昨日、さいたま市にて竣工しましたVALO(G邸)のオープンハウスがありました。今回はクローズドでの開催とさせて頂きました。お越し下さいました皆さま、誠にありがとうございました。
この住宅の計画は、北欧アンティークのコレクターでもあるクライアントとの出会いから始まりました。持込の家具リストに目を通した時には興奮し、おこがましいですがこれは私がやるべき、あるいは私にしかできない仕事だと感じました。
クライアントのGさんはとても温厚な方で、我々のこれまでの仕事の中で、私の自邸(OPENFLAT)が一番好きだとおっしゃって下さいました。求められていた条件も私の自邸に近く、またクライアントが私と非常に近い感覚をお持ちだったこともあり、意識的にOPENFLATと同様のディテールを採用した部分もいくつかありました。
OPENFLAT (2007)
https://www.riotadesign.com/works/07_openflat/
当時は独立してまだ5年程度でしたが、設計ではその時点での蓄積をすべて吐き出したつもりでした。当時の自分としては金字塔を作ったようなつもりでいましたが、今思うとまだまだ底が浅かったと思います。
あれから約10年。今回はOPENFLATの内容を更に上書きし、あらたな「ベストアルバム」を作るような意気込みで臨みました。
OPENFLATと決定的に異なるのは、今回の構造は木造だということです。私の自邸では、スパンの制約などもありRC造となっています。
ところが近年、構造家の山田憲明さんとの協働が続いており、国内トップクラスの木構造家である山田さんには、是非これを木造で実現してもらいたいとの期待もありました。
実際、ここではかなり高度な木造解析が行われています。リビングの屋根を架け渡した張弦梁と呼ばれる特殊架構もそうですが、2台分の駐車スペースを確保するための大スパンと耐力の確保や、道路側を全面ガラス張りにするために要した構造解析の話は、オープンハウスの時にも構造担当者から聞きましたが、「難しかった」と言われると完成した今ではなんだか嬉しくなってしまいます。
また今回は造園にもかなり力を注ぎました。その全容を写真で紹介できないのは残念ですが、いつもお願いする造園家、耕水の湊さんによる渾身の作となりました。
今回は庭が広く、木を数本植えただけでは全く形にならない庭でした。いつもはもう少し敷地も小さいので、庭らしい庭はほとんど造れないのですが、湊さんにはどうもこのくらいの規模の庭をやって頂くと、本当に底力を発揮してくれるようです。クライアントにも大変喜んで頂きました。
地味ですが、今回個人的にとても気に入っているディテールは、リビングのこの開き扉です。
開き戸といえば、普段は閉まっている状態で、開けたら閉めるというのが常となります。ところが、より開放的な設えにしたいと考えたとき、普段は開いているのが常態で、たまに閉めることができる扉というのは、引込み戸と同じ考え方で理想的とも言えます。
この扉は開いた状態で壁にぴったり納まるので、出っぱりもなく全く違和感もありません。かなりの施工精度と、設計上の計算が必要になるのでかなりドキドキしていましたが、ぴったり納まって胸をなで下ろしました。
他にもいろいろあるのですが、今日はこの辺で。また家具が揃った状態で竣工撮影もさせて頂く予定です。空間も今よりも確実に良くなっていることでしょう。
Gさん、最後まで深いご理解とご協力をありがとうございました。Gさんのおかげで、私にとっても思い入れの深い仕事を残すことができました。これからも末永いお付き合いをどうかよろしくお願いします。
また厳しい工期の中、誠実に最後まで最善の施工と対応をして下さいましたニートの阿部さん、感謝しています。本当にお疲れさまでした!
※VALOというのは、フィンランド語で光(light)という意味です
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