以前投稿した写真家・高橋恭司さんによるアールト自邸オリジナルプリントが届きました。元は私がコーディネーターを務めた2002年のエクスナレッジホーム創刊号[Who's Alvar Aalto]のために撮り下ろして頂いた写真を、先日の個展で購入したもの。
展示で眺めていたよりも、手に取って間近に眺めると光の妙が際立って見えます。8x10と呼ばれる大判カメラによる撮影。デジカメには到底再現出来ない質感だとあらためて感じます。
これまで数多のメディアで撮り下ろされてきたアールト自邸ですが、この写真には圧倒的な異質さがあって、構図を眺めているとピアノの上のアイノの肖像写真が亡霊のように浮かび上がってきます。
そうか、恭司さんはアルヴァではなくアイノの影をこの空間に感じて切り取ったのかもしれない。真の意図はわかりませんが、スピリチャルカメラマンと呼ばれる高橋恭司さんらしいカットと言えそうです。
この写真のネガは焼き捨ててしまったそうなので、世界で一枚だけのオリジナルプリントになります。一生の宝物として、事務所に大切に飾りたいと思います!
つくばの家が上棟しました。久しぶりの茨城案件です。市街化調整区域の集落にかかるエリア。目の前には抜けのある風景が広がります。この日も暑い一日でしたが、この敷地には涼しい風が絶え間なく流れてゆきます。
久しく上棟式では建主さんが手土産とご祝儀を渡すだけの簡略式が主流になっていましたが、この現場では建主さんのご意向で職人さんとも卓を囲ませて頂きました。建主さんも陽気な方で、職人さんとも会話を楽しんでくださり、職人さんも上機嫌でした。たまにはこういう席も良いですね。都内の現場ではあまり見ることのなくなった光景に感慨深かったです。
これから屋根工事が進み、深い軒を持つ下屋が建物の周りを取り囲みます。これからの現場通いも楽しみです!
昨日は打合せのため、後期から非常勤講師を務めることになった長岡造形大学へ。長岡造形大は大学同期の与那嶺をはじめ、旧知の川島茂さん、津村泰範さんらが教授陣を固める。私は後期、住宅の課題を担当する。
カリキュラム打合せのあとは、キャンパス内の施設をひと通り案内して頂く。大学だから広いのは当たり前としても、日芸や息子の通っていた東京造形大ともまた雰囲気が異なり、とてもおおらかで伸びやかな印象。空気感が一番近いと思ったのはアールト大学。キャンパスに漂う木の香りまでそっくりだった。
とても良いなと思ったのは、学生のための製図室やワークスペースがしっかり確保されていること。ちょっとしたラボのようになっていて、放課後も居残って図面を描いたり、学生同士が課題のディスカッションをしている光景がそこかしこにあった。こんなところあったら居心地良くて帰らないだろうな。
3Dプリンターも使い放題らしく、この日もフル稼働で動いていた。原寸のワークショップも、敷地が広いのでいくらでもできる。まさに工房の中で学んでいるような環境だ。
学生のほとんどは一人暮らしとのことで、都市型大学と違って誘惑が少ない環境が、純粋に創作へと向かわせている印象も受けた。それもまたオタニエミの森に閉ざされたアールト大学のようだった。遠いと思っていたけれど、秋からの長岡通いが急に楽しみになった。
フィンランド的といえば、ただ打合せのために来たのに、学科主任の佐藤先生をはじめ何人も先生が出てきて半日がかりで案内をしてくれたり、長岡まで来てくれたのだからと夜も席を設けてくださったりと、これまたここはフィンランドかというおもてなし。心に沁みました。
かつて日大理工学部で非常勤講師をしていた時、授業のアシスタントを務めてくれていた歴代のTA(ティーチングアシスタント・おもに現役の大学院1年生が務めてくれる)を集めて、TA会と称する呑み会を毎年定期的に開いていた。メンバーも年々増えて、一時期は10人くらいの規模で集まっていたこともあった。
ずいぶん長いこと続けていたこの会だったけれど、コロナ禍とメンバーの子育て時期とが重なりしばらく休止。そして今年ひょんなきっかけで、久しぶりにまたみんなで集まろうということになった。
当時のメンバーと揃って対面で会うのは実に7年ぶりくらいのこと!そこまで経っていないでしょと思っていたけれど、数えてみたらそうだった。時間が経つのはオソロシイ。
また当時のオリジナルメンバーに加えて、このブランクの期間にあらたに知り合った学生さんや新社会人の子にも声をかけ、この日もまたかつてのような新旧入り混じっての楽しい交流会になった。
なかなか社会に出ると、社内のつながり以外の人間関係を持つことは難しくなる。同じ建築でも、設計事務所、ハウスメーカー、コンサルと多方面で活躍する仲間の近況を聞けば刺激になるし、また現役生や新社会人にとってはきっと励みや目標にもなる思う。
メンバーには私が36歳ではじめて非常勤に着任した時の初代TAもいれば、私がはじめて教えた一年生だった子もいる。あれから18年、当時一年生だった子は今や当時の私と同じ歳になり二児の母。感慨深いし、こんなにも長い期間変わらぬ人間関係が続いていることにも感謝したい。
メンバーも皆今や社内で重要なポストを担い、子供もそろそろ小学校にあがる頃だという。新しい仕事の考え方も、今度は私の方が学ぶ立場になりつつある。皆さんどうもありがとう。これからも細く長く続けていきましょう!
月曜日は非常勤講師として指導を行っている日芸デザイン学科2年スペースデザインI 「NEST」の中間講評を行いました。
この課題は私のオリジナル課題ですが、アールト大学時代のカリキュラムに倣い、スタジオ内でコンペを行い一点を実物制作まで行うというフィンランド式のワークショップです。
先週まで三週に渡って、割り箸を使った1/10スケールの造形スタディを行いましたが、学生の造形力が本当に素晴らしく、伸び悩んでいるかと思いきや、最後は鳥肌が立つくらいすごい力作が揃いました。本当に素晴らしいです。
出揃った造形を前に、参加者全員で一次選考、そして二次選考経て最後は二案の決選投票!最後に制作案を勝ち取ったのは薄井くんでした。これから彼を中心に制作スタディを進めてもらいます。先生は口を挟まず、学生主導でチームで実物制作まで行うというのもフィンランドメソッドのひとつ。
はじめて尽くしで内心不安で仕方がないのですが、来週からのスタディは彼らをサポートしながら見守ろうと思います。がんばれ!
こちらは中間講評の様子を収めたショート動画です。
https://youtube.com/shorts/JUTmOjxsetI?feature=share
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