18. 10 / 11
10年ぶりの自邸取材
author
sekimoto
category
> メディア
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48
竣工して12年目となる自邸の取材がなぜか2件たて続けに決まった。取材を受けるのは約10年ぶりくらい。昨日はその取材の一つがあり、そして今日も立て続けということで先週から準備で大忙し。
月並みな言い方だけれど、竣工当時より確実に今の方が空間は良くなっているし、経年変化や不具合も含めて、自分の身の丈に合った良い住まいを得たと今でも思っている。
特にここ数年では室内外の緑が人の住み処を奪うくらいの勢いで成長し、リビングはまるで熱帯雨林のよう。
◇
昨日の午後は現場で造園家を交えての植栽の打合せ。私がアツく緑について語っていると、建て主さんからクスッと笑われ「関本さん、最近緑の話しているときは目がキラキラしてますよね」と言われて、少し恥ずかしくなる。
いや本当に、仕上げにお金を使うくらいなら、その分緑を増やした方が絶対に生活は豊かになると思っているので…。これって問題発言ですかね。
まず最初の2枚はアールト自邸(1936)のダイニング家具。デザインはアイノ・アールト。細部を仔細に見ても、アイノの家具デザイナーとしての確かな手腕を感じることができる。
そしてこの扉。これを見たときは衝撃だった。あたかも日本人の建築家がデザインしたかのよう。実際私も同じようなデザインの引戸をよく設えるが、80年以上も昔にアイノが既に試したものだったとは思わなかった。
アールト夫妻が当時いかに日本から影響を受けていたかは、こうした部分からも窺い知ることができる。自邸を構えたムンキニエミには当時日本領事館があり、アールト夫妻は日本大使と懇意となり、彼を通じて日本文化を吸収したとも言われている。ちなみにアールトは来日したことはない。
次の3枚は、のちに完成したスタジオ・アールト(1955)のもの。残念ながらこの時には既にアイノは他界していたが、職員ダイニングのキッチンからは強くアイノのアイコンを感じることができる。自邸でアイノがデザインしたものを、20年の時を隔てて復刻したかのようだ。
自邸にもキッチンの手前と奥、両方で使える貫通型の引き出しを設えている部分があるが、スタジオにもそれはある。でもこちらの引手形状は控えめなアイノのそれというより、主張の強いアールトのそれに近い。
引戸も自邸ではレールを下部に設けているが、スタジオでは上吊りとしている。20年分の進化と洗練がここには見られる。
18. 10 / 07
木造塾セミナー終了
author
sekimoto
category
> イベント
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48
昨日は神奈川建築士会 木造塾主催の講演会に登壇させて頂きました。私にとって神奈川は少々アウェイ感のある場所、果たして人が集まるのかと不安でしたが、なんとか会場も埋まってほっとしました。
フィンランドの話から住宅事例、ディテール、エスキース流儀まで広く横断した話でしたが、最後の懇親会では皆さまから温かな感想、何より面白かった!と言って頂けて本当に良かったです。
最後に私にオファー下さった山中さん、遠藤さんには改めて感謝申し上げます!
今日は西小岩で現場が進むKOTIという住宅にて、気密試験がありました。
高気密高断熱住宅というのは、建て主にとっても、また設計者にとってももはや当たり前の時代となっています。
断熱については設計者側である程度コントロールができます。断熱材の種類や厚みなどは図面に指定することができますし、それを前提として温熱計算(UA値・Q値)などもすることができます。(ちなみにこの住宅の断熱性能はUA=0.53。いわゆるHEAT20のG1グレード程度の高断熱仕様です)
ですが、もう一方の気密(C値)についてはどうでしょう?
意外なことに、設計者はその住宅がどのくらい気密性が高いかについて語ることはできないんです。なぜなら、我々は設計上は隙間はないことにしているからです。
でもどんなに気密フィルムを張り巡らせたところで、完全な気密空間を作ることは不可能です。そこで、その家にどのくらい隙間があるかについて調べる、これが気密試験ということになります。これは実際に作られている現場で実施するほかないんですね。
◇
さて、そんな偉そうな前置きをしておきながらお恥ずかしいのですが、実は今回はじめて気密試験というものをやらせてもらいました。(いや、ほんとお恥ずかしい)
方法としては、冒頭の写真にあるようなラッパ型の機械を目張りした窓に設け、そこからファンで室内の空気を外側に抜いてゆきます。そうすると室内がどんどん負圧になってゆきます。するとどうなるか?
室内側に施工された気密フィルムが風船のように膨らみはじめます。
外壁側には耐力壁として、全面構造用合板を張っています。一見するとどこにも隙間がないように見えますが、空気ってやつは侮れません。どんな小さな隙間からだって入ってくるんですね。逆に言うと、この室内側の気密フィルムの施工を徹底していないとどうなるか。これは誰でもわかると思います。
最初の計測では、建物の隙間面積は「135cm2」と出ました。C値は1.7です。
高気密住宅と呼ぶには最低2.0を切っておきたいところですが、これはなんとかクリア。ですが、昨今のハイクオリティ住宅は1.0を切る世界ですから、あまり褒められた数字とも言えません。
ただここからが本番です。室内を負圧にした状態で、隙間らしい隙間に手をかざして、隙間風がどこから入ってくるのかを調べてゆきます。大工さんもウレタンスプレーを片手に、怪しそうな隙間を地道に埋めてゆきます。
すると監督の初谷さんが、「見つけた!」といって喜んでいます。
行くと、クローゼット内部に設ける予定の分電盤の配管スペースから、かなりの量の空気の流入が見られました。状況を見れば「でしょうね」といったところ。
こうした部位をあらためて塞いで、再計測。
今度は建物の隙間面積は「104cm2」と出ました。C値は1.2です。
う~ん、本当は1.0を切りたかった。ただ善戦した方かと思います。
◇
さてここで、今回の気密試験を実施した趣旨をご説明しておきます。
試験ですから、もちろん数値は良い方がいいに決まっています。ただ今回は「一年間みっちり受験勉強して、いざ本番に臨む受験生」というよりは、「志望校を選ぶに当たって、まずは模試を受けてみる受験生」の状態に近いと言いますか。
さしあたり、まずは我々の普段通りの設計でどのくらいの性能が出せるのか知っておきたかった、というのが今回の主な目的です。
ただ、もちろん悪い成績を取ることは本意ではないですから、今回は現場とも気密試験をやるというコンセンサスの元で、いつもよりはがんばって気密処理を行ってもらいました。つまり、いつもよりちょっとだけがんばって「C値=1.2」。
今回は初回にしては、良い結果だったと思っています。
もうちょっと頑張れば確実に1.0は切れるなとも思いました。もっと数字を上げるためにはどうすれば良いかもわかりました。
ただ、ここで思うんですよね。
学力を極めて、東大に入ることだけが我々のゴールなのかと。敢えて美大に行きたい、でもいいじゃないですか。でも一定の学力(性能)があれば選択肢は広がるんですよね。限られた予算と現場の職人さんのモチベーションとの狭間で、できることの幅を今後も探ってゆきたいと思います。
今回は今後の設計の指針を考える上で、とても良い経験をさせて頂きました。ご協力下さいました大和工務店さん、どうもありがとうございました!
アールト自邸のディテールのモデュールは1インチ(25mm)なのかもしれない。階段の手摺り、アトリエとリビングを仕切る引戸の引手など、随所に1インチ材が使われている。
この1インチの丸棒というスケールは私にはとても新鮮で、これまでスチールで手摺りなどを製作する際はφ27.2という材を標準にしてきた。木製手摺りなどだとφ30という材が流通材としてはよくあるが、途端に垢抜けない印象となり、シャープな手摺りを作るならスチールでと思い込んでいたところもあった。
ところがアールト自邸ではわずかφ25で木製手摺りを成立させている。その細さに驚き、またあまり握ったことのない径だったのでとても新鮮だった。しかも手摺り子まで木を削り出して作っている。こんな細かい芸は日本の建築家でもそうはやらない。
子供の手をおもわず優しく握ってしまうように、アールト自邸の骨格はあまりに繊細で、触れる手にも優しさを要求しているように思える。アールトの建築は一貫して手の触れる部分の処理が徹底している。
アールト自邸のインテリアは、奥さんのアイノがそのほとんどを手がけている。アールトのディテールというよりアイノのディテール。
アイノあってのアールトとよく言われるが、アールトの建築を人間のスケールにぐっと近づけているのは、アイノの功績がいかに大きいかがよくわかる。
category







