてをまんべんなく情報を網羅して取りこぼすことのない、ある意味完璧な記事を書くのだろう。でもどこも間違っていないのに、頭に入ってこない。心に響かない。そういう記事になるかもしれない。

要約とは編集である。そういう意味ではAIのもっとも得意な領域であるとも言える。しかしAIは敵わない。人間が一番ほしいのは「バイアスのかかった編集」だからだ。言いかえると「都合の良い事実」。白雪姫で王妃が魔法の鏡に向かって「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」と問いかけるあれである。

住宅の設計がAIに取って代わると言われているけれど、私はそうはならないと思う。我々がこの「魔法の鏡」を手放さない限り。

author
sekimoto

category
> 仕事
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



先週、ながめの家のお引渡しがありました。設計から引渡しまで約1年半ほどだったでしょうか、我々としては極めて順調なスケジュールです笑。最後にこうやって、建主と工務店とでお互い称え合って仕事が終えられることに幸せを感じます。

建主のKさんからは「家を作っていくプロセスが楽しかった!」とおっしゃって頂き、それが何よりのご褒美のようなお言葉となりました。こちらも楽しかったです!

建主のKさんは今は今は引退していますが、ずっとクリエイティブなお仕事を続けてこられた方です。現在はコラージュ作品などを作って発表しているそうですが、ご自身が若い頃に制作したレコードジャケットに上書きする形で、特別にコラージュ作品を制作くださりプレゼントして下さいました。とっても嬉しいです!家宝にします。


スタッフの佐藤くんにも色違いの作品を下さいました。こちらどうもありがとうございました。

その前のオープンハウスにも多くの方が足を運んで下さいました。うちのOBスタッフでもある吉里くんもスタッフを連れて来てくれました。


また新しいスタッフが入ったとのこと、活躍目覚ましいですね。こちらも刺激をもらっています。

建築家仲間の小山光さんもお忙しい中駆けつけてくれました。お得意の動画をささっと撮ってくださり、こちらもさすがです。リール動画のリンクをシェアさせて頂きますね。
https://www.instagram.com/reel/DYOrdUlxfyJ/?igsh=MWZiZTBlM3dhNXJ2aw==


最後まで細やかに現場に心を砕いてくださった、山崎工務店の石井さんにもこの場をお借りしてお礼申し上げます。弊社担当の佐藤くんもこの現場を通じて、また一段と成長したように思います。

建主のKさん、コンパクトながら隅々までKさんの住まい方にぴったり合わせた住まいです。どうか楽しく暮らして下さい!次にお邪魔する日を楽しみにしています。

開院前のお忙しい時期にお時間を頂き、「minäこころのクリニック」の内覧会を開催させて頂きました。設計期間2ヶ月、開院まで半年という制約の中、予期せぬトラブルも多々ありましたが、施工のエークラフトさんのご尽力もありなんとかこの日を迎えることができました。

心に光をあてる心療内科の医療行為に寄り添う「ひかりの空間」を提案させて頂きました。連続するひかり壁が患者さんの背中を少しだけ押し、不安に寄り添い、心を落ち着かせてくれるような居場所を待合室につくりました。

ひかり壁は空間に奥行きをつくり出し、人の心の持つ多面性や個の尊重といったことも同時に表現しています。



入口正面に下げたアールトのビンテージ照明A335Aは、院長先生自らが待合室に下げてほしいとご用意された特別なもの。各診察室にも先生が選ばれた思い思いのアールトランプが下げられました。

クリニックの計画というのは、一般的にはクリニック設計に長けた業者が担い、我々のような設計事務所が計画に関わる機会は少ないのが実情です。今回は先生のご自宅を私が設計していたことから、設計者として白羽の矢を立ててくださり、不慣れながら短期間の設計を全力でまとめました。やれることは限られますが、小規模クリニックのあり方として少しは爪痕が残せたのではないかと思います。

見学では人数を制限しつつも、多くの方々にお越しいただきました。前日には近所に事務所のあるTOIVOさんご一行や、蔵楽さん、福井からわざわざお越しくださった伊藤瑞貴さんもご案内し、夜は事務所で楽しい会も催してくださいました。友政さん、ありがとうございました!

お越しくださいました皆様にも、この場を借りて深くお礼申し上げます。





練馬区「ながめの家」もあと少し。今日は完了検査。週明けから造園がはじまります。

もともとここにお住まいの方で、今回は建て替えの計画。2階の窓からいつも見ていた遠景の高木があり、これを毎日眺められるようにというご要望がありました。

ところが今回は平屋の計画。この木は一階の窓からは見えないのです。そのために、これを眺めるためのルーフテラスを設けました。屋根の上から景色を眺めるから「ながめの家」。

ところがこの日、びっくりしたことがありました。

玄関から入って正面に大きめのハイサイド窓を設けたのですが、ここからやけに向こうの緑がよく見えることに気づきました。おや、この先は自転車集積場で木なんてなかったはず?

なんと今回眺めようとしていた木が、そこだけ切り取られて部屋の窓から見えていたのでした。1階からは見えないと思っていた木が奇跡的なトリミングで室内に取り込まれたというミラクルと、あんなに遠くにある木がこんなに近くに感じられるという驚き!

家の近くにも、ある位置から富士山を見るとすぐ近くにあるかのように大きく感じる場所があるのですが、これもそういう現象なのでしょうか。向こうの木に想いが通じたというのか、祝福されたかのよう。建主さんも思わぬギフトに大喜びでした。