以前、タニタハウジングウェアさん主催の「屋根のある建築作品コンテスト」の住宅部門において、「緩斜面の家」で優秀賞を受賞したことをブログで書きましたが、土曜日はその授賞式がありました。

ところが、当日私は別に北欧建築・デザイン協会主催のクリスマスパーティがあり、私は企画の総責任者ということもあり、どうしても授賞式に出席することが適いません。

どうしよう!ああ、こんな時に自分のコピー人間がいれば…。

ということで、スタッフの矢嶋くんに私のお気に入りの水玉シャツを着てもらい、本人として授賞式に列席してもらうことに。この替え玉作戦がまんまとはまり、「関本=水玉シャツ」と思っている多くの方には全く気づかれませんでした。

…というのはまっかな嘘で、審査員の伊礼さんには思い切りツッコまれたようです笑。でもスタッフが私の水玉シャツを着てきたということで、会場は大盛り上がりだったとか。ヨカッタ!


週明けに列席したスタッフより、受賞の盾と副賞?の”蝶ネクタイ”を渡されました。この蝶ネクタイ、どんなのかと言いますと、


なんと、タニタハウジングウェアさんの商品で、私も試作に関わったensuiというくさり樋でできた蝶ネクタイ!さすがタニタさん、ユーモアが効いています。

これ、オリジナルはnugi-tiechoという、手ぬぐいを蝶ネクタイにするという蔵堂さんが出しておられるアイテムなんですね。蔵堂さんというのも、雑貨屋さんではなくて居藏さんという方がやっておられる工務店さんだという、これもまたユニークな話なのですが。

ということで、あらためて水玉シャツとensui蝶ネクタイを身につけ、盾を手にパチリ!タニタハウジングウェアさん、また伊礼さんをはじめとした審査員の皆さま、素晴らしい賞を本当にありがとうございました!




吉報を頂きました。
タニタハウジングウェアさん主催の「屋根のある建築作品コンテスト」の住宅部門におきまして、「緩斜面の家」が優秀賞を受賞致しました。



審査結果と審査評はこちらより
http://www.tanita-hw.co.jp/about/tanitacontest2017/result1.html

応募総数はなんと321点ということで、その中の3点に選んで頂けたということは大変光栄なことです。上記リンクでは、審査委員の伊礼さんからも光栄なお言葉を頂きました。どうもありがとうございました。


うちの住宅は、正直コンテストやメディア向けではないと思っています。コンテストに入賞する住宅やメディアに載りやすい住宅というのは、コンセプトが分かりやすく徹底されているものが選ばれやすい傾向があると思います。

でも一方でコンセプトを分かりやすく徹底してゆくと、その”正論”からこぼれ落ちてゆく、割り切れない建て主の思いや矛盾も出てきます。人間は理屈で割り切れるほどわかりやすい生き物ではありません。私の設計はそういうものを細かく拾いあげてゆく設計なのだとよく思います。だから焦点はぼやけるし、わかりにくくなる。

でもいろんな諸条件や建て主の思いと世間の評価とが、ロイヤルストレートフラッシュのようにピタリと嵌まる瞬間もあるのです。こんなことは長く仕事をしていてもそうは多くないし、それを求めてもいけないと思っていますが、この「緩斜面の家」はそんな私のキャリアの中でも、特にいろんなことが嵌まった私の代表作であることは間違いありません。

緩斜面の家
https://www.riotadesign.com/works/13_kanshamen/#wttl

今回のそもそものきっかけとなっている建て主Mさんとの出会いに感謝すると共に、選んでくださった審査員の伊礼さん、堀さん、そしてタニタハウジングウェアの関係者の皆さまにも心より感謝致します。


雨どいメーカーのタニタハウジングウェアさんより、今年の3等級社員研修の講師を頼まれました。3等級社員というのはタニタさん社内の制度で、業務の中枢を担うベテランスタッフの等級だそうです。この日は秋田工場から4名と東京本社から1名が参加されるとのこと。

そんな研修の講師としてお声がけ下さったということで、私としても意気に感じまして、昨年川越に竣工したFPという住宅の見学と、川越の街歩きを盛り込んだ日程を提案させて頂きました。

研修のとりまとめは矢野さんという社員の方が担当されているのですが、この5人の研修のためにこんなガイドまで作られていてびっくり!


「アールト」と書いてあるのは、特に私がアールトの講義をするということではなく、私がフィンランドに留学経験があるので事前にアールトについて勉強しておきましょうと、そんな予習資料まで別に作って事前に配布されていたようです。

こういうところが、いかにもタニタハウジングウェアさんらしいというか、、。とにかく真面目な会社なんです。


まずは川越で集合しまして、FPまでの約30分の道すがら街歩きを楽しみました。そこで早速皆さん写真を撮りまくっています。そうですね、川越と言えば蔵づくりの街です。

どこがそんなにと尋ねれば、


て、そこ!?
なんとご一行様、撮っていたのは蔵づくりではなくなんと「雨どい」。

実は秋田は雪深く、雨どいを付けても壊れてしまうので、自社製品を市内で見かけることはほとんどないのだそうです。これにはびっくりでした。しかも、川越に付いている伝統的な銅製の雨どいの多くは、タニタハウジングウェアさんの製品だということも発覚。これにも驚きました。

タニタさんと言えばガルバリウムの印象が強かったのですが、ガルバはむしろ後発で、会社としては銅製雨どいの歴史の方がはるかに長いのだそうです。

川越のシンボルとも言える「時の鐘」も現在改修中ですが、その前を通るとそこに付けられていたのもやはりタニタさんの銅製雨どい!しかも取り付けて間もなく、まだピカピカのものでした。



よく見ると半丸スタンダードと同じ形状のラッパが見て取れます。これが年月に洗われて味わいを深めてゆくのですね。

その後ご一行もFPに到着し、クライアントのSさんのご厚意もあり内部も仔細に見学させて頂きました。




私の解説もさることながら、クライアントのSさんも事細かにご説明下さいました。また1年以上経過しているとは思えないほどきれいに使って下さっており、タニタ社員さん達も皆びっくりされていました。口をついて出る言葉はただただ「おしゃれ…」。

なかなか人の家を見学させてもらえる機会は少ないので、貴重な体験になったのではないかと思います。Sさん、ご協力ありがとうございました!




その後は駅前に移動してセミナーを行いました。
谷田社長のお話と、その後に私がお話しさせて頂き、最後に社長と対談形式でざっくばらんな意見交換をさせてもらいました。

谷田社長のお話で印象に残ったのは、「きこりが仕事を効率よく進めるには、木を切るだけではなく刃を研がなくてはいけない」というお話。忙しくて刃を研ぐ時間がないと言い訳をしていると、最後には木も切ることが出来なくなってしまう。この日はまさに社員にとって刃を研ぐ日なのだなあと実感しました。

対談でもお話ししたのですが、タニタハウジングウェアさんとのお付き合いも長いのですが、社員は誰をつかまえてもとても真面目で熱心です。一言で言えば「アツい!」。それは金太郎飴のようで、良い会社というのはどこを切っても社員が優秀だと私は思います。世間ではその逆の例も多くあるような気もしますので。

今回は研修の講師ということではありましたが、むしろ私の方が教えられることが多かったように思います。我がリオタデザインも刃をしっかり研いで、どこを切っても優秀な事務所だと言われるように努力したいものです。

最後は都内の谷田社長行きつけのお店「都電テーブル」に移動し、うちのスタッフも合流して打ち上げで締めました。昨日は丸一日となりましたが、どうもお疲れさまでした。またお声がけ下さり、ありがとうございました。本当に楽しい一日でした。

秋田からいらした皆さまは、今日の研修もどうか楽しんで下さい!


建築知識7月号(エクスナレッジ)が届きました。

私は定期購読はしていませんが、現在「リオタのディテール流儀」という連載を持っているため、毎月のように送られてきます。連載以外にも、ほぼ毎号のように何らかの形で記事に関わっているのですが、今月はコレです。


タニタハウジングウェアさんとの記事。いわゆるタイアップ広告というやつです。過去に私のブログでも何度か取り上げましたが、「ensui」というくさり樋を取り付けた「暁の家」にて取材を受けることになりました。

最初にお断りしておきますが、この記事の本文内容についてはすべて真実です。本文は私が語った通りに的確に編集されていますし、タニタハウジングウェアさんのensuiは私のお気に入りで、今もなおいろんな住宅で使っております。(いつもありがとうございます!)

それはいいんですが。
ただまあなんというか。いろいろツッコミどころがあるわけですね。
同業を含めた読者から総ツッコミを受ける前に、私自ら断罪しておきましょう。

まず、


おいっ。

ちがうんですちがうんです。すべてエクスナレッジN山さんの指示なんです。どこ見てんだよって?遠くを見ているわけですよ。憂いの表情でね。だってN山さんがそう言うんだから。あっちの方見て下さいって言うんだからっ。

これくさり樋関係なくね?
て思ったって口に出せないわけですよ。大人ですから。


おいっ。

関本竜太の眼差しってなんだよ。なんでしょう?私にもわかりません。あとでN山さんに聞いて下さい。そもそも関本ってだれだよ。そうそこ。あなたいいツッコミしてますね。


最後に私のプロフィール。
こんなに良く書いて下さって、N山さんったらありがとうございますm(_ _)m

しかし、


「軽妙なトークでも知られる」て。リオタといえばトークですか。
トーク>設計、ですか。

まぁ、間違っていませんが。

「好きな眼鏡はMUUR」
その情報いる?

この号では、別のページでも企業タイアップ記事に登場しておりまして、トップライトメーカーの日本ベルックスさんとも他の建築家さんの事例とともに、「緩斜面の家」のトップライト事例について紹介して頂いております。


タニタハウジングウェアさん、日本ベルックスさん、取材協力を下さいました「暁の家」のSさん、そしてエクスナレッジN山さん、ありがとうございました!

これからも軽妙なトークで、MUURの眼鏡をかけてがんばります。
(設計もがんばります)

さて「タニタプロジェクト」と称したこのブログのシリーズも、ついにPart3に突入です。

2013年に竣工した「しだれ桜の家」にもくさり樋を設けていたのですが、先の「竹林の家」同様ダイヤクロス型のくさり樋を設けていたため、雨が降る度に飛沫が飛び散り、玄関扉やポーチをびしょ濡れにするという問題が起こっていました。


当時はくさり樋といえば、純和風のものか、モダンなものだと今回使用したダイヤクロス型などが主流で、雨がちゃんと落ちるかなんて考えるまでもなく大丈夫だろうと考えていたのですが、甘かったですね。

こちらを先月発売となったタニタハウジングウェアの新型くさり樋ensuiに交換したい、ということで、本プロジェクトは「既存の半丸たて樋に取り付いた既存くさり樋を、ensuiに交換するためにはどうしたら良いか?」を考える試みとなります。


すでに「竹林の家」の交換事例は先に書かせて頂きました。今回も同じように軒樋ごと交換するという方法もあるのですが、一般事例に置き換えれば、職人さんの手間を考えると、おそらくはパーツの材料費以上に割高な工事費になるに違いありません。

今回はこちらを視野に入れ、軒樋はそのままで既存のラッパを交換するだけで簡単にくさり樋が交換ができるよう、専用のラッパ型アタッチメントを特注で作って頂きました。

はたして、これを使えば素人でも簡単に付け替えができるはず。今回それを実証すべく、我々リオタデザイン(私+スタッフ)だけで付け替え作業に向かいました。


まずこれが、既存のダイヤ型くさり樋です。

ご覧のように根元に通常のラッパを使用しているため、ここで水が広がってしまい、くさり樋にうまく水が集まってくれません。


そこで取り出したのがこちら(ジャジャーン!)

タニタハウジングウェアの担当者(岡田&関口ペア)にお願いして作って頂いた特注アタッチメントです。これ、何が違うかというと



左が通常のラッパ、右側が今回特注のラッパになるのですが、ご覧の通り、落とし口の部分がキュッとすぼまっているのがわかると思います。

お茶を飲むとき、普通は口をすぼめて呑みますよね。口を開いて呑んだら口の端からこぼれてしまいます。つまりこの現象を改善したアタッチメントということになります。


早速交換しました。
ラッパは上部の板を折り曲げて軒樋に引っかけてあるだけなので、工具を使わずとも簡単に付け替えができました。交換に要した時間はわずか20~30分ほどでしょうか。

クライアントにも、もう終わったんですか?と驚かれてしまいました。



外から見ても、最初からそうだったんじゃないかというくらい馴染んでいます。製品コンセプトである「建物と寄り添うデザイン」という思想が、ここでも有効に生きていると感じました。

きっと我々の過去の住宅と同様に、既存のくさり樋の不具合で困っている設計者や建て主さんはたくさんいらっしゃると思うんですよね。あるいは、現在はたて樋を付けているけれど、鬱陶しいから軽やかなくさり樋に替えたいという方もいらっしゃるかもしれません。

現在の軒樋を交換しないでラッパだけで交換できるようになれば、助かる方や喜ぶ方もきっと多くいることでしょう。

で、もうひとつ気づきました。


こちらは先日新築で取り付けた事例なのですが、新築時は軒樋に開ける穴を調整できるのでこのアタッチメントを使わなくても、ダイレクトに取り付けることが可能です。

でも写真のように、近くでよく見ると軒樋の穴位置によっては、板金の”バリ”が見えてしまい少し気になるかもしれません。(担当者曰く、半丸軒樋に直接取り付ける場合は、”バリ”が見えないよう穴を開ける位置にコツがあるそうですが)


その点このくさり樋用のラッパを使うと、この部分が見えないばかりか、形もスッキリさせられるという利点があるような気がします。


ここまで書いてきてなんなのですが、このくさり樋用のラッパアタッチメントは今回特別に作って頂いたもので、まだ製品化はしていないそうです。

担当者としても、今回のような事例用として近い将来にはラインナップに加えたいとのことでしたが、私としては是非前向きに検討して頂きたいと思っています。

同じ思いの方がもしいらっしゃいましたら、設計者の声として是非届けて頂けたらと思います笑。きっとメーカーの開発を後押しするのは、そういう声の集積だと思いますので。

ともあれ、今回も多大なご協力を頂きましたタニタハウジングウェアの岡田さん、関口さんには、この場をお借りして深く御礼申し上げます。

またクライアントのMさん、長らくご不便をおかけしました!
こちらもしばし様子を見てお使い頂けたらと思います。