15. 06 / 03

勇気

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sekimoto

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好き嫌いはなくしましょう、というのは今にして思えば大人の陰謀だったのかもしれない。嫌いなものは食べなくても生きて行けると思う。ピーマンには泣きながら食べなくてはいけないほどの栄養価が本当にあるのだろうか。

大人になれば必ずしも楽しい仕事ばかりじゃない。なりたい職業に就けるわけじゃない。嫌いな人ともお付き合いしなくちゃいけない。好き嫌いはいけない。嫌いなものを今から進んで食べられるようにしましょう。

嫌いなものは食べなくていい。食べたいものだけを食べればいい。私はそう思う。むしろ嫌いなものは食べないという意思を持ち続けることは、現代においては勇気を意味する。勇気ある大人になってほしい。

15. 05 / 18

想いがすべて

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人が何か物事を興すときには計画を立てる。

事業であれば事業計画を立てるし、家づくりであればまずは設計だ。ただそれ以前の問題として、その資金をどうつくるのか、その後にちゃんと回してゆけるのかということも考えなくてはならない。夢と心中するわけにはいかない。くれぐれも無理のないように。ご利用は計画的に、というわけだ。

しかし、はたして本当にそうだろうか?

無理からはじまらないと夢なんて叶わないのではないか。上手くいかないのはお金のせいではなく、浮ついた邪な気持ちがあるからだ。まずはじめることは、電卓をはじくことではなく、想いを強く深く持つということだと思う。

私は独立するとき、後先の事なんて考えなかった。独立するのが夢で、独立しないという選択肢がないのだから、独立して大丈夫か?なんて考えもしなかった。もちろん大変だったけれど、今も事務所は存続しているのだから結果オーライだろうか。覚悟が決まると、結果は後から付いてくるものなのかもしれない。

人は事をはじめる時には、デコボコのない平坦な道を歩みたがるものだ。結果的にデコボコもなく、平坦な道をリスクもなくゴールに辿り着いたとする。しかしそれは”夢”ではなく”現実”そのものであろう。近所のスーパーに買い物に行ったようなものだ。

こんなことをうちのクライアントと接しているといつも思う。さすが設計事務所に頼もうなんていうクライアントは”夢の熱量”が違う。想いの深さが半端ないのだ。

人がそれをやらないための理由はいくらでもつけられる。でもそれをやるための理由は一つしかない。我々が設計する家とはそういうものだと思う。

15. 05 / 02

生きること

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知人の建築家が急逝した。享年45歳だった。

彼は一度だけ私のオープンハウスに来てくれたことがあった。その後もSNSやブログ等を通じて、彼の活動や近況は身近に感じていた。年齢が近いことや共通の知人がいたこと、同じ埼玉をベースに置いていたこともあり、彼には親近感を覚えていた。

亡くなったその日も、彼は朝から元気な近況を残していた。だからその日のうちに亡くなったという事実は、私にとってはあまりに衝撃的だった。

私の父は50で他界した。周囲は若いのにと落胆したが、私には父が若かったのかそうでなかったのかはわからなかった。子供にとっては、親に若いも老ているもないからだ。

しかしいつからか、私は父の歳まで生きるのが目標になった。この感覚は親を亡くした者にしか解らないと思う。残された子は意味もなく、親の死に自分の宿命を重ねるものなのだ。

40になった時あと10年だと思った。今43だからあと7年。もちろん、50で私は死ぬわけではない(と思う)。実際今私はピンピンしていて、死ぬ気配は微塵もない。けれども「急がなくちゃ」という強迫観念が私を支配する。

知人の建築家は朝仕事をして、子供と野球をし、その日の晩に亡くなったという。死を身近に感じると、人は怖気付くようだ。夜家族と食卓を囲みながら、やっぱ死にたくない、と強く思った。

残されたご家族に想いを馳せるといたたまれません。
故人に心よりご冥福をお祈り申し上げます。

15. 04 / 28

免罪符

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竣工直前、現場はクリーニング、私はもうひと仕事。
現場に貼られたシールを剥がしてまわる。

これなんなんですかね、ベタベタと。
どんだけ重要なことが書かれているのかと思いきや、

「この製品はガラスのため破損することがあります」とか、
「硬いものでこすると傷つく恐れがあります」とか。

知ってる。
見ればわかるし。

PL法ってやつなんでしょうか。要は「言ったかんね、だからこっちには責任ないかんね」っていう。責任を全うするんじゃなくて、無責任を全うするための免罪符。

いいよいちいち貼らなくて、て思うんですが、いるんでしょうね、クレーマーが。「書いてなかったから破損したじゃないの!」とか言う人が。デザイナー泣いてるよ。この製品デザインした人が。そして、それスペックした設計者が。

わかった。まあいい。でも一言言わせてもらおう。
もっと剥がしやすくしてくれ。

15. 04 / 16

人生劇場

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家づくりで起こることは、人生で起こるすべてである、といつも思う。我々の仕事はクライアントにとって、おそらくは一生に一度の家づくりをサポートする仕事だ。だから重い。逃げ出すことも、投げ出すこともできない。

設計者はよく自らの仕事を物づくりと称するが、釘一本打たない人間が物づくりとはおこがましい。大工は木と向き合うが、我々が向き合うのは人間である。我々の仕事は人と人との関係性を整えたり、ものの考え方や見方、ひいては相手の人生を作る仕事だとも言える。

人間は難しい。答えはひとつではない。ある人にとっては正解であっても、ある人にとっては間違いであることもある。ある人は大らかに受け入れ、ある人は些細なことにも拒絶反応を示す。

建築にとって一番大切なこととは何だろうか。
学問に通じていることだろうか、傑出したデザイン能力であろうか、人々を魅了する話術であろうか。

私は相手の気持ちになって考えることだと思う。クライアントに寄り添い、共に悩み、共に笑うこと。当事者意識こそが建築にとって最も大切な素養であるような気がする。

しかし人間は難しい。それを心がけているつもりでも、時に思わぬ一言が誤解を招いたり、相手の機嫌を損ねてしまうこともある。私もまだまだ成熟には程遠い。

今週は濃密な一週間だ。ここ6日間で7組のクライアントとの打合せが続く。議論し、乗り越え、その悲喜こもごもを共有する。我々が向き合うのは人間そのもの。明日もまた、あらたな人生劇場が幕を開ける。