18. 05 / 13

はじまりの5月

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sekimoto

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4月が出会いの季節なら、5月は家づくりにとってははじまりの季節です。新年度になって心機一転し、気候も穏やかになったこの季節、前向きな気持ちになる人が増えるのかもしれません。

こちらはたまたまですが、この5月には立て続けに住宅が着工します。昨日は葛飾区の「koti」という住宅の地鎮祭がありました。


「koti」では建て主さんが我々の住宅に興味を持って下さり、はじめて顔を合わせてからすでに一年半の時間が流れています。ようやくの地鎮祭、私も建て主さんも感慨深い思いでこの日を迎えました。

計画では、土地の問題、資金の問題など、おおよそ家を建てようという方が経験されるであろうほぼ全ての洗礼を受けました。それも、これでもか、これでもかというくらい笑。

建て主さんの心も折れかかっていた時期もありましたが、オープンハウスに見学にいらっしゃる度にモチベーションをチャージされ、ここまで辿り着きました。そんな背中を私も強く押し続けました。

ようやく着工です。Iさん、竣工までプロセスを楽しんで共に最後まで走りきりましょう!



さて私も少し歳を取り、今では私よりも建て主さんの方が年下という計画も多くなりました。皆さん「人生これから」という方達ばかりです。

家づくりに最も大切なのは、自分たちが「こうありたい・こうなりたい」という思いを描くことと、困難を乗り越えてでもそれを実現しようという強い意志だと思います。潤沢に資金があって、理想的な敷地があって、思うように家が建てられる方などごくわずかです。ほとんどの方は「そんなの無理」と思って諦めてしまいます。

でも「こうありたい・こうなりたい」という思いを描く人たちは、諦めずに我々の事務所の門を叩いてくださいます。我々は資金や土地を提供することはできませんが、ものの考え方やいくつかの方法を指し示すことはできます。あとは強い意志で不安に打ち克ち、それを乗り越えることができるかどうか。

それができた方は、素晴らしい家を手に入れるだけでなく、その後の人生においても大きな財産を得ることになります。諦めなければ叶うんだという成功体験です。これは何にも代えがたい、家づくりのご褒美のようなものだと思います。

この日は午後にも設計打合せがありましたが、このご家族もまさに同じようなプロセスを歩んでいらっしゃる方達です。そんな方達と進める家づくりが、私にとっては何よりも楽しくやりがいのある仕事になっています。

5月ははじまりの季節!私の心もポジティブになります。

18. 04 / 30

GW前半も終了!

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sekimoto

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> メディア
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今年のゴールデンウィーク、前半は天気もとても良く気持ちが良かったですね。私は連日建て主さんとの設計打合せでしたが、気持ちが良いので打合せも中庭で実施させて頂きました。

ちょっとムズカシイ打合せも、心地よい風と緑のおかげで一同心穏やかに?進めることができました。内心、GW中の仕事をリゾートのように乗り切りたかったということもあったのですが笑


さて、そして今日はこんな取材の立ち会いもありました。


もうおわかりですね。俳優の渡辺篤史さんが案内役を務める例の長寿番組です。前回は2015年にFPという住宅を取材頂きましたが、今回は3年ぶり2度目の登場となります。

今回の住宅は昨年竣工の「路地の家」。実は路地の家の建て主さんも、FPのオンエアを観て気に入り設計のご依頼を下さったのでした。感慨深いですね。

渡辺篤史さんは前回もそうでしたが、ワゴン車から降りるとそのままマイクを付けて、リハーサルも一切なしで本番に入ります。私にも本当に気さくに話しかけて下さり、カメラが回っていないところでも、本当にあのままなんですね。収録で建て主さんもみんなファンになってしまうという気持ちがよく分かります。


収録終わりには、興奮冷めやらぬ渡辺さんからハグを求められました笑。
前回のFPもすごく褒めて頂いたのですが、今回も渡辺さんのツボにはまったようで良かったです!建て主のOさんも緊張されたようでしたが、ご対応ありがとうございました。

こちらのオンエア予定は、「7月7日(土)」だそうです。また近くなったらリマインドしますね。オンエアが今から楽しみです!

18. 04 / 20

HOUZZ

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sekimoto

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> 仕事
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リオタデザインのメインサイトとは別に、いくつかの建築・インテリア系のオンラインコミュニティに登録しているのですが、そのうちHOUZZというサイトにもリオタデザインのプラットフォームがあります。

ご存じない方も多いと思うので、この場をお借りしてご紹介しておきたいと思います。

HOUZZ|リオタデザイン
https://www.houzz.jp/pro/ryotasekimoto

うちも過去の住宅を抜粋して掲載させて頂いていますが、一般の方も気軽に好きな画像やデザインを保存したり参考にしたりして、家づくりにも活用されているようです。私も建て主さんからのレビューに、当時の家づくりを思い出して感慨にふけることができました。

なおHOUZZへのリンクは、以下の通り私の顔写真の下にも張り付けておきました。トップページの「リオタデザインについて」よりお入り下さい。

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18. 04 / 18

光井戸の家

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sekimoto

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> 仕事
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サイトの「これまでの作品」に、昨年竣工した「光井戸の家」の写真をアップしました。都内の狭小地に建つ中庭住宅です。

光井戸の家(写真:新澤一平)
https://www.riotadesign.com/works/17_hikariido/#wttl

中庭住宅は都心のプライバシーが求められるエリアではとても人気のあるプランなのですが、比較的敷地に余裕がないとなかなか成立しません。

今回はわずか20坪ほどの狭小敷地に中庭住宅という、かなりアグレッシブな解き方をしています。中庭というより光井戸…ということで、光井戸の家と名付けています。

こんな小さな坪庭でも、光や風、自然といった要素をしっかり1階まで届けられるということを知って頂けたらと思います。もちろん、それを担保するために様々な工夫も随所に行っています。

撮影は竣工から1年も経ってしまいましたが、竣工当時のままとてもきれいに暮らしてくださっていて感激しました。建て主さんのセンスの良さが伝わってきます。

18. 04 / 16

時間こそが価値

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sekimoto

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> 仕事
> 思うこと



ギフトの本質は時間そのもの。
誰かがそんなことを言っていました。誰かのことを思って何を贈ったらと悩む時間や、特別な品をお取り寄せする時間、あるいは出来あいのものではなく敢えて手作りするという時間…。

贈られたものそのものよりも、その向こう側に見えるそんな”時間”にこそ、我々は心が躍り、幸せな気持ちで満たされるのかもしれません。そう考えると我々の作る住宅はまさに「時間そのもの」と言えるかもしれません。



昨日、TRという住宅の内覧会がありました。建て主さんのご希望もあり、告知は行わず内輪だけの内覧会とさせて頂きました。その中で多くの方に今回の住宅における施工精度や密度のようなものについて、多くのお褒めのお言葉を頂きました。

今回の住宅はいつも通りの設計で、いつもと同じような素材を使った住宅です。建て主さんも特殊なお仕事をされているような方ではありません。敷地にもとりたてて特殊な条件はありませんでした。とにかくいつもと同じ。家を建てようという方、全ての方が同じようにお持ちの条件の上に建っている家だと思って下さい。

その上で、この家を特殊たらしめているのは、建て主さんが手っ取り早く建てる方法はいくらでもあるこの世の中で、我々のような設計事務所に設計をご依頼くださったこと。それに尽きると思います。

とにかく打合せにも時間がかかりましたが、それもすべて建て主さんが望んだことでした。建て主さんは心からプロセスを楽しみ、そしてその様は、まるで我々との家づくりが永遠に続いて欲しいと願っているかのようでもありました。



前述のように、この住宅には特別な素材は使っていません。きわめていつも通り。しかしそれをきわめて丁寧に設計し、そして施工して頂きました。

今回の施工にあたっては、建て主のご要望を受けて望みうる最高の施工チームを編成しました。大工、板金、塗装、建具、家具、そして植栽。それらを束ねる工務店。すべてが私が認める一流の仕事人達です。

一流は高いのか?と言われると実は必ずしもそんなことはありません。ただ時間はかかります。よくありがちな”レンジでチンすればできあがり”みたいな仕事ではないからです。



最後に棟梁に「この家で最も手間がかかったのはどの部分か?」と訊ねたら「子ども部屋」だと答えました。これはある意味我々の作る家を象徴しています。

子ども部屋はローコストに仕上げるために、今回壁と天井はすべてシナベニヤで仕上げました。シナベニヤは確かにローコストな素材ですが、石膏ボードの上から塗装したり、クロスを張ってしまうような仕上げと違ってごまかしが利きません。

だから細心の注意が要求されます。ちょっと採寸を誤ったら、それだけで材料はロスになります。同時にシナの色味や節などが、見る人に違和感を感じさせないように吟味しなくてはなりません。それは新鮮な食材を、最小限の包丁入れと味付けだけで成立させる料理が最も難しい、という領域とよく似ています。

それが一分の隙なく完璧に納められた瞬間、シナベニヤ仕上げは漆喰仕上げにも劣らない、背筋が伸びるような気品溢れる仕上げへと変わります。その向こう側に途方もない手間(時間)を封じ込めているからです。さもなくば、ただの”安っぽい仕上げ”に成り下がるばかりです。



外装の板金仕上げもそうです。ガルバリウム鋼板と言えば少しは聞こえは良いですが、要は”トタン”です。かつては安普請の代表選手のようにも言われていました。実際ガルバリウム鋼板はとても安い素材です。

それがどうでしょうか。この外壁を見て安普請だと思う人はあまりいないかもしれません。これは私が板金職人を指定して葺いて頂きました。今この仕上げができるのはこの人しかいないからです。どこがどうという説明はここでは省きますが、これをそのまま真似して施工できる職人は、かなり限定されるはずです。

スーパーで買ってきたキャベツでも、最高の料理人が調理すれば気品溢れるフレンチになるということになりましょうか。申し添えれば、火加減(施工)だけでなくレシピ(設計)が重要だということは言うまでもありませんが。

これもまた、安価な素材であっても、その向こう側に膨大な手間(時間)を封じ込めることによって、タダモノではない佇まいになるという一例でもあります。



こんな風に書くと、なんだ安い素材だけで作られているのかと。
「安い素材x安い素材=安い工事費」ですか?と言われると、必ずしもそうではないというのも不思議なものです。すごく高いということはありませんが、住宅メーカーさんの坪60~70万円の家というわけにはいきません。どうしてでしょうか?

それは手間(時間)がかかっているからです。

ここまで書いてわかって頂けたでしょうか。我々の家づくりは「時間にお金を使う」家づくりなのです。我々は素材そのものというより、手間という名の時間にお金をかけているのです。時間こそが最高のギフト、そして時間こそが価値なのです。

スマホでポチッとすれば翌日に物が届く時代だからこそ、我々の家づくりは貴重なのだと思います。今回建て主さんは、どんな裕福な方よりも豊かな体験をされたに違いありません。今回の家づくりを通してつくづく感じたのはそのことです。