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sekimoto

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> 北欧


■フィンランドが生んだ世界的建築家の人生と作品を巡る『アアルト』2023年秋公開
https://www.cinemacafe.net/article/2022/09/13/80834.html


1年ちょっと前、知人の誘いで「アアルト」の映画試写会に足を運びました。すでにフィンランドでは公開済みの映画で、本当は去年日本で公開される予定だったそうなのですが、コロナ蔓延で延期。結局公開は来年の秋になったようです。

本当は去年の試写会の内容をすごく書きたかったのですが、情報リリース前だったので何も書けませんでした。これでようやく書ける!

この映画めちゃくちゃ良いです。一番良かったのは何と言っても「動くアールト」が見れたこと。アールトといえば、その肖像を写真でしか見たことなかったので、喋っているアールトというのはかなりの衝撃でした。例えて言えば、自分が産まれる前に亡くなったおじいちゃんに再会したかのような。

他にもアールト作品をドローン撮影するなど、クオリティの高い映像でこれまで見たことのないアールト建築が観れるのも見どころのひとつです。

コアなアールトファンから、アールトって誰?という人まで、オススメの映画です!、、て公開はまだ1年先なんですけどね。


↓↓ こちらは2020年に公開されたフィンランド版のトレーラー(予告編)です。日本公開版ではありませんのでお間違えなく。ただし映像は日本公開版も同じです。


以前アップしましたYouTube前編の続きとなる後編です。後編は前編のインタビューの続きと、自邸OPENFLATの”建もの探訪”です。事務所もご紹介頂いています。こちらもどうかご覧下さい!

JCTVたてものチャンネル
[建築に詳しいTVディレクターが建築家に会いに行く_vol.7]


■事務所兼自邸はやっぱり北欧風?キモは中庭! -リオタデザイン後篇
https://youtu.be/YaKtrSORoU8

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TV番組「渡辺篤史の建もの探訪」のプロデューサー湯澤さん(TVディレクターY氏)が建築家に会いに行くというYouTubeチャンネルがあるのですが、今回はリオタデザインを取材して頂きました。

JCTVたてものチャンネル
[建築に詳しいTVディレクターが建築家に会いに行く_vol.7]


■フィンランド生活は建築家に何をもたらした? -リオタデザイン前篇
https://youtu.be/1NM2X1lDRGw

今回のアップは前編で、おもに私のインタビュー動画となっています。建築のことというより、なぜかずっと北欧の話をしています、、。後編ではもう少し建物や事務所の様子も映るかもしれません。ご興味ある方はご覧下さい!

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22. 08 / 09

人間、アールト

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sekimoto

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> AALTO
> ディテール



すでに先週の話ですが、8月3日の新建新聞社主催によるオンラインセミナー『北欧アルヴァ・アールトに学ぶこと』にご参加下さいました皆様、誠にありがとうございました。事前に300名の参加応募があったと聞いてびっくりしました。

今回のセミナーで一番伝えたかったのは、以下のアールトの言葉でした。

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「あなたの家のためにアドバイスをするならば、さらにもう一つの特色を家に与えなさい。どこか小さなディテールの中で、あなた自身をさらけ出すのです。家の形態のどこかに故意に弱点を、あなたの弱点を見せるのです。(中略)この特色なしには、どのような建築の創造も完全ではありません」
Alvar Aalto, “Porraskiveltä arkihuoneeseen”, 1926

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ディテールに神が宿るとよく言われます。そう聞くと、なにか神懸かったもの、常人には真似できない匠の技のようについ思ってしまいます。

しかしそうではなく、「あなたらしさをこそディテールに込めなさい」というのが、アールトの教えなんじゃないかと思っています。どんなに不器用でもいい。その人が身の丈で考えたものは誰にも盗まれることはない、その人だけのものなんです。

アールト自身も謎めいていて、そのカリスマ性から神様のように語られることも多いのですが、でもアールトの建築には弱点(言い換えるとつっこみどころ)がいっぱいあって、とても人間臭いんですよね。失敗すらも隠さない。やらかしたときこそチャンスだと言わんばかりに、その造形を積極的に表出させてゆくんですね。

そんなアールトの建築にはいつも勇気がもらえます。煮詰まってしまったとき、アールトや北欧の建築はいつも懐深く迎えてくれます。私にとってアールトはそんな存在なんですよね。人間、アールト。そんなことが伝わっていたら嬉しいです。




先週末は東京都美術館「フィン・ユールとデンマークの椅子」展へ。デンマークの椅子といえばハンス・ウェグナーが知名度では群を抜いているものの、本当の椅子好きならフィン・ユールの名前が先に出ることだろう。アームチェアはお尻ではなく指の先で座るもの。その究極の感覚を体現した最右翼がフィン・ユールなのだ。

展示の最後に、実際に座れるフィン・ユールチェア群があるので、その意味はそこで検証いただくとして、断片的にしか認識のなかったフィン・ユールの家具と彼の生涯を、ここまで系統立てて学べたのは本当に素晴らしい体験だった。

その家具エレメントの徹底的な分節と、重力に逆らうかのように浮遊させた軽やかな造形美は極めて建築的で、それも彼の職人ではなく建築家としてのキャリアが大きく作用していることも理解できた。

デンマーク家具界の異端児、フィン・ユールは早熟の天才であったことを知れたことも収穫だった。そして晩年に至るほど失速してゆく(ように感じた)という悲哀もまた考えさせられるものがあった。

SADIでもお世話になっている多田羅景太さんによる展示構成も実に明快で、その並びもまた椅子好きにはたまらない内容となっていた。地味に展示の外に立てられていたデンマーク界のレジェンドデザイナーの相関図はなかなかに秀逸。これも多田羅さんの力作。僕はこれだけでご飯3杯はいけるなあ!

フェティッシュな写真ばかりですみません。