日曜日にオープンハウスを開催した「川風の家」の,昨日は引渡しがありました.今日は今頃お引越しをされている頃でしょうか.

この仕事は,もともとうちの子とお施主さんの息子さんが幼稚園の同級生で,通称”問題児2人”を子に持つ親同志が結束したところから話がはじまりました.
というのは冗談ですが笑,私にとっても地元で,面識のある方の住宅を設計するというのはとても楽しみで,実際お施主さんのお人柄もあり,スタッフ共々最後までそのプロセスを楽しく堪能させて頂いたお仕事でもありました.

今回の仕事で強く感じたことが二つあります.

ひとつは「素材」について.
素材と言っても仕上げのことではありません.敷地が置かれている状況や地域性,近所の人達との目に見えないつながり,そしてお施主さんの持つ個性や世界観のようなもの.それらをひとまとめにして「素材」と呼ぶならば,我々はそれらを使って料理する料理人であり,素材が良ければ良いほど,そこには余計な味付けはいらないのだということを今回は強く感じました.

我々の設計の特徴でもある「余計な線は省き,シンプルに構成する」というアプローチも,言い換えれば素材に軽く塩を振っただけで出しているにすぎないのかもしれません.しかし素材に対していかに謙虚でいられるかということは,建築を作る上ではとても大切なことのように思います.

もう一つは「波紋」ということについて.
今回のオープンハウスでは,何人かの人に「近所の人たちは,みんなこういう家に住みたいと思うんじゃない?」と言われました.私もそうあってほしいと思いますが,実際一件の住宅が地域に及ぼす影響というものは計り知れないものがあると思います.

一つの小住宅を建てるという行為は,例えると水面にひとつの小石を放るような行為かもしれません.そこに生じた波紋やさざ波は,やがてその地域を意識/無意識にかかわらず包みこんでゆくことになります.我々はそうした波紋が跳ね返ってできた複雑なさざ波の重なりを受け止められる存在でありたいと思います.

街並みに放られた”小石”による「ハウスメーカーじゃない家」という波紋が,やがて「じゃあ,うちも」になっていったら街は少しずつ変わってゆきます.我々建築家が真にやらなくてはいけない仕事はそこにあるのだと思います.

以下は25日のオープンハウスの様子.この日も沢山の人たちが足を運んでくださいました.最後は我々の家族,スタッフにご主人が手料理を振る舞ってくださり,楽しい宴となりました.最後まで我々の設計に理解と共感を示してくださったお施主さんには,感謝の気持ちでいっぱいです.最後までありがとうございました.



12. 03 / 15

あたりまえ

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sekimoto

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> 仕事
> 思うこと


はじめてお付き合いする工務店さんに,毎回必ずと言っていいほど言われるのが,「図面をよく描かれていますね」ということだ.

うちは設計事務所だ.いわばプロの図面描きでもある.だからどこに出しても恥ずかしくない図面を描かなくてはいけない.だからスタッフにも僕は図面に関してはとにかくうるさいし,図面には確実に,施工に関わるすべての情報が網羅されていなくてはならないとも思う.

ところが機会があって他の事務所の図面を見たりすると,たまに愕然とすることがある.密度はスカスカだし,あちこち食い違っているところもあって,これを見て工事をする人達は大変だろうなと思わされることもある.

すべての線に責任を持つというのが我々の仕事だ.施工会社は図面通りに施工することに全力を尽くすとして,その礎となる図面は我々が描かなくては始まらないと思う.

我々が描いている図面は「あたりまえ」の図面だ.少なくとも我々はそう思っている.それがすごいと毎回言われることに,いつも違和感を覚える.

施工者にもたまにプロ意識の欠けた方にお会いすることもあるけれど,そういう時はかなり厳しい態度で我々も接することになる.我々は相手にも求めるものが大きい分だけ,こちらもそれなりの仕事をしなくてはいけない.少なくともそれを受け取る相手が,背筋がしゃきっと伸びる図面を描きたいと思う.

12. 02 / 29

eclipse

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sekimoto

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> 仕事


[caption id="attachment_3900" align="alignnone" width="560" caption="手前がコーヒーカップ.奥はティーカップバージョン"][/caption]吉祥寺にあるカフェmoiに行ったあるお施主さんから,お店のカップがとても気に入ったのだけれど,どこに行けば手に入るかとの声を頂いた.

moiのこのカップ&ソーサー"eclipse"は,カフェの設計依頼を頂いた当時,まだフィンランド在住だった私が,同じく在住のデザイナーの友人,梅田宏樹さんにお願いして作って頂いたもの.このお店オリジナルのカップ&ソーサーだ.オープン後もこのカップは好評で,一時期は六本木ヒルズのお店でも売られていた時期もあった.

その後工房が製造できなくなってしまい,今では一般の人はお求め頂けないどころか,当のmoi店主であっても破損してしまったらもう二度と手に入れることができないという,ある意味プレミアものの食器になってしまった.

このeclipseのコンセプトは,moiのように小さなお店でテーブルの上に何枚もお皿を広げられない時,カップを少しずらして置けばお皿代わりにもなるという機能性に加え,そのずらした形状が”三日月(eclipse)”になるというチャーミングなデザイン.吉祥寺に移転する前の荻窪時代はこのソーサーの置き場すらなくて,仕方がなく壁に立てかけディスプレイするように保管していた.

お店を作るのに,オリジナルの家具を作ることは良くあるけれど,カップまで作ってしまった例はあまり聞かない.それが以来10年あまりを経た今もなお,注目して気に入って下さる方たちがいることが嬉しい.梅田さんには是非moi開店10年を記念して,再販に向けて腰を上げて頂きたいところでもある.

[caption id="attachment_3899" align="alignnone" width="560" caption="荻窪moi 2002-2007|Photo: Shuhei Nezu"][/caption]

 

12. 02 / 24

crann まもなく!

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> 仕事



去年の暮れから設計で関わってきた,上板橋にあるわずか4.5坪の小さなカフェがまもなくオープンします!といっても現場はまだまだ調整中.今日はオーナーさんも立ち会いのもとチェックをしましたが,設計者と同じくらいマニアックな?エークラフトの伊藤さんらしい施工のこだわりが随所にあって,なかなか素晴らしい仕上がりになっています.

我々のようなシンプルなデザインテイストであればあるほど,細かいディテールの完成度は見栄えにも直結することになります.また経験上,カフェはそこに入れてくる家具や小物類にも空間が大きく支配されるため,来週以降の開店準備のプロセスでも,お店は大きな変貌を遂げてゆくことと思います.

お店の名前のcrann(クラン)というのは,アイルランドの言葉(ゲール語)で「木」という意味だそうです.アイルランドは北欧ではありませんが,北欧と同じような木の文化であり,また世界一の紅茶の消費国であるアイルランドの紅茶文化を伝える紅茶カフェとしてオープンする予定です.

一応オープンは3月2日(金).実は一週間後です汗.

最初はお昼からの試験営業をされてゆくそうですが,ゆくゆくは朝8時から夜8時くらいまでのロング営業にしていきたいとのこと.この周辺は単身者も多く,また駅にも近いことから,通勤通学の途中に寄り道をするのに最適なカフェになるかもしれませんね.またもう少し詳細がわかったら,この場所でも告知したいと思います.

カフェ・crann
場所:板橋区上板橋2-37-8
オープンは,3月2日(金)正午~を予定
店舗設計:リオタデザイン 関本竜太+三浦美紗子
施工:エークラフト 伊藤英一郎

皆様どうかご贔屓に!




[caption id="attachment_3863" align="alignnone" width="560" caption="crann模型 S=1/50"][/caption]

12. 02 / 22

柴くん来所

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> 仕事



今日は事務所OBの柴くんが事務所に顔を出してくれました.
彼が辞めてからあったあれやこれやの報告や,彼の近況などを聞き,またスタッフみんなで居酒屋に移動しての話も大いに盛りあがりました.

かつて一緒に仕事を共にしたスタッフとの再会というのは,いつも楽しく嬉しいものです.当時の思い出話にも花が咲き,今でもあの頃にすっと戻ってしまいます.
いやあ,楽しかった.またいつでも寄って下さいね!