西新小岩で現場が進んでおりましたKOTIがほぼ完成しました。

今回内覧についてはこのブログでは告知を行いません。すでにご検討中の建て主さんや同業の知人の方へはご案内をお送りしておりますが、届いていないという方はどうかご連絡下さい。

さて今日は今週末のオープンハウスの前に、ご都合の悪い方を対象にプレオープンを行いました。


昨日までの静まりかえった空間に人の笑顔がすべりこむと、とても空間が豊かになるように思えます。建て主さんご手配によるソファも座り、空間に生気が吹き込まれたような気がしました。

内部の設えについては、建て主さんとの個別的な解決ですので、私が強く主張したいことはありません。ただ、この住宅で一番やりたかったことは住宅の外側にあります。


昨日、造園家の小林賢二さんに庭を施工頂きました。素晴らしい仕上がりでした。


今回は路地に開かれた庭がテーマでした。土地を囲い込むのではなく、街に土地の一部を譲り渡したような、自ら街の一部に木を植えさせて頂きましたみたいな、そんな場所を作りたいと強く思っていました。

外に向けてベンチを設けたいというご提案をしたときは、不審者が入ってきたらどうしようと少し不安そうな顔をしていた建て主さんでしたが、街に住宅をひらくことの意味を根気強くお話ししてご納得頂きました。


街に住宅をひらくと暮らしは豊かになります。

このベンチに座ってると、いろんな人が話しかけてきたり、昔の縁側みたいにここに座れば井戸端会議もできます。わざわざ家の中を片付けてダイニングに上げなくたっていいんです。

またここで夏は花火をしたり、西瓜を食べたり、工作したり。


子供はこういう場所が大好きです。

今どきの子供の感覚では、こういうベンチにみんなで集まってニンテンドーDSをやっているんでしょうかね笑。健康なんだか不健康なんだかわかりませんが、彼らはそうやってお互いコミュニケーションを取り合っているのでしょう。

だからこういう場所があったら友達も集まるんじゃないかと思うんですよね。そうすると、すっと奥のデッキの扉がひらいてお母さんがおやつ出してくれるみたいな。

大人になったら絶対に言いますよ。うちには縁側があったんだって。そこで遊んだのが楽しかったんだって。


このベンチに座っていると眺めが良いんですよ。南東側に抜けがあって心が和むんです。うちの庭は広いなぁ~って思っていたらそこは自分ちじゃなかったみたいな。公共の路地と隣んちだったみたいな。

だから敷地を囲うこと自体がナンセンスなんです。街に自分の土地の一部を譲り渡すだけで、見返りに街そのものが自分のものになっちゃうんですから。お得でしょ?

今回の敷地はわずか20坪。
20坪だったなんて、たぶん今日来た人は誰も思わなかったでしょうね。


タイトルの「KOTI」というのは、フィンランド語で「home(おうち)」という意味です。houseじゃなくてhome。「うちにおいでよ!」っていう親密な感じ。小さい家だけに、ご家族にとってそんな温かな居場所になったらと思っています。