
この春のオープンデスク、トップバッターは芝浦工大2年生の新村恵太くん。恵太くんは、実は我々が設計した住宅に住んでいます。つまりうちの建て主の息子さん。
彼が高校生の時に建ったその住宅は、彼にとって建築の原体験だったそうです。「建築家の設計した住宅で育った子は、建築家になりがち」あるあるです。彼はその後大学の建築学科へと進み、晴れてうちのオープンデスクへとやってきました。
オープンデスク中は現場に取材にと連れ回しましたが、どれも彼にとっては刺激に満ちた時間だったようです。毎日の設計エスキスで教えたことは、おそらく彼の住む家の設計において、我々が何を考えたかを知るヒントになったに違いありません。
恒例、最後のスタッフによる講評会も和気あいあいとして良い時間でした。最後はなかなか良い案になりました。恵太くん、一週間お疲れ様でした!

夏休み二人目のオープンデスクは、芝浦工大3年の中島桃さん。
行ったことはないけれど、北欧にすごく興味があるということで、「北欧、オープンデスク」のキーワードで検索したらリオタデザインがヒットしたのだとか。そんな検索でヒットすること自体がびっくりですが、こんな子もはじめて。
いつものように設計課題に向き合ってもらう一方で、ちょっとした建築見学も。夏休みはどこにも行けなかったそうなのでかなり嬉しかったようです。元オープンデスクの学生も合流して、束の間の楽しいひとときでした。
これはオープンデスクに思うことですが、学生に実務を教えることには意味はないと思いますが、実務の現場にしかない建築の真実というものはあるような気がします。この学生さんも、大学ではけして言われることのなかったことばかりを指摘されてずいぶん戸惑っていましたが、最後は生活感の見えるプランを描き上げてくれました。
建築を考える上で一番大切なことは、ハートで考えることです。それは本には書かれてはいないのです。ルールに従うのではなく、自分の気持ちに正直に従うことが、正しい決断と自身の幸せにつながる。私はそれをフィンランドで学んだのですが、たぶん最後に話したそんなことが彼女には一番深く響いたような気がします。




恒例の夏のオープンデスク、一人目は芝浦工大2年生の中村莉緒さん。
設計課題を出し、初日は2年生にありがちなセオリーを無視した観念的建築?でしたが、ひとつひとつ住宅の基本を教え、彼女も事務所の本を持ち帰って勉強。毎日1時間のエスキースを重ねるとみるみる上達。わずか一週間で別人のような案を作るようになりました。これまでのオープンデスク生で一番伸びしろがあったかもしれない。最後に模型までちゃんと作ってプレゼンしたのも見事でした。
リオタデザインではオープンデスク生には、仕事を一切触らせません。学生に触らせられるような仕事はうちにはないからです。その代わり、私が設計課題を出して毎日のように設計指導をします。大学ですら10分くらいのエスキースを、私がマンツーマンで毎日1時間も指導するというのはスタッフですらないことです。中村さんはそれを知っていてうちを選んだとのこと。我ながら授業料を取りたいくらい。
大学では課題を出して、次の週に案を持ってくる学生はほとんどいません。口先だけでコンセプトを語る者。ノートの片隅に抽象的なスケッチを描いてくる者。どうして唯一無二の敷地に向き合って、三角スケールを使って図面を引かないのか。答えはそこにしかないのに。
一週間を使っても一案も作れなかった子が、一日で何案も作るようになり、わずか一週間でプレゼンが出来るクオリティまで持って行くことが出来る。この成功体験を作ることが我々のオープンデスクの目的なのです。
うちのオープンデスクを経験すると、後期からすごく伸びるという話をしたら、目を輝かせて「後期課題が楽しみです!」と言って帰って行きました。彼女の”真夏の大冒険”も終了です。
☆ 来週からも別のオープンデスクが来るので、案の詳細は伏せておきます笑

