15. 06 / 08
レクチャーの日
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sekimoto
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> 仕事
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昨日はたまたま2箇所から講演を頼まれ、午前午後とハシゴしながらお話しさせて頂きました。
午前は大学の同級生である玉木さんに頼まれ、彼女の勤めるリフォーム会社のセミナーに。同級生に設計を頼まれたことは何度かあるのですが、セミナーは初めて。リフォームの話をする機会は少ないので、自分の仕事を振り返る機会にもなりました。
午後は、松井郁夫さんの主宰される「き組」ゼミで今日はお話をさせて頂きました。
私などはほぼ独学で木造を学んだので、最初松井さんにお会いした時には「基本がなっていない!」とお説教されるかと思っていたのですが、実際の反応は真逆のもので、松井さんの懐の深さに感謝しています。
今日の話はてんこ盛りで、調子に乗って2時間半もお話してしまいましたが、全国各地から集まる「き組」の受講生からは、私のブログのファンだなんていう方もたくさんいらして、温かく迎えて頂きました。
松井親子の関係もまた、私にとっては憧れで、私も息子が成人したらこんな関係でありたいと強く思ったのでした。
講演後も松井さんがうつらうつらと舟を漕ぎ始めるまで、毒の入った、もとい刺激的な話がいつまでも続きました。今日は本当に楽しい時間をありがとうございました。ご参加の皆様にも感謝致します。
15. 06 / 06
国立競技場問題について
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sekimoto
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> 思うこと
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『世界的建築家・槙文彦氏「日本チームで作る」…新国立設計』
http://www.hochi.co.jp/topics/20150606-OHT1T50035.html
そもそもこの競技場問題の大きな論点は2つである。一つは巨大すぎることで周囲の景観を破壊するという点、そしてもう一つは建設費がかかりすぎるという点。
もう一つ加えるならば、設計を担当している建築家のザハ・ハディド女史は、業界でも有名な前衛建築家であり、彼女の案をコンペで選んだ審査プロセスやコンペプログラムも含めて、コンペ主催者側の責任も問われるべきだとする点、であろうか。
…スケールが大きすぎて、イマイチ何が起こっているかイメージできない方のために、これを我々の住宅設計に置き換えて説明したい。
◇
建築家は名だたるライバルを抑えて、住宅のコンペで当選を果たした。斬新だが費用がかかりそうなデザイン。しかしクライアントは他の提案とは一線を画すその案を選び、夢を託した。
予想通り設計は困難を極めた。しかし当初のままとはいかないまでも、なんとか近隣問題や技術的なことに可能な限りの折り合いをつけて、設計はなんとか完了した。ところが見積りを取ると、それでも大幅な予算超過となってしまった。
この顛末を聞きつけたのがライバル達である。そもそも予算は決められていたわけだし、景観も破壊しかねない外観だ。自分ならもっと良い案が作れるはずだし、建築家の案が面白いわけがない。
「やっぱりそうか!」
「いやね、私もあれはひどいと思っていたんですよ」
「このままじゃ、あのお施主さんがかわいそうだよ」
「そもそもでかすぎるんだよ。あんな屋根なんてやめちゃえばいいのに」
かくしてクライアントの元には、ライバル建築家達から頼んでもいない代替え提案が届く。少々強引な建築家と、予算超過に頭を悩ませていたクライアントは、彼らの思いやり(余計なお世話ともいう)にあふれた提案に心が揺らぐ。
「でも、先生にこんなこと言えないですよ…」
と弱腰なクライアントに彼らはそっとささやく。
「やめさせちゃえばいいんですよ。その後は我々が引き継ぎますから。予算も守るし、お施主さんの言うことも聞きます。いいんですか?このままで。取り返しのつかないことになりますよ?」
そして建築家の元には、ある日突然の契約解除通知が届く。
寝耳に水の話に驚いたのも束の間、それはライバル達が根回しをした結果だと知る。「あいつら…ゆるさん!」
しかも、クライアントが最も期待を寄せ、自分も最も心血を注いでいた曲面を描く大屋根のデザインは、予算的な理由から普通の切妻屋根になるという。予算超過でクビになっただけならまだしも、今回はライバル達が勝手に自分の図面に手を入れて改変してしまおうというのだ。しかも許しがたいデザインに…。
…
こんな屈辱ってあるだろうか?
そんなことをしてできたものは、建築でも何でもない。
もちろん予算超過した建築家が悪い、という正論はあるだろう。でも選んだのは素人ではなく専門家達なのだ(委員長は安藤忠雄氏)。その案がどのくらい大変な案かはわかっていたはずだし、もっと安全策も取れたはずだ。しかしザハを選んだ。
住宅と公共建築は違う、その費用は血税でまかなわれるのだと言われれば、それもその通りだろう。しかし私は同じ建築を生業とする建築家として、この仕打ちはあまりにひどいしフェアじゃないと思う。それを”世界的”建築家が主導しているというのが私には信じられないのだ。
15. 06 / 03
勇気
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sekimoto
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> 思うこと
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大人になれば必ずしも楽しい仕事ばかりじゃない。なりたい職業に就けるわけじゃない。嫌いな人ともお付き合いしなくちゃいけない。好き嫌いはいけない。嫌いなものを今から進んで食べられるようにしましょう。
嫌いなものは食べなくていい。食べたいものだけを食べればいい。私はそう思う。むしろ嫌いなものは食べないという意思を持ち続けることは、現代においては勇気を意味する。勇気ある大人になってほしい。
15. 05 / 31
だれも知らない建築のはなし
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sekimoto
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> 建築・デザイン
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15. 05 / 30
佐藤布施事務所のしごと
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sekimoto
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> 建築・デザイン
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友人事務所・佐藤布施建築事務所のオープンハウスに行ってきました。たびたびブログにも書いていますが、主宰者のひとり布施木綿子さんは大学の同級生にして、私の大切な友人の一人でもあります。
竣工すれば必ずオープンハウスを行う私とは異なり、彼女達はある時期までほとんどその仕事を見せてはくれませんでした。
「たまには見せてよ」と請う私に、いつも「見せられるようなものではない」なんて謙遜しながら、しかしたまに気まぐれに見せてくれる住宅はどれも素晴らしい出来栄えで、これは私を効果的にヘコませるにはこの上ない手段となっていました。きっと作戦だったのでしょう。
そんな彼女から、珍しく意気込んだ内覧会のお知らせが届きました。
受けるかもしれない批評に保険をかけているのか、いつもは控えめな説明文に対して、今回はどうも自信があるのか、”いいものが出来た”という感触が案内文からも伝わってきます。
しかも・・
聞くところによると、このお施主さんは(なぜか)私のブログのファンで、いつもチェックして下さっているとのこと。これはしかと見届けなくては!と、こちらも意気込んで出かけていったのでした。
(と、これを読んでいるお施主さんはすでにドキドキしていることでしょう。さあ、辛口にいきますよ!?)
いきなりアプローチの洗礼。これはまごう事なき湊さんの仕事ですね。
これもうちのブログではネタの常連となっている造園家の湊さん(ストライカー)ですが、もとはといえば、佐藤布施事務所の造園があまりに素晴らしかったので、10年ほど前に紹介して頂いたという経緯があったのでした。
さすが猛獣使い、もとい湊使いの元締めだけあって、湊さんの使い方が実に上手い!湊さんはうまく手綱を握って予算を確保してあげると、惚れ惚れするような仕事をするのです。この分だと中の庭はさぞかし・・。そんな予感を感じさせるには十分なアプローチです。
早速中に入ってみましょう。
いやもう圧巻の一言でした。
彼女たちが意図した”はなれ”という構成、そして外部と内部を一体に結びつける精緻な外構。吹き抜ける爽やかな風と光にも唸らされました。丁寧な素材使いやディテールワークもまた、それらを魅力的に引き立てています。
庭を挟んで向こうに見えるのは、六角屋根を持つ音楽堂(はなれ)。
敷地に多少余裕があるとはいえ、40坪強の敷地に”はなれ”を計画する。その発想は私にはないかもしれません。しかも左官外壁の母屋に対して、はなれの外壁はレッドシダーのシングル葺き。しかも屋根は六角形!
何一つとして論理的には説明がつかないことばかりなんです。
でもココ、ココが重要なんです!(はいここテストに出まーす)
この大胆さに私はいつも脱帽してしまうのです。
どうしてあっちとこっちがくっついて、こっちとあっちが離れるのか、私にはまったく理解出来ないのですが、結果的に本当に素晴らしい空間になっているのです。これが布施マジックなんだなあ。私にはない異次元の才を感じます。
このキッチン前の仕上げはわかりますか?これはブラックミラーなんだそうです。
キッチンの前にミラー…これも凡人にはわかりませんね?
これは壁に向き合っていても後ろの家族の様子がわかる、そして同時に緑も視界に捉えるという、とっても合理的な理由に基づくものなのだそうです。お兄さん、ここでも一本取られました。(これは
とまあ、茶化すのはこの辺にしておいて。
いや本当に素晴らしい住宅でした。
私は建築家には、大きく分けて二タイプあると思うんですね。ひとつは理念や概念的なものを規範に作る人(左脳的)、もう一つは五感や触覚的なものを規範に作る人(右脳的)。
私は佐藤布施さん達の仕事は、どちらかというと後者の作り方のように思えます。それがどういうものであるか、それを言葉に置き換えると、光や風、土や緑といったものになるのでしょうが、私には違和感が残ります。彼らの意図や設計は、そんな陳腐な言葉に単純に置き換えられるようなものではないからです。
言語化できない領域こそに、空間の本質は備わるのかもしれませんね。そのくらいこの空間は気持ちが良かった。写真ではその魅力の半分も伝わらないでしょう。そこがまたもどかしいところです。
今日はいいものを見せて頂きました。どうもありがとう!
◇
「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ」
そんな言葉が頭から離れない今日このごろ。家に帰ってブログとしたしむ。
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