14. 12 / 31

反省はしません

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sekimoto

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この歳になると思うんですね.人って反省しちゃいけないなと.

これは開き直っているんじゃないですよ.反省しないといったって,本当に反省しない人は馬鹿です.社会では生きていけません.

でも自己否定からは何も生まれないと思うんですね.

自分はなんてだめな奴なんだとか,死んでしまいたいとか,そこまで思わなくたって,自分を全肯定して生きている人はそうそういないし,いたとしたら自信過剰の相当にヤな奴でしょう.

でも自分を肯定しなくては,人って生きられないんだと思うんです.

私も今年はいろんな失敗がありました.迷惑をかけた人もいますし,取れなかった仕事もありました.その時は本当にへこむんですね.自分の非をなじりたくもなりますし,才能の限界を感じ,自分の価値なんてこれっぽっちもないんじゃないかと,消えてなくなりたいような気持ちにすらなります.

でも,それを受け容れてくれる人たちがいるんですね.

全員じゃありません.きっと人に受け容れられる確率は3割も行けばイチロー並みなんじゃないでしょうか.私の場合どうでしょう,少なくとも家族や,私に仕事を依頼してくださったクライアント,スタッフ,少ない友人は私を認め,全幅の信頼で受け容れてくれる人たちかもしれません.少ないです.本当に少数だと思います.

だから,私はその限られた人達を幸せにしたいと思います.
私というちっぽけな存在が,生かされている意味はそこにあると思うからです.

だから反省はしません.

そんなことを思う年の瀬です.
皆さま,どうか良いお年を!

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sekimoto

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よく設計事務所との家づくりという選択肢がもっと広まれば良いのにという声を聞く.もう少し言うと,設計事務所との家づくりが世の中の家づくりの主流になるべきだと考える人もいる.でも,私はそうは思わない.設計事務所に設計を頼むという選択肢は,これまで通り少数派で良いと私は思う.

そんなことを言うと,関本さんのところは仕事がいっぱいあるからそんなこと言うんでしょう?と疎まれるかもしれないけれど,仕事があろうとなかろうと,それは関係ない.

一言で言えば,設計事務所に頼もうという人は設計事務所にしか頼まないのだ.私はそう思う.ハウスメーカーやその他の選択肢で満足する人は絶対に設計事務所には頼まないし,頼まれてもお互い不幸になると思う.

もしかしたらその逆もあるかもしれない.設計事務所でしか満足できないのに,ついうっかりそれ以外の選択肢を選んでしまった人.こういうミスマッチに気づけなくて不幸になるパターンは,家づくりに限らず,結婚就職その他,いろんな場面であるだろう.

でも私はそういう人は救えないし,救おうとも思わない.残酷なようだけれど,うちのクライアントの真摯さ,まっすぐさを思うと,その方達は家族や自分の人生と向き合う真剣さに欠けていたのだと思わざるを得ない.

設計事務所に辿り着くまでには,程よいハードルが必要だ.意を決して飛び込む.そのくらいでちょうど良いと私は思う.飛び込むためには覚悟が必要だ.覚悟もしないで,大事なことを安易に決めるから間違いが起きるのだ.私はそう思う.

14. 12 / 10

青焼きって

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sekimoto

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若いスタッフに,「青焼きっていいますけど,一体どうやって焼いてるんですか?」と素朴な質問を受けた.そうか,設計事務所のスタッフももはや青焼きを知らない世代になってきたということか.

私が設計事務所に入所した頃は,まだ事務所も手描きが主流だった.トレーシングペーパーに線を引いたら,感光紙と重ねて感光機にかける.皺がよった図面などは,ローラーによく巻き込まれて大変だった.メリメリッという断末魔のような音が聞こえたら,すぐに感光機を止めないと大変なことになるのだ.

そしてここからが一番嫌な作業なのだけれど,筒の中に入れて,その下のアンモニア原液の蓋を厳かに開ける.もちろん息は止めたまま.それでも揮発した原液のせいで目はちかちかするし,手に傷があったりするとそこもピリピリと痛むことになる.今考えてもあれは大変な劇薬だったのだろう.

それまでクリーム色だった感光紙は,揮発したアンモニア原液で”焼かれて”ブルーの線が浮かび上がる.図渡しの前日などはもう大変だった.先輩スタッフが最後の追い込みで描き上げた原図を,片っ端から青焼きを繰り返してゆく.眠さとアンモニア臭で意識は朦朧・・.今のようにワンクリックで何枚でも出力できる時代が来ようとは夢にも思わなかった.

・・なんて話をしていて,はっと気づいた.

自分とした事が,なんだか大昔の話をしているみたいだ.
実際スタッフは「へぇ・・」という感じで,「お父さんが子どもの頃はな」と終戦直後貧しかった時代の話に付き合わされてるみたいな空気になっている.

ちがうちがう!そんな昔の話じゃないんだって.ついこの間の話なんだって.
つまり,えっと15年前とか,20年前くらい?だからつい最近の話なんだって.

「つまり僕が幼稚園か小学校に上がったくらいの話ですね」
今の子にとっては十分に大昔の話だったようです.

(写真はすべて私のスタッフ時代の図面です)

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現場の帰りによく寄るパン屋さんがある.
たまたまそこのパンを買ったら,とてもおいしかったからだ.

そのパンは定番ということなのだろう,ベーシックブレッドという名が付いていてそのパン屋さんでも一番安く,売れ筋の商品らしい.やがてそのパンを買って帰ると奥さんの機嫌が良くなるくらい,我が家では定番のパンとなった.

何度かそれを買ったあと,今度は少し欲を出してみることにした.
プレミアムブレッド,そのお店で一番高い商品である.

なんといっても一番安いベーシックブレッドがこれだけおいしいのである.プレミアムといったら・・もう想像するだけですごいことになるではないか!しかも,値段も100円も違うのだ.でも買える.(大人で良かった!)

思いきり期待して一口食べてみる.
ムムッこれは!さすがにおいしい.

ところが・・
結末は思いがけなかった.食べ終わって,奥さんと同時に発した言葉は
「ベーシックの方がおいしかったね」だった.

プレミアムには”どや感”があるのだ.普通よりいい材料たくさん使ってます.普通より手間かけてます.すべてにおいて最高を追い求めました.ねぇ,すごいでしょ?おいしいでしょ?ね?ね?

うるさいよ,もう.
私は何も主張しない普通がいいなあって思ってしまう.

だって毎日食べるものでしょ?たまにスペシャルがあってもいいけれど,毎日食べるとしたら,私は断然ベーシックだ.

これは我々も仕事で陥りやすいワナだと思う.
普通よりいい材料たくさん使ってます.普通より手間かけてます.すべてにおいて最高を追い求めました.ねぇ,すごいでしょ?格好いいでしょ?ね?ね?

うるさいよ,もう.
そういうんじゃなくていいから.普通でいいから.

でもね,私たちは近所のコンビニのパンじゃ嫌なんです.
顔の見える職人さんが,精魂込めて作った”普通のおいしいパン”が食べたいんです.それだけなんです.

そして,そういう家に住みたいと思っているんです.

14. 11 / 22

LOGO MAKER

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sekimoto

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LOGO MAKERというサイトが面白い。
ここに文字を入れると自動的にロゴマークを作ってくれる。

LOGO MAKER
https://stores.jp/logo/

上のロゴはこのサイトで作ったもの。所要時間は約3分。

これが面白いと思うのは、これはいわゆる「デザインあるある」だということ。そうそう、こういうロゴってあるよね?と思わせることで、"それっぽい"仕上がりを手軽に作り出すことができるというカラクリである。

そしてそれこそが、社会と我々デザイナー(建築家)との間の温度差であり、同時に現実なんじゃないかと思う。グラフィックをやっている人なら、一度は知人からロゴマークやサイトを"ちゃちゃっと"作って欲しいと頼まれたことがあるだろう。しかもほんの数万円で。

つまるところ、社会が認識している"デザイン"というものは、所詮このLOGO MAKERに放り込めば出来上がるようなことなのだ。それで十分。そう思われているところが根っこにある。

しかし我々は違う。本質としてのデザインはそんなもんじゃない。
そう反論したい気持ちはやまやまだろう。

だが甘い。だから叩かれるのだ。
やっていることはどうだ。一般の方に十分わかっていただける価値を、我々は本当に提供できているだろうか?こんなんだったら、フリーソフトで十分だという仕事に成り下がっていないだろうか?

そのうちフリーで"建築家風"の家をデザインできるサイトができるだろう。床が白くて、やたらとガラスを多用していて、コンクリート打放しで、らせん階段をつければできあがり。誰が見ても建築家が設計した家。

え、馬鹿にするなって?
いやいや、世間はそう思っているんだよ。