13. 04 / 17

エスキース帳

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sekimoto

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> 仕事
> 思うこと



独立して以来使い続けているCROQUIS(エスキース帳),本棚にはすでに使い切ったバックナンバーが20冊.スケッチは切り取らないで一冊単位で残しておくとドキュメントになる.10年で20冊だから,平均すると半年に1冊を使い切る計算になる.使うのは計画初期のエスキースのみで,ある程度まとまったらCADに移行することになる.

ところが今月は1ヶ月で1冊を使い切ってしまった.それだけひとつのプロジェクトに悩んで,試行錯誤を繰り返している証拠でもあるのだけれど,パラパラと見返すとその時の苦悩や,出口が見えない絶望感などありありとその時の感情を思い返すことができる.

悩みは一時のもの,解決してしまえば笑い飛ばせる.でも悩みに悩み抜いて,最も鮮やかな解決を導くことができなければ,人って幸せになれないんじゃないだろうか.そんなことも考える.中途半端な解決じゃだめだ.だから何度も何度も考える.

月曜日は大学で学生の設計指導の初日があった.考えたけど思い浮かびませんでした,と言っている彼らのエスキース帳はスカスカだった.前の日の晩に,あるいは今日大学に来てから考えたことなんて,考えたうちには入らないだろう.寝る間も惜しんで考えるのだ.エスキース帳は一冊400円.これを埋め尽くすだけで絶対に元は取れるはずだ.

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sekimoto

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> 思うこと
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アイコンを裏切らない、ということについて考える。それはその人に求められている立ち位置に忠実であること。平たく言えば、期待を裏切らないということだ。

例えば歌手が往年のヒット曲を歌う時、人が期待しているのはすり切れるほど聴いた音源への忠実さであり、けして妙な節回しや安易なアレンジではない、ということはよくあることだ。

一方でテレビの世界はアイコンを裏切らない。アイドルはアイドルとして、芸人は芸人として、どんなに"おバカ"と罵られようともそのキャラを外さない。そういう姿を見るにつけ、私は彼らをプロだなあと思う。

私も建築家として一時期思うことがあった。我々の仕事にひとつとして同じ仕事はないけれど、なんだか同じことを繰り返しているような気がする。もっと違うことをしてみたい。相手から自分に期待されているイメージを裏切ってみたくなる。

けれども、やっぱりそれは違うのだ。我々はプロとして人の期待は裏切ってはいけない。みんなが思う「関本さん」を外してはいけないのだと思う。それはマンネリとも違う。いわば継続していこうとする”意志”のようなものだろうか。

しかし人がぱっと見ただけではわからないような小さな変化と改善を、我々は日々積み重ねている。前回よりは今回の、今回よりは次回の住宅の方が(建ててしまったお施主さんには申し訳ないけれど)よくできているというのは事実だ。

この微差を積み重ねること。これが仕事である。アイコンを裏切らないこと、それは安易な変化よりも根気や勇気がいることだ。けれども息の長いプロの仕事には、必ずそれがあるような気がする。

13. 02 / 15

プロになったら

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ゲームが好きな人が、毎日ゲームだけやっていればお金をもらえる仕事に就いたとしたら天国だと思う。人生そんな甘いもんじゃない?そうだろうか。私にとって建築の仕事は限りなくそれに近い。

趣味も仕事にした途端に辛くなると言う人もいる。野球は草野球に限ると。そうだろうか。何事も本気でやるから面白いのだ。野球は絶対にプロでプレーをした方が楽しいに決まっている。

設計が楽しいと感じている学生がいたとしたら、絶対にプロになるべきだ。プロになったらもっと楽しい。想像して欲しい。毎日好きなことだけをして暮らしていけるのだ。

だから絶対に自分に妥協してはいけない。好きなことだけをして生きていかなくてはいけない。人が決めるのではなく、自分が選択するのだ。私は毎日が楽しい。建築という仕事に出会えて本当に良かったと思う。

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家づくりのご相談に乗るときは,よく結婚を例えに出すことが多い.その人の結婚観というものは,そのまま家づくりにあてはまることが多いからだ.

結婚したいと思ってできるものではないのと同じように,家は建てようと思って建てられるものではない.もしかして,お金があれば家は建てられると思ってはいないだろうか.そういう人は同じように,お金があれば結婚ができると思う人である.そしてそれを実現する人もいる.お相手はやはり,相手にお金があるから結婚した人かもしれない.

方法を選ばなければ結婚はできるのと同じように,方法を選ばなければ家は建てられる.そしてもしかしたら宝くじに当たるような確率で,それで大成功する人もいるかもしれない.しかしほとんどの人は自分たちが失敗したことにまだ気づいていない人たちである.その場合は,成功した人を見てはじめて,嫉妬とともに自分たちが失敗したことを知るのかもしれない.

プロセスがあるから恋愛は楽しいように,困難を乗り越えるからこそ家づくりは楽しい.そしてすべては出会いからはじまる.目的があるから出会うのではなく,出会いがあるから目的が生まれるのだ.

結婚と恋愛は違うと言われるように,単に建築が好きということと,自らが建築を建てるということは違う.また賃貸に住むということと,持ち家に住むということも本質的に全く異なる.

賃貸か持ち家かで悩む人がいたとしたら,家を持つのは絶対にやめたほうがいい.結婚とは現実であり意志である.同様に,家を建てようとする者は現実と向き合う意志の塊でなくてはならない.惰性に身を任せようとするならば,賃貸で十分である.

上記の説は,うちのクライアントは例外なく素晴らしい伴侶を持つ”理想のご夫婦”であることからも既に実証済みである.理想の結婚と家づくりは,実は非常に近い関係にあるといえる.

12. 12 / 05

いらない

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年末のご挨拶に、というのはいらない。
カレンダーもいらない。
手帳もいらない。

年始のご挨拶に、というのはいらない。
タオルもいらない。
営業上の事務的な年賀状もいらない。

必要なのは、
相手の貴重な時間を無駄にすることではなくて、
貴重な資源を無駄にすることでもなくて、
もっと心のこもった何か。

そういうの、必要な人はどうぞ。
私はいらない。