一昨日のJIAのシンポジウムには、私の大学の教え子やその友達など10名を越える学生さんが参加してくれました。

当日はJIAとしては異例となる建築家と工務店との協業や、設計施工型の工務店の持つ可能性など、幅広いテーマを扱ったという点でも画期的だったと思いますが、これだけ多くの学生が参加したイベントというのも異例だったのではないかと思います。

先の工務店との協業というテーマが示す通り、これからは建築家が設計仲間に囲まれて建築を語っているだけではだめだと思うのです。

そして同じように、学生も大学の中だけで設計課題をこなしているのでは話になりません。言っておくけど、君たちがやっているご都合主義の設計課題なんて、社会に出たらこれっぽっちも役に立たないからね。

昨日参加してくれた学生たちは、懇親会で建築家たちに囲まれて、束の間大人の世界を垣間見たことと思います。そう、それが君たちが生きるリアルな建築の世界なんだ。社会とつながろう。街を歩こう。そう植久さんも言っていたよね。

私もその昔学生の頃、JIAの卒業設計コンクールへの出展に絡んで、実行委員の建築家の方達に呑みに連れて行ってもらったことがありました。

若かった私はずいぶん生意気なことを言っていたと思うのですが、咎めるどころか「君は面白いねえ!」と楽しそうに話を聞いてくれました。それが誰だったかなんて覚えていませんが、それを今でも忘れないというのは、きっとすごく嬉しかったんだと思う。

昨日の学生たちがとても嬉しい感想をくれました。以下引用させてください。将来のJIAそして建築を担う若者たち。昨日のことは忘れないで欲しい。


編集者の方や実際に建築に携わる仕事をしている方々のお話を聞いたりすることができ、貴重な体験ができたなと感じました!

トークセッションでは、省エネや工務店建築家の関係性など、興味深い内容が多くて勉強になりました。その後の二次会でも様々な話を聞けて、多くのことが学べました。食事まで奢っていただいて...本当にありがとうございました!

編集者の視点で建築を考えるということは、普段の講義では出来ない貴重な経験でした!協業の話をはじめ、これからの建築業界に求められるものがほんの少しだけ分かった気がします。本当に楽しかったです。

シンポジウムだけに留まらず、社会で働いている方々を紹介していただきありがとうございました!働いている大人の話を聞けたことは、新鮮で面白かったですし、将来の進路を考えるにあたって貴重な時間になりました!ありがとうございました‼︎


本日、大学の非常勤講師として最後の授業を終えました。

母校である日本大学理工学部建築学科の非常勤講師は、2007年より通算で10年務めさせて頂きました(途中2年の退任期間あり)。前期後期をあわせると、のべ400人くらいの学生さんを教えたことになります。

しかし10年、400人教えただけ教え方が上手くなったかというと全くそんなことはなく、もしかしたら過去のほうが上手く教えられていたのではないかと思うことさえあります。皮肉なものです。

啐啄(そったく)という言葉があります。雛が卵から孵ろうとするとき、卵の内側から嘴でコツコツとつつく音に反応して、親鳥が外側から殻をつつき割るという状態。禅においては、師弟間の呼吸がぴったり合い、機が熟したタイミングで師が弟子に教えを授けるさまを差したりします。

親子の関係もそうですが、上から一方的に授ければ人はそれを吸収するわけではなく、教える者、教わる者同士が共に心を開き、相手の言葉に耳を傾ける状態を作らなければ教育というものは成立しません。まさに啐啄です。

人との出会いというものはいつも一期一会です。あるときにはクラスの意識と自身の感性がぴたりと合って、素晴らしい作品群が次々と生まれることもあれば、最後までちぐはぐで自分の言葉が学生の心に届いていないと感じるときもあります。そんな時の無力感といったら…。

教えるという技術はおそらく着任当時から比べれば上がっていると思いますが、人の心は残念ながら技術では開きません。前回は開いたアカウントに次はまた鍵がかかり、最後にようやく開くと次にはまた鍵がかかり。この10年はまさにその繰り返しだったような気がします。

ごく希に、今日は良い指導ができたと手応えを感じて帰路につくこともありましたが、ほとんどはドーンと落ち込んで帰路についていました。学生は好きでしたが彼らの能力を引き出しきれない自分が歯がゆく、自分は講師には向いていない、いつもそう思っていました。そんな日々からもようやく解放されます。

それでも続けてこれたのは、たまに学生がこちらの言葉に反応して見せる、何かを発見したような好奇心に満ちた表情。あの表情を引き出したくて毎回どんな言葉をかけようか考え続けてきました。私の未熟な指導についてきてくれた学生には感謝しかありません。どうもありがとう。

そして大学関係者の皆さまにも心より御礼申し上げます。

もう大学からお呼びがかかるようなことはないでしょう。私のフィールドは、やはりリアルな設計の現場にあるような気がします。これからは分相応のフィールドで、自分の力を出し切りたいと思います。

20. 01 / 09

日芸特別講義

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sekimoto

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日本大学芸術学部(日芸)准教授で建築家の若原一貴さんにお声がけ頂き、日芸にて特別講義をさせて頂きました。

日芸は2000年にフィンランドに渡る前、同大学で行われたアールトの住宅模型ワークショップで助手を務めさせて頂いたご縁があります。ただ校舎はずいぶん様変わりして綺麗になり、当時のカオスな面影はもうありません。

講義の後には学生さんから質問責め。そのほとんどが留学に関わることや、就職など進路について。わかるよ、僕もそうだった。学生らしい純粋で真剣な眼差しにこちらも刺激を頂きました。

私は同じ日大でも理工学部。日芸とはいろんな意味で文化が違うんですね。でもこっそり告白するならば、日芸は私の憧れの大学なのです。やっぱいいな、日芸は。

若原さんは私と同じ歳、学部違いの同級生です。終わった後は、二人呑みながらの建築談義で夜は更けてゆきました。若原さん、お誘い下さりありがとうございました!

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sekimoto

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昨日は日大理工2年生の「園児のための遊び場・学び舎」の全体講評会でした。今期はじめての課題でしたが、力作が揃い考え方のバリエーションについても学生のポテンシャルを見せられた気がしました。

最後の懇親会では、他ユニットの学生にも声をかけて、自身の指導教官とは違う視点でアドバイスをもらうという機会も貴重だったと思います。

一方で、、

自分が選出した4人の学生のうち2人が当日休む、そもそも全体講評会の聴講学生が少ないなど、朝から心が折られた日でもありました。

事情はいろいろだと思いますが、それなら他の子を選んであげれば良かったとか、そもそも今どきの学生は講評会自体に出たくないのか?(たまに辞退を申し入れてくる学生もいます)など、ぐるぐる考えて下がるテンションを必死に保ちながらの一日でした。

一方全体講評で選出された上位作品には熱意と”やりきった感”が漲っていて清々しかったです。もちろんうちのクラスの学生もがんばりました。皆さん、お疲れさまでした!



19. 05 / 02

令和婚

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sekimoto

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元号の変わった昨日は大学の教え子の結婚式でした。場所はF.L.ライト設計による自由学園明日館。建築に携わる夫婦らしい、手づくりのとても心温まる式でした。

新婦の奈津実さんは今から10年前、彼女が1年生の時の担当でした。研究室の恩師が結婚式に列席することはあっても、わずか数ヶ月しか担当しない非常勤講師が呼ばれることは異例かもしれません。もちろん、私も初めてのことです。

彼女は担当を外れたのちも、毎課題のように私の元にやってきました。果ては卒業設計、修士設計、そして就職の相談まで。これまで400人近くの学生を教えてきましたが、このような学生は彼女を除いてはほとんどいません。なので、今日のこの日を我が娘のような心境で見守りました。

列席者には私の、そして彼女の恩師でもある本杉先生もいらっしゃいました。ちなみに本杉先生は教え子の結婚式にはまず出席しないのだそうです。そんな先生が終始ニコニコしながら列席しているというのも、彼女の人徳と言えるかもしれません。

隣席の先生とも、少し緊張しながらもいろんなお話をさせて頂きました。思えば付き合いは長いのに、こんなに長く会話をしたのも初めてだったかもしれません。今年で退任される先生とも貴重な時間を過ごさせて頂きました。

新しい時代の幕開けにふさわしい、とても清々しい時間を過ごさせて頂きました。奈津実さん、あらためておめでとうございます!どうか末永くお幸せに。