12. 11 / 08

暴挙



昨日も非常勤講師を勤める日本大学船橋校舎へ赴き,昼食後天気が良かったのでおもむろにキャンパス内の図書館の方へ散歩していたら,そこには信じられない光景が.水盤の中に建つ図書館の外堀の水が抜かれ,全面デッキ張りとなっていたのでした.

え??いつから!?

思えば今から20ウン年前,日大に入学して初めて目にしたのがこの図書館でした.重厚でありながら美しく,水盤の中に建つ図書館という姿が,建築を志して入学した我々の心をわしづかみにしました.それが今ではこの有様.塞がれたウッドデッキも活用されているでもなく,その寒々しい姿は痛々しくもあります.

私と同じように志を抱いて入学してきた建築学生達は,この姿を見てどう思うのでしょうか.水盤の図書館は,今では板張りの図書館と呼ばれているのかもしれません.

もちろん防水や衛生,安全上の問題など維持管理上の問題があったことは想像に難くありませんが,一般の民間企業ならともかく,大学という文化を育む機関が下した措置としては”暴挙”と呼ぶほかありません.また同じキャンパス内に建築学科がありながら,このような暴挙を許してしまったこと,私も足を運ぶまで知らなかったという無知も含めて,今このキャンパスで学ぶ学生と,図書館を設計された小林美夫先生にも本当に申し訳ない気持ちになりました.

自分が設計者だったら…,と想像するだけで悲しくなります.

[caption id="attachment_6216" align="alignnone" width="540" caption="まだ池に水が張られていた古き良き時代の図書館"][/caption]

12. 07 / 10

前期課題終了!

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sekimoto

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[caption id="attachment_5346" align="alignnone" width="560" caption="我がクラスからジュリーを射止めた李くん"][/caption]

昨日は2年生の設計第二課題「パブリックスペース」の全体講評会があり,我がクラスからは李くんが作品集掲載と秋に開催のスーパージュリー出場の座を射止め,我がクラスからは第一,第二課題ともに学生をジュリーに送り出すことができました.担当講師としては一仕事終えた気分です.

ジュリーへの出場はもちろん結果論であって,それが目的ということではありません.ただそういう大舞台を踏むことで,その学生にとっては得がたい貴重な経験になると思います.また今回出場する学生の影で悔しい思いをした学生もたくさんいると思いますが,経験上,2年生から3年生に上がるわずか1年間で,あっという間にその序列はひっくり返ります.ある意味残酷ですが,今回結果を残せなかった学生は闘志を燃やして,後期以降にリベンジを誓ってもらいたいと思います.

今期はクラスも良い学生たちに恵まれ,放課後も遅くまで他クラスの学生のエスキースに付き合ったり,他学年の元教え子たちが顔を出してくれたりして,毎週大学に行くのが楽しみでもありました.

後期はまた習志野の1年生を担当するということで,新しい出会いにも期待していますが,なんとなく今期の2年生は素直な子が多くて好きだったので,ちょっとお別れするのが寂しい気もします.

夏休みに事務所に来たい!という学生もいるようですから,また機会を作って彼らにとっても楽しい夏になればとも思っています.皆さん,お疲れさまでした!

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sekimoto

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昨日は大学2年生前期の住宅課題の全体講評会がありました.
日大は学生数が多い(1学年約300名)ため,奇数と偶数で曜日を分け,それをさらに7ユニットに分けて設計指導を行なってゆきます.全体講評会では各ユニット2~3名ずつ代表者を選出し,約20名前後の学生が発表し,主に他クラスの先生方からの講評をもらいます.



発表では緊張のためうまく説明にならない学生から,開き直って堂に入る学生までさまざま.それに対して先生方からは情け容赦ない批評が浴びせられる,ということはほとんどなく,もちろんプロの目から見たら言いたいことはいろいろありつつも,学生なりに一生懸命考えたことについて,先生方も一生懸命理解しようという空気感があるような気がします.実際他の先生方からのコメントには愛情が感じられて,皆さん優しいなあと思う場面や,スルドイなあとうならせられる場面も多々あり,私も一講師としてとても勉強になります.

個人的には,敷地に覆い被さるように生える桜を逃げながら建てたこの案とか.

全体構成が明快で,ダイナミックな構造を持つこの案とか.

公園側と積極的につながるために,1階をすべてピロティにしたこの案とか.

吹抜けを中心に,らせん状に空間が発展してゆくこの案とか.

などが見ていた中でも発想が斬新で,また学生らしい爽やかさもあり好感を持ちました.
あくまで2年生の演習課題.先日の「コンセプト教育」の話もありましたが,現時点では住みやすいとかそうでないとか,それはひとまず置いておいて,瑞々しい感性をそのまま伸ばしてあげたいと強く感じます.


さてそのあとは別室に移り,優秀作品集に掲載するための作品を選出します.全体案の中から講師陣が投票するのですが,この票に学生たちの命運がかかります.う~ん,重い・・・.

そこからは学生の前で公開審査がはじまります.票が1票でも入った案をすべて並べて学生の前で再投票を行い,最終的にようやく2作品が選出されました.ちなみに選ばれたのは前出の4作品のうち,前半の2作品です.この作品は優秀作品集に掲載されると共に,9月に開催されるゲストクリティークを招いてのスーパージュリーへも出場することになります.

まずは2年生前期最初の”お祭り”が終わって,来週からは第二課題がはじまります.この一部始終を見ながら,選出されずに悔しい思いをしていた学生も多いはず.後半戦に是非リベンジを誓ってもらいたいと思います.

今日は日大理工4年生の卒業設計の公開審査会があり参加させて頂いた.今日は一次審査で,この中から選ばれた10点が明日の二次審査に進むことができるらしい.
ちなみにこの学年は私が大学で教えさせて頂いた最初の学生でもあり,知っている学生も多く,少し感慨にふけりながらも厳しく?審査をさせて頂いた.

全体に言えるのは,我々の頃と違ってCADやグラフィックソフトを多用し,おそらくは直前に出力したものをそのまま貼りつけていることもあり,おしなべて情報が平坦で,こちらが眉間にしわを寄せて読み込んでいかないと,設計の意図や情報がなかなか頭に入ってこないものが多かった.

デジタル情報はこういう時には圧倒的に訴求性に欠ける.むしろ手描き(ハンドドローイング)や,まわりくどい説明は省いた簡潔な説明や形の方が自分の心にはよく響いた.

また自分の設計意図をしっかり相手に伝えようとする努力の跡が見えるものもあれば,全くそれを放棄しているものまであって,後者の場合はもはや図面を見る気もおきず,申し訳ないけれど一瞬で審査が終わったものもあった(実は半分くらいはそうだった).

でも社会に出たらそういうものだ.4年間の集大成を相手に伝えるということに対してどこまで真剣に向き合えたか,というところで明暗は分かれたようにも思う.

ともあれ,学生達の渾身のエネルギーの塊をいささか駆け足気味に眺めて審査票を出してきた.明日の二次審査には参加できないけれど,今年の桜建賞(最優秀賞)を手にするのは誰なのか,勝手に予想などしてみる.一応かつての受賞者として.

(まだ審査途中なので,写真は控えさせてもらいました)

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sekimoto

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昨日は非常勤を勤める日大のスーパージュリーに行ってきました.
スーパージュリーというのは,各学年の設計課題で選ばれた優秀作品を一同に集め,外部から建築家やデザイナーを招いて講評してもらうという試み.今年のゲスト審査員はそれぞれ第一線で活躍されておられる,槻橋修さん,野老朝雄さん,谷尻誠さんの3名.

今年は前期2年生を担当したので,出展した学生たちの作品は我々の講評会では既に講評済み.ただそれをゲスト審査員がどう切るのかという点にとても興味があったのですが,さすが切れ味鋭い講評の数々に「うまいこと言うなあ」と何度もうなずきながら聴いていました.

今年は2年生の住宅課題で指導を担当した学生が出ていたのですが,その学生が見事「最優秀賞」を射止め,またこの夏にオープンデスクに来ていた3年生の学生も野老さんからの個人賞を頂くことができました.

ふたりに限らず,出場したものの賞はもらえなかった学生たちの作品もどれも素晴らしかったです.谷尻さんも言っていましたが,こちらが嫉妬するくらい(!).またかつて教えた学生たちにも多く再会して近況などが聞けたのも良かったです.後期以降も彼らの活躍を陰ながら見守りたいと思います.