建て主さんのご厚意もあり、先週10/30と11/2の二日間に亘って「回廊の家」の内覧会を開催させて頂きました。ご来場者は事前申し込みだけで、のべ130名を越え、過去最高の反響とご来場になりました。
このようなご来場者になると、一人一人個別に説明したのでは間に合わないので、毎時間ごとにギャラリーツアーと称して、設計の趣旨や完成形では想像できない設計で苦労したところなどを解説させて頂きました。
聞きたい方は任意で聞いて下さい、とお伝えしたものの、いらした方のほとんどがツアーに参加して下さったので、ぞろぞろとまるで団体ツアーのようになってしまいましたが笑、皆さんからは詳しい話や裏話が聞けて面白かった!とおおむね好評だったようです。
私も人のオープンハウスに出かけると、設計者の方から設計趣旨文からは窺い知れない裏話をお聞きするのがひそかな楽しみだったりします。
我々もこのような設計をすると、常人とは違う設計であると思われてしまったり、本当に特殊な建て主さんだと思われてしまったりするのですが、けしてそんなことはなく、どの家づくりでもそこで交わされる会話や建て主が悩まれるポイントは同じで、当然ご予算も厳しい制約の中でやっています。
当日はさすがにお金の話まではしませんでしたが、たぶん話すと同業の方は腰を抜かすコストパフォーマンスだと思います。だからごく一部の恵まれた特殊な方の家ではなく、一般の方でも覚悟を決めて、本気で家づくりに向き合って下さればちゃんと夢は叶うのだということをここで強調しておきたいと思います。
今回は一般の方も多くいらっしゃいましたが、特に同業の設計者の見学者が多く、その中でも大先輩の”大御所”のような方々が多く足を運んで下さったことも、とても嬉しかったことでした。
私くらいの年齢になると、自分の立ち位置を、俯瞰した目線から批評して下さる方が段々少なくなってくるのを危機感のように思うことがあります。この日は、そうした大ベテランの方々から口々に感想を頂けたことは、私にとっても大変励みになりました。
大屋根の下で展開されるシンプルな外観からは想像のつかない複雑な内部構成。抑制することで土間空間に最大のハイライトを持ってくるというゾーニング。表の通りから裏の畑までが一本の通り土間で貫かれ、郊外地ならではの大きな空を一望できる家。敷地の豊かな環境があってこそのこの家になったとあらためて思います。
二日間とも天気に恵まれ、素晴らしい光のコンディションで見て頂けたこともとても嬉しかったことです。
今週はいよいよお引き渡しです。この空間でどんな賑やかな生活が展開していくのでしょう。続きは来年以降の竣工写真をお楽しみに!
ここまで真摯に丁寧な施工をして下さいました松本建設さんには、この場をお借りして深く御礼申し上げます。数々の気の利いたリカバリーにどれだけ助けられたことか…。
造園の小林賢二さんのお力添えには、最後にいつも通り”魅力3割増し”にして下さり、こちらにも大変感謝しています。やっぱり造園の力はすごい!
また構造家の小倉直幸さんには、この難しい構造のままで耐震等級3まで達成して下さり、神経の行き届いた設計とあわせて素晴らしい架構模型まで作成下さいました。こちらのご尽力にも感謝申し上げます。
そして我々にご依頼下さり、建築への理解と寛容な姿勢で全幅の信頼を寄せて下さった建て主さんのおかげで、我々も最後までのびのびと仕事をさせて頂くことができました。「家が竣工するのは嬉しいけれど少し寂しい」とおっしゃって下さったお気持ちお察しします。最後まで共に走り抜けましたね!
Mさま、ご竣工誠におめでとうございます!!
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