今日ははるばる奈良方面からいらしたKMEWご一行様をdropにご案内させて頂きました。
今回dropの外壁にはKMEWのLAP-WALLを、屋根にはグランネクストというスレート素材をはじめて採用させて頂きました。このdropでは、これまで板金外壁で蓄積したノウハウをスレート外壁にも投入して、スレート納まりの可能性を追求する、というのが裏テーマにもなっていました。
今日はそんな取り組みも、プロの皆さまにご覧頂いて感想なども頂くことができました。マニアックな意見交換、とても楽しかったです!
これは我々の内部造作にも共通するのですが、ひとつひとつは取るに足らない凡庸な納まりでも、それを徹底していくことで、全体を貫く緊張感や凜々しさのようなものは獲得できると日々思っています。
今回の外装では、具体的にはスレート端部とサッシュ廻りの納まりについて、特に注意深く納めています。
まず外壁コーナーは役物は使わず、突き付け納まりに。
スレート端部の切断角度は90度にはならないため、職人によっては極端に嫌がられる納まりだと聞いていましたが、現場で担当してくれた職人は「その方がきれいだから」と淡々と施工してくださいました。
板金もそうですが、出隅がノイズレスに納まると本当にきれいに見えます。「外壁はコーナーで決まる!」のは板金外壁ばかりではありません。
次に窓廻り。これも板金と同じで「意地でもコーキングは打たない!」が今回のテーマでした。
コーキングはいつかは切れます。板金外壁では「水は隙間から入るもの」という前提で、それを壁の裏側でどう逃がすかを考えます。逆に言えば、窓廻りの捨て板金を丁寧に施工をしてさえおけば漏水のリスクは限りなく低くなり、将来的にもコーキングに頼らない納まりが可能になるということです。
なんといってもきれい!窓廻りをここまでノイズレスに納めるためには、徹底した板金の技がこれを下支えしています。
屋根の端部もスレートは切りっぱなし。スレートは板金と異なり、端部に唐草がいりません。物性として小口から腐ることがないからです。
それなのに街中のスレート屋根には、端部にどうして板金がぐるぐる巻かれているのか私には理解出来ませんでした。スレート屋根端部から板金を剥ぎ取ると、潔くこの上なくシャープな屋根のラインがあらわれます。
◇
今回の外装にあたっては、SOLIDOの開発に関わったKMEWの藤田新次さんや足立卓実さんといった、日本一スレートに詳しい方々から直接お話を伺うことで、スレートを巡る偏見や不安が払拭され、素材の可能性についても大いに学ばせて頂くことができました。本当にありがとうございました。
これからは板金外壁、吹付外壁とならんで、スレート外壁についても納まりやその素材表現について深掘りしていきたいと思っています。
7月13~14日にかけて、川口市に竣工したdropのオープンハウスを開催させて頂きました。
梅雨時で天気はともにくもり~雨予報でしたが、幸いにもほとんど雨には祟られず、時折青空が広がる場面も。両日共に40名前後の方がお見えになり、小さな家がにわかに活気づきました。
今回の住宅は特殊な敷地事情も絡み、建坪でも12坪ほど、延べ床で24坪ほどの狭小住宅でした。寸法の逃げがほとんど利かない状況でしたので、派手な空間構成などはなくベーシックに空間を構築するようなアプローチでしたが、これまでの我々の設計ノウハウをふんだんに盛り込み、いらした方が口々に「広い!」「小さな住宅に見えない」とおっしゃって下さったことで、設計が上手くいったことを実感でき、ほっと胸をなで下ろしました。
また上記の設計条件から、一般の方が我が家の参考にといつもより多くいらっしゃった印象でした。ご来場下さった皆さま、設計のマジックを体感頂けたでしょうか。
今回大人気だったのが、この出窓ベンチ。敷地を使い切るために上空にはね出したベンチでしたが、あえて天井や座高も低めに抑えたことで、包まれるような空間体験が得られました。
張地のタンバリン・ハリンダル(イエロー)は、Kvadraの生地の中でも一番人気の皆川明さんデザインのもの。納期に半年以上かかることから着工と同時に発注してなんとか無事間に合いました。
ソファというより、巨大な”ざぶとん”のようなイメージで作ったので、座るだけでなく、これを背もたれや枕代わりにしてもたれかかってもなかなか快適なんです。
こちらのロフトにも隠れた大工さんのこだわりの技の数々が!
これってどうやって納めたかわかります?なんていうナゾナゾを来場者に出してみたりしていましたが、プロでもわからないような匠の技が随所にあって楽しませていただきました。棟梁の東條さん、してやったりですね笑。ありがとうございました。
そしてこちらは、我々のオリジナルスツール「muni」。前回の「越屋根の家」のオープンハウスでも試作品を並べていましたが、今回はそれの進化版をお披露目させていただきました。
今回は前回からコンセプトを整理したことで、ご来場頂いた皆さまにも共感頂けるものになったと思います。パッケージデザインもだいぶまとまってきました。こちらはまた追ってこちらのブログでも詳細をご紹介したいと思います!
今回のdropの担当者は岩田舞子さん(中央の紫色のニット)。今回は設計もさることながら、建築可能なところまで導く法適合の道のりがとても険しく、途中何度も諦めかけましたが、彼女のがんばりのおかげで針の穴に糸を通すことが出来ました。本当にお疲れさまでした!
2日間にかけてご来場下さった多くの皆さま、またご厚意により見学会を開催させて下さいました建て主さまにも御礼申し上げます。どうもありがとうございました!!
最後に、友人建築家の小山光さん(KeyOperation)が素敵なリール動画を作成して下さいました。以下にリンクを張らせて頂きます。お越しになれなかった方は、こちらをご覧下さい。小山さん、ありがとうございました。
https://www.instagram.com/reel/C9W8AmIKNtq/?igsh=NTNjeDZzOTZrc2Ju
川口市に小さな住宅の計画を進めて参りました。建築面積12坪、延べ面積24坪程のコンパクトな木造住宅です。4人家族、書斎も夫婦にそれぞれひとつづつ。足りない収納を補うゆったりしたロフトも設けています。
住宅密集地ですが、南側に面した空地に跳ね出した出窓風のソファスペースを設け、スキップのある空間構成により奥行き感のある空間としています。
竣工を迎えるにあたり、オープンハウス(内覧会)を開催させて頂きます。建築関係者、一般の方、家づくり検討中の方などどなたでもご見学頂けます!
◇
「drop」オープンハウス
2024年
7月13日(土) 10:00~16:00
7月14日(日) 10:00~16:00
※両日とも午前中は来場者多数のため締め切らせて頂きました。
場所:埼玉県川口市
最寄駅: 埼玉高速鉄道「川口元郷」駅より徒歩12分
見学希望の方は、メールよりご連絡下さい。折り返しご案内をお送りします。
info@riotadesign.com
皆さまのお越しをお待ちしております!
先日図渡ししたA工務店。しげしげと我々の図面を眺めて「ここまで図面を描いて頂けるのは本当に助かります」とひとこと。過去に仕事をした別の設計事務所の図面はスカスカで、現場に入ってからも変更が多くて本当に苦労したそう。
竣工間近のB工務店。工期通りに高い精度で施工頂けたことに感謝を伝えると、図面のおかげだとして、ここまで描かれている図面は見たことがないとおっしゃっていた。同時並行で進めていた別の設計事務所の現場では、図面がスカスカで情報が全く読み取れなかったという。何かを施工するたびに質疑が山ほど出るので、思うように進められずいつもイライラしていたそうだ。
現在進行中のC工務店。はじめてお付き合いする工務店なのだけれど、我々の図面の精度がヤバいという。他の現場の図面見ます?と言われてうちのスタッフが見せてもらったら、あまりにスカスカの図面でびっくりしたそう。展開図が1/100スケールだったと聞いた時は愕然としてしまった。
知り合いの設計者を紹介したD工務店。あとで聞くと、結局その事務所の仕事は断ってしまったという。理由を聞くと図面が酷かったからとのこと。スカスカで間違いだらけ、各所で整合性がまったく取れていない。このまま請けるとトラブルに巻き込まれると思ったそうだ。
果たして我々が特別なのか?
それとも彼らはたまたま酷い事務所に当たっただけなのか?
この手の話は枚挙にいとまがない。我々の図面は描き過ぎなどと言われることもあるけれど、現場の意見は違う。読み込むのは大変だろうけれど、次にやるべきことが全て描かれた図面なら職人の手が止まらない。結果として工期もスムーズだし、余計な出費もないから現場も合理化できる。
実際に現場がはじまると、我々の現場は質疑がほとんど出ない。定例に出向いても、質疑がないので雑談だけして帰ってくることも多い。ある職人は我々の図面に「バイブル」と書いていた。そのくらい我々の図面は現場からの厚い信頼があって、我々はそれを裏切ってはいけないと思っている。
そういう図面はどうすれば描けるのか?スタッフをどう教育しているのか?とよく聞かれるのだけれど、いつも困る。教育なんてしていない。とにかく当たり前のこと、細かいことを言い続けること、これしかないからだ。
スタッフに仕事を任せて細かいことは言わないのが理想の上司だとしたら、私はきっとかけ離れていると思う。スタッフには申し訳ないけれど、仕事の質は落とせないから、仕事では鬼になるしかないのだ。
これからどんどん職人の数も減って、工務店を下に見て相見積もりなどは取れなくなる(うちはもう長らく相見積もりはやっていませんが)。実際に設計者が工務店を選ぶ時代はすでに終わっていて、選ばれる時代になっている。先のスカスカな図面の事務所に対して、工務店は何と言っているか?「次はもうやりたくありません」これが現実だ。
建て主からだけでなく、我々は工務店からも選ばれる存在にならなければ生き残れなくなる。良い仕事が残せなくなる。最近は切にそう思う。
竣工間近のB工務店。工期通りに高い精度で施工頂けたことに感謝を伝えると、図面のおかげだとして、ここまで描かれている図面は見たことがないとおっしゃっていた。同時並行で進めていた別の設計事務所の現場では、図面がスカスカで情報が全く読み取れなかったという。何かを施工するたびに質疑が山ほど出るので、思うように進められずいつもイライラしていたそうだ。
現在進行中のC工務店。はじめてお付き合いする工務店なのだけれど、我々の図面の精度がヤバいという。他の現場の図面見ます?と言われてうちのスタッフが見せてもらったら、あまりにスカスカの図面でびっくりしたそう。展開図が1/100スケールだったと聞いた時は愕然としてしまった。
知り合いの設計者を紹介したD工務店。あとで聞くと、結局その事務所の仕事は断ってしまったという。理由を聞くと図面が酷かったからとのこと。スカスカで間違いだらけ、各所で整合性がまったく取れていない。このまま請けるとトラブルに巻き込まれると思ったそうだ。
果たして我々が特別なのか?
それとも彼らはたまたま酷い事務所に当たっただけなのか?
この手の話は枚挙にいとまがない。我々の図面は描き過ぎなどと言われることもあるけれど、現場の意見は違う。読み込むのは大変だろうけれど、次にやるべきことが全て描かれた図面なら職人の手が止まらない。結果として工期もスムーズだし、余計な出費もないから現場も合理化できる。
実際に現場がはじまると、我々の現場は質疑がほとんど出ない。定例に出向いても、質疑がないので雑談だけして帰ってくることも多い。ある職人は我々の図面に「バイブル」と書いていた。そのくらい我々の図面は現場からの厚い信頼があって、我々はそれを裏切ってはいけないと思っている。
そういう図面はどうすれば描けるのか?スタッフをどう教育しているのか?とよく聞かれるのだけれど、いつも困る。教育なんてしていない。とにかく当たり前のこと、細かいことを言い続けること、これしかないからだ。
スタッフに仕事を任せて細かいことは言わないのが理想の上司だとしたら、私はきっとかけ離れていると思う。スタッフには申し訳ないけれど、仕事の質は落とせないから、仕事では鬼になるしかないのだ。
これからどんどん職人の数も減って、工務店を下に見て相見積もりなどは取れなくなる(うちはもう長らく相見積もりはやっていませんが)。実際に設計者が工務店を選ぶ時代はすでに終わっていて、選ばれる時代になっている。先のスカスカな図面の事務所に対して、工務店は何と言っているか?「次はもうやりたくありません」これが現実だ。
建て主からだけでなく、我々は工務店からも選ばれる存在にならなければ生き残れなくなる。良い仕事が残せなくなる。最近は切にそう思う。
24. 07 / 02
drop造園工事
author
sekimoto
category
> 仕事
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まもなく竣工を迎える川口市drop。昨日は最後の総仕上げとして、小林賢二さんの造園工事がありました。雨予報で心配していましたが、なんとか小雨程度に持ちこたえました。
玄関前のアプローチ脇に設けたわずか一坪ちょっとの空間。わずかこれだけのスペースでも世界が作れるという驚きを再認識しましや。この家に植えられるために生まれてきたんじゃないかと思えるような絶妙な樹形のもみじ。まさに「王手!」となる一手でした。
竣工に向けてまだまだ磨き上げます!
こちらは小林賢二さんのブログ
https://kobayashi-atelier.com/news/8974
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