14. 04 / 16

八重桜の家

author
sekimoto

category
> 仕事
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



ここのところ撮影ラッシュが続いています.やはり草木の枯れた季節より,新緑茂る景色の中で写真を残したいこともあり,必然とこの季節は撮影が集中することになります.カメラマンさんも大忙しです.

この日の撮影はこの冬,大雪の中オープンハウスをした「湘南台の家(H邸)」.
竣工後まだ間もないのですが,眼前にきれいな八重桜が咲くと聞き,是非ともこのタイミングで撮影をしたいと,竣工時よりクライアントにはわがままを言っていました.

そして前回の「隅切りの家」同様,クライアントとカメラマンさんとは日々連絡を取り合い,桜の開花と天気予報を睨んで本日の撮影決行となりました.今回のカメラマンはおなじみ後関勝也(バウハウスネオ)さん.

かくして,うちの住宅では「しだれ桜の家」「隅切りの家」にならび,湘南台の家もとい「八重桜の家」は,晴れてリオタデザイン新桜御三家の仲間入りを果たしたのでした.(はい,ここ試験にでまーす)


またこれは毎回他の人から言われることですが,うちのクライアントは皆さん住まい方の感度(センス)がとても高い方ばかりで,空間の写真写りがとても良いのです.これは密かに我々の誇りとしていることでもあったりします.

住まい方のセンスというのは,必ずしも高い家具が置かれているとか,そういうことだけでなく,ちょっとした整頓術や,生活を楽しんでいる様子がにじみ出ているかなども含めてです.具体的にはまた仕上がった写真を楽しみにしていて下さい.


この日は我々とカメラマンさんに加え,今回の仕事のコーディネートをして下さったリビングデザインセンターOZONEの担当スタッフ(森さん)も足を運んで下さり,皆で昼食を頂きました.

いつも設計打合せの際に,お母様がおいしい手料理をご馳走して下さっていたのですが,この日も筍をはじめ旬の食材をふんだんに使ったご馳走がならびました.もう食べきれませーん!本当においしかったです.ごちそうさまでしたっ

実に幸せな時間でした.
あとは後関さんの竣工写真も楽しみにお待ちしたいと思います!

14. 04 / 12

DIVE降臨!

author
sekimoto

category
> 仕事
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



僕なら迷わずDIVE!です.
そうブログに書いた一昨年の暮れから季節は巡り,時間は流れ,このアクロバットな構成を支える構造も二転三転しながら,DIVEはとうとう降臨しました.晴れて上棟です!

困難の道でした.途方もない費用がかかると見込まれたRC+Sの混構造から,構造はオール木造になりました.高基礎の上に載る木造2階建てですから,申請上はいわゆる普通の4号建築物です.この検討には山田構造事務所と膨大な時間を費やしてきました.クライアントもきっと不安で何度も心が折れかかったに違いありません(ご心配おかけしました).


傾斜地の難易度から,候補の工務店から辞退されたなんてこともありました.杭を打つにも一苦労.着工したのは1月.基礎工事だけで3ヶ月はかかったでしょうか(普通は1ヶ月くらいです).基礎も最後の方にはもう何の建築をやってるんだかわからなくなったくらいです.

施工には渡辺建工さんの高い技術力に助けられています.案ずるより産むが易し.いや易くないけど,まぁ悩んでるより手を動かしたもん勝ち.今回の仕事で学んだ教訓です.


現在ははね出し架構の下に仮柱が立っていますが,この後本体に吊り橋のような吊上げ材が入ればこの支柱も落とされます.もちろん何も問題はないのですが,施工業者は往々にしてこの仮柱を外したがらないものです.あんまり信用されていないのかもしれません.



しかし,この眺め.絶景です!
実際にこの眺めを前にすると「迷わずDIVE!」などと,なにを寝ぼけたことを言っていたのかと後悔したくなります.はね出した先端から下を覗くと「地面遠っ」.
このはね出した2階のリビングから崖下までは実に12m.ビルで言うと4~5階くらいの高さです.木造なのにこの高さ…。ちょっと経験のない領域です.

しかもクライアントのご要望で,さらに屋上テラスまであるのです.ひゃ~!高所恐怖症の私はどうやって監理すればよいのでしょうか.(スタッフYくんよろしく)

来週からは足場にシートが掛けられ,この壮観な姿はしばし封印となります.次にシートが外されたときには,中から鳩が出てくることでしょう.

しかしあれですね.リオタデザインらしい抑制されたプロポーション.
大きいのに威圧感がない,美しい架構です(自分で言っていたら世話ないですね).これからどんな表情を見せてくれるのでしょう.現場も楽しみです!

14. 04 / 03

隅切りの桜

author
sekimoto

category
> 仕事
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



昨年竣工の「隅切りの家」は,目の前に桜の大木と河原の桜並木がある家で,この季節が来るのをクライアントとずっと待ちわびていました.竣工写真は,桜の咲き始め(桜で建物が見えなくなってしまうため)と満開の2回に分けて撮影すべく,写真家の新澤一平さんとクライアントとは1ヶ月も前から連絡を取り合い,天気予報と開花情報を毎日チェックする日々でした.



そして火曜日はその第二回目となる満開撮影日.
当日のその景色は…もう本当に涙が出るくらい美しかったです!

隅切りにした窓からは,設計意図通り,土手の向こうから反対側までひと連なりになるパノラマビューがひろがっていました.夕景もまた幻想的でした.その晩は早く仕事を切り上げて帰宅して下さったご主人とも一緒に夜桜の宴で乾杯!…といきたかったのですが,実際には夜は真っ暗で何も見えませんでした笑


ただ桜の季節には一緒に乾杯しましょうね,の約束が果たせて私は満足です.またとても愛情たっぷりに住みこなして下さっている様子も見ることができて,こちらも幸せな気分となりました.

なおアップした写真は私が撮影したものです.新澤さんの写真はまた後日.
こちらもどうかお楽しみに!


14. 03 / 24

ナローステップ

author
sekimoto

category
> はまりもの
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



>> ナローステップ(長谷川工業)

暮らしの優れたデザインは,いつもクライアントに教えて頂くことが多い.これは先日教えてもらったステップ.単なる脚立と思うなかれ.これパタンと閉じると,厚さわずか48mmの1枚の板になってしまう.冷蔵庫の隙間にも入るし,キッチンスツールとしても使用できる.

設計上高所収納を作ることが多いのだけれど,脚立を使って下さいと言い放っておしまいというケースが多かっただけに,これはセットでご提案したいところ.デザインはGKデザイン.(2段式と3段式があります)



14. 03 / 20

ILMAの10年

author
sekimoto

category
> 仕事
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



先週末,ILMA(Y邸・2003年竣工)の竣工10周年を祝うパーティがあった.ILMAは私にとってはじめての住宅である.私の事務所がまだ中目黒にあった時代,大学同期で構造家の友人が駆け出しの私に設計依頼をしてくれた仕事でもあった.

ILMA
https://www.riotadesign.com/works/03_ilma/

敷地面積はわずかに13坪,延床面積は15.5坪,1000万円台で半地下付きの鉄骨造の家を建てる.しかも設計依頼から竣工まで約9ヶ月!設計に3ヶ月,そしてその後わずか3ヶ月の工事期間で無事引渡しまでこぎ着けた.

今ならたぶん無理,依頼を受けても絶対お受けできないような条件だったにもかかわらず,実際に建ったのはまさに奇跡としか思えない.


それを可能にしたのは,その若さと,逆に経験のなさゆえだったのだろうと思う.怖いもの知らずだったので,今なら腰が引けるような仕上げや納め方もずいぶんしていた.一方で徹底的に素材やディテールを研究し,現在にまで至る”リオタデザインらしさ”のようなものも,この住宅で確立されたようにも思う.

設計案は十数案は出しただろうか.現場にはまだ入所して間もなかった初代スタッフ二宮と,ほぼ毎日徒歩で通った.納得のいかないことがあり,工務店まで行って社長に直談判したこともあった.そのくらい自分の持てる情熱のすべてを注ぎ込んだ仕事だった.


今回は私の家族を連れての訪問となった.子どもにも,私がはじめて設計した住宅であることを話した.道すがらの景色はどれも当時を思い出させてくれて懐かしかった.友人とは連絡を取り合いつつも,なぜか今に至るまでその家に足を向けることはなかった.

緑道を抜けた先にあるその住宅が目に入ったとき,小走りに駆け寄りたくなった.友人に招き入れられ,また胸が熱くなった.玄関より中に入るのもまたほぼ十年ぶりだ.


うちの子はこの家を設計していた年に産まれた.だから同じく10歳.友人はこの時まだ子どもはいなかった.だから階段にも手摺りは作らなかった.

その友人にも子どもができ,また今回は同じく大学同期の共通の友人建築家夫婦も子連れで合流した.子ども達の歓声の響くILMAを見るのははじめてだ.かくして10周年の会は実に賑やかで大いに盛りあがったのだった.


あらためて住宅と家族,そして時間について思う.

ILMAは大人二人だけの生活からスタートし,その後家族も生活も変化して10年という時が流れた.原発問題が起こったときには,一時期本気で移住も考えたという.また夫婦で海外赴任していた時期もあった.

けれどもILMAはその時間軸にも耐え,その空間の骨格はまだまだ健在だった.ガルバリウムの外壁はびっくりするくらいまだきれいだったし,木の内装も時間相応の日焼けはありながらも,それが味となり,ますますその魅力を深めているようにも感じた.

なにより!
子どもという変化がILMAに与えたインパクトはとても大きく,その空間の至る所に愛らしい設えを見ることができた.まさに家全体が愛情に満ちあふれ,幸せな空間になっていた.


住宅にとって10年というのは大きな節目であるように思う.
防水の保障や契約上の瑕疵責任も,ここで一旦区切りとなる.だからここから先はある意味住まい手の責任で住みこなしてもらわなくてはならない.

そして次の10年を乗り越えるために,はやくも前向きな改造計画について話ははじまっている.


今回は,自分の仕事がここから始まっているという感慨と,10年前の自分も意外と?イイ設計しているじゃないかというどこかほっとした気持ち,そして10年前には考えられなかった友人達の生活の変化にもいろいろなことを考えさせられた.

今ではすべての住宅につけているステンレス製の”銘板”も,思えばこの友人施主からの提案だった.刻まれた年号が時間の重みを感じさせてくれる.今回このような機会を設けてくれたILMAの友人施主に,あらためて感謝したいと思う.10周年おめでとう!