今日は大学2年生の住宅課題の提出日.でもって,上は恒例の提出風景.学校に着いてから室名やら切り張りやら,教室を占拠して絶賛作業中.あのぉ,採点するから早く出て行ってもらいたいんですけど….
でもなんかいいなぁ.自分もかつては学生だったので,課題提出の日徹夜明けで学校に行って,他の友人達がどんなのやってきたか気になったり,最後のスパートで放出したアドレナリンでずっとハイテンションみたいな状態がよくわかります.
学生の頃は,「三度の飯より設計課題」というくらい設計が大好きな学生だったので,今こうして学生達と一緒に課題を考えている時間というのは本当に幸せを感じます.講評会も,かつてはコワイ先生方を前にどきどきしながら発表していましたが,今では逆側の席にいるというのも不思議な感覚です.
それにしても常勤の山中先生をはじめ,講師の先生方の目の付け所は素晴らしく,学生達の作品に漂ようなんとも言えない迷いやもやもや感のようなものを,スパッと切り取る言語感覚というんでしょうか.本当にスッキリ!という感じで,講評会も私にとっては勉強することばかりです.
第2課題はパブリックスペース.難しい課題….あぁ,また彼らもドツボにはまって悩むんでしょうね.でもそれが楽しかったんだということに,いつか気づいてもらいたいとも思います(まぁ,一生気づかない人の方が大多数でしょうが).設計課題はやっぱり楽しい.皆さん,お疲れさまでした!
以下はうちのクラスから発表した二人です.なかなか良い作品でした.
昨日,去年竣工した住宅の撮影があり,撮影の合間にお施主さんといろいろお話しをさせて頂いたのだけれど,その際にこんなお話しを頂いた.
「敷地を見に来て頂いたのはそう何度もなかったのに,できあがった住宅はプライバシーに配慮されており,絶妙に敷地にはまっていてびっくりした.実際の生活も要望に適っていた.プロにこういうことを言うのは失礼かもしれないけれど,プロだなあと思った」
もちろんとても嬉しく,こそばゆい気持ちではあったけれど,言われてみると我々も意識してそうした部分もあったけれど,意識せずに”たまたま”そうなった部分もあったような気がする.
これは不思議な感覚で,言われると自分でもどうしてそうしたんだろうと設計に説明がつかない部分も多い.でももしかしたら意識してそうした部分よりも,”たまたま”そうなったという部分が,実は設計において最も肝要な部分なのだとも言えるかもしれない.
意識してそうした,という部分は左脳(論理)的思考でそうしたということだ.実際に目で見て,話を聞いて,図面上で確かめてそうしたという部分.言葉で説明できる部分だとも言える.これは基礎を身につければ誰でも出来るし,建築専門誌で建築家が試みている説明もこれにあたる.大学で学生に教えているのもそういうことだ.
でも”たまたま”そうなった部分というのは,自分ではコントロールできない部分だ.だからこれは教育もできないし,説明もできない.意識ではなく無意識で,左脳ではなく右脳(直感)で選択していた部分があったからなのだろう.
そして実は,それこそが建築の本質なのかもしれないとも思う.
限られた情報量をわかりやすく説明したり,それをさばくときには論理的思考は非常に有効だけれど,大量の相矛盾する要素を同時に成立させるためには論理なんてこれっぽっちも役に立たない.時には論理をすっとばして,ショートカットで本質を結びつけるという直感的思考が重要になる場面が出てくる.
言語化されない部分が大切,というのはお施主さんからのご要望もそうで,膨大な要望書を作って頂くよりも,むしろ一切考えないで無防備に向き合ってくれた方が,その方の本質をつかまえることができる.それも何度も会う必要はなく,最初に会ったときが一番大切で,第一印象にその方の全てが表れるといつも思う.
とはいえ,私の自分でもコントロールできない直感的思考を,頭をぱかっと開いて人にお見せするわけにもいかないので,自分なりにそれをわかりやすい言葉に置き換えて,目の前のお施主さんに語って聞かせているわけだけれど.でもやっぱり言葉は遠い.時に誤解を招くこともある.
とにかく伝えたいことはひとつで,
「大丈夫ですよ.結果的にすべてうまくいきます.安心してお任せ下さいね」
ということなんです.
「敷地を見に来て頂いたのはそう何度もなかったのに,できあがった住宅はプライバシーに配慮されており,絶妙に敷地にはまっていてびっくりした.実際の生活も要望に適っていた.プロにこういうことを言うのは失礼かもしれないけれど,プロだなあと思った」
もちろんとても嬉しく,こそばゆい気持ちではあったけれど,言われてみると我々も意識してそうした部分もあったけれど,意識せずに”たまたま”そうなった部分もあったような気がする.
これは不思議な感覚で,言われると自分でもどうしてそうしたんだろうと設計に説明がつかない部分も多い.でももしかしたら意識してそうした部分よりも,”たまたま”そうなったという部分が,実は設計において最も肝要な部分なのだとも言えるかもしれない.
意識してそうした,という部分は左脳(論理)的思考でそうしたということだ.実際に目で見て,話を聞いて,図面上で確かめてそうしたという部分.言葉で説明できる部分だとも言える.これは基礎を身につければ誰でも出来るし,建築専門誌で建築家が試みている説明もこれにあたる.大学で学生に教えているのもそういうことだ.
でも”たまたま”そうなった部分というのは,自分ではコントロールできない部分だ.だからこれは教育もできないし,説明もできない.意識ではなく無意識で,左脳ではなく右脳(直感)で選択していた部分があったからなのだろう.
そして実は,それこそが建築の本質なのかもしれないとも思う.
限られた情報量をわかりやすく説明したり,それをさばくときには論理的思考は非常に有効だけれど,大量の相矛盾する要素を同時に成立させるためには論理なんてこれっぽっちも役に立たない.時には論理をすっとばして,ショートカットで本質を結びつけるという直感的思考が重要になる場面が出てくる.
言語化されない部分が大切,というのはお施主さんからのご要望もそうで,膨大な要望書を作って頂くよりも,むしろ一切考えないで無防備に向き合ってくれた方が,その方の本質をつかまえることができる.それも何度も会う必要はなく,最初に会ったときが一番大切で,第一印象にその方の全てが表れるといつも思う.
とはいえ,私の自分でもコントロールできない直感的思考を,頭をぱかっと開いて人にお見せするわけにもいかないので,自分なりにそれをわかりやすい言葉に置き換えて,目の前のお施主さんに語って聞かせているわけだけれど.でもやっぱり言葉は遠い.時に誤解を招くこともある.
とにかく伝えたいことはひとつで,
「大丈夫ですよ.結果的にすべてうまくいきます.安心してお任せ下さいね」
ということなんです.
矩計(かなばかり)図は楽しい.矩計図とは断面詳細図のこと.
今では多くの図面をスタッフに譲り渡すようになってきたけれど,これだけは譲れない.複雑に絡み合った要素をひとつひとつ整理しながら,ボタンをぱちんぱちんと填めていく.あぁー気持ちいい!!地に足が着く感覚というのはまさにこういう状態を言うのだろう.
「矩計図って楽しいよね!」と思わずスタッフに問いかけるもびみょーな反応.「すみません,共感できませんでした」とぽつり.ウッシー頼むよ!
今では多くの図面をスタッフに譲り渡すようになってきたけれど,これだけは譲れない.複雑に絡み合った要素をひとつひとつ整理しながら,ボタンをぱちんぱちんと填めていく.あぁー気持ちいい!!地に足が着く感覚というのはまさにこういう状態を言うのだろう.
「矩計図って楽しいよね!」と思わずスタッフに問いかけるもびみょーな反応.「すみません,共感できませんでした」とぽつり.ウッシー頼むよ!
今日はフィンランド時代からの友人で,現在来日中の森下圭子さんが遊びに来てくれました.森下さんといえば,映画かもめ食堂での現地コーディネーターや絵本の翻訳,”ほぼ日”での連載,最近では小林聡美さんのエッセイ本にたびたび登場する”パワフルな森下さん”として,最近ではすっかり有名人になってしまいました.
我々がフィンランドで暮らしていたのはもう10年以上も昔.その時につながっていた友人達は皆我々と同じように歳をとり,人生経験を重ねて,今ではそれぞれの分野の一線で活躍しています.そんな我々共通の友人知人たちの話をしながら,あの楽しかった日々を振り返り,「みんな偉くなったよねー」とついしみじみしてしまうのでした.
これまで出会った人たちも,縁がなかったらそれまで.逆にご縁があった方とはその後もいろんな形で関係がつながってゆきます.国境を越えて共通の知人同志がなぜかつながっていて,どうしてその人を知っているの!?と驚かされることもしばしば.森下さんもそんな私にとって切れそうで切れない,大切な友人の一人とも言えそうです.
短い時間でしたが,小林聡美さんのエッセイに出てくるまんまの弾丸トークで,嵐のように帰って行きました.また逢いましょう.次は是非フィンランドで!
先日,昨年9月に竣工した「白岡の家」の竣工写真撮影がありました.撮影当日は快晴で絶好の撮影日和.撮影はおなじみのバウハウスネオの後関勝也さんにお願いしました.
白岡の家は,一言で言うとワイルドな家です.外観はそう見えないかもしれませんがワイルドなんです.ご主人は日曜大工で何でも作ってしまいます.庭も造園家は一切頼まず,木を植えるところから築山をつくったり,遊具用のドラム缶や巨大な切り株をどこからともなくタダで手に入れてくるという大胆さは,いつも度肝を抜かれます.
下の写真は,庭先で流しそうめんの図.う~ん,楽しそう!笑
この5月はなんと保育園つながりで,18世帯,48人の家族がやってきたそうです.その写真も見せてもらいましたが,住宅ではあり得ない光景が広がっていました.すごすぎます・・.
そんな白岡の家,写真のアップもどうかお楽しみに!
でもある意味,どんな写真よりも以下の写真が能弁にこの住宅の魅力を語っているような気もします笑
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