12. 11 / 08

暴挙



昨日も非常勤講師を勤める日本大学船橋校舎へ赴き,昼食後天気が良かったのでおもむろにキャンパス内の図書館の方へ散歩していたら,そこには信じられない光景が.水盤の中に建つ図書館の外堀の水が抜かれ,全面デッキ張りとなっていたのでした.

え??いつから!?

思えば今から20ウン年前,日大に入学して初めて目にしたのがこの図書館でした.重厚でありながら美しく,水盤の中に建つ図書館という姿が,建築を志して入学した我々の心をわしづかみにしました.それが今ではこの有様.塞がれたウッドデッキも活用されているでもなく,その寒々しい姿は痛々しくもあります.

私と同じように志を抱いて入学してきた建築学生達は,この姿を見てどう思うのでしょうか.水盤の図書館は,今では板張りの図書館と呼ばれているのかもしれません.

もちろん防水や衛生,安全上の問題など維持管理上の問題があったことは想像に難くありませんが,一般の民間企業ならともかく,大学という文化を育む機関が下した措置としては”暴挙”と呼ぶほかありません.また同じキャンパス内に建築学科がありながら,このような暴挙を許してしまったこと,私も足を運ぶまで知らなかったという無知も含めて,今このキャンパスで学ぶ学生と,図書館を設計された小林美夫先生にも本当に申し訳ない気持ちになりました.

自分が設計者だったら…,と想像するだけで悲しくなります.

[caption id="attachment_6216" align="alignnone" width="540" caption="まだ池に水が張られていた古き良き時代の図書館"][/caption]

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sekimoto

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> 仕事
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昨日は埼玉県寄居町で計画してきた「緩斜面の家」の地鎮祭がありました.
どこまでもなだらかな緩斜面と,遠景に秩父の山々.本当にのどかで良いところです.敷地も150坪と大きいのですが,それ以上に視界に入る風景すべてが”庭”と呼べそうな立地でもあります.

緩斜面の家は個人住宅ですが,その家構えはまるで別荘のよう.窓からの眺めと,薪ストーブもあって,ここでの生活はちょっとした非日常感がありそうな気もします.ご主人はここから通勤されるとのこと.

これは常なのですが,設計では想像力が構想を追い越してしまい,敷地に張られた地縄を見て「ちっちゃ!」と思うことがほとんど.この大きな家でもやはり思いました.長年設計をやっていても,まだこの感覚には慣れません.ましてやお施主さんは…予想外の小ささにやはり驚いていました笑.

でも上棟すると,その空間が瞬時に膨らむんですよね.不思議です.この家はその架構もハイライトのひとつ.今から12月の上棟が楽しみです.

[caption id="attachment_6205" align="alignnone" width="560" caption="緩斜面の家|2013年3月竣工予定"][/caption]

12. 10 / 26

警鐘

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sekimoto

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> 生活
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なにか事件が起こると,当事者達を世間は責める.どうしてそんな愚かなことを,と私も思う.けれども一方ではこうも思う.それは自分にも十分起こりうることだと.

私もけして長くはない人生の中で少なからずの経験をしてきた.大学時代の体育会の規律.下積み時代の不安感や駆け出し時代の惨め感.理屈の通用しない子育て.人間は追い詰められると,平和な状態では思いもつかないような行動に出ることもある.

それは自宅のソファでワイドショーを眺めているのとはわけが違う.事件と日常の違いは,その時に一線を越えるか越えないかの違い.ほんのわずかな紙一重の世界がそこには存在するのだろうと思う.

だからいつも事件の報道を見ると,私は「これは自分だったかもしれない」と思う.こいつは馬鹿だなとはとても思えない.そして,自分がその場にいたらどうだっただろうと想像してみる.その時に一線を踏み越えないよう,未来の自分に向かって警鐘を鳴らしたい.

12. 10 / 25

消費増税その2

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sekimoto

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> 社会
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昨日の投稿を受けて,とある方より早速ご丁寧に情報を頂きました.
それによると,消費増税後でも,総合的には建築費が同じか安くなるというケースもあるとのこと.ある意味私も納得したのでここでもご紹介したいと思います.

【ローン金利の問題】
十分な頭金がないままに消費増税前に建てようとすると,結果的に借りるローン額が大きくなります.とあるファイナンシャルプランナーさんの試算によると,頭金なしで税率5%で建てるケースと,頭金を建築費の2割ほど用意してから税率10%で建てるケースでは,後者の方が圧倒的に安上がりなのだそうです.

これはローン額が大きくなると金利分も当然大きくなるからですが,仮に2000万で建てる場合だと消費税よりも金利の方が70万ほど高く付き,3000万で建てる場合だと同じく110万ほども金利の方が高く付くそうです.

自己資金を十分(2割程度)に確保するというのは消費増税に限らず,スムーズな家づくりの鉄則とも言えますが,自己資金が少ないままに増税前に慌てて建てると,逆にそちらのほうが高く付くということもあるようですから,どうかご注意ください.

【需要に伴う建築コストの変動】
これはとある工務店さんの話だそうですが,消費増税直後は一時的に仕事が減り,結果的に値引きも引出しやすくなるとのこと.過去の例でも,消費税が3%→5%に増税された直後はマンション販売や住宅着工件数も大きく落ち込み,軒並み大きな価格下落があったそうです.

今回のケースではなんとも言えませんが,仕事が集中する時期は高くつくというのは建築業界に限らず市場の原則とも言えます.需要が落ち込む時期に涼しい顔で建てるというのもまた賢明なやりかたと言えるかもしれません.

いずれにしても,「消費税が上がるから家を建てる」のではないはず.
たまたま増税前に最善の建て方ができた方はラッキーだと思いますが,増税前に間に合わないなら意味がないとは思わず,世間の動きに惑わされないで,じっくりと満足のいく家づくりをして頂きたいと思います.

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sekimoto

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> 社会
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再来年、平成26年4月1日より消費税が5%→8%に増税になることは周知の通りかと思います。でも,この時期に工事がまたがる場合、どちらの税率になるのでしょうか。

たとえば、平成26年4月30日に竣工する住宅があったとします。この場合、工事請負金額の消費税は5%でしょうか、8%でしょうか?

答えは8%です。

普通に考えたら、その工事のほとんどは消費税5%のうちに終えているのだし、資材もその期間に購入しているはず。だから5%でしょう?と思うのですが、現時点で示されている経過措置によれば、消費税の税率は引渡した時点で決まります。従ってこの場合の契約金額は「8%」となるのです(上図を参照)。

ということは、平成26年3月末竣工を絶対条件とする契約が来年にかけて殺到するのでしょうね。ということはこの時期、職人不足も懸念されます。工務店は今から戦々恐々でしょう。

もう一つの措置によれば、平成25年9月末までに工事契約を結べば、4月を過ぎても5%が守られるというものもあります。

ただ一般の木造住宅の場合、工期が6ヶ月を超えることはあまりありません。ですので、大規模住宅や鉄骨・コンクリート造の場合に限り、こちらが工事契約期限のリミットになりそうです。(弊社も来年10月以降の設計契約分より、設計料率の見直しをさせて頂きます)

さてそんな影響からでしょうか、ここ数週間で尋常ではない数の設計相談のご連絡を頂いております。本当にありがとうございます。

ただ現時点の状況では、今からお受けする設計に関しましては、先行する計画のキャンセルがない限り、消費増税前の竣工は困難な状況にあります。今から家づくりをご一緒させて頂く場合は、竣工までおおむね2年ほどのお時間を頂いておりますので、どうか予めご了承下さい。

ただ…一生の買い物です。3%の消費税分を節約するがあまり、誤って本質から外れた選択肢を選ぶことのないよう、じっくりと準備をして家づくりをして頂きたいと思います。