
今回のアアルト展の最大の特徴は写真がメインの展示であるという点かもしれません。通常、建築家の展覧会というと巨大な模型が会場を埋め尽くし、その空間のいわば縮小体験ができるようになっていることが多いと思います。
ところが今回の展示をはじめて見たときに驚いたのは、模型が圧倒的に少ないということ。最後の展示室には一応模型もあるのですが、展覧会のために作成されたものではなく、アアルト事務所が作成した当時の模型になります。つまり模型すらもアーカイブの一部であるというわけですね。
その代わりにアアルトの建築の魅力を伝えてくれているのは、Armin Linke(アルミン・リンケ)というドイツ人写真家による撮り下ろしの写真です。

今回の写真を私はとても気に入っています。
建築というものは、その魅力を理解するにあたって実物を見ることに勝る方法はないと思いますが、それを端的に知る方法に建築写真があります。
多くの場合、我々は写真家によって撮られた写真によって、その建築の作品世界を理解しようとします。そして建築の展覧会などには過去に撮られた代表的な写真が並ぶことになるわけですが、有名な撮影カットになればなるほど、そのカット自体がアイコン化し、そのアングルから切り取られた建築が”建築そのもの”であるかのように一人歩きをはじめるのです。
「F.L.ライトの落水荘を遠くから俯瞰したあの写真」といえば、建築関係者は一斉にあの神々しいカットを脳裏に思い浮かべることでしょう。つまり人々によく知られていればいるほど、その写真が建築そのものであるかのように置き換わってしまうのです。
今回の展覧会が素晴らしいのは、すべて撮り下ろしの写真が使われていることだと思います。ちなみにリンケは建築写真家ではありません。ドキュメントフィルムなども手がける芸術家です。このことにも大きな意味があるように思います。
建築写真には暗黙のルールがあります。それが何の建築であるかわからなければ建築写真ではないのです。建築を知れば知るほど、「ここからこう撮れ」の強力な引力に抗うことは難しくなります。
リンケの起用はその予定調和を破り、アアルトとはこういうものだという先入観を一切排除するためではないかと思います。私はその勇気に拍手を送りたい。実際リンケの写真は相当に掟破りです。はじめて見る人は「何これ?」とそれが何の建築かもわからないものもあるかもしれません。

どこまで行っても晴れない霧のような。それがアアルトの建築なのです。
背中をまるめて歩く冬のヘルシンキのような。
アルヴァ・アアルトの世界へようこそ。
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※写真はすべて昨年のヘルシンキ展にて撮影したものです。
日本展では撮影はできません。

神奈川県立近代美術館・葉山でのアルヴァ・アアルト展は先週土曜日(9月15日)よりはじまりました!
今回の展覧会は、ヴィトラxアルテックによる世界巡回展の日本展という位置付けになります。私は昨年ヘルシンキでの巡回展を見ていますが(それを見るためだけにヘルシンキに行きました)、全てのマテリアルは来ないということで不安も感じていましたが、何が来なかったかわからないくらい充実した展示になっていました。
私は展覧会そのものには関わっていないのですが、AALTO120という展覧会をプロモーションするためのグループの事務局として、コーディネーターの和田菜穂子さんらと共に1年ほど前から展覧会を裏方でサポートしています。
今回の展覧会、まず写真が素晴らしいです。そして原図やオリジナルサンプルの数々…。これまで本の中でしか見ていなかったものが目の前にあるという感覚を味わってください。
国内では20年ぶりのアアルト展です。私は昨年のヘルシンキ展の余韻がまだ残っているくらい、アアルト好きにはたまらない展覧会だと思います!
◇
そして、これから行く方はご注意ください!
最後の展示室の模型台の下は図面引出しになっていて、原図が収納されています。もちろん全部見て下さい!これが素晴らしいんです。結構気付かず素通りしてしまっている人がたくさんいました。(ヘルシンキ展でもそうでした)


上の写真はヘルシンキ展のものです。(日本展は撮影NGのようです)
東京の方、いずれ東京ステーションギャラリーに来ますが、私が行った葉山展は比較的空いていてとてもゆったり見ることができましたよ。
◇

16日(日)にはオゾンにて、アアルト展オープニング記念として建築家の塚本由晴さんをお招きして講演会を開催致しました。私は司会として登壇しましたが、会場には300人近い参加者が詰めかけ、会場も熱気に包まれました。
アアルト展は国内は以下4館を巡回します。
どうかお近くに来た際は是非足をお運び下さい!
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『アルヴァ・アアルト-もうひとつの自然』展
Alvar Aalto -Second Nature
神奈川県立近代美術館 葉山
2018 9/15-11/25
名古屋市美術館
2018 12/8 - 2019 2/3
東京ステーションギャラリー
2019 2/16 - 4/14
青森県立美術館
2019 4/27 - 6/23

神奈川建築士会木造塾主催にて、講演会を企画下さいました。拙著の内容を中心に、北欧の話などもお話したいと思っています。
ご興味ある方は是非ご参加下さい。
H30第1回木造塾講演会・ご案内(PDF)
『上質に暮らす おもてなし住宅のつくり方』
講師:関本竜太(建築家・リオタデザイン主宰)
日時:2018年10月6日(土)14:30~16:30 (14:00開場)
会場:波止場会館 5階 多目的ホール
会費:一般2,000円 (神奈川県建築士会会員1000円 他県士会会員 1,500円)
定員:50名(お申込先着順)
お申込方法:リンクのPDFフォームにご記入の上FAXでお送りいただくか、Emailに必要事項を記載しお申し込み下さい。
>>H30第1回木造塾講演会・ご案内(PDF)
<申込先>
神奈川県建築士会 木造塾部会
FAX:045-201-0784
Email:mokuzo-juku@kanagawa-kentikusikai.com
懇親会:出席希望の方は、お申込時にお知らせ下さい(会費4000円)※別会場
ちょっと前に告知しましたが、私関本は明日より9日間ほどお休みを頂き、北欧(スウェーデン&フィンランド)へ研修旅行に行って参ります。
[関本・事務所不在期間]
9月4日(火)~9月12日(水)
※なお、帰国後の9月13日も別件があり一日事務所を留守に致します
◇
期間中は、スタッフ(矢嶋・砂庭)は平常通り業務に当たっておりますので、業務が滞ることはございませんが、私は海外におりますので緊急以外の対応は滞ることがございます。予めご了承下さい。
ただし、メールは毎日チェックしております。簡単な内容の返信は普通に行えますので、何かありましたらメールにてご連絡下さい。直接各担当スタッフへお申し付け下さっても構いません。
緊急の内容につきましては、事務所に直接お電話を頂けましたら、スタッフの方にて対応させて頂きます。(私とスタッフは常に連絡を取り合っております)
関係者の皆さまには大変ご迷惑をおかけ致しますが、
何卒よろしくお願い致します。
リオタデザイン代表|関本竜太
[関本・事務所不在期間]
9月4日(火)~9月12日(水)
※なお、帰国後の9月13日も別件があり一日事務所を留守に致します
◇
期間中は、スタッフ(矢嶋・砂庭)は平常通り業務に当たっておりますので、業務が滞ることはございませんが、私は海外におりますので緊急以外の対応は滞ることがございます。予めご了承下さい。
ただし、メールは毎日チェックしております。簡単な内容の返信は普通に行えますので、何かありましたらメールにてご連絡下さい。直接各担当スタッフへお申し付け下さっても構いません。
緊急の内容につきましては、事務所に直接お電話を頂けましたら、スタッフの方にて対応させて頂きます。(私とスタッフは常に連絡を取り合っております)
関係者の皆さまには大変ご迷惑をおかけ致しますが、
何卒よろしくお願い致します。
リオタデザイン代表|関本竜太
[リマインド] (7/21)
いよいよ明日となりました。ご参加希望の方は、メールのお申込がなくても直接来て頂いて大丈夫です。お誘い合わせの上、どうかお気軽に足をお運び下さい!
◇
☆建て主[本音]クロストーク
[関本竜太+「TOPWATER」の建て主] x [山﨑壮一+「駒場の家」の建て主]
TOPWATER(設計:関本竜太)|駒場の家(設計:山﨑壮一)
日時:2018年7月22日(日) 14:00~16:15 ( 受付 13:30~)
会場:パナソニック東京 汐留ビル 5 階会議室 HALL-2 (受付は4 階です)
https://panasonic.co.jp/es/museum/access/
参加費:無料(定員60名)
☆ 受付は4 階になります。パナソニック汐留ミュージアムが4 階にあり、その前に受付を作りますので、当日は「パナソニック汐留ミュージアム」を目指してお越しください。
[お申込み]
参加者のお名前と連絡先をメールまたはFAX にてご連絡下さい
リオタデザイン(担当:関本竜太)あて
FAX: 048-203-6101 Email: info@riotadesign.com
>>概略のPDFデータはこちらより→ 建て主[本音]クロストーク
.
[概要]
美しいビジュアルの住宅の向こう側には、設計者の思いとは別に、日々の生活をリアルに営まれている建て主さんがいらっしゃいます。そうした建て主さんたちに実際にご登壇頂き、設計者とのクロストークを通して、家づくりを通じて感じた本音の部分を語って頂こうという企画です。
どうしてその人に依頼しようと思ったのか?一見すると斬新に見える空間の実際の住み心地はどうなのか?これから建築家と家を建てたい(けど不安…)という方にとって、また専門家の方にとってもなかなか聞くことのできない他の設計者と建て主とのやりとりなど、貴重な声が聞ける機会となることを期待しています。
.
[進行案]
第一部 イントロダクション
[設計者による住宅の解説(TOPWATERx駒場の家)] 45 分
(休憩)
第二部 建て主[本音]クロストーク
[建主より家づくりのリアルな声をお聞きします] 50 分
- 関本竜太x「駒場の家(設計:山﨑壮一)」の建て主
- 山崎壮一x「TOPWATER(設計:関本竜太)」の建て主
第三部 建築家[本音]クロストーク
[関本竜太x山﨑壮一] 30 分 |質疑応答
.
[登壇建築家のご紹介]
関本竜太(建築家・リオタデザイン主宰)
1971 年埼玉県生まれ。'94 年日本大学理工学部建築学科卒業後、'99 年までエーディーネットワーク建築研究所に勤務。2000 年~ '01 年フィンランド・ヘルシンキ工科大学(現アールト大学)に留学、現地の設計事務所にて設計プロジェクトにかかわる。帰国後、'02 年にリオタデザイン設立。
○リオタデザイン|https://www.riotadesign.com/
.
山﨑壮一(建築家・山﨑壮一建築設計事務所主宰)
1974 年兵庫県神戸市生まれ。1993 年私立六甲学院卒業。1999 年早稲田大学大学院理工学研究科修了。大学~大学院の期間は都市計画・戸沼幸市研究室に所属。同年矢板建築設計研究所入社、建築家・矢板久明氏に師事。工務店参画を経て、2009 年山﨑壮一建築設計事務所を設立、現在に至る。
○山﨑壮一建築設計事務所|https://www.yamasaki-arch.com/
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>>概略のPDFデータはこちらより→ 建て主[本音]クロストーク
いよいよ明日となりました。ご参加希望の方は、メールのお申込がなくても直接来て頂いて大丈夫です。お誘い合わせの上、どうかお気軽に足をお運び下さい!
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☆建て主[本音]クロストーク
[関本竜太+「TOPWATER」の建て主] x [山﨑壮一+「駒場の家」の建て主]

TOPWATER(設計:関本竜太)|駒場の家(設計:山﨑壮一)
日時:2018年7月22日(日) 14:00~16:15 ( 受付 13:30~)
会場:パナソニック東京 汐留ビル 5 階会議室 HALL-2 (受付は4 階です)
https://panasonic.co.jp/es/museum/access/
参加費:無料(定員60名)
☆ 受付は4 階になります。パナソニック汐留ミュージアムが4 階にあり、その前に受付を作りますので、当日は「パナソニック汐留ミュージアム」を目指してお越しください。
[お申込み]
参加者のお名前と連絡先をメールまたはFAX にてご連絡下さい
リオタデザイン(担当:関本竜太)あて
FAX: 048-203-6101 Email: info@riotadesign.com
>>概略のPDFデータはこちらより→ 建て主[本音]クロストーク
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[概要]
美しいビジュアルの住宅の向こう側には、設計者の思いとは別に、日々の生活をリアルに営まれている建て主さんがいらっしゃいます。そうした建て主さんたちに実際にご登壇頂き、設計者とのクロストークを通して、家づくりを通じて感じた本音の部分を語って頂こうという企画です。
どうしてその人に依頼しようと思ったのか?一見すると斬新に見える空間の実際の住み心地はどうなのか?これから建築家と家を建てたい(けど不安…)という方にとって、また専門家の方にとってもなかなか聞くことのできない他の設計者と建て主とのやりとりなど、貴重な声が聞ける機会となることを期待しています。
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[進行案]
第一部 イントロダクション
[設計者による住宅の解説(TOPWATERx駒場の家)] 45 分
(休憩)
第二部 建て主[本音]クロストーク
[建主より家づくりのリアルな声をお聞きします] 50 分
- 関本竜太x「駒場の家(設計:山﨑壮一)」の建て主
- 山崎壮一x「TOPWATER(設計:関本竜太)」の建て主
第三部 建築家[本音]クロストーク
[関本竜太x山﨑壮一] 30 分 |質疑応答
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[登壇建築家のご紹介]

関本竜太(建築家・リオタデザイン主宰)
1971 年埼玉県生まれ。'94 年日本大学理工学部建築学科卒業後、'99 年までエーディーネットワーク建築研究所に勤務。2000 年~ '01 年フィンランド・ヘルシンキ工科大学(現アールト大学)に留学、現地の設計事務所にて設計プロジェクトにかかわる。帰国後、'02 年にリオタデザイン設立。
○リオタデザイン|https://www.riotadesign.com/
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山﨑壮一(建築家・山﨑壮一建築設計事務所主宰)
1974 年兵庫県神戸市生まれ。1993 年私立六甲学院卒業。1999 年早稲田大学大学院理工学研究科修了。大学~大学院の期間は都市計画・戸沼幸市研究室に所属。同年矢板建築設計研究所入社、建築家・矢板久明氏に師事。工務店参画を経て、2009 年山﨑壮一建築設計事務所を設立、現在に至る。
○山﨑壮一建築設計事務所|https://www.yamasaki-arch.com/
◇
>>概略のPDFデータはこちらより→ 建て主[本音]クロストーク
