17. 10 / 28

ムーラメの教会

author
sekimoto

category
> 北欧
> 生活



突然額装された写真が届いた。送り主は古い友人である根津修平からだった。私の本の出版祝いにとのこと。彼らしい熱い長文のメッセージも添えられていた。

湖の彼方の森には塔のようなものが見える。普通であればこれが日本なのか、外国なのかすらも判別できる人はいないかもしれない。けれども私にはすぐにわかった。

場所はフィンランド中部、塔はアルヴァ・アールト設計によるムーラメの教会(1929)の先端だ。

しかもこれはどこから撮影されているかというと、ムーラッツァロにある「夏の家」と呼ばれるアールトの別荘の湖畔から。どうしてそれがわかるのかというと、それを教えたのは私だからだ。



修平と出会ったのは17年前、留学していたヘルシンキでだった。彼はフリーの写真家で、お互い根無し草のような立場だったこともあり、すぐに意気投合して無二の親友となった。

お互いあり余る時間をもて余し、当時は二人でフィンランドの建築巡りをした。行き先は私が決めて、彼が写真を撮る。それに私がテキストを載せて、私のホームページに定期的にアップしていた。
https://www.riotadesign.com/FA/Fin_Arch.htm

こういうお金にもならないようなことばかりやっていたけれど、それが今にすべてつながっているような気もする。

私が創刊号の現地コーディネーターを務め、彼にも当時アシスタントとして協力してもらった「Xknowredge HOME」という雑誌はその後廃刊になってしまったけれど、あれから17年後、同じ出版社から自らの本を出すことになるとは誰が想像できただろう。

彼からの写真を見ていたらいろんなことを思い出してしまった。私の原点ともいえる写真。初心を忘れないよう、事務所の目立つところに飾っておきたいと思う。

17. 08 / 01

亀がたまごを

author
sekimoto

category
> 生活
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



亀がたまごを産みました。びっくりです。

我が家にはもう5年くらい飼っている亀がいます。自宅のガレージにある日迷い込んできた迷い亀です。出会いからしてちょっと不思議な亀でした。以来自宅で飼ってきましたが、亀の生態には驚かされることばかりです。

まず”のろまな亀”とよく言いますが、亀早いです。知ってます?亀って走るんですよ。たまにスイッチが入ると、びっくりするような早さで走るんです。

足が短いので、歩く度にお腹が床についてコツコツ音がするんですね。ちょうど女性がハイヒールで歩くような音がします。だから走ると、コツコツコツコツ~!ですね。けたたましい音が廊下に鳴り響きます。

それと空間認識能力がはんぱないです。自宅の隅々まで、どこに隠れられるかを知り尽くしています。毎日がかくれんぼです。いなくなると、だいたい2~3箇所のお気に入りスポットがあるのですが、そこにいないと迷宮入りしかけます。どこにも見当たらず、数週間後に埃だらけで現れたりするので、おまえどこ行ってたんだ状態です。

また暗い廊下でうずくまっていたりすることもあるので、スーパーマリオのようにたまに蹴っ飛ばしてしまいます。すると鳴くんですよ。亀ってびっくりしたときに頭を引っ込めるんですが、その時に「ひっ!」ていう感じで鼻から息を吸うんですね。その時に「キュッ」ていう音がします。これがなかなか可愛い。蹴っ飛ばしておいて可愛いとは申し訳ないですが。

冬には洗面所の隅で動かなくなります。冬眠ですね。本当にスイッチが切れたようになるんです。冬の間は一切エサを口にしません。でも春になるとまたスイッチが入る。本当に不思議です。

さてそんな我が家の亀(ちなみに名前などという高級なものはありません。家族からただ”カメ”と呼ばれています)が、ここ数週間挙動不審で、やたらと家中歩き回ったり、かと思えばエサを急に食べなくなったり、病気かなと思っていたら産みました。たまごを。しかも2つも!5年近く飼ってはじめての出来事です。

それでうちの亀は雌だったということがわかった訳なのですが、雄がいないので卵も残念ながら孵化することはありません。

たまごを産んだあとは、それまでの忙しない動きが嘘のようにピタリと動かなくなってしまいました。よほど体力を消耗したのでしょうか。少し心配です。

17. 07 / 26

百日紅

author
sekimoto

category
> 生活
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



庭に百日紅(さるすべり)を植えてもう5年くらいになるでしょうか。3年目くらいまでほとんど花が付かず、このまま枯れてしまうのではと危惧していましたが、昨年あたりから花を咲かせはじめ、今年は満開となりました。

苦節5年…人生を感じさせてくれます。

それでも雨が降るとこのヘコみっぷり。
良いときばかりじゃないさ。人生いろいろ。

そんな百日紅。

17. 07 / 02

でかい家の

author
sekimoto

category
> 思うこと
> 生活


昨日は中学までを過ごした桶川で小学校の同窓会がありました。小学校卒業以来約33年ぶりの集まりでした。

私はのちに建築の道に進みましたので、大学やその後の留学、そして独立とどんどん道が枝分かれして細くなってゆきましたが、私を作った一番根っこの部分や幹の部分はこの時代に作られたのだなとしみじみ実感しました。こういうのを原点というのでしょうね。

当時私は広い庭のある家に住んでいました。

田舎でしたので、庭が広いこと自体は珍しいことではありませんでしたが、我が家の場合は少し特殊でした。当時の私もそれは自覚していましたが、それを人に言われるのがとても嫌でした。子どもにとって友達と違うということは、それだけでコンプレックスを感じるものなのです。

それでも親しい友人たちとは、その庭でいつも遊んでいたことが楽しい思い出としてあり、昨日もその友人たちと思い出話に花が咲いたのですが、意外だったのは「俺も行ったことがある」と、それ以外の人たちも一斉に主張しはじめたことです。

挙げ句には、同窓会でも顔が思い出せない他クラスの者や、女の子たちまで皆が私の家に「行ったことがある」と言い出し、私の家の池に落ちたことなどを語りはじめるのでした。

私にはそんな多くの友人を家に招いた記憶はなく、あくまでごく限られた友達と遊んだ記憶しかなかったので、しばし混乱しました。

でも30年以上が経ち顔も思い出せない者もいる中で、みんなの中では「でかい家に住んでいた」という記憶と共に私を覚えていてくれたんだなと思うと、それがなぜか嬉しく、私のアイデンティティにもなっていたのだということにも気付かされました。

今は住宅設計の仕事をしていることなど話すと、皆からは「期待を裏切らないね」と言われましたが、はたして彼らが私に期待をしていたかどうかはともかく、彼らの中で私がもう一度”でかい家の関本くん”として上書きされた瞬間だったかもしれません。

でも彼らは知りません。当時でかい家と言われたコンプレックスから、今では私は「小さな家」のスペシャリストになっているということを。自分の育った境遇も含めて、それをアイデンティティとして生きる意味のようなものを、昨日は考えさせられたのでした。

17. 06 / 30

ズントーの本

author
sekimoto

category
> 生活
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



まだ独立する前、奥さんとスイスを旅したことがありました。スイスの建築家ピーター・ズントーの建築を見るのが目的でしたが、旅先で見つけたズントーの作品集を手に私は動けなくなってしまいました。

欲しい!でも貧乏旅行だったのにも関わらず、それは1万円以上もしていたのです。奥さんは「買えばいいのに」と言ったのですが、結局買うことはできませんでした。

それから数ヶ月後、私の誕生日に奥さんがその本をプレゼントしてくれました。びっくりして聞くと、私が棚に戻したその本を、その場で買っていたのだそうです。

その奥さんが、先日銀座SIXに行くと、同じ本がなんと10万円で売られていたそうです。絶版でプレミアがついたのでしょう。

15年で価値が10倍…。彼女には投資の才能があるようです。そして彼女が投資した建築青年の今が気になるところです。