建築は愛である,なんて書くと頭がおかしいと思われるだろうか.
でもそう思う.産みの親が,我が子が可愛くなかったら誰が可愛がってくれるんだろう.

今日大学では課題の中間提出があった.課題は住宅.GWの最後(しかも今日はまだ祝日)にわざわざ提出をぶつけなくても,と思わなくもないけれどそれはそれ.きっとみんなGWは返上で,前日は徹夜かそれに近い状態だったんだろうと思う.

完成度なんて求めてないし,中間だからまだまだ挽回もできる.プレゼンも未熟だし,自信も確信も持てないのも仕方がない.でも自分の作品をおとしめることだけはだめだ.作品がかわいそうじゃないか.

僕が学生との講評で唯一熱くなる瞬間があったとしたら,図面の未熟さではなく,模型の稚拙さでもなく,愛情のなさだ.世界を敵に回しても,本心ではどこか気に入っていないところがあったとしても,自分の作品は全力で肯定して欲しい.この案は素晴らしいんだと言い切って欲しい.ダメなところが9割でも,残り1割の良さを必死にアピールして欲しいと思う.

僕は自分の担当する学生達が大好きだ.彼らの良さを理解してあげたいといつも思う.今日は中間だし,9割のダメには目をつぶっても1割は全力で褒めてあげようと思っていたのだけれど,あまりに「自分の作品はダメです」とネガティブアピールする学生が多すぎて,正直心が折れてしまった.

みんな自分の作品が可愛くないの?愛情がないのなら,愛情を注げる案に今からでも変更したほうがいい.誰からも愛されず,望まれないまま世の中に産み落とされる建築なんて,たとえそれが課題であったとしてもあまりに悲しすぎる.

現在軽井沢で進めている某プロジェクトで,3月にお施主さんとうちのスタッフで,”合宿”と称して泊まり込みで家のことや家が建つ場所性のことを考える機会を設けて頂いたことがありました.暦をさかのぼると,つい先月のことなのですが,その後も実に濃いやりとりが続いていることもあり,もう3年くらい前の出来事のように感じてしまいます.

その際に浅間縄文ミュージアムというところで土器の体験制作ができるということで,みんなでワークショップのように参加させて頂きました.実際に土をこね,完成した家のどこかに置くことをそれぞれがイメージして作り上げました.

私は一応”縄文”を意識していますが,その他のスタッフはずいぶんと自由なテーマで自己表現したようで,それぞれの個性が色濃く表れる結果となりました.土をこねていると不思議なもので雑念が消え,黙々と集中してしまいます.

さてこれは最終的にはどこに置かれますかね.
というか,それまでどこに置いておこう!?

とうとう手に入れました.これ何だと思います?
スタッフにも同様の質問をすると,皆首をかしげるばかり.かろうじて「取手?」と返した者も,「何の取手だ?」の質問には答えられません.実に嘆かわしい.まあ無理もないのですが.

でもフィンランドにアールトの建築を見に行った人ならすぐにわかります.あるいはヘルシンキ最大の書店,アカデミア書店(中のカフェはかもめ食堂の舞台にもなりましたね)に立ち寄った人なら絶対に見たことがあるはず.いや見たことないとは言わせません!

これはフィンランドの国民的英雄,そして世界的建築家アルヴァ・アールトがデザインした,世界で最も有名なハンドルのひとつなのです.材はすべて無垢の真鍮でできています.ずっしりと重い!このカーブ,このねじれ,そしてこの太さ.すべてが計算され尽くしています.スタッキングして,上下二連使いすることも可能.アールトの美学がここには詰まっているのです!

このハンドル,私が所属する北欧つながりの協会理事にも所有されている方がいらっしゃいます.その方曰く「これを持っている人はねぇ,日本には二人くらいしかいないんだよ」.申し訳ありませんが,三人目としてご登録願います.

これは売りものではありません.アールトの建築に実際に取り付いていたものが,改修などの折に放出され,どのようなルートかは申し上げられませんが,巡り巡って私の元に辿り着いたというわけです.実のところ,留学で滞在中から現地で探し求め続けていた一品でしたので,ついにこの手中に納め感慨無量でございます.

さてこのハンドル,早速スタッフに見せびらかしていたら,開口一番「それ何に使うんですか?」との質問.ハァ?私にはその発想自体が斬新でございます.飾っておくのですよ!家宝として.あるいは建築に行き詰まったら握ってみるも良し.多少はご利益があるかもしれません.

いくらしたんですか?の質問には,いくらだったと思う?と逆質問で返すと,彼らののたまった金額と言ったら(ナメンナ,コラ)の領域でありました.そんな安いわけあるか!奥さんに話したら,開口一番「で,どこにつけるの?」 どこにって・・.皆そろいも揃って発想が斬新でございます.

まぁきっと立場が変わると,鉄道マニアが「これは京浜線の駆動部の一部でねぇ」と嬉しそうにナデナデしながら鉄片を語るのと同じ事なのでしょう.まぁそれもよしです.そこには何があるか.ロマンがあるのです.

[caption id="attachment_6934" align="alignnone" width="560" caption="作品集の表紙を語るハンドル.二連使いの写真も"][/caption]

12. 12 / 22

DIVE!

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sekimoto

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> 建築・デザイン
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小高い丘をかけ上がり,そのてっぺんからこんな景色が広がっていたらどうするか.僕なら迷わずDIVE!です.

今日は柏で計画中の住宅のプレゼンがありました.敷地はもともとここではなく,こんな土地もありますよと見せられたのがこの敷地でした.斜面30度.こんなところに好きこのんで家を建てようという人はそうそういないでしょう.本来ならやめましょうと言うところ,是非ここに建てましょう!と言ったのは我々でした.

30度斜面の唯一の踊り場に,わずかばかりの基礎を設け,そこから左右にびゅ~っとやじろべえのように居室を跳ね出させています.以下はエスキース案.構造家と打合せながら,おぼろげながら像を結んだのはこんなイメージでした.
タイトルは,名付けて”DIVE”.

この構想にはさすがのお施主さんもびっくりだったようですが…ともあれ喜んで頂けて良かったです.一方でいろんな問題もあるんですが,まずはじっくり考えて頂いて,計画のゴーサインを頂けるのをお待ちしたいと思います!

[caption id="attachment_6680" align="alignnone" width="560" caption="DIVE 基本構想"][/caption]


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sekimoto

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> 建築・デザイン
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昨日は現場のあと、お施主さんのところに向かう途中、元スタッフの柴くんが初めて設計した小さな小さな住宅のオープンハウスにお邪魔させてもらいました。敷地が6.5坪、法延床面積が7.8坪という信じられない規模。師をも越える狭小の魔術師ぶりです笑。

まずは外観からじっくり。そしてちょっとニンマリ。中に入ってまたニンマリ。
彼がうちの事務所で担当してくれたあらゆる住宅のディテールや設えが詰まっていました。そしてそこに自分なりの解釈や問題解決を乗せて自分のスタイルとしてくれていました。こういうのは嬉しいものです。

なんだか初孫ができたような、ほっこりした気分で後にしました。