16. 06 / 13
き組ゼミにて
author
sekimoto
category
> 建築・デザイン
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48
昨日は「き組ゼミ」にて、講師として呼んで頂きました。
「き組」は金物を極力使わない、日本の伝統木造による家づくりを続けておられる建築技術者たちのグループで、主宰者の建築家・松井郁夫さんは、設計事務所運営の傍ら、そんな技術者達を育てる私塾を開いておられます。
ワークショプ「き」組 http://kigumi.jp/
リオタデザインの家づくりは、そんなき組とは少しアプローチが違うのですが、松井さんととあるきっかけで知り合い、昨年に引続き「き組ゼミ」にてデザイン講義をさせて頂くことになりました。
松井さんも伝統木造の第一人者なら、他の講師陣も日本を代表する建築家や技術者がずらりと揃っています。そんな中私が話をしても良いのか・・と去年はずいぶんとビビっていたのですが、受講生の熱心さに心打たれ、また松井さんの人柄と大らかさに惹かれ今年もお引き受けすることになりました。
といっても、私は伝統木造を語ることはできませんので、拙いながらもリオタデザインのいくつかの仕事や、私個人の建築バックグラウンド(フィンランドなど)についてお話させて頂きました。
この「き組ゼミ」には、本当に全国から受講生が集まってきます。コースがいろいろ分かれていて、各コース5回、約半年間の受講となるのですが、この日も岐阜からの参加者もいらっしゃいましたし、去年は金沢から通っていらした方もいました。
また設計事務所の主宰者という方もいますが、スタッフさんという立場の方や大手組織設計の方も。知識や技術を得るために、時間やお金を惜しまず参加する意気込みには本当に頭が下がります。(私は残念ながら、そこまで熱心な輩ではありません・・)
また松井郁夫さんは、今は息子さんである匠さんと一緒に事務所を協働されておられ、匠さんもき組で教える講師の一人なのですが、親子で心を一つにして仕事に打ち込まれている姿というのは、いつ見ても心が打たれます。ちょっと羨ましくもあります。
そして最後は受講生の皆さんとの懇親会。
なんと言っても、き組ゼミはこれが楽しいんですよね笑。お酒が入ってこの日も松井さんは絶好調!ちょっとアブない?事務所の内幕話などここでは書けないような話で盛りあがり、この日も夜が更けていったのでした。
松井さん、今年もお世話になりました。
是非またいろいろ教えてください!
16. 05 / 23
アトレウス家の新築
author
sekimoto
category
> 建築・デザイン
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48
先週末は大学の先輩であり、大学でもお世話になっている佐藤慎也先生の設計した住宅の見学会へと行って参りました。
慎也さんは学生時代からそうでしたが、型破りな先生で、大学でも研究テーマを”アート”に置いていることから、今回の見学会もいわゆる”オープンハウス”とはせずに、「アトレウス家の新築」というタイトルのアートイベントとして開催されていました。おそらく、案内を受け取った方の半数以上は意味が分からなかったと思います笑
[アトレウス家の新築]
http://thoa.gr/
建物としては文京区の下町に建つ木造3階建ての住宅で、今回は単なる見学会ではなく、製作のプロセスを映像化し、そこにモノローグを載せることで固有性の高い住宅を、一種のアノニマスな現象に置き換えてしまう(私の解釈が間違っていたらごめんなさい!)という映像作品が室内でも上映されていました。
実はこの住宅の計画の初期では、慎也さんの紹介で、私もこの建て主さんと面談をしていました。結局スケジュールその他で折り合いがつかず、結局慎也さんが共同設計者と共に設計を引き受けることになったようですが、このように「もしかしたら私が設計していたかもしれない住宅」を見に行くというのは、いつもとても興味深いものです。
細かい具体的なポイントは省きますが、この住宅の作り自体とても大らかで、ヒューマンスケールで作られていたことにとても好感を持ちました。また1階が特定の目的を持たない図書館のような公民館のような空間となっており、おそらくは生活に直接は直結しないであろうこの空間が、全体の1/3を占めているという構成にも驚かされました。
おそらくは、街とどのようにつながるかという点を突き詰めていった結果なのかもしれませんが、それを受け入れたクライアントの度量も賞賛に値するものがあると思います。
そこであらためて思ったのは、私の住宅の作り方は極めて職人的なのだなということです。全体の細かい整合性を突き詰めて行った先にリオタデザインの住宅はあるわけですが、ひとたび筆を置いて、このように都市的に、大らかに全体を構成していった先には、きっと豊かで大らかな生活があるのだろうなと思うと、とても魅力的であるように思います。
かといって我々の住宅ポリシーが変わることはないかもしれませんが、ただひとたび一部のディテールが崩れると全体系に影響を及ぼしてしまうような作り方ではなく、もう少し街やいろんなものを懐深く受け入れる住宅のあり方を考えていきたいなあと、この日は強く思ったのでした。
慎也さん、またクライアントのFさま、ご案内をありがとうございました!
今回ノルウェー行きの目的のひとつは、ノルウェーが生んだ巨匠建築家スヴェレ・フェーン(Sverre Fehn)の建築を見ることでした。オスロから日帰り圏内のハーマルには、フェーンの最高傑作と言われるヘドマルク博物館があります。
少ない滞在期間の1日をこの建築を見るために確保し、直前にサイトで詳細を調べてみると、どうやら3月は閉館しているらしい?ということがわかりました。このために来たのに・・と途方に暮れましたが、諦めきれずに駅のインフォメーションで聞いてみると「今も開いている」との答えが。
これは朗報!と予定通り、今日は片道1時間半の鉄道に揺られてハーマルまで足を延ばすことにしました。
ところがこのヘドマルク博物館、とんでもない場所にあるんですね。駅についても案内もなにもありません。バスの運転手さんに聞きまくって、ようやく辿り着きました。(めちゃくちゃ寒かったです!)
ところが・・。現地に着いてみると閑散としているんですね。たまたま通りかかった人に聞くと、今の時期はクローズだとの答えが。
え!?やっぱりそうなんだ。はるばるここまで来たのに・・。それでも諦めきれずに、建物の外をぐるぐる回っていると中に人の気配が。
どうやら博物館の学芸員はオフシーズンも仕事をしているようです。この学芸員の方に声をかけ、事情を話してお願いすると「しょうがないわね」という感じで、中に入れて頂くことができました。ほぼ貸し切り状態で、しかもつきっきりでガイドまでしてくれるという幸運!
これが日本ならあり得ないでしょうね。クローズの日にスタッフの独断で外国人を入れてしまうのですから。北欧の人はこういう融通の利かせ方が素晴らしいといつも思います。
余談ですが、昨日市内の美術館の受付でフリーチケットをなくしてしまい、ポケットを探って焦っていると、入場料も取らずに入れてくれたということもありました。北欧のこういう(良い意味で)ゆるいところが、私は大好きです。
ヘドマルク博物館は、二つの建築によって成り立っています。ひとつは800年前のカテドラルの遺構を、ガラスですっぽりと包み込んだシェルター(上の写真)。こちらの設計はフェーンではありません。
そしてもう一つが、司教の要塞跡を復元し、なおかつそこに現代建築を挿入して博物館として蘇らせたカテドラル博物館。こちらがフェーンの設計によるものです(トップの写真も)。
遺構と現代建築が見事に調和した佇まいに鳥肌が立ちました。単に遺跡を残すということではなく、それを手がかりにしてまったく新しい建築を作りだしているという点において、見たことのない空間でした。
フェーンは同じ北欧でも、アールトよりはイタリアのカルロ・スカルパのような空間に近いと感じました。それは今回の遺構がそのように見せているのか、本当はそうではないのか、他の建築も見て判断しないといけませんが、今回はフェーンの作る建築に触れる大変貴重な機会となりました。
これでオスロに思い残すことはなさそうです。
ちなみにこのように書くと、家族はどうしているのかと不思議に思われるかもしれません。
こうした建築を巡る旅は、我が家では普通のことなので文句を言われることはありません。息子もずっとカメラで写真を撮っていました。奥さんも建築を見るのが好きのようです。家族には感謝しないといけません。
新国立競技場の候補案2案が昨日公表され、昨晩からのニュースや今朝の新聞などでも大きく取り上げられている。
はっきりいって、建築のコンペが新聞の1面を飾ったり、ニュースの冒頭で報じられるなどということは、(外国では当たり前だけれど)この国では異例中の異例で、私の記憶の中でも初めてのことのように思う。
先のザハの件が大きく報じられた際は、どちらかというとネガティブな報じられ方であり、批判のほうが大きかった。ところが今回はこれからどちらかに決めようという段階であり、どちらになるかわからないという意味でも、また近未来のビジョンに多くの人達が思いを寄せるという意味でも、結果的にとても良い流れになっているような気がする。
思えば先のエンブレム問題もそうであったけれど、どうも建築やデザインというのは専門家の領域になりすぎてしまって、一般の人達が口を挟んではいけないような空気がある。それは政治も同じで、一般の人がどんなに声を上げても、結局密室で全てが決まってしまうという点に無力感を感じている人も多いのではないだろうか。
もっとも今回の競技場コンペとて、これから一般投票で決めるわけではなく、専門家で組織する委員会にかけられて決められるわけではあるけれど、世論の声を無視できないことは先の一連の流れでも明らかであるし、今回もけして一部の人達の思惑だけでは決められないだろうと思う。
そういうプレッシャーを今回の応募案公表が担っているのだとすれば、とても喜ばしいことだ。そして今後も国家が関わるような大きなコンペの場合は、このように事前公表をして世論の洗礼を一度浴びせるのが良いと思う。
◇
ところでこの公表案について、私はぱっとみて写真上のA案が伊東豊雄さんで、下のB案が隈研吾さんだろうと予想していた。
伊東さんは前回のコンペにも出していて、その時も自然や環境をテーマにしていたと記憶している。緑豊かな印象のA案はいかにもそれを体現しているように思えたし、一方のB案は柱をテーマに持ってきたシンボリックなデザイン。
隈さんは近年の傾向として「伝統」をテーマにすることが多いし、過去の代表作にも”柱”をシンボリックに使ったものがあることから、これは隈さんの案ではないかと思った。ところが朝日新聞の報道によると、私の予想は逆だったようで、A案が隈さんの案だとのこと。これにはびっくりだった。
これは個人的かつ無責任な予測だけれど、競技場はA案(隈研吾案)が有力なのではないかと思う。コンペ応募時の報道では、今回の建設に一番力を持っていると言われている大成建設の動向が業界で注目されていた。そして大成建設は隈さんと組むことを発表した。この時点で、政治的には圧倒的に隈さんが有利とされていた。
けれど、伊東さんのデザインはそれをも凌駕するポテンシャルがある。これはまだどうなるかわからない。伊東さんのやわらかく斬新なデザインの魅力は、より広く世論を味方にできるだろうと思っていた。
しかしフタを開けてみると、街角調査でもA案の方が圧倒的に人気があるらしい。そうなるとB案の逆転は難しくなる…。
そして正直私もA案が良いと思った。隈さんの、世論を味方につける驚異的な設計力にはただただ驚嘆するしかない。個人的には、伊東さんにもっとがんばってもらいたかったのだけれど。
でも結果はまだわからない。現時点でこういう無責任な予想が立てられるというのも今回の審査方式のおかげとも言える。
中には、今さらながらに「ザハの方が良かった」なんて言っている人もいるけれど、斜に構えるのはそのくらいにして、このコンペの行方を国民の一人として見守り、そして当選案の実現を、今度は建築人の一人として応援したいと思う。
150918・朝日新聞
1.隈研吾x梓設計x大成建設
2.伊東豊雄x日本設計x竹中・清水・大林JV
3.ザハ・ハディドx日建設計x?
仕切り直しとなった新国立競技場の公募に、応募者がほぼ出揃いましたね。
記事の見出しに「新国立公募に大成」とあります。
なんで大成がそんなにフューチャーされるかというと、旧計画でも関わっていたゼネコンのうち、一番作業員や資材などの動員力があるからなんですね。
今回の公募は金額もさることながら、人材や資材の調達力が問われています。つまり大成の動向を、業界は固唾をのんで見守っていたわけです。その山が動いた。
そして梓は、旧計画の設計JVの中では超大手の日建設計・日本設計の影に隠れていましたが、実はすごい実力を持っています。旧設計JVの中では、フィクサー的な動きをしていたとも言われています。
そこにきて隈研吾さんなわけです。
持っていくな-、と正直思いました。隈さんが持っていったというより、大成x梓が獲りに行った、もっと言うと「置きに行った」といったところでしょうか。しかし悔しいかなこの布陣、この中では間違いなく大本命でしょうね。
そして伊東豊雄さん。
今国内では名実共に最強の建築家。なによりイメージがいいです。そしてゼネコンチームに業界の雄、竹中を擁しています。強い、これは強いです。先ほどの裏事情を知らずに居並ぶ名前だけを見たら、大本命はこちらと目されてもおかしくありません。
しかし、まだ何が起こるかわかりませんよ?
そしてザハです。一度は王位につきながらも失脚し、もう立ち上がれないだろうと思わせておきながら、またやってきました。まさに不死鳥。正確に言うと日建設計からの熱いオファーに応えた形のようです。ザハ本人も言っているように、この2年間の蓄積は伊達ではありません。
旧計画では、日本側の盛りだくさんすぎる要望に図体ばかり大きくなってしまいましたが、本来のザハの実力はこんなもんじゃありません。今回大きなプログラムの見直しがありましたので、きっと体脂肪をロッキー並みに絞って、再び鮮烈な案を示してくれることでしょう。
しかし痛いのは、大手ゼネコンに一斉にそっぽを向かれてしまったことです。ゼネコンはシビアです。負けた将には用はないとでも言わんばかり。
私はザハ・日建は竹中と組むだろうと予想していました。ところが竹中は伊東さん側に付いた。義理・打算・裏切り・・。さながらリアル三国志を見ているかのようです。
一体誰が勝つのか、最後まで目が離せません。要するにこれなんですね、旧計画になかったのは。布陣を公開したわけですから、ここからの審査も可能なかぎりガラス張りでやってほしいものです。
いっそ東京ドームでやってくれたら、観戦に行くのになあ!
※追記
その後ザハ・チームが応募を断念したとの報道がありました。結局組む相手(ゼネコン)が見つからなかったということですね。残念なニュースでした。
category







